ザ・グレート・展開予測ショー

五芒星の幸せ


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(04/ 8/ 3)

 日々の修行ってやつは俺なりにしかやってない、と言うかそれ系のマニアな雪之丞とかに比べたらほぼやってないはずなんだが、気付いたら一度に使える文珠の量が5つまで増えていた。

「ついこの間まで3つだったのにな〜…」

 ひょっとして、煩悩と一緒に成長してたりするんだろうか?
 ま、その辺はさて置いて。せっかく増えたんだし活用法を考えてみよう。

「5つだろ〜?ん〜〜…」

 4つに増えた時は四字熟語とか二文字2つの組み合わせ――例えば“緊”“急”とか“極”“大”とか“不”“殺”をくっつける――で結構すぐ思いついたんだが…
 5つねぇ?五芒星の形にでも置いて結界でも作ろうか?それとも召喚陣でも………………

「……ほんの少しだけでも……できる、か?」

 思い立ったが吉日。その日、俺は美神さんに電話でしばらく仕事を休む事を一方的に告げた――



 まずは妙神山へ。そこで霊力量を底上げする―

「しかし横島さんは既にここの最高峰の修行を終えられて…」
「いいからっ!一時的でも霊力量が増えればそれでいいんですって!文珠が大量にいるんです!!」


 お次は結界作り。これは知識が足らんのでヒャクメを呼んで貰ってお手伝いをお願いする。

「届きやすいようにするにはどうしたらいいんだ?」
「ん〜…目標の依代があればいいんだけど、消費しちゃうからアレは使えないし…時刻とシチュエーションでガマンするしかないのねー」
「シチュか…だとするとあそこ…いや、元気だった頃からだからあっちか…」
「ピラミッド型で結界作って、中でやるのよ。精霊石でやった方がいいんだろうけど、そんなお金は無いだろうから文珠で代用するのねー」


 そして実際に召喚する。
 寂れた別荘で、昔あいつがいた部屋の4隅に“横”“島”“結”“界”を張る。アホらしい響きだが、俺の名を冠した結界だけに、俺の術やら体力霊力は割増に、それ以外の存在のソレは制限がかかる優れもの。
 その中できっちり計って、正確な位置に五芒星を描くように文珠を置く。
 そして起動。
 あの頃を思い描き、一心に祈る。
 祈り、願う。俺らしく、煩悩を…下心を込めて。


 チクッ
「痛っ!?」
「どしたの?姉さん」
「ん?うん…何かに刺されたみたい。もう何ともないわ」
「そう?」


 手応えあり。『向こう』に召喚の手が届き…そして本人を召喚することは出来なかったが、それはこっちもハナっから承知の上。代わりにそのほんの一部分だけに手をかけて掠め取り、手の平に握り締めたソレを夢中で『こっち』まで引き寄せる。

「………………上手くいった、よな?」

 集中する為に閉じていた目を開き、恐る恐る手の平を開いて……そこにある何かが自分の想像通りのものかどうかを確認する。
 ゆっくり、ゆっくりと開いた俺の手の中には…
 俺の願った通りの、小さなホタルの霊気片。


「また会えたね……ヨコシマ」
「言ったろ?俺の煩悩パワーを信じなさいってさ?」

 5つに増えた文珠の同時起動。込めた文字は“超”“時”“空”“召”“喚”。
 呼び出せたのは対象のほんの極一部のカケラだけ。でも、そのカケラさえあれば…ルシオラは復活できる。

「ま、足りなかった分ちっちゃくなっちゃったけど…許してあげる」
「ううぅ……嬉しいけど、でも…それじゃナニも出来ないじゃないかー!!」
「…ていっ!」

 パピリオよりも小さな、小学生クラスになって復活したルシオラに思いっきりツッコミを受けながら、それでも俺は笑っていた。
 幸せってヤツを、多分この上なく感じながら。

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