ザ・グレート・展開予測ショー

奥様は管理人


投稿者名:純米酒
投稿日時:(04/ 7/23)

旦那様の名前は 忠夫

奥様の名前は 小竜姫

ごく普通の二人が

ごく普通に恋をし

ごく普通の結婚をしました

――――――・・・が

ただ一つ違ったのは、奥様は

『管理人』

だったのです

(管理人って言っても修行場ですよっ!あぱーとの管理人ではありません!!)

―――――――――――――――

断末魔砲の一撃で灰燼と化し、新しく立て直された妙神山の門をくぐって出てくる男がいた

よれよれのジーンズに、デニムのジャンパー姿で、額には竜の鱗を模した柄のヘッドバンドをつけていた

「じゃぁちょっと出かけてきます」
半開きの門の向こうに声を投げかける

「待ってください横島さん、私も行きます」
デニム生地のタイトなミニスカートとカラフルなTシャツ姿で
ジャンパーを脇に抱えた女性が男の隣まで早足で歩いてきた

彼女も横島と同じヘッドバンドをつけていた

「なんじゃ小竜姫?何処か行くのか?」
キセルをふかしながら額に押し上げていた眼鏡を掛けなおしながら、猿姿の斉天大聖老師が何の気なしにたずねる

「ええ、ちょっとお買い物に」
脇に抱えたジャンパーに袖を通しながら応える

「そうか、なら新しいゲームソフトを何個か見繕ってきてくれんか」

「ダメです。この間も買ってきたばっかりじゃないですか」

「いやあのゲームはハズレじゃった、俗に言う【クソゲー】というやつでな・・・」

「老師っ!」

「なんじゃ・・・冷たいのう・・・」
胸いっぱいに吸い込んだ煙を吐き出しながら悔しがる

二人の会話を横目で見ながら待っていた横島が苦笑いしていた
そんな横島を見て軽く頭を下げて歩き出す小竜姫と、歩幅を合わせてあるく横島

「今日もいい天気ですねぇ♪」

「そーですね」

当たり障りの無い会話をして歩き出す二人を見送る斉天大聖老師のもとに
ハチミツの瓶にさしたストローを咥えながら歩いてくるパピリオ

「なんでちゅか?あの微妙な会話は・・・」

「さぁのう・・・ま、本人同士にしかわからんさ」
煙草をふかしながら遠ざかる二人を見つめたまま答える

「わたしは早くルシオラちゃんに会いたいんでちゅから二人には頑張ってもらわないと」
ズズーッ、と音をたててハチミツを飲んだかと思うと、瓶から抜いたストローを口に咥えたまま呟く

「こればっかりは二人の問題じゃ・・・わし等に出来る事はただ黙って見守ることだけじゃ」

二人の背中をみつめつつ、穏やかな声で隣に居る少女に言い聞かせる
少しばかり乱暴に頭を撫でられたパピリオは膨れっ面をしたが、遠ざかる二人をみてすぐに笑顔になる







夕方の東京タワー展望台の上

それは横島にとって特別な場所だった

小竜姫と一緒に買い物を済ませた横島は、小竜姫と一緒に『彼女』に報告にきたのだ

「ルシオラ・・・今俺は小竜姫様と一緒に暮らしてるんだ。だから報告にきた・・・」

夕焼けを眺めながら呟く

そんな横島を見ていて、今まで黙っていた小竜姫が胸の内に秘めていた思いをさらけ出した

暮れ行く空に思いを馳せて

「ルシオラさん・・・私は貴女がねたましいです、横島さんは絶対に貴女を忘れないでしょう
 いいえ・・・忘れるなんて事じゃぁないですね。貴女は横島さんの一部なんですから
 でも私はそんな横島さんが好きなんです、強くて優しくて、ちょっと女の人にだらし無くて・・・
 そんな横島さんを好きになったんです、それは貴女も同じでしょう?
 だから・・・だから私は貴女も横島さんも一緒に貰います・・・」

小竜姫の独白に聞き入っていた横島は思わず涙ぐむ

(ルシオラ・・・俺、幸せになるよ。小竜姫様を幸せにするよ。だからまた会う日まで見守っていてくれ)

涙を流す横島の手をそっと握り、寄り添う小竜姫
そして寄り添う小竜姫の肩に腕をまわし、力強く抱き寄せる横島

二人は日が沈むまでそこから動かなかった




数ヵ月後

ヒヨコとその鳴き声がプリントされたエプロンを付け、部屋の掃除に勤しむ小竜姫
横島と二人で生活している空間は、物こそ多くないものの散らかりやすかった

(まったく・・・どうしてこんなに散らかす事が出来るのかしら?忠夫さんったら私に甘えてるのかしら)

フリーのGSとして仕事をしているであろう夫の事を思い浮かべる

(普段から甘えてる癖に、昨日の夜も・・・・・・・)

耳まで・・・いや全身を真っ赤にさせて身をよじる

そんな茹蛸のごとくのぼせ上がった管理人を見て、回れ右を鮮やかに決めて駆け足で老師のもとへ急ぐパピリオ

「サル爺ぃーーーーーーー!!小竜姫がまた壊れたでちゅーーーーーーーーーーー!!」

「なんじゃ・・・今日はよく壊れるのう」

TVゲームを中断し、説教の文句を考える斉天大聖老師
そんな老師も、普段の壊れっぷりに輪を駆けて壊れている小竜姫を見ると頭を抱えたくなった

「たるんどるぞ小竜姫!!!」

「いや・・・ダメです忠夫さん・・・あぁもうしょうがないですねぇ、今回だけですよ♪」

老師の一喝も効果がなかった

(やれやれ・・・いつまで新婚ボケをかますつりなんじゃろうな
 まさか子供が生まれた後でも『こう』なら・・・・・・・打つ手無しじゃわい・・・)



老師は脳裏に浮かぶ光景に頭を悩ませるが、そう遠くない未来に脳裏に浮かんだままの場面を見て頭を痛めることになる

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