ザ・グレート・展開予測ショー

未来掲示・別編(ラプラスの語り34)


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(04/ 7/ 9)

そこは一筋の陽光も蛍光灯もついてない薄ぐらい場所である。ある特殊な牢屋だ。
貴方はどうしてもこの鬱屈として建物の奥にいかねばならなかった。
=くっ、去れると思ってるのか?=
悪魔ラプラス、確実に未来を映し出す能力を持つ。

待ちなって、未来ってのは無限の可能性が有る。その数と同等の俺がいる訳なんだがな。
それでも聞きたいなら俺の知っている歴史を語ろうじゃないか。そう忠告を一つ。
鮮度が大事だぜ。何事もな。

さてと、ご存知唐巣教会でな。晴れやかな結婚式が営まれているのさ。
「しあわせにのーピートしゃん!エミしゃん」
「はぁ〜エミおねー様も綺麗だわ」
「くぅ。私のほうが年上なのに・・」
「あぁ、青春だわ」
上からタイガー君。弓君。魔鈴君。そして机妖怪の賛辞だ。
何のことはない。ピートとエミが見事に人生の墓場まっしぐら状態なのさ。
「幸せにするよ。エミ」
「や、貴方ったら・・へへみんなありがと。つっても令子がいないけどね」
「そうですね。西条さんと一緒に新婚旅行ですもんね」
「んふ。私たちもすぐ行くワケね」
と、言うことだ。あちらさんも紆余曲折はあったろうが、西条お兄様が御勝ちあそばされたようだ。
たてづづけの結婚式で神父も小銭ホクホク状況というこってな。
二つのカップルほどではないが、つつましい幸せを感じつつ目をしたにやるとな。
「アンちゃん」
精一杯お洒落したヴァンパイアキラー、アン・ヘルシングが震えていてね。
「お幸せに・・」
と呟いているぜ。
「はい。アンちゃん。これあげる」
みんなに手を振っていたエミがこの子に気がついてな。
「ブーケ・・うん。ありがと!」
笑顔を見せてな。エミが車に乗り込んだ後、
「もういいですよ」
神父の一言が、涙を誘ったのさ。

ま、この子はどちらかといえば気丈な性質なんだろうな。声を聞かれたくないと
教会の裏手に回って思いっきり。
「泣こう」
って思ったらおや、先客がいるじゃないか。
煙草をふかしている横島忠夫がな。
おっと、言い忘れていた横島は既に大人だ。
丁度三年後、20歳ってトコだな。つまりアン・ヘルシングは・・花の高校生、
机妖怪と共に机を並べている年頃というこったか。
「おや、アンじゃねーか。どうした?」
ぽわっと煙をはいてな。それが煙たかったのか、手で払って。
「・・ううん。何でもないわ」
「そっか」
あぁ、いい天気だと上を向いた横島につられてかアンも上を向いたようだな。

「ねぇ、一つ聞いていい?」
何時の間にやら隣に陣取ったアンが沈黙を破ってな。
「なんだ?」
「あんたさぁ、美神さんの事好きだったんでしょ」
「そうだな。好きだったと思うぜ」
「でも、とられちゃったんだよね」
「・・・。そうじゃないよ」
「え?」
「好きな人が選んだ奴なら素直に下がるしかねぇじゃんか」
「そっか」
わたしも、そうなんだ、って所かな。
「納得してるの」
「頭じゃな」
頭って聞き返そうと思ったらよ。なんと横島の奴泣いてるじゃないか。
大の大人がな。
「ふ。恥ずかしいトコみられちまったな」
再度煙草に火を付けようとするがな、手が震えて着火口を何度も擦るだけだ。
「もぅ、しょうがないわね」
すっとライターを手にとって、火をつけてやるのさ。
目が点になった横島が、ありがとって言うのがやっとさ。
そして、
人目も憚らず大きな声で泣き出したのさ、アンちゃんがね。

「きぃすんだか?」
「うん、えっぐ」
ようやく涙が収まりつつあるようだな。それとも疲れたか。
「わたしもそうよ。お兄ちゃんのあんな笑顔見せられたら、奪えないわよ」
「だな。ホント幸せそうだったしよ」
「うん」
「振られちまったな。お互いにな」
「うん。でもいいと思う。それが愛だもん」
「ふふ、俺はそこまでは言えないな」
若さゆえの真理発言かね。
「あまりここにいても神父に迷惑かけるからな、二次会に行こうぜ」
「うん!」
っと、手を差し出したアンちゃんだ。
欧州の仕草に慣れてる奴ならしってるだろうがな。エスコートしてくれっ、って意味だが、
「えっと、何してるの?」
「ちょっと、レディーだ手を出したらつかんでエスコートするのが男でしょ?」
知らないなんて野蛮人〜なんていいやがる。
「おいおい、俺は日本人なんだけどねぇ」
てれつつ、彼女の手をそっと握ってやったのさ。

さてと二次会の会場はだ。参加者の一人魔鈴のレストランで行われてな。
「遅れてご登場ですカノー?横島所長」
「おぉ。すまねぇな」
・・そうよ横島は学校を卒業してからな、幾人かの同士と共に新たにGS会社を設立してな、タイガーやカオス、伊達雪之丞なんかと共にやりくりしてな。
最大手の会社として既に君臨してるのさ。
話は逸れるかもしらんが、それが令子の寂しさ増しあっちに・・。
かんぐりすぎかね。
「お?女の子連れか?坊主所長」
いー按配にできあがりつつあるカオスがけららとからかっているじゃねーか。
「あ、カオスのおじちゃんも来てたんですか?」
「まぁの。この所長のおかげで懐具合は悪く無いからのぉ」
台所ではオキヌちゃんが魔鈴の手伝いをしているようだな。
蛇足かもしらんがね。大学に進んだ元幽霊少女はな、大学のミスコンで優勝してそれが元でいい人を見つたようだ。
外国人ながらネクロマンサーに詳しい、しかもイケメンとくりゃ、ころりよ。
そのことは所長殿も知ってたし、祝っていたのが、去年か。
そのボーイフレンドが魔鈴の下でアルバイトって訳だ。
実はその彼とヘルシング家も知り合い同士ってのは、出来すぎかね。
事実は小説よりも奇なり、とは言いえて妙よ。
さてと、長く話しすぎたな。
再度さっと手を横島に託すアンでね。さっと手をとった横島なんだが、
「おい。ボーズ手が反対じゃぞ」
「カオスのおじーちゃん!日本人なんだからいいじゃないのっ、ねっ」
「あっ、あははは」
慌てて手を変えた横島所長さ。
「ほぉ」
ひっくとアルコールを出したカオスおじーさんさ。

「・・今気がついたけど、アンちゃん高校生じゃないの?」
「いぃのよぉ。欧州人にゃ、ワインはジュースよ、水よポカリよっ」
「もぅ、止めときなよ。ほら」
「あ〜ん。あともう一杯〜〜」
「最後だよ」
「うん!」
グラスに注ぐとくいーっとやってね。ぷはっしてから、
「うにゃー」
ご就寝あそばれたようですな。
「ったく。ましょうがないか。魔鈴さん毛布かしてもらえますか?」
「あっ、はーい」
オキヌちゃんがもってきてくれたようだな。
でね。すっと涙を流したアンちゃんだがな。誰にもみられねぇようにと、隠してやったのさ。
「ありがと・・・zzz」
「どういたしまして」
さてと、明日は授業だ、なんだかんだで、一人抜け二人ぬけとしてきたとき。
「さてと、俺も帰るか」
うーんと背伸びをして目をやると、まだご就寝。
「参ったなぁ、魔鈴さんに頼むか?」
と、一人ごちてたらね。
「おい、所長、おぬし彼女の手を取ったろうが」
カオスのじーさんも帰り支度を始めた頃か。
「あ、あぁ、そうだな」
「なら、最後まで付き合わんか」
えっ、そーゆー意味なの?そういう意味だ。横島所長よ。
「・・・・・何処に住んでんだ?」
さぁ?

しょうがないから、タクシーで自宅兼事務所においてやってな。
「おい。アンちゃんおきな」
「・ん??」
起きた場所は知らない場所だ。
「俺の事務所。もう朝だぜ」
「そう・・お世話になっちゃったみたいね・・にしても」
「にしても、はいいよ」
汚い。汚すぎる!最悪だっ!エンガチョだ!チョンガーだ!豚小屋と鶏小屋を二乗してもまだ足らん!くさやの匂いがする!
「ラプラス!そこまで言われる筋合いはない!」
・・・・なんで判る横島所長・・
「しょうがないわねぇ、お掃除してあげるわ」
「えっ?いいよぉ」
「いいの!お世話になった御礼よ」
これが手際がよくてな。あれよあれよとの間に綺麗になっていく。
「ねぇ、お食事なんだけど、私和食作れないからイタリアンでいい?」
「あ、いいよ」
「うん!」
本場仕込みかと思いきや魔鈴先生仕込みだそうだ。
食事が終わって片付けも率先してやってくれる。となると一服する所長様さ。
「この建物、地下室あいてるわね」
「あぁ、今のところはな」
「あのね、お願いがあるんだけどぉ、ゴリアテなんか保管してもいい?」
「へ?」
「今日本の倉庫かりてるけどね。馬鹿にならなくてさぁ」
「うーん」
「私付きでねっ!」
目を白黒させるのも無理はないか。
「もう、ちゃんと聞いてよ」
と、煙草をむしりとって、顔を近づけて。あとはいわずともがな。
「えー、っちょ、っちょと!」
むしろ慌てるのが横島所長だったって訳よ。

ま、情熱的なんだろうな。欧州人ってのは。
最初の人はとられちゃったけど、次の人は強引にでも奪うってトコか。
所長のお手つきも時間の当然の成り行きさ。
数年後には過去最高のヴァンパイアキラーの女の子が生まれたのはこれまた当然の成り行きとしようか。

−くくくく、忠告したはずだぜ、鮮度が大事だとな−
どうもあたりから異臭がする。鼻を利かせた貴方。
もしやと思い手を眺める。間違いない。
貴方が腐敗臭の原因だ。皮膚がどろどろになっていく。
どういう事かと問う貴方にラプラスが一言。

=くされると思ってるのかい=

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