ザ・グレート・展開予測ショー

はじめてのおとまり


投稿者名:伊三郎
投稿日時:(04/ 7/10)

――― それは狐の逃げた次の日の朝 ――― 

「ギェー、ギェー」

窓の外のモズの鳴き声で目を覚ました横島忠夫(たぶん17歳)。

自分の片腕の感覚が無いので、首をそちらに向けると、、、、。

「〜〜〜〜あう?」

(ドウシテ、ココニ、オきぬチャンガ。。。)

そこに見えたのは、横島の右腕を枕にして、すやすやと眠っているおキヌちゃん
こと、氷室キヌ(315歳?)。

一瞬、その寝顔に見惚れていた横島、寝起きの脳ミソのメモリを検索する。

−− 検索中 −−

−− 検索中 −−

(えーと、確か昨夜、タマモてゆう妖狐に化かされて、外でパンツ一丁で泳が
 されて。。。二人とも風邪ひいちゃって。。。そいで???)

その時、おキヌが寝言を呟きながら、横島と反対側に寝返りをうった。

「ムニャ、横島さん。。。」

彼女の動作に便乗して、枕と化していた腕をゆっくりと引き抜く横島。

じんじんする腕を振りながら、体を起こすと、コタツで寝ていたことに気づく。

(思い出した!!。タマモが置いてった薬を煎じて飲んでるうちに終電の時間
 過ぎて結局俺のアパートに泊まることになったんだっけ。)

極貧の横島はもちろんタクシー代にまわせる金など持ってない。

「み、美神さんにばれたら殺される!」

おキヌは「魔理さん宅に泊まることにしてるから大丈夫ですよ。私もそんなにお金
無いですし。」と言ってたけど。

時給は横島だけが知らないが、彼の倍以上の給料を貰っているのに、電車で二駅分の
車代を出せないわけがないのだが、この人間界で五本の指にはいろうかというニブチ
ンは彼女の想いに気がつかない。

結局、おキヌに布団を明け渡し、自分はコタツで寝ることにしたのだが。。。
煎じ薬が効いたのか、くしゃみも鼻水も止まっている。

(俺の隣に入ってきたということは? これは、モシカシテ御自由に召し上がれって
 こと? まさかね、おキヌちゃんはそうゆうキャラじゃないよな。)

悩める彼に決断を促すがごときの、止めとなる彼女の次なる寝言。

「横島さん。。。大好き。。」

横島の理性のブレーカーがプチンと音をたててキレタ。

「こーなったらもう、このSSが18禁指定になっても俺はやる―――ッ!!」

横島が一気に彼女に襲い掛かろうとした、その瞬間!

『だめよ!』

「えっ?」

『流れを読めって、言ったでしょ。』

「そ、そうだな。」

(アドバイスど〜も、俺の心の内の。。。。)とにかく、冷静になって。

地獄の魔王と戦った時と同じ位、いや、それ以上に頭脳を振り絞る横島。

「あーやって、こーやって、ここで軽くジョークを入れておキヌちゃんをリラックス
 させて、そいで次は。。。」

ぶつぶつと独り言を吐く彼を、もし他人が見ていたら、目を背けて遠回りするであろう。

−−作戦立案中−−

−−立案中−ー

−−完了!! 作戦開始っ!!−−

横島は、もとの自分が寝ていた位置に戻り、右手をそっとおキヌの頭に添え、髪を撫でるように動かす。
一方、左腕を胸の方に回し、思い切り優しく抱きしめる。(←ここ重要)

ギュッ。

(女の子って、やわらかいんだな〜。それに、えー匂いや。。。さてと)

「おキヌちゃん、おキヌちゃん。朝ですよ♪」

「ふぁい? ・・・・・・あっ、おはようございます。」

目が覚めると、横島に後ろから抱きしめられていて、硬直しているおキヌ。横島から
は見えないけど、耳まで真っ赤になってるのが、もろ分かり。

「どうして、コタツで寝てたのかな〜〜?」「・・・・・・」

「こうしてるの嫌?」「・・・・・・」

横島が腕の力を抜いて、おキヌを抱いている手を外すふりをすると、その手を掴んで
離さまいとする。

消え入りそうな声で、「い、嫌じゃないです。」固まってた彼女の体から、少しづつ
力も抜けてきて、いい感じ。

(うおっしゃ――――ッ!! これはもらった! 次はこっちに向かせて、まず軽く
 キスを一発!)

空いていた右手をおキヌの体とマットの間に入れ、彼女を自分の方に向かせようとする。

その時、手が軽くおキヌの胸(とこの大馬鹿は判断)に触れる。それで、また彼女の
体に余分な力が入る。

(ここでアドリブを一発かまして、余裕を見せよう)

「おキヌちゃん♪」  「・・・・はい?」

「今朝はブラジャーつけてないんだね。」 「!!!!!」






その瞬間、横島は部屋の温度が3,4度下がったように感じた。自分の腕で抱いてい
たおキヌの体の全体から異常な密度のどす黒い霊圧が発生している。

(こ、これは少なく見積もっても中級魔族のガルーダクラスのプレッシャー!)

横島は指一本動かせない状態ながら、生き延びるため状況を把握しようとする。

そして、そして、おキヌが黄昏よりもなお暗き響きで・・・。

「よ〜こ〜し〜ま〜さ〜ん〜。」

「・・・・・・・・・ハイ?」(イッタイ、ナニガオコッタノデセウカ?)







「そ〜こ〜は〜、私の・・・私のお腹ですっ!」



ソレカラ、ボクハ、ジゴクヲミマシタ。オきぬチャンカラ生涯三度目ニナル、タイア
タリヲマッショウメンカラ、フルパワーデウケマシタ。



すばやく、身支度をしたおキヌは横島の部屋を飛び出し駅に向かっていた。朝のラッ
シュ時なので結構な人がいたが、彼女の放つ怒りのオーラを感じ、さながら紅海を渡
るモーゼのように人垣が開かれていく。

(このことは、一生涯忘れられない! 美神さんやエミさんほど、容赦ない胸の大き
さは自分には無いけど・・・・・)

「私にだって、ちゃんと胸の谷間はあ――る――ッ!!!!」

(コミックス38巻78ページと裏表紙のカラーページを見てね)

今朝の彼女はちょっと黒い。(当社比20%くらい)



そのころ、自らの策に溺れた策士の大馬鹿野郎は、アパートの外壁にめり込みながら。。。

「ふっ、認めたくないものだな、若さ故のあや・・・・・・・」



『バカ』・・・・


――― 本当にあった怖い話 その壱 おしまい ―――

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