らぶ・サバイバル 〜第11回〜
投稿者名:殿下
投稿日時:(04/ 7/ 2)
〜オカルトGメン日本支部〜
プルルルルルル プルルルルルル
日も落ち、一人を残しGメンの職員全てが帰宅したオフィス内に電話の音が鳴り響く。
プルルルルルル ガチャッ
「はい、こちらオカルトGメン日本支部」
「厄珍ある」
「ああ、厄珍か、どうした?」
「マリアが出場することになったある」
「本当かい?」
「うむ、本当ある。それでカオスがマリアをバージョンアップさせるために資金を援助して欲しいと言ってるあるが・・」
「わかった。資金の方は僕が何とかするからその調子で出場者を集めてくれたまえ」
「わかったある。それにしてもあんたも気前がいいあるな」
「ふっ、令子ちゃんと結ばれるためだからね。多少の出費など目を瞑るさ」
「まあ、ワタシは金儲けが出来れば何でもいいある」
「それじゃあ、また後日」
「うむ、わかったある」
ガチャッ
カタカタカタカタカタ
電話を切ってから無言でパソコンに何かを打ち込み続ける西条
そして打ち込み終わると同時に一息つく。
「ふーーっ、小鳩くんはどこか旅行にでも行ってるのだろうか?何度電話を掛けても連絡が取れなかったなぁ。しかし、ヒャクメ様からの連絡では月神族の女性も出場するみたいだし、マリアくんも出場する・・・・・・ふふふ、これ以上ないくらいに上手く計画が進んでいるぞ。ふっふっふっふっふ、はぁーはっはっはっは」
オフィス内に西条の高笑いが響きわたる。
「えらくご機嫌ね。西条くん」
不意に後ろから女性の声が聞こえてきた。
「そりゃそうですよ。もうすぐ令・・・!?せ、先生!?いつからそこに?」
一人のはずのオフィス内で聞いたことのある声に驚き振り返ると、そこには西条が何とかしてものにしようとしている美神令子の母親である美智恵の姿があった。
「上手く計画が進んでいるぞくらいからかしら。それで計画って何の計画かしら?」
「そ、それは・・・・いくら先生でも言えません」
あなたの娘さんを頂く作戦ですとは言えるわけもなく、そう言って口を閉ざす。
「あら、そう。残念ね。みんなもう帰ったみたいだけど、西条くんは残業?」
「え、ええ、でももう終わりましたからお先に失礼します。では」
パソコンを消し、美智恵から逃げるようにオフィスから出ていく西条
「・・・な〜んか怪しいわね。さっきまでパソコンを使ってたみたいだけど・・・」
西条の先ほどの発言や今の行動を不思議に思い、おもむろに西条のパソコンの電源を入れる。
そしてその中に『極秘プロジェクト』という項目を発見する。
何かと思い、それを見てみようとするが、パスワードを入れなくては見れないようになっていた。
(う〜〜ん、西条くんのことだから・・・)
カタカタカタカタカタ
少し考えてからパスワードを打ち込んでいく。
J・U・S・T・I・S
ピッ! パスワード確認しました
「・・・正義か。西条くんらしいわね」
極秘プロジェクトのタイトルを見てみると、『西条令子誕生計画』と書かれていた。
そして内容の方を読み進めていく。
(ふ〜〜ん、こんな計画が進んでたとはね。出場者は・・・こんなにいるの!?何人かに好かれてるとは思ってたけど、こんなにいるとは思わなかったわ。知らない名前もあるわね。
まあ、無理もないかな。横島くん、本当に立派な男性に成長したものね。ほんと・・・私がもう少し若ければ、出場してたかもね。ふふふ、こんなこと言ったら公彦さん怒るかしら?
・・・・・・あら?令子が登録されてるじゃない。あの子もやっと自分の気持ちに正直になったのかしら)
「ふふふ・・」
恋愛事には疎かった娘の精神的な成長に思わず笑みがこぼれる。
「ママ、まだですか?」
娘の成長を喜んでいると、外で待たせていたはずのもう一人の娘が声をかけてきた。
「あら?ひのめ、外で待っててって言ったのに」
「西条おじちゃんがビルから出てきても全然ママ帰って来ないから・・」
「そう、ごめんね。じゃあ、帰ろうか」
パソコンの電源を落とし、帰り支度をする美智恵
「ねえ、ひのめ」
「はい?」
「ひのめはお兄ちゃんの事どう思う?」
「忠夫お兄ちゃんの事ですか?」
「そうよ。好き?」
「はい、大好きです!ひのめは大きくなったら忠夫お兄ちゃんのお嫁さんになるの!」
「そう・・・」
「何でそんな事を聞くんですか?」
「ん?ちょっと・・・ね」
「 ? 変なママ」
(一週間後か・・・)
美智恵はある決意を胸に秘め、愛しい娘と手を繋いで帰路についた。
〜ニンニクの館もとい唐巣神父の教会〜
やっとエミの呪いが消え、動けるようになった唐巣神父は泣きながらニンニク臭くなった教会を掃除していた。
「グスッ、神よ、何故私にこのような仕打ちを・・・。いや、そんなことよりもピートくんは無事なのだろうか」
教会を掃除しながら、弟子の安否を気遣う唐巣神父
バンッ
教会の扉が開き、見覚えのある美青年が入ってきた。
「せ、先生」
それは紛れもなく唐巣神父の愛弟子ピートだった。
「ピートくん!?無事だったのか?」
「は、はい・・・なんとか」
ぼろぼろになりながら返事をするピート
「そんなにぼろぼろになって、一体何があったんだい?」
「実はあの後目を覚ましたらエミさんの部屋で寝かされてて、それから下着姿のエミさんが来て・・・あれ?それから・・・」
ピートの顔をサーッと青くなり一言
「・・・・・・記憶がない」
「記憶がないって・・・・その状況だと、もしかしたら君達二人は・・・・」
「ちょ、ちょっと待って下さい。今思い出しますから・・・・えっと・・エミさんが入ってきて、それから・・それから・・・ぐっ、あ、頭が・・・・・わぁぁぁああああ!!!」
話の途中でいきなり叫び声を上げ頭を抑えながらのたうち回るピート
「お、落ち着け!落ち着くんだピートくん」
必死に暴れるピートなんとか抑えようとするが、なかなか抑えることが出来ない。
「くっ、やむおえん」
ポケットからニンニクを出し、ピートの口へと放り込む。
「ぐっ・・ぐががが・・がぁぁぁああ・・・・・」
いっそう激しく暴れ回るが、数秒後、意識を失った。
「一体ピートくんの身に何があったんだろうか?」
泡を吹いて気絶している愛弟子を見ながら唐巣神父はそうつぶやいた。
〜妙神山〜
丑三つ時、ほとんどの者が眠っているはずのこの時間に動き出す一つの影
(・・・・・・ん?一つの影?・・・さては小竜姫の奴、まだ寝てやがるな)
すぐに小竜姫の部屋へと向かう。部屋の中に入ると、枕を抱きながらぐっすりと安眠している小竜姫の姿があった。
「おい、起きろ。小竜姫」
声をかけながら、小竜姫の体をゆさゆさと揺さぶるが一向に起きる様子はない。かなり熟睡しているようだ。
「・・・むにゃ、横島さん、今日はダメですよぉ・・」
体をくねらせながら色っぽく妙な寝言を言う小竜姫
(・・・何の夢を見てんだ?とにかく早く起こさないとね)
むにょーん むにょむにょ
小竜姫を起こすために頬をつねるメドーサ
「よこひまひゃん、らめれすよぉ」
それでも起きない小竜姫
(う〜〜〜〜〜ん。どうしたもんかねえ・・・・・・・よし!)
「あっ!小竜姫、横島が知らん女と喋ってるよ」
ガバッ!
「斬ります!」
メドーサの言葉を聞いた瞬間、小竜姫が起きあがり、メドーサの首筋に神剣の切っ先を突きつける。
「じょ・・冗談だよ」
以前真剣を突きつけられた時よりも明らかに殺気がこもってる小竜姫に恐怖し、すぐ冗談だと教える。
「ふえっ?冗談ですか?もう!タチの悪い冗談を言わないで下さい」
「あんたが全然起きないからだろ?」
(それにしても・・他の女と喋ってただけで斬るつもりなのか・・・・・・ホントに神様か?)
「あっ!?姉上を調べるんでしたね。今何時ですか?」
「夜中の二時過ぎだよ」
「その時間なら姉上も眠ってるでしょう。では行きましょうか」
そして二人は大竜姫の眠っている奥の部屋へ向かった。
そーーーっと部屋の襖を開けて中の様子を伺う小竜姫
そしてメドーサが小竜姫の上から中の様子を伺おうとした瞬間
ガンッ!?
急に小竜姫が頭を上げたため小竜姫の頭がメドーサの顎に見事なまでにクリーンヒットした。
「「(つ――――――――――っ!?)」」
小竜姫は頭を抑え、メドーサは顎をさすりながら声を出さず痛みを我慢する。
「(いてててて、何してるんだよ。いきなり・・)」
「(いたたたた、だって姉上が起きてるんですもの・・)」
「(何?こんな時間に?どれどれ)」
メドーサが中を覗くと、窓際に座りながら物思いにふけっているように見える大竜姫の姿があった。
「(変ですねえ、起きてるのに私達に気付かないなんて・・・)」
「(これならばれないんじゃないか?)」
「(う〜〜ん、そうですね。やってみましょう)」
「(よし!それじゃあ・・)」
カッ!!
メドーサが横島から貰った文珠に『覗』の文字を込めて発動させた。
【つづく】
《あとがき》
どうも、殿下でございます。
今回ちょっと短めです。区切りのいい所で終わらせたかったもんで・・・・スンマセン
前回のあとがきにも書いたように今作ではひのめちゃんは小学生くらいに設定しております。他の面子の年齢に関してはほぼ原作通りという完全に自分勝手な設定になっております。最初は赤ん坊のままの予定だったんですけど、それだと出番がなかなかできないので成長させてしまいました・・・・もう一回スンマセン
次回は横島くんと大竜姫の出会い編でございます。
今までの
コメント:
- ・・・・子供できるのかなぁ。
バンパイアハーフと人間の。
バンパイア・クォーター
か。 (トンプソン)
- ひのめ来たー!!一応念の為聞いておきます。ひのめ参戦ですよね!?
どうもイロコです。
>「ふえっ?冗談ですか?もう!タチの悪い冗談を言わないで下さい」
アンタの方がタチ悪いよ…。でもこんな小竜姫が俺は好きだ!
今回も楽しく読ませて頂きました。もう私的には蛇姐さんが出てるだけでも楽しくなってしまいます(出てなくても面白いですよ!)。
次回は横島と大竜姫の出会い編だそうで。とても楽しみです。
では殿下さん、次も期待してます。頑張って下さい。
(イロコ)
- おぉっ!!
大竜姫さまが何だかイイ!!とにかくイイ!!
こらー西条ー!もっと難しいパスワード掛けとかんかいっ!
美智恵さんが敵に回ったらだれも勝てないじゃないかっ!
・・・失礼、ちょっと逝ってしまいました。
哀れピート、食べられちゃったんですねw
神父、もっと別の方法で取り押さえなきゃぁ、弟子が可哀相です (純米酒)
- >「くっ、やむおえん」
>ポケットからニンニクを出し、ピートの口へと放り込む。
(中略)
>泡を吹いて気絶している愛弟子を見ながら(略)
…神父、アンタって奴ぁ…
愛弟子とか言いながら何て事を…(笑)
かつての弟子に毒されてるんじゃないですか?
…と、言ってしまいたい。
それから、「やむ"お"えん」ではなく、「やむ"を"えん」ですね。 (脇役好き)
- いやー神父おもしろすぎです。ピートに幸あれ。美智恵さんと大竜姫さまが何をするのかとても楽しみです。次も期待してます。頑張って下さい。 (陣)
- 悪巧みする美智恵さんは素敵ですよね^^
他の女と話しているだけで斬りかかる壊れかけ小竜姫様もいいです。
大竜姫様の様子が気に掛かりますね (綾香)
- ン百年ぶりのアレは記憶障害が起こるほどのものだったのか?もしくは始めての……
きっと証拠写真やらビデオに撮られているんだろうな〜(哀
で、それを盾にとられて・・・
神父が何気にひでえw (TF)
- >「・・・むにゃ、横島さん、今日はダメですよぉ・・」
>体をくねらせながら色っぽく妙な寝言を言う小竜姫
>「よこひまひゃん、らめれすよぉ」
か‥かわいい〜vv
>「ふえっ?冗談ですか?もう!タチの悪い冗談を言わないで下さい」
横島君が女性と話しているだけで、斬りかかる小竜姫はヤヴァイんだろうが、萌えてしまう私。
神父はピートを本当に心配し大事に思っていますか? (紅蓮)
- 美智恵さん・・・うーんみんな彼女の手のひらで
踊らされそうですぅ
相変わらず殿下さんの小竜姫様は可愛いですねー
>「斬ります!」
斬ってくれーって感じです (リキ)
- ためらいもなく、横島が「好き」と言えるひのめに萌え〜〜です。
ひのめの参戦はグレートマザーが何とかするのでしょうか…
何とかして欲しいなぁw
ピートよ、そろそろ受け入れると何かと楽になるぞ〜〜w (R/Y)
- >トンプソンさん、コメントありがとうございます。
きっとこの二人の子供は立派な黒魔術の使える吸血鬼が誕生することでしょう。バンパイア・クォーターか・・・・ちょっと格好いいかもしれん
>イロコさん、コメントありがとうございます。
ひのめは一応参戦予定です。そのために成長させたんですから
蛇姐さんは書いてて結構楽しいので自分もかなり気に入ってるキャラです。 (殿下)
- >純米酒さん、コメントありがとうございます。
神父は焦ってたのです。一刻も早くピートを助けたいための行動だったんです。結果的にはさらにピートの命を削るようなことになりましたけどね(笑
美智恵さんは今回のダークホースですかね。
>脇役好きさん、コメントありがとうございます。
神父も昔はワイルドな面がありましたからね。そのなごりでしょう。
「やむおえん」ではなく、「やむをえん」だったか・・・・素で間違えました。また誤字あったらご指摘下さいませ (殿下)
- >陣さん、コメントありがとうございます。
>美智恵さんと大竜姫さまが何をするのかとても楽しみです。
あぁ、そんなに楽しみにされるとプレッシャーが・・・・・・なんとか期待に応えれるよう頑張りたいと思います。温かく見守ってやって下さい
>綾香さん、コメントありがとうございます。
小竜姫様は壊れかけというか、もう壊れちゃってるんです(笑)他にも多数壊れていくキャラが増えていくと思われます。
大竜姫様は人間界に降りてきた今日の事を思い出してるところです。 (殿下)
- >TFさん、コメントありがとうございます。
ピート君は記憶にない部分の事を思い出そうとすると頭が割れるように痛くなってしまう体になってしまったようです。そろそろピートも観念する時がきたようですね。
>紅蓮さん、コメントありがとうございます。
>神父はピートを本当に心配し大事に思っていますか?
当たり前ですよ!大切な愛弟子だと思ってるはずです。切羽詰まった状況ではあれしか方法がなかったんだと思います・・・・・多分 (殿下)
- >リキさん、コメントありがとうございます。
今回は美智恵さんでも手のひらで踊らせることが出来るかわかりませんよ。凄まじい面子の集まりですからね。
>斬ってくれーって感じです
愛する人に手であれば死んでもいい・・・・・・リキさんは凄い人です。
>R/Yさん、コメントありがとうございます。
ひのめちゃんは参戦予定ですが、最強の面子相手に活躍出来るかどうかが心配です。
>ピートよ、そろそろ受け入れると何かと楽になるぞ〜〜w
そうですよね〜。ピートもそろそろ観念した方が賢い選択ですよね。 (殿下)
- 可愛そうなピート……(涙)
彼に記憶が無い以上、何があったのか無かったのかは「事実」はどうであれエミの発言次第なのですから、彼の人生とゆーかダンピール生は終わってしまったのですね。いとあはれ。
サヨナラ、ボクらの知っていたピート。
そしてようこそ、人生の墓場へ。 (黒犬)
- >黒犬さん、コメントありがとうございます。
今回の事件によってピートの人生は終わりを告げ、半強制的にエミと共に歩む人生がスタートします。もう我々の知っているピートには会えないだろう。しかし我々は忘れない、ピートという熱い心を持ったバンパイア・ハーフがいたことを・・・
ちなみに人生の墓場へと行き着いたピート君の次の出番は未定です。 (殿下)
- コメントが遅れて申し訳ありません(汗)
うぅ・・それにしても殿下さんのラブコメパワーをほんとにうらやましいです・・。どうしてオレはあんなにハートフルな話を書くのが苦手なんでしょう(泣
ではでは感想を・・
西条の腹黒さが・・なんとまぁ・・(笑)
>>J・U・S・T・I・S+『西条令子誕生計画』
こ・・この男は・・(爆笑)なんというかついに来るところまでき(以下略)
いやはや、相変わらず素敵な人です、西条さんは。
ピート!!良かった・・以前、物語から姿を消してしまい・・冷や冷やしていたのですが・・戻ってきてくれてとても嬉しいです(笑)
小竜姫さまたちの今後の動向も要注意ですね〜次回もがんばってくださいね。 (かぜあめ)
- >かぜあめさん、コメントありがとうございます。
>どうしてオレはあんなにハートフルな話を書くのが苦手なんでしょう(泣
全然そんな事ありませんよ!かぜあめさんの話こそハートフルと呼ぶにふさわしい話ですよ!!
>ピート!!良かった・・以前、物語から姿を消してしまい・・冷や冷やしていたのですが・・戻ってきてくれてとても嬉しいです(笑)
かなり壊れた状態で物語に復帰したのですが、喜んで頂いて光栄であります。 (殿下)
- この話は最高ですもっとたくさん書いてください (邪)
- がんがん作ってください楽しみに待っています (カイト)
- >邪さん、はじめまして、コメントありがとうございます。
最高という言葉を頂けて幸せでございます。新しいのを書いたので良かったら読んでみて下さい。
>カイトさん、はじめまして、コメントありがとうございます。
がんがんって言うほど早く作れるかわかりませんが努力致します。新しいのを書いたので良かったら読んでみて下さい。 (殿下)
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