ザ・グレート・展開予測ショー

絶体絶命大ピンチ2


投稿者名:純米酒
投稿日時:(04/ 7/10)

場所は変わって六道邸の厨房

「え〜〜っと〜、私の気が〜確かなら〜〜〜」
齧り付いたピーマンを片手に冥子が必死になって例のセリフを言おうとしている
が、前回と全く同じ失敗をしているのは彼女らしいと言うべきか

「記憶よ冥子〜。アナタはまた同じ間違いを〜〜」
娘の成長の無さに少々呆れ顔である

「ショーアップなんていらないわよ!場所だけ貸してくれれば良いの!」
しかし、タマモ自身も楽しんでいるような表情をしている
丈の長い黒のワンピースに白いエプロン、フリルのあしらわれたカチューシャを付けたタマモのセリフに既視感を覚える横島

その横島はというと椅子に座らされ、身動きが取れなくなっていた
肘掛に置かれた両腕は手首のところで拘束されて、右足には枷が付けられ100Kgと書かれた重りと鎖で繋がっていた

「なぁシロ・・・お前は俺の弟子だよな?師匠の危機に傍観する事が弟子の務めなのか?」
タマモと同じ格好をし、髪をアップで纏め上げているシロに助けを求めてみる

「拙者まだ死にたくないでござるよ・・・それよりも先生!フミ殿から借りた『めいど服』拙者に似合ってるでござるか?」
師匠の頼みをあっさり断り、いつもと違う服装が嬉しいのかスカートの裾をつまんでくるっと回ってみせる

「『がぁたぁべると』と『すとっきんぐ』はなんだかちょっとくすぐったい感じがするでござるよ♪」
どうやらシロもこの状況を楽しみ始めているようだ

いつもの横島ならば見慣れない姿に思いを馳せるだろうが、今はそんな余裕が無い

シロが死にたくないと言った様に、横島もまだ死にたくない
美神に病的な妄想と言われたものの
『美女で一杯のプールにタキシードを着て飛び込んでもみくちゃにされてみたい』という野望はまだまだ捨てきれない

逃げようとすれば、暴走している二人に殺される
かといってこのままではどちらか一方を選ばなければならない事になる
そうなった場合、選ばれなかった一方がどのような行動に出るか全く予想がつかなかった
最悪「貴方を殺して私も死ぬ!」とか言い出しそうな雰囲気だ

(最近おキヌちゃんは『シメサバ丸』を持ち歩いてるし、魔鈴さんは何だか良く解らない薬が怖いしなぁ・・・
 あぁっ!両手に花が俺の好みなのにっ!何でみんな仲良く出来ないんやぁーー!)

鈍感もここまで来るとたいしたものだ

この事態を明らかに楽しんでいる六道親子とタマモ
本能的に命の危機を感じ取りおキヌと魔鈴に協力しているシロ
一人涙を流し現実逃避にはしる横島

(そうだこれはきっと夢なんだ!本当の俺はきっとあったかい布団のなかで・・・)

もちろん夢なんかではない
目をやれば自分には微笑みかけてくれるものの、敵対する者に鋭いガンを飛ばす二人がいる

「「ちょっとタマモちゃんいつになったら始めるの!?」」
勝負を前にして目が血走っている二人の語気は荒い

「あ、ゴメンゴメン。じゃぁまずルールの説明からね♪
 横島から一品だけリクエストを受けるわ、その課題の一品の他には何を何品作ってもOK
 そして横島が両方の料理を食べて審査して、美味しいと思った料理を作った方が勝ち
 食材については制限は無し!でも惚れ薬とかは禁止ね、判定に横島自身の意思が感じられなかった場合は反則負けよ
 薬が入ってるかどうかは私が食べてチェックするから誤魔化しは出来ないわよ♪」

タマモは妖しい微笑みをうかべ、すでに暴走しかかっている二人に釘をさす

厄珍に電話していたおキヌと、使い魔に何やら薬を持ってくるように言っていた魔鈴の二人ともが悔しがる

(ふ、二人とも何入れる気だったんだ?俺は無事に生きて帰れるのか?)

おキヌと魔鈴の行動に背筋が凍る横島

そんな横島に小悪魔的な笑みを浮かべて向き直るメイド姿のタマモ
普段なら思わずドキッとして「違うー!俺はロリコンやないー!!!」などと雄叫びを上げて頭を打ち付ける彼だが
今はまさに『悪魔』にしか見えなかった

「タマモ・・・お前は楽しいかもしれんが俺は全然楽しくないぞーーー!」

「美味しい料理が食べられるっていうのに、何が不満なのよ?贅沢ねー」

「こんな状況じゃなけりゃ不満も出んわいっ!」

「はいはい・・・で、何か食べたい物はある?特に無ければきつねうどんにするわよ」

「それはお前の喰いたい物だろうがっ!」

騒がしく口喧嘩していたものの、おキヌと魔鈴から発せられる殺気に横島は焦りだす

結局特に食べたい物は思い浮かばなかったものの、きつねうどんにすると何もかもタマモの思い通りのような気がして
横島は麺料理を選んだ

「はいはい、麺料理でいいのね?じゃぁ始めるわよ」
そう言うとタマモはポケットから取り出した小さなハンドベルを鳴らし

「オーーダーー!!麺料理!!」

と大きな声で宣言する

おキヌと魔鈴が「ウィ、ムッシュ!!!」と言ったかどうかは定かではない


二人の調理が始まった



――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(注)ココからは音声のみでお送りします 
目を血走らせて、鬼のような形相で料理する二人を想像してください


「ココからは拙者が実況するでござるよ♪」

「解説は〜わたしがやるわ〜」

「お母様ずるい〜私も解説やりたいのに〜」

「何を言ってるの冥子〜アナタ、料理したことなんてないじゃない〜」

「それを言うならお母様だって〜〜」

「まぁまぁお二人とも・・・今おキヌ殿が茹でているのは・・・うどんでござろうか?」

「うどんにしては〜ちょっと細すぎるわね〜〜たぶんあれは〜素麺よ〜」

「え〜?私は〜冷や麦だとおもうの〜。だって〜赤いのとか〜緑色のとかなかったでしょ〜」

「冥子〜赤いのとかあるのは〜冷や麦のほうよ〜
 ちなみに〜直径が1,3ミリ以下の物が素麺で〜1,3ミリから〜1,7ミリの物を冷や麦っていうのよ〜
 地方とかに行くと〜細めのうどんを〜冷や麦と呼ぶ事もあるそうよ〜」

「御母上は博識でござるな・・・チョット意外な感じがするでござるよ」

「ひどいわシロちゃん〜。おばさんすねちゃうんだから〜〜」

「ん?魔鈴殿が茹でてるのは・・・きし麺?意外でござるな。
 拙者『すぱげっちぃ』を使ってくるものとばっかり思ってたでござるよ」

「シロちゃ〜ん、あれ多分フェットチーネっていうパスタよ〜
 この間マ〜くんと一緒に〜お食事した時に食べたのと〜そっくりよ〜」

「冥子〜アナタいつの間にそんなことを〜?」

「だって〜、マ〜くんは〜お友達だし〜」

「ところで『すぱっげちぃ』と『ふぇっとちぃね』はどう違うんでござるか?」

「冥子知らない〜〜」

「おばさんも〜ちょっとしか知らないわ〜」

「それについては私がお答えしましょう」

「「フミさん〜」」
「フ、フミ殿、気配を殺して後ろに立たないで欲しいでござるよ・・・御母上も冥子殿もびっくりしてるではござらんか」

「パスタにはたくさんの種類がありますが、日本人にも馴染み深く今回の課題である『麺』に近い形の
 ロングパスタについてお答えします。
 パスタも太さや形状によって呼び方が変わりまして
 円柱状の物で細い順番から
 カッペリ・ダンジェロ、カッペリーニ、ヴァーミセリ、スパゲッティーニ、スパゲッティ、と呼び名が変わります
 断面が楕円の物をリングイネ、穴の空いたロングパスタをブカティーニ、ツィーテ
 そして今、魔鈴様が御使用になっている平麺状の物をフェットチーネ、タッリアテッレといい・・・」

「フ、フミさ〜ん、もう解ったわ〜ありがとうね〜」

「拙者なんだか知恵熱出てきたでござるよ・・・」

「・・・冥子よくわかんなかったわ〜」

「ところでおキヌ殿と魔鈴殿、いったい何品作るつもりでござろうか?」

「おばさんね〜おキヌちゃんのメニュー貰ってきたんだけど〜スゴイわよ〜
 まずは〜課題の麺料理に〜『素麺 鯛出汁風味』と〜『旬のお刺身盛り合わせ』に〜
 『野菜の煮物 人骨温泉風』、まだあるわよ〜『キュウリの湯葉巻き』と〜
 『豆腐三種 肉味噌がけ、冷奴、三層重ね蒸し』でしょ〜それから〜
 『魚の西京焼き』に〜『黒豚の串焼き』と〜『日本風ステーキ』もあるわ〜
 『五目御飯』まであるわね〜。ちょっとした料亭顔負けよ〜すごいわぁ〜」

「魔鈴さんも〜負けてないと思うわ〜『エビのフェットチーネ』と〜『ムール貝の白ワイン蒸し』でしょ〜
 『トマトとチーズの包み揚げ』に〜『チキンのワイン煮込み』と〜『サーモンのマリネ レタス添え』と〜
 『ローストビーフ』も作るみたい〜『伊勢海老の団子 ハーブ風味』と〜『伊勢海老のスープ』だって〜豪華ね〜
 デザートに『オレンジリキュールスフレ』まで出るみたいね〜。流石はプロだわ〜、マ〜くんのお給料じゃぁ〜
 一生かかってもいけないレストラン並みね〜」

「もう麺料理が課題なのかどうか怪しいでござるな。でもこんなに作って、先生は全部食べられるのでござろうか・・・?」

「「大丈夫よ〜横島君ですもの〜」」

「「出来たっ!!」」

「ん?料理が完成したみたいでござるな」 

「いよいよ審査に入るのね〜。横島君は〜どっちを選ぶのかしら〜?おばさん気になっちゃうわ〜」

「結果は〜CMの後で〜」

「冥子殿、CMなんて無いでござるよ・・・」

「あ〜〜ん、一回言ってみたかったの〜〜〜」

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