ザ・グレート・展開予測ショー

空白の半年〜怒りと嫉妬の大捜査編〜


投稿者名:純米酒
投稿日時:(04/ 6/15)

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「しょしょしょ、小竜姫様?」
「横島さんからキスしてくれて・・・私、嬉しかったんですよ」

「小竜姫さま・・・俺なんかでいいんですか?」
「私は横島さんじゃないとイヤです♪」

「そ、そうだ小竜姫様、逃げなきゃヤバイんでした!危うく美神さんたちに殺されそうになってたんすよ!」
「駆け落ちですね?愛の逃避行ですね?横島さんって大胆・・・♪」
「もうそれでもいいですから結界を破ってください!文珠1個もないんすよ〜」
「はい♪あ・な・た。きゃっ」

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「・・・・・あんの、バカ」
「そ、そんな・・・横島さん・・・」
「先生、ふしだらでござる・・・拙者というものがありながら、よりによって蛇と『せっぷん』するなんてェーー!」
「グス・・・うどん伸びてる・・・美味しくない・・・」

いつの間にか事務所から消えた丁稚と神様の手がかりを求めて、人工幽霊一号が記録していた『横島と小竜姫の甘いひと時』を見た四人(三人?)

怒りを隠さない者
起こった出来事が信じられない者
悔しさのあまり血涙を流す者
半べそをかいて伸びてしまったうどんをたべる者

反応はさまざまだが、怒りの矛先はすべて横島に向けられる
が、横島はこの場にいない。とりあえず八つ当たりとしてやり場の無い怒りを駐車場から呼び出した鬼門にぶつける

「お、おぬしら何をするつもりだ?」
「左の・・・こうなったら諦めるしかない・・・小竜姫様・・・短い間でしたが御使えできて我らは満足でした」

「「「「横島(さん)(先生)のバカーーーーーーーーーー!!!!!」」」」

見るも無残にボロボロになった鬼門の二人をたたき出すと美神除霊事務所の面々は逃げた二人の行方の追跡にかかる

美神は金の力を最大限利用し、某国のスパイ衛星をのっとると共に、裏のGS達に横島生け捕りに賞金を出すと触れ回った
おキヌは幽霊時代の人づて(霊づて)とネクロマンサーの笛を使いあらゆる幽霊から情報を聞き出そうと必死だ
シロとタマモは横島の臭いと小竜姫の霊波の痕跡を頼りに日本中を駆け回る

タマモは当初、「横島がいなくなっても困らないし」と傍観を決め込んでいたが、おキヌによる
「毎日いなり寿司、きつねうどん」という買収に乗りシロと共に行動することになった



逃亡者横島捜索開始から3週間・・・

裏稼業に精通する雪之丞から『横島・行方不明』の吉報(?)を聞きつけた西条はいそいそと美神除霊事務所に向っていた

(ふふふ・・・これはチャンスだ!横島君が居ない間に令子ちゃんとの関係を築き、強固な物にしておけば
 仮に彼が帰ってきても僕が有利になる事は間違いない!!)

そんな考えが頭の中で渦巻いていたので、自然と表情が締まらなくなる

「横島君が行方不明だって?」

そう問いかけたときにも、にやけた表情をしていた

しかし、嫉妬に狂った乙女達にはそんな西条の態度がシャクにさわるのだ
敏感に反応し、胸のうちの怒りをぶつける

「なんでそんなに嬉しそうなんですか?」
呼び寄せた悪霊に西条を襲わせながら、その悪霊も恐怖に引き攣る恐怖の笑みを浮かべるおキヌ

「さびしい思いをしている拙者に対してのあてつけでござるかーーーーー!」
雄叫びと共に霊波刀を振り回すシロ

「横島を見つけなくちゃ、いつまでたってもバカ犬と一緒に日本中走り回らなきゃいけないのよね・・・」
特大の狐火をうかべて悪女のように笑うタマモ

「殴りたいときに殴れないってのは、ほんっっとにストレスたまるわ。西条さん・・・変わりに殴らせてくれるんですか?」
額に血管を浮かべて怒りを隠そうともしない美神

「あ、いや皆。僕が悪かったからカンベンしてくれないか?」

もはや誰の耳にも届かない謝罪を最後に西条の意識は途切れた

あわれ西条、全治2ケ月の重傷を負って帰宅する羽目になった
この日からGS達の間では『美神除霊事務所に近づくべからず』という言葉が飛び交うようになった

逃亡者横島捜索開始から三ヶ月・・・

「とりあえず、探せる所を探しつくしても見つからなかったわね。これ以上無闇に走り回っても何も得る物はないわ
 今まで集めた情報を整理して横島クンの逃げそうな場所を推理しましょう」
美神の一言で会議が始まった

「そうでござるな、まず拙者の集めた情報によると・・・」
「『私と一緒に』でしょ、手柄独り占めしたい気持ちは解るけど嘘は言わないでよね」
「フン、食べ物で買収されたアホ狐が何をいうでござるか」
「嘘をつくなって言ってんのよ!バカ犬!!」

普段なら「まぁまぁ・・・」といさめる所だが、余裕の無いおキヌは二人の喧嘩を「ご飯抜き」の一言で終わらせる

「・・・とりあえず、先生の家はすでに家賃滞納のあおりで無人になってるでござる。そしてあの蛇娘の本拠地
 妙神山にも行ってみたのでござるが、『管理人不在につき、休業中』の札がはられていたでござるよ」

「それって二ヶ月も前の事でしょう、今は修行再開してるって雪之丞が言ってたわよ。相変わらずバカ犬なんだから」

シロとタマモの喧嘩をよそに美神とおキヌは話を続ける

「幽霊さんたちの目撃情報では有益な情報はありませんでした。心眼をつかっても横島さんも小竜姫さまの霊波も見れません
 でした・・・お役に立てなくてすいません・・・」

「修行は斉天大聖老師でも出来るから当てには出来ないわね・・・裏稼業の連中も手ごたえ無し、スパイ衛星でも見つから
 ない、おキヌちゃんの心眼でも見えない、幽霊による目撃情報もなし。まさに『神隠し』ね・・・」

「私の心眼では強力な結界があるところでは役に立たないから・・・もしかしたら『人狼の里』に居るかもしれないですね」

「それはないと思うわ、シロが居るからあそこに逃げ込むわけにも行かないと思う・・・可能性があるとしたら似たような
 結界の張ってある場所に逃げ込んだということになるわね」

「他に強力な結界が張ってあるところがあるんですか?」

「解らないわ・・・でも探してみる価値はあるかもね・・・
 よし、おキヌちゃんと私は文献を片っ端から調べて『神隠し』の類の伝説のある場所を特定していく
 シロとタマモはその場所に行って横島クンが居ないかどうか確認する、明日からそうするわよ!いい?」

そう結論付けて、シロとタマモに確認を取ろうとするが、二人は取っ組み合いの最中だったため
全く聞いていなかった

「おのれらはなにをやっとるかーーーーーーーーーーーー!!!」

横島に向うはずのフラストレーションがまとめて二人に降りかかる
横島捜索と平行して除霊も『一応』こなし、悪霊相手に鬱憤晴らしをしていても
鬱憤は晴らしきれない

今日の夕食に、シロとタマモの好物が出てくることはなかった




逃亡者横島捜索開始から五ヵ月半・・・

「あーーーーーもうっ!世界中駆け回っても見つからないなんてーーーーーーー!」

世界中のあらゆる文献を調べ、怪しいと睨んだ場所に徹底的な捜索をかけるものの横島は一向に見つからない
また天界、魔界に居るかもしれないと思ってワルキューレやその他の魔族、ヒャクメにまで捜索を手伝ってもらっても
成果は上がらなかった

しかも周囲の人間たちに『横島が余りの労働条件に美神の所から逃げた』という根も葉もある(?)噂が流れ出したのである

「このままじゃ商売あがったりよ!早いところ横島クン見つけて教育しなおさないと・・・」

独り言を呟きながら部屋の中をウロウロしていると不意に事務所のドアが開く

「ニュースですね〜美神さん!横島さんが見つかったのね〜」

独特の間延びした声の主、ヒャクメが一枚の紙切れを持って近寄ってくる
部屋にいたおキヌ、シロとタマモも大急ぎで事務所に駆け込んでくる

「で、どこに居るの?さっさとそこに行くわよ!!!」
「本当ですかヒャクメさま!」
「先生が見つかったでござるか?」
「で・・・生きてたの?死んでたの?」

「まってまって、落ち着いて欲しいのね〜」
口々に詰め寄る四人を落ち着けさせて、持っていた紙をみせる

目に飛び込んできた文字は
『天竜童子 戴冠式 招待状』

「・・・?竜神の王子の即位がなんだっていうのよ?」
「それもあるけど、ココを見て欲しいのね〜」

そういってヒャクメの指が差したところには

『同時開催 天竜の戦士 横島忠夫 妙神山管理人就任式開始 (小竜姫 横島忠夫両名による結婚式も兼ねる)』


「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

「あ、あのー美神さん・・・?おキヌちゃん?シロちゃん?タマモちゃん?」
ヒャクメは固まった四人に恐る恐る声をかけるが反応が返ってこない


「つまり、横島クンは竜神族の所にいるのね・・・?」
ショックから抜け出した美神がヒャクメに確認をとる

ほかの三人はまだ固まったままだ

「た、たぶんそうなのね〜」

「ヒャクメ、案内しなさい!!そこに行くわ!!!」

「そんな事いっても、私竜神族じゃないのね〜」
「小竜姫と何年付き合ってるのよ!こんなとき押しかけたっていいじゃない!!
 こういう事にしか役に立たないんだからさっさとする!!」
「ひどいのね〜・・・」

そういってヒャクメと美神は天界の竜神族の城へ向った

固まったままの三人を置いて・・・



竜神王の城の門の前には一人の夜叉と、恐怖に震える神がいた

「まったく・・・こっちから尋ねてきてやってるっていうのに・・・待たせるなんていい度胸してるわ」
夜叉が・・・いや、美神令子が怒りをかくさずに独り愚痴を言う

(こ、こわいのね〜〜小竜姫、横島さん早くきてほしいのね〜〜)
ヒャクメの情けない祈りが通じたのか
重々しく眼前に立ちはだかっていた門が開く

中から二人の人影が連れ添って現れる
二人を確認すると美神の怒りがますます膨れ上がる

(何よ、同じ服着て、腕組んで歩いちゃって・・・あてつけのつもり?)

腕を組んでいるのは横島が逃げ出さないようにする為なのだ、実際横島の腰はかなり引けてる
が、美神にはあてつけにしか見えなかった

そんな二人に不機嫌な表情のまま話しかける美神

「ひさしぶりね・・・二人とも・・・」

小竜姫達も負けていない、横島も覚悟を決めたようだ
「黙っていなくなってすいませんでした、美神さん」
「すんませんでした美神さん・・・」

「おキヌちゃんやシロがどれだけ悲しんだか解ってるの!?まぁそれは後で本人にあらためて謝ってもらいましょうか。
 で・・・コレはどういう事なのかしら?」
美神は手に持った紙切れをひらひらと揺らしながら説明を求める
それは、つい先日配られた『招待状』だった

「そこに書いてあるとおりです・・・俺たち結婚します」
横島があっさりと言い切った事も手伝って、美神の怒りは頂点に達した

「はいそうですかと納得すると思ってんの!?あんたはあたしの丁稚なのよ!あたしに何の断りも無くぽんぽん話進める
 権利なんかないのよ!!」

怒りに身を任せ神通棍を構える美神

そんな美神を見て泣きながら反論する小竜姫
「納得してくれないと困ります!!私はもう横島さんの子供を妊娠してるんですからっ!!」

固まる美神とヒャクメ

「「それ本当?」」

やっとの事で出た言葉はそれだけだった

小竜姫は涙を流したままだが、恥ずかしさもあってうつむいてしまった。そんな小竜姫を慰めるために横島は優しく肩を抱く
そして自分の腕の中で嗚咽を漏らす小竜姫に代わって横島が答えた

「本当です、ついさっき確認しました。間違いありません」


しばしの沈黙のあと、美神が小竜姫に問いかける

「横島クンに襲われたわけじゃないのね?お互いが・・・その・・・あ、愛しあった結果なのね?」

「はい!!・・・・・・どちらかというと・・・わ、私が襲ったんです・・・」

真っ赤になりながら美神をまっすぐと見つめる小竜姫

そんな小竜姫をみてあきれ返ったのか、大きなため息をつくと大声で言い放つ

「あーーーーもうっ、あんた達が結婚するの認めるしかないわね。こんなに幸せそうに妊娠したのを報告されちゃ
 聞いてるこっちがはずかしいわよっ!!
 ヒャクメ帰るわよっ」
そう言うや否や、二人に背を向けて歩き出す

遠ざかる美神の背に、不器用な祝福を受けた二人が「ありがとう」と頭を下げた




〜結婚式当日〜


「良いな天竜、これからはお主が竜神の王なのだぞ。自覚をもって行動するんじゃぞ」

「父上・・・お任せ下さい」

親子の会話は会場の誰にも注目されていなかった

会場を埋め尽くさんばかりの料理を食べるのに夢中な者も居れば
花嫁の周りを取り囲んで、結婚を羨む者もいる。
更には相手が『横島』であることをダシに結婚を考え直させようと躍起になっている者まででる始末だ

そんな人間たちを見つめながら盃の酒を飲み干す大竜姫の目は楽しそうだった

(ふふ・・・婿殿の仲間達はにぎやかだのぅ・・・たまにはこんな酒もわるくないか・・・)








「なぁ、天竜・・・わしらの出番はこれだけか?」
「どうやらそのようですな、父上・・・」

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