ザ・グレート・展開予測ショー

フォールン  ― 05 ―


投稿者名:フル・サークル
投稿日時:(04/ 7/12)








「俺にホレろ!」 キラ〜ン!
・・・バカ野郎。

「ほらほら、金魚の墓っ!」
・・・バカ野郎。

「―――また、逢おうな。」

・・・・・・バカ野郎・・・。



「・・・さん、――美神さんっ。」

――――ハッ。
「あっ、は、ハイッ!」

「どうしました?随分ボーっとされてましたが・・・お疲れですか?」

「いえ、ごめんなさい。ちょっと仕事で気になってた事を思い出しちゃって。」

 美神はかぶりを振って、心配そうにこちらを見る運転席の神内へ微笑み返す。
 不意に脳裏を横切った幻夢。それが前世の記憶の断片であると言う事は彼女にも分かっていた。しかし、何故今訪れたのか・・・何故こんなに腹立だしい気持ちになるのか。

「こんな時ぐらい仕事の事は忘れて楽しみましょうよ・・・とか言ってみたい所ですが、あなたに限り無用の忠告ですよね。」

 神内は悪戯っぽく笑う。二人は先程まで神内が知っているカジノの店にいた・・・勿論、合法ではない、金のやり取りがある所だ。そこでの美神の弾けっぷりに説明は要らないだろう。

「あんなお店に連れて行くなんて・・・神内さんも悪い遊び、知ってるんですね。」

「知ってるなんて言っても、あんなダイナミックに勝負するあなたの前では降参するしかありません。僕なんか見ているだけで何度も冷や冷やさせられました。」

 積まれた札束を十数枚のチップに換え、最初は手堅く、しかし確実に増やして行き・・・いつの間にか一点勝負の勝ちを繰り返していた。
 最後の勝負で彼女の賭けた額は億に手が届きそうなものだった気がする・・・数千万円は一瞬で消え失せ、勝者でさえ血の気を失う中、彼女はペロっと舌を出して笑いながら最初に用意したのと同じ額のチップを神内の手に戻した。

「ダイナミックでも何でも、結局負けちゃいましたわ。」

「――それでも、損だけは絶対にしない。違いますか?」

 朗らかに笑いながらもその目が一瞬、鋭く冷たい光を放つのを美神は見逃さなかった。
 自分の母も時折見せる、目の前の「人材」の有用度を測る目。明らかに彼は彼女と組む事で得られるメリットの事を考えていた。男で彼女にそんな目を向けられる者を彼女は他に知らない。

―――やっぱり、こいつ、只のボンボンじゃないわね。

 どう見たって神内本人に霊力の類はない。だがオカルトアイテム・ビジネスの世界がどんなものかは美神も片鱗ながら知っている――一言で言うなら厄珍の胡散臭さに全てが集約されている様な世界だ。
 その需要も供給も特殊であり、世間や法の目から多くがベールに隠され、不正な使用と流通、そして詐欺が横行する。仕入先も販売先も商品そのものも危険と隣り合わせ・・・下手な銃火器よりも。
 そんな中でのし上がってきたのが神内コーポレーションであり、彼はそのトップを継ぐべくして育てられて来た男なのだ。

「霊や妖怪と関わり合うオカルト業界は国境を超えたグローバルなものでもある反面・・・にも関わらず・・・狭い世界でもあります。」

 突然、神内が語り始めた。

「少ないのです・・・アイテムの原料となる資源も、信頼出来るプラントも、アイテムを活用するに足る実力あるGSも。それらをローマ教会や合衆国政府、ICPOがより独占しようとせめぎ合い、巷には論外のバッタもんが溢れ返っている。それが全世界レベルでの現状です。」

 神内はそこで一旦沈黙する。次の言葉を選び出そうとしているかの様であったが、続けて口に出した言葉は選んだだけのインパクトを美神に与えるものであった。

「――4年前のアシュタロス事件・・・単なる霊的事件ではなく、神魔戦争の一種と言っても良い。」

「・・・!?」

「本来人間・・・それ以外でも、手に負えるものでなかった敵とその企みは、神でも悪魔でもない者達の手で撃破されました。総司令となったあなたのお母様はICPOでしたが、世界を救った英雄達の大半はどこにも抱え込まれていない民間人のGSでした・・・あなたを始めとしてね。」

「ま、まあ・・・元々協調性のない連中ばかりで・・・。」

「この前、電話に出た青年は“文珠使い”横島忠夫さんですね・・・コスモ・プロセッサを破壊し、魔王アシュタロスに止めを刺した・・・まだ、独立もせずあなたの下にいらっしゃる様ですが?」

 神内の目が再び光った。先程とは違う比較的見覚えのある色――西条辺りが横島の話題で見せる様な「ライバル」「邪魔者」を見る――目だった。

「まだ未熟者ですわ・・・御覧の通りのおバカですし。開業の為の資金とかも貯まってないでしょうし・・・。」

「彼の様な一流をそう呼ぶのはあなたの様な超一流の基準であって、世間一般の・・・この業界の基準じゃありません。」

 神内の刺す釘に美神は反論出来なかった。言われるまでもなく、それは彼女自身が口に出さずとも認めている所であったからだ。しかし、どこまでこの男はあの戦いの事を知っているのだろう。
 誰の名前も露出しない公式発表止まりである筈もなかったが、コスモプロセッサを破壊したのが美神ではなく横島であったなどと、当事者以外では情報通の多くも知らない様な事だ。

「彼の一流ぶり、そして英雄ぶりはその能力と機転のみにあるものではありませんね・・・。僕は知っているんです、あの壮絶の一言に尽きる悲恋の事も。」

「―――――!」

「彼を魔王との直接対決に駆り立てたのはその配下であった魔族の女性との出会い・・・一旦の勝利によって彼女は解放されたが・・・最後の戦いで彼女は彼の為に死に、彼は世界の為に彼女を見殺しにした。」

 神内の最後の一言で美神の顔には緊張が走った。彼女の変化に気付かない神内ではなかったが、敢えて無頓着に言葉を続けた。

「僕は思うんですよ。彼はその特殊能力よりも、戦いの中で繰り広げた数々の奇策よりも、“あの時”の決断こそが真に英雄的であったとね。・・・しかし、こうも思うんです。・・・英雄で、他の誰よりも英雄であったかも知れないけど、一人の男としてはどうだろうか?・・・とね。」

「どういう・・・意味、ですか?」

「あなたは見ていましたね。彼が結晶を砕く瞬間を――世界と彼女とで世界を選び、彼女の運命を虚無の中に自ら閉ざす瞬間を・・・例えそれが世界の為とは言え、愛する・愛してくれる恋人をそうやって見捨てた男を“一人の女として”見た時、信頼出来るのですか?」

 その分かった様な口ぶり。だが美神の中で感情が弾けるよりも先に、神内の言葉が続いた。

「―怒りましたか?部外者の勝手な言い分ですものね。その場で何が正しかったかなんて僕に語る資格はありませんし、僕だってそうしたかもしれない。第一、彼が世界を選んでくれなかったらあなたも僕も今、ここにこうして存在出来なかったでしょう。」

 神内は言葉を切ると、横目でだが、はっきりと美神に視線を向けた。強い目の光と共に、問いかけの言葉を投げる。

「でも、そんな正誤や筋道の話でもないでしょう?あなたは、見てしまったのですから、彼が実際に自分の恋人を見殺しにする所を・・・あなたにはもう、女として、“男としての”彼に信頼や愛情を向ける事は出来ない。世界の為に自分も見殺しにするであろう男だと、心の中で警報が鳴る筈です。」

 神内の放つ視線にはある種の力があった。彼の「問いに答える」事を要求する力。
 勿論それに気圧されるばかりの美神ではなかったが、理性と混沌の狭間にある彼の理屈に否応なく向き合わされる圧迫感はひしひしと感じていた。

「彼は英雄であったかもしれないが、女に・・・あなたに愛される男ではない。」

 神内が前に視線を戻しながら締め括る。美神はいつの間にか握り締めていた拳をゆっくりとほどきながら答えた。

「何か・・・前提から大きな誤解がある様ですわね。あの時の前も後も現在に至るまでアイツ・・・彼を私が一人の男として見た事などありませんわ。彼はあくまでも丁稚・・・部下であり、下僕・・・仕事上のパートナーなのですから。」

「・・・今はまだ、そう言う事でも良いでしょう・・・。」

 神内は息をついた。心なしか美神のその返答に少し呆れている様にも見える。

「話が逸れましたが、もし彼に独立開業の意思があるなら、僕らの方で大々的な応援をさせて頂きたいと思っているんですよ。横島さんの様なGSは、その個の力が認められ、活躍出来る舞台が用意されるべきですからね。」

「え・・・――急に、そんなっ!」

「何か、不都合でも?」

「いえ・・・でも、彼は私の従業員です。外部で過度の援助や引き抜きを受けると言うのは・・・」

「勿論、あなたの業務体制には尚一層のサポートをさせて頂きます。先にお話ししたオカルト業界の状況から、優秀な民間GSは表に出ないで固まっているよりも強固なバックアップの下で個々に展開されるのが望ましいと僕は考えていたのです。取り分け、あなたの様なトップクラスは特別に。」

 強固なバックアップ――つまり、神内コーポレーションとGS達とのより密接な結び付き。
 神内の要求する所はこれ以上ない程に明瞭だった――横島を切って自分と公私共に“組め”。神内コーポレーションの次期戦略は「GS」そのものだ。
 国内トップGS美神令子との共同事業で優秀な民間GSの多くを手中に収め、オカルトGメンやローマ教会にも匹敵するオカルトサービスのシステムを営利企業として国内、そして海外へと展開する。美神との結婚もそのプロセスの一つであろう。

「お気持ち急がれる必要もありませんが・・・今はただ、ささやかながらお近付きの印にあなたのお手伝いをさせて頂きたいだけです。・・・あ、そうそう、忘れてました。」

「何でしょう?」

「先程の話に絡みますが、横島さんの恋人の・・・ルシオラさんとか言いましたね・・・彼女を復活させる可能性について、コーポレーション附属の研究機関で数種類の試案が考案されています。この事を彼にお伝え頂けますか?」

 それは少なからず美神にとって衝撃的な話だった。
 神内が顔も見た事ない横島にそこまでする動機には、疑問の余地がなかったにしても―横島を美神から切り離しつつ、恩も売りたい彼のビジョン・・・横島を介して「元アシュタロス軍のオカルト技術者」の協力を得る可能性すら考えていたかもしれない。
 彼女の衝撃は話の突拍子の無さよりもむしろ、突然リアリティを得た「その事」に受けたものと言えるだろう。

 湾岸から品川に入った神内の車。道の前方には有名な高層ホテル。
 神内が何気ない調子で美神に尋ねる。

「・・・ここのホテルのバーが今結構ウケてるんですよ、寄って行きませんか?散々怒らせちゃいましたからね、落ち着いた場所で納得行かない部分とか改めてお話出来ますから。」

 ニッコリ笑いながらの神内。これ程の者でも頭のごく一部分は誰かと同レベルらしい。わざと怒らせた後に口説こうとする大胆な計算は上級者特有のものであったかも知れないが。

「あら、私は酔っ払って終電に乗り、家までの夜道を一人歩きしなくてはならないんですか?車で来ておいてお酒を飲む話をする人の『飲んでも運転大丈夫』は信じられませんわよ。」

 美神にとって一人歩きの夜道も交通事故も屁でもないのは言うまでもないが、こう言われれば取り敢えずは引き下がるしかない。

「それは気が利きませんでしたね・・・女性を乗せての飲酒運転など論外です。家まで送りましょう。」

「あら送って下さるんですか、折角用意したルームキーが勿体無いですわ。」

「何の事です?・・・まあ、ホテルの部屋は逃げませんよ。あなたの気持ちを捕まえるのが先決です。違いますか?」

 車は美神事務所の前に停まり、神内が先に降りて美神をエスコートする。二人の脳内に人工幽霊壱号の声が響いた。

「お帰りなさいませ、オーナー。」

「ほう、これがあの渋鯖人工幽霊ですね。・・・メンテナンスなどの必要はあるかい?」

「自己点検機能があります。この先は分かりませんが、生まれてから70年、外部の手を必要とした事はありません。」

「なるほど・・・では美神さん、今夜もお付き合い頂きありがとうございました。不躾な点がありました事、お詫びします。」

「いえ、こちらこそ・・・またお誘い頂けると嬉しいですわ。お休みなさい。」

「お休みなさい。」

 別れの挨拶を交わしてから神内は車を走らせた。事務所前の道から近くの大通りに出る。かなり込んでいる車の流れに乗ると彼は一人呟いた。

「プライドが高く、計算と行動力を伴う・・・でも精神面は、本質的にまだ子供のまま、か・・・。焦る事はない。沢山オモチャを買ってやってワガママ聞いてやりゃいいんだ・・・。」



   ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―



 部屋に入るなり美神は着替えもせずベッドの上に倒れ込んだ。頭の芯が痺れ、意識が空回りする様な疲れだった。決して不快なものばかりでもないが――あの男と一緒になったら、いつもこう言う疲れ方をさせられそうだ――片隅でそんな事を思った。

「お疲れの様ですね、オーナー。」

「全くだわ。嫌になっちゃう。明日は夕方からの調査の前に、ママに報告書出さなくちゃいけないってのに・・・しまった、最初の一ページしか書いてないわ。今すぐ・・・仕上げな・・・いと。」

「ご安心下さいオーナー。報告書でしたら、今日の昼過ぎに横島さんとおキヌさんがいらっしゃいまして、二人掛りで書き上げて行かれました。取り敢えずとの事なので、内容に問題があればその箇所だけオーナーが修正されればそれで大丈夫だろうとの事です。」

「横島・・・クンが?」

「はい。」


・・・・・・ぽふ。


 美神は枕の上に顔を埋めた。そのままもごもごと口を動かして呟く。

「“愛されざる英雄”、ね・・・とんだ勘違いだわあの人も・・・何も分かってない・・・。アイツが英雄なんかの筈、ないじゃない・・・。」



「一生ついて行きますっ、おねーさまーーっ!」 がばあっっ!
・・・バカ野郎。

「美神さーーん、ぼかぁーもうっ、ぼかぁーもうっ!!」 どどどど・・・ばきっ!
・・・バカ野郎。

「あのちちとしりと太もものそばにいる為に俺がどれだけの苦労をっ!」
・・・バカ野郎。



 “あの事件”を境に彼は変わった、と言う者がいる。“あれだけの事”があったのに彼は何一つ変わらない、と言う者もいる。
 しかし、美神に言わせればそのどれもが間違いだ。彼は“あの事件”の前からゆるやかに色々な変化と成長を見せていたし、“あの事件”の後にだってそれは続いている。
 “あの事件”は人間の成長と関係なく、背負わされるものが大き過ぎたのだ。―――「世界を救う為に愛する者を見殺しにする」なんて経験が人間の成長の一体どこに「必要」だと言うのか。

「アイツの為に何もしてやれなかった。」

 彼女の腕の中で彼は何度もそう繰り返して泣いていた。その言葉が間違いだと分かっていても、それを彼に伝える方法は分からずじまいだった。
 ひたすらに、その少年を泣かせてやりたかった。壊れものの様なその声と心を、ただひたすらに包み込んでやりたかった。どこへも散らばらない様に―――あれのどこが「英雄的」なのか。



 ガラスの向こう、巨大な猿神に叩きのめされた横島が自分の目の前まで飛んで来る。思わずガラスに貼り付いて彼へ呼び掛ける。彼が少し顔を動かして、目が合った。笑っていた―――彼は口を動かした。音声など届かない筈なのに、その言葉だけがハッキリと聞こえた。

「・・・あんたについて来れるようなバカなんて、俺ぐらいしかいませんよ・・・。」





「・・・・・・バカ野郎。」

 声に出して呟くと、それが止まらなくなる。





「――ただいまっ。」 ルシオラ達を残し、決意を胸に山荘から帰って来た時の彼。

「俺、やっぱりルシオラの事が・・・。」

「前世は関係ないですよねっ、アハハハハ・・・!」

 そして何度も見た姿――蛍の霊体を手の平に乗せてうつむく横顔。



「・・・バカ野郎。」





――――「俺に惚れろ」って言ったくせに。

やっと逢えたのに。





 何故、こんなに気分が晴れないのか彼女自身分かりかねていた。“あの事件”を挟みながらも彼は能力的にも精神的にも成長し続けているし、上司としてはそれで充分な筈だが・・・。
 気分の晴れない理由を確かめる為の手がかりとなる「彼女にとっての彼の位置付け」からして曖昧であったのだから、その矛盾は得るべくして得た結果だったかもしれない。
 見合いの話や西条の動きに横島が以前の様な本気の反応を見せなくなったのは美神も何となく気付いていた。そして、それを彼の精神的な成長だと捉えていた。彼もまた、自分の位置に自覚的になり始めたのだと。
 しかし・・・その果てに彼は彼女を見送り、自らも彼女を置いてどこかへ行ってしまおうとしている・・・そう言う事でもあるのではないか。
 美神がそれに気付き始めたのは最近の事であり、しかも半ば無意識にであった。





「美神さんは、俺がいなくなっても・・・」





     平気ですか?





「バカ野郎・・・バカ野郎・・・バカ野郎・・・バカ・・・や・・・ろ・・・」

 回想と思考と感情とを混濁させながら美神の意識は眠りに落ちて行った。
 その完全な眠りの前に闇を横切った、全く関係のない筈の仕事がらみの疑問・・・何故か妙に引っ掛かった。




――――どうして半年前に倒した筈の妖怪が、あの廃ホテルにいたのかしら?



   ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ― ・ ―


「あ、先生。お早うございます」

 朝、出社して事務作業に取り掛かった西条の元へ美智恵がやって来た。

「西条クン、ちょっと、過去の書類見せてもらえるかしら?以前にもこの場所の報告ってあった筈よね?」

「ええ、確かそこの棚の低レベル案件用・・・」

 美智恵は棚に向かい、ファイルを開いて数年前の廃ホテルのデータを探し出した。西条はそれを一瞬横目で見る。書面の隅にあった書き込みは消されていた。
 
「令子の報告が来る前に一度見直しておきたくて。・・・あの場所がいつからああなったのか・・・どんな過程だったのか分かれば、原因を知る手がかりになるんだけど・・・地元の人間も近寄らない場所だからね。」

「・・・でも、誰も来てなかった訳じゃありませんよ。」

 地元の人間も近寄らない場所にたまり、あるいは住んでさえいた連中・・・西条は美智恵に答えながら考えていた。そろそろ“彼ら”の影を隠しきれなくなるだろう。家出人やホームレスは多分、ホテル内に出入りする“彼ら”を見ている筈だ。
 でも、調査が進めばいろいろと明らかになるのは時間の問題だし、こちらでもこれ以上捜査の手を遅らせる訳には行かない。

「今日の調査は令子ちゃんと横島君と・・・Gメンからは誰ですか?」

「横島君は・・・今日は来ないみたい。タマモとシロの両方が行くわ。」

「・・・・・え?」

 西条は仕事の手を止めて、美智恵に顔を向けた。彼女も良く分からなさそうな表情で答える。

「昨日、タマモ貸してくれって頼まれたのよ。何か、色々と考えがあるみたいね・・・。」









   ― ・ ― 次回に続く ― ・ ―


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