ザ・グレート・展開予測ショー

匂い、香り、香水、フェロモン


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(04/ 6/27)

事務所の面子にエミ、冥子、それに六道のお嬢様方がお茶を楽しんでいる。
お付き合いでシロにタマモと女の子だらけの事務所である。
「あ、横島、お茶持ってきて」
「はーい」
こうなると女のパワーに圧倒される横島がプチ料理人状態である。
「あと、クッキー持ってきますか〜」
気を利かせるシーンもあったようだ。
それももう後の祭りでお片づけの時間。
「手伝いますよ。横島さん」
オキヌちゃんが箒をもってやってくる。
二人仲良くという所か。
大分片付いたとき、横島が鼻を動かしている。
「どうかしました?横島さん」
「あ、ん・・・なんか、匂わない?」
「・・・・?」
別になにも匂いませんけどと答えたオキヌちゃん、じゃ俺の気のせいかとした時、
「な、なんですか?」
じっとオキヌちゃんを見つめ過ぎたのか、赤らめさせてしまう横島。
「あはは、ゴメンゴメン」
さっさと終わらそ!オキヌちゃんを促した。
「女の子の匂いだったんだ」
ぽつりと呟いた。
人間には、男女にある体臭はちょっと違うのだ。女の子ばかり集まった今日、
その匂いが充満したのに気がついた唯一の男の子であるようだ。
一人合点をした時に、
「あ、もう良いわよ、横島君」
新聞を持ってきてねぎらいにきた美神令子である。
わかりましたー、と振り向いたとき、
「あれ?」
思わず声が漏れる。
「ん?」
「・・・・臭くない」
「は?」
「・・・・・女臭くないっすね。美神さん」
横島の悪いところである。思ったことを直ぐに口にしてしまうのだ。
隣では私は臭いの?とでもいいたげなオキヌちゃんも鬼の形相。
美神令子に至っては。
「へぇ〜、アンタ命いらないみたいねぇ〜」
あぁ。こめかみが引きつってるのがよーくわかる。
パンチが飛ぶのも時間の・・問題ですらなかった。

「どういう事よ!」
ばん!と荒々しく机を叩く美神である。
「な、何を怒ってるでござるか?」
驚いたシロが質問すると、こうこうこうだと、訳を聞く。
「そんなことないわよね?シロ」
だがシロは答えず。
「あのね、美神さん」
横に出たのがタマモである。
「落ち着いて聞いてね。確かに横島の言ってることは間違いじゃないわ、いわゆるフェロモン臭はほとんどないわね」
ぽとりと、令子の手からなにやらが落ちる。
「・・正直に言うとで御座るなぁ、美神殿の体臭は」
一息ついて、
「男の匂いに、似てるで御座る。いや、嫌な臭いという意味では御座らん」
そして時が止まり、
「うそ・・よね」
時が動いたときには青ざめる令子である。
ぶんぶんと頭を振る獣娘二人組み。
そして令子のこぶしが握られる。
「に、逃げるよ、シロ!」
「合点!」
狐と狼が部屋から出て行った。
女のヒステリーが響いていた。

さてどんなに悲しくても次の日はやってくる。
あまり眠れなかったのか鏡の前の私は目に隈がある。
「確かにさ、私はあんまりお化粧とかしないしなぁ」
お肌の手入れも今のところしなくても見た目は問題ない。
「そういえば学生時代はモテたよね、私」
同性にである。
「・・・でも考えればあたりまえじゃないの?」
男勝りに事務所の所長をやってる私なんだし、
良くも悪くもまだまだ男社会、その中で生きるには男っぽくなっても
あたりまえじゃないのよ、と自分で結論を導くが、
「エミもそうよねぇ」
ふっとライバルの顔が浮かぶ。
「て、事はエミの匂いもきっと・・」
気がついたときにシロがとことこやってくる。
「ねぇ、シロ、私とエミどっちが女の匂いする、同じぐらい?」
この質問に対して、
「エミ殿が、一番女の匂い、いわゆる『ふぇろもん』が出てるで、御座る」
あぁ、このシロにうそをつけるわけはかろう。
部屋全体が青色である。

どんなに嫌でも夜はやってくる。
今日はなんども風呂に入ったようだが、そんな事で消えるわけもなく、
更にはフェロモンなんぞ・・。
「いたたたた」
皮膚を洗いすぎて赤くなっている部分もあるようではないか。
「それでも、せめてこれぐらいはしたら・・」
すがる思いで今日昼に買った小瓶を取り出す。
「香水なんて初めてつかうんだけどなっ」
いくらフェロモンが少なかろうと、心は女の子なので、お洒落には関心がある。
フタをあけると香りが漂う。
「えっと、たしか腕に擦り付けるように・・」
その時、なんのはずみか、手から小瓶が落ちてしまう。
「きゃっ!・・た、高かったのに〜」
それどころではない。
香りから匂いに転じると。
「ちょっと、何事?」
タマモが何事かと、驚き混じりでやってる。
シロに至ってはひきつけに近い状況だ。
「うっ。香水を落としたのよ。確かにきついわね」
口と鼻に手をあてて美神が答える。
「香水?」
そんなものつけた事ない美神さんが?と最初は怪訝な顔をしたが、昨日のアレかと気がついた。
「あのね、確かに美神さんは女のフェロモン少ないけど、それは遺伝的な物だし、香水とは違うわよ」
ぐさりと、心に剣が突き刺さった心境の美神令子であるが。
「だから、努力してとか、そういう事は意味無いのよ」
横にいるシロもなみだ目になりながらうんうんと答えている。
へたへたと、座り込もうとする美神令子である。
「でもね。それは男も同じなのよ。男性フェロモンの少ない奴もいるのよ」
で、そういった二人なら何の問題も無いと説明し、
「それにね。女は男に開発されるとフェロモンが出るしね〜一人であわてても駄目よ」
「うぅ」
がくりと肩まで落ちた。
「でね。さっきもいったけど、男性フェロモンが少ない奴がいるっていったでしょ?そういう二人が付き合うと急にフェロモンが出るケースがあるの」
いささか香水の効果が薄れたようだ。シロの涙が止まる。
「そうね。横島なんかがその典型、あいつもあんまり男の匂いしないのよね」
「え?そうなの?」
今まで沈んでいた令子が一転、明るい声を出す。
「そうよね。シロ」
「そうで御座るな。別の意味で臭いで御座るけどな」
あら、そうなんだー、へー。私とは愛称がいいのかな?
などと考え始めているのを見られた。
「あーれー?何かうれしそうだけど、どーしたのー?」
「え、なんでもないわよ。うふふ」
じゃあ、と二人は部屋を後にする。

屋根裏に向かう途中。
「元気になったようだし、よかったわね、シロ」
「そうで御座るな。でもフェロモンを出す事なんて簡単でござろうに」
「まぁね、ちょっとエッチな事を考えればでるんだけどさ」
美神にゃ、無理よ、まるでお子様だもんね、とタマモが言うと、
シロが大きく頷いた。

FIN

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa