ザ・グレート・展開予測ショー

文珠〜その実用性と限界〜


投稿者名:透夜
投稿日時:(04/ 7/16)


 とある山奥の採石現場。
 そこで二人の人物が対峙していた。

「はぁ、はぁ、もう一度だ、シロ!!」

「手加減は……しないでござるよ!」

 叫ぶと同時に二人は駆け出した。

『超』『加』『速』

 横島はあらかじめ作っておいた文珠に念を込める。
 本来は韋駄天の技であるが、一部の竜神族が使えるように使う事自体は、不可能ではない。
 加えて横島は以前に韋駄天と一体となっていた事もあり、使える素養はあるのだ。
 後は三文字の同時制御と、横島が加速空間に適応できるか否か、だ。
 
「さっきよりは速くなったでござるが、まだ見える!!」

 高速で動く横島に人狼の動体視力と身体能力で肉薄する。

「でぇぇぇい!」

 距離、角度、タイミング自分の人生の中でも最高と思える一撃を繰り出す。

「なっ!!」

 完璧に決まったと思った瞬間、横島の姿は掻き消えていた。
 慌てて周囲に意識を飛ばそうとした瞬間、シロの首には霊波刀があてられていた。

「チェックメイト、だな」

「せんせ〜」

 後ろから聞こえるのは自分の尊敬する師匠の声。
 これで自分が勝っていた身体能力も追い抜かれた。
 それが悔しくなくて逆に嬉しいのは何故なんだろう?
 理由を考えるのは後回しにしよう。
 今はやる事があるのだから。

「遂に、遂にやったでござるな!!」

「ああ。俺たちはやったんだ!!お前のおかげだ」

「先生!」

「シロ!」

『がしっ』と音が聞こえるような抱擁を交わす二人。
 どれほどそうしていたであろうか、どちらともなく離れる。

「さぁ、先生!早くするでござる!」

「まて、慌てるな。文珠は貴重なんだ失敗しないようにしないとな」

「はいでござる!」

 シロの期待に満ちた眼差しの中、横島は文珠に文字を込めていった。








『北』

















『京』

















『鴨』


「「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」

















「……で結果はどうだったの?」

 美神除霊事務所の所長はあきれ返った声で質問をする。

「口に入れた途端に霊気に戻って霧散したでござる」

 さめざめと目の幅の涙を流す人狼。
 ちなみに横島は文珠の使いすぎによって寝込んでいる。

「ま、元は横島君の霊気だしね」

 実際に横島が食べた事があれば、味くらいは再現できたのかもしれないけど、と心の中で付け足しておく。

「拙者、どうしても『ぺきんだっく』が食べてみたかったでござるよ〜〜」

 

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa