くだらない会話
投稿者名:浪速のペガサス
投稿日時:(04/ 7/13)
ざーざー
むしむし
ざーざー
むしむし
なぁシロ
なんでござるか
あっついな
雨うるさいな
拙者は平気でござる
先生は嫌でござるか
あぁ
雨は嫌いだ
雨の日にむしむしするのも嫌いだ
だから俺は梅雨が大っ嫌いなんだ
そうでござるか
でも拙者は梅雨が好きでござるよ
確かにむしむしは嫌いでござるが
そうか
それは初耳だ
俺はてっきり嫌いと思った
なんででござるか?
雨だと散歩に行けないじゃねぇか
お前いつでも散歩ばっかりじゃん
お陰で絶対ありえない体力ついたし
ケツはいつでも痛いし
すまないでござる
ちょっとしたお茶目でござるよ
薬殺されたいか
…ごめんなさい
まぁいいや
話がずれた
なんでお前は梅雨が好きなんだ
それは雨が凄い御仁だと思ったからでござる
雨が凄い?
そうでござる
雨は全てに潤いをくれるでござる
雨は全てに清めをくれるでござる
だから好きでござる
あん…
わりぃ
もうちっと
簡単に言ってくれ
しょうがないでござるな先生は
ほっとけ
そこが先生らしいんでござるが
うるさい
いいでござるか
雨は、この世界の全てに水をくれるでござる
植物にも土にも
人々にも街にも
雨は、この世界の全てを洗ってくれるでござる
汚いものや綺麗なものも
生きるもの
死んだもの
全てに等しく
雨は平等でござる
雨は優しいでござる
そっか
言われてみればそうだな
そうでござるよ
だから拙者は雨が
好きでなんござる
そっか
……本当は雨が嫌いだったでござる
父上が
父上がそう教えてくれたんでござる
……そっか
先生
なんだ?
拙者
実は一度も父上に会ってないんでござる
怖くて
苦しくて
辛くて
悲しくて
会ってないんでござる
なんで?
……拙者、幸せな毎日に浮かれて
あまりにも先生たちが愛おしくて
父上の事を忘れていたんでござる
きっと父上は怒ってるでござる
あんなに愛してたのに
あんなに突然だったのに
あんなに…
強い決意を持って家を出たのに
そっか……
ずっと
ずっと
その事実から
眼を背け続け
幸せに
溺れ続けていたんでござる
不出来な娘でござるね拙者
んなことないぞ
立派じゃねぇか
少なくとも俺は
そう思うんだな
でも
でも
拙者は……
すまないでござる先生
どうか忘れてくだされ
ざーざー
むしむし
ざーざー
むしむし
なぁシロ
なんでござるか
あっついな
雨うるさいな
そうでござるな
あがったら
散歩にでも
行くか
暇だし
本当でござるか
本当だとも
そんでさ…
なんでござる
親父さんの墓
一緒に行くか
………
はい…
あ、おい
泣くなよ
俺もいっぺんだけでも
行きたかったんだから
はい
はい
泣くなよ
なぁシロ
はい
一緒に行こうな
はい
きっとさ
親父さん
最初から許してるよ
笑って
祝福してくれるって
だからさ
泣くなよ
はい
この話はさ
もう終わり
雨が降るのが止んだら
親父さんトコ行ったら
それからまた話そうや
な、シロ
ざーざー
むしむし
ざーざー
むしむし
なぁシロ
なんでござるか
雨、やまないな
今までの
コメント:
- 今回は名前を間違えませんでした(笑)!
たまに投稿のインターバルが短い駄馬です(^^;)
ちょっとした実験作として投稿してみました。詩の様な形式で、二人称でのお話。決して地の文があると面倒だと思ったわけではないです(よ笑)
今回のコンセプト(最近何かテーマを設けて書いてます)はある雨の日のくだらないいけれど、心の琴線に触れる会話、っていうところです。皆さん、そういうことありませんか?俺はたまにありますよ(苦笑)。
それでは読んでくださった皆さんありがとうございました。
最後に、このSS(?)をBOMさんにささげます。もらってやってください(苦笑) (浪速のペガサス)
- 私は台詞OnlyのSSは書いたこと無いんです。難しいですからね、物凄く。大概、台詞Onlyだと読むのが苦痛になってくることすらありますからね。
ですが、この作品は最後までサラッと読めた上に、読後になんかイィ感じがじわぁっと残りました。いい作品です。
別にシロニストだから贔屓してるわけじゃないですよ(苦笑) (WEED)
- セリフだけでもなんとなく二人の表情が浮かんできました
きっとシロは歯を食いしばって涙して、横島はそんな顔を見て心のそこから心配して、慰められたらきっとシロは嬉し涙をながすんだろうなぁ・・・ (純米酒)
- ゴメンナサイ賛成にチェック入ってませんでした (純米酒)
- 凄く良いです。今まで読ませてもらったペガサスさんの作品の中でも自分的にかなりの上位にランキングする作品でした。
……何か、ペガサスさんの作品はコメントが書き辛いので今まで票入れてなかったのですが……。うーん、今回も何か気の利いた言葉が浮かばない……。
しかし、この作品に賛成票を入れない訳にはいくまい。自分は別にシロニストではない……と言うか、寧ろシロは苦手なのですが、それでも。とっても良い作品でした。
取り敢えず、グッジョブ!と言う訳で、賛成票を。 (竹)
- 読んでるばっかりで、ペガサスさんのお話にコメントを入れるのがもの凄く久しぶりになってしまいました。うう・・本当に申し訳ございません・・(泣
いやはや、思わずしんみりしてしまいますね〜
横島くんが凄く優しいです・・。シロも可愛いですし・・うむうむ、いいお話です。
>>親父さんの墓一緒に行くか
この台詞が一番印象的でした。さり気ないけど、心に響きますね〜
投稿おつかれさまでした〜次回作もがんばってください〜 (かぜあめ)
- ・・・かなりお久しぶりですねペガサスさん。覚えてますか?タマモ愛好家の誠です。
ぶっ壊れたパソコンが直りました。色々ありました・・・。
それにしてもいい話しですね〜。それにこんな難しそうなのが綺麗にまとまって書かれていて本当に素晴らしいです。
会話している二人の表情が目に浮かぶような気がしました。
わたしも投稿再開といきたいです。では、次回作も頑張って下さい。 (誠)
- 梅雨時の雨というのはうっとうしいものです。ジメってる時に降る雨なんぞいわずもがな。
しかしこのSSではそれを感じませんでした。
寧ろ清涼感。さっぱりとした、それでいて心にじんわりと来るSSです。
真っ直ぐで、健気で、父親の事を大切に思ってるシロ。
そんなシロをしっかりと見つめ、優しい言葉をかける横島。
何回も読んで、自分の心を何回も揺さぶって。
このような素晴らしいSSを頂戴できることを本当に感謝してます(シロニスト心含む(笑)
投稿、お疲れ様でした。そして、ごちそうさまでした(ノД`)
|д゜).oO(タイトルはバンプの「くだらない唄」からかなぁ……(邪推)(ぉ (BOM)
- 二人の間で紡がれる言葉、そして絶える事のない雨音と熱と湿度。これらの持つリズムがとてもテンポよく思われました。
葛藤を語るシロに答える横島。最初に見た時(推敲前バージョン)では彼は直接彼女の言葉に「墓参り一緒に行こう」とだけ答えていましたが、この返答と比べてどちらがよかったか、評価の上で決める事が出来ませんでした。
全てに平等で優しい雨の事を教えてくれた父。それを思い出す時、彼女の中にはその雨が降り注いでいたのでしょうか。
もしそうならば「彼」が傍にいた事で降り注ぐのかもしれないですね。 (フル・サークル)
- ◇WEEDさんへ
はじめまして。コメントありがとうございます。読後に爽快感があるとのお言葉、大変嬉しく思います。しかも自分には身に余るほどの賞賛のお言葉ありがとうございます。これからも頑張ります
◇純米酒さんへ
同じくはじめまして。ワケ分からんSSを出しまくってる駄馬です。以後お見知りおきを。そんな情景が浮かんできたのですか。俺としては本当に淡々とした、くだらない会話を考えました。やはり視点って人それぞれですね。勉強になりました (浪速のペガサス)
- ◇竹さんへ
コメントありがとうございます。気の聴いた言葉が見つからない、と言いつつも票を下さって感謝です。しかしあれですね。言葉が見つからない、という事は案外淡々としすぎたのかもしれませんね(^^;
◇かぜあめさんへ
いえ、俺の方こそさっぱりコメント等を書いてないので駄目ですよ。そうご自身を卑下なさらないで下さい。
さりげない言葉って案外さりげないからこそ心に触れるものってあるのかもしれません。例えば簡単に人に「好き」って言った方が回りくどく告白するよりも想いが伝わるというか。そんな感じです (浪速のペガサス)
- ◇誠さんへ
お久しぶりです。PCが壊れて色々あったとの事、心中お察し申し上げます。俺自身最近色々な事が数多くありました。タマモ愛好家のあなたをうならせることができたのがとても嬉しいです。次回もうならせられるよう、精進します
◇BOMさんへ
これで宿題は完了しました(苦笑)。貴方からそれだけの評価をもらえたとしたらきっとこのSSは成功したのだと思います。ちなみに、このSS、みみかきさんの作品にもかなり影響受けました。それと実体験。唄のイメージはありませんよ(^^;
望外なご評価ありがとうございました。受け取ってもらえてこちらも幸いです (浪速のペガサス)
- ◇まどかさんへ
試し読みの件はありがとうございました。今回の文章的な目的に一つとして「詩的」にする、というのがありましたので自然リズムを重視しました。さて、推敲前と推敲後。どちらが確かによろしいのでしょうね?本人すら悩みました(苦笑)。
ではありがとうございました (浪速のペガサス)
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