ザ・グレート・展開予測ショー

らぶ・サバイバル 〜第9回〜


投稿者名:殿下
投稿日時:(04/ 6/13)


シュ〜〜ン スタッ
「・・・ここか」
半壊した古びた洋館の前に一人の女魔族が降り立つ。
辺りに人影はなく、その洋館は以前に火事でもあったのだろうか、所々酷く焦げた部分や破損している部分が多々ある。

ぎぃぃぃぃ・・・
ヒャクメが調べてくれた女性が居る事を信じ、錆びついたドアをゆっくりと開く。

「我が名はワルキューレ。横島忠夫のことで話があってきたのだが、誰かいないか!」
館に入り、すぐに自分の名と此処に来た用件を話す。
館中にワルキューレの声が響き渡る。

ガタガタッ、ガタンッ!?  ガチャッ
奥の部屋から派手な音を立てて、慌てた様子で何者かが出てきた。

「ダーリンがどうしたんだい?」
上半身がほとんど裸の様なセクシーな女性がワルキューレへと詰め寄ってくる。
どうやらこの女性がヒャクメの言ってた横島とキスをした数少ない女性の一人であるグーラーのようだ。

「グーラー・・・だな?」
念のために確認をしておく。

「ん?そうだよ。よく知ってるね。まあ、そんな事はどうでもいいよ。それより・・えっと・・・ワルキューレ・・・だったね。ダーリンがどうしたのさ?」

「ダ・・ダーリンだと!?」
あまり聞き慣れない+密かに思っている横島に言いたい言葉ベスト10に入る言葉を簡単に言うグーラーに少し驚いてしまう。ちなみに横島に言いたい言葉、第1位は『めちゃくちゃにして!!』だそうだ。

「そうだよ、さっき横島って言っただろ?マイダーリンじゃないか」
何言ってるんだ?という感じでワルキューレに言葉を返すグーラー

「な、何を言ってる!横島は私の・・・」

「私の・・?なんだい?」

「いや、『今は』なんでもないんだが」
必要以上に今はという言葉を強調して話すワルキューレ

「今は?その内なんとかなるような言い方だね」

「ああ、お前の協力次第だがな・・」

「ふ〜ん、話してみなよ」

「そのつもりで来たんだ。実はな・・・」

〜会話省略〜

「・・というわけなのだが、私と一緒に参加しないか?」


ワルキューレの話を聞いたグーラーは迷うことなく
「いいよ、参加させてもらうよ」
と即答した。

「よし!」
(これで小竜姫に対抗できるはずだ)
心の中でガッツポーズをとるワルキューレ

「そろそろ会いに行こうと思ってた所だしね。なんたって子供らがパパに会いたい会いたいってうるさくてね」

「子供?パパ?」

「そう。ほら、入ってきな」
奥の部屋のドアの方を向いて何者かに呼びかける。

「ピヨピヨピヨピヨピヨッ」
グーラーの呼び声と同時に部屋にたくさんのひなが入ってきた。

「こ、このひな達は?」

「ああ、あたしとダーリンの子供だよ」

「なっ!?なにぃぃぃぃーーー!!!」
ショックのあまりピシッと音を立てて石化するワルキューレ
(そ、そんな・・子供だなんて・・ヒャクメはそんなこと一言も言ってなかったのに・・。キ、キスだけじゃなかったの・・・・か)

「・・・と言いたいところだけど、あたし達の子供じゃないよ。ワケあって育てることになってね」

「・・・・・・・・・・」

固まったワルキューレを見て、すぐにホントのことを言ったが、ワルキューレの石化は小一時間ほど直ることはなかったそうだ。
何はともあれこうしてワルキューレのパートナーは、横島と口づけを交わした魔族の一人グーラーに決まった。



〜妙神山〜

「姉上・・・・・・ど、どうして?」
突然の姉の登場に激しく動揺する小竜姫

「どうして?それはこっちのセリフだ!妙神山の管理人たるお前が妙神山を留守にしてどこに行っておったのだ」
「えっと、あの、ちょっと、知人に会いに・・」

「妙神山を留守にして人に会いに行ってたのか?」
「い、いえ、私が出ていく時はちゃんと人がいたんですけど」
確かに小竜姫がメドーサに会いに行く前はワルキューレ、ヒャクメ、ルシオラ、ベスパ、パピリオと5人も居たのだが・・

「では、そいつはどこにいったのだ?」
・・今は影も形もない。
「・・・わ、わかりません」

「とにかく管理人であるお前が妙神山の管理人としての義務を怠って人に会いに行ってた事は紛れもない事実だ。よってお前にはその罰を受けてもらうぞ」
「ううぅぅ・・・・・・・はい」
小竜姫は自分に非があることを素直に認めて返事をする。

「では今日より1年間外出禁止だ」
「ええっ!?」

「何を驚いておる。我々神族にとっては1年などあっという間だろう?」
確かに大竜姫の言うことは正しい。人間に比べ、魔族や神族の寿命は恐ろしく長い。それを考えれば1年外出禁止というのはかなり寛大な罰だといえよう。だが、今の小竜姫にとってこの罰は死刑宣告にも匹敵するほどの罰である。

「姉上、それだけは・・それだけは許して下さい。なんとか6日間で終わる罰をお願いします」
一週間後の大会に間に合うように罰を六日間で終わるものにして欲しいと必死に懇願する小竜姫

「何故だ?一週間後に何がある?」
「えっと・・それは・・・・」
(どうしよう・・・どう言えば・・・)

「(小竜姫)」
小竜姫が悩んでいると後ろから小声でメドーサが声をかけてきた。

「(なんですか?)」
「(正直に話しといた方がいいよ。どうせ話さなくちゃいけない事なんだから早い方がいいだろ?)」
「(そ、そうですね)」

「何をこそこそ話しておる!」

「い、いえ別に・・・。姉上、実は私には心に決めた男性がいまして・・。そして一週間後にその男性を賭けた大会が行われるのです。私はそれにメドーサと一緒に出るんです。だから六日間で終わる罰を」

「なにぃ?男だと?ろくに修行もせず、管理人としての職務もちゃんとこなしていないお前が男だと!!」
妹の口から出た男という言葉に過剰に反応し、さらに口調が激しくなる大竜姫

「は、はひ」
その迫力に思わず声がうわずってしまう。

「いかんぞ!そんな下らん理由で罰を軽くするなどもってのほかだ!」
「そこをなんとか・・」

「ダメじゃと言っとるだろ!どうせどこの馬の骨だかわからん様な下らん男だろう」

その言葉を聞いた瞬間、小竜姫の顔つきが変わり大竜姫をキッと睨み付ける。

「何だ?その目は」
姉妹二人の間に険悪な空気が流れる。

「会った事もないのに勝手な事ばかり言わないで下さい!横島さんは姉上が見たことも無いような素敵な男性です」
横島のことを悪く言われた事がよほど腹が立ったのか、先ほどまで姉にビビリまくっていたのとは一変して激しく反抗する。

(おいおい、そんな喧嘩腰に物言って大丈夫なのかい?大竜姫っていえば、神界でも五指に入るほどの強さなんだぞ!そんな事は妹のお前が一番よく知ってるだろうが)
メドーサはこの緊迫した状況に置かれ、瞬き一つせず、固唾を飲んで見守っている。

「私の事をどう言っても構いませんが、横島さんの事を悪く言うのはいくら姉上でも許しません!」
今にも大竜姫に斬りかかるのではないかというくらい小竜姫が興奮状態になっている。

「ほぉ、お前が儂にはむかうとは・・・・・よほどそやつに惚れておるようだな」
初めて見る妹の態度を前にし、少し口調をやわらげる。

「・・・・・そいつはどの様な面もちをしておるのだ?」
「えっ?面もちって顔のことでしょうか?」

「そうじゃ、顔を見ればそやつの人となりがわかるはずだからな」
「・・・・・・・では、ついて来て下さい」
そう言って小竜姫は自分の部屋の方へと大竜姫を連れて向かう。

「お、おい、ちょっと待ちなよ」
一人取り残されたメドーサは慌てて二人の後を追う。

三人揃って小竜姫の部屋へと入る。入るや否や小竜姫は自分の布団の所へと行き、枕元でごそごそと何かを探して、見つけた物を大竜姫に手渡す。
手渡した物は、横島の写真だった。
それを見たメドーサは小竜姫へと歩み寄り、小声で会話をする。
「(おい、何であんた横島の写真なんか持ってるんだい?)」
「(以前ヒャクメに撮ってきてもらったんです♪いいでしょう?)」
何故かメドーサに自慢でもするように上機嫌で答える小竜姫
「(・・・・・まあ、いい。それより何で枕元なんかに写真を置いてるんだい?)」
「(何って、そりゃあ毎晩横島さんと一緒に眠るためですよ。・・・きゃっ)」
顔を両手で隠し、いやいやと顔を左右に振りながらメドーサに話す小竜姫
その様子を見て、あっそうと言わんばかりに冷めた態度をとるメドーサ

一方、大竜姫の方はというと、写真をじっと見つめたまま動かない。

「(どうしたのでしょう?横島さんの格好良さに見とれてるのでしょうか?)」
「(それはないだろう。確かに横島は普通にしてれば、まあまあの男前ではあるけど、写真見てすぐ惚れる程じゃない思うけどねえ)」
「(いいえ、わかりませんよ。最近の横島さんは本当に格好良くなりましたし、それに私なんか毎晩写真を見るたびに惚れ直してるんですから・・・・きゃっ)」
また両手で顔を隠し、いやいやと顔を左右に振ってメドーサに話す。
そんな小竜姫を見てメドーサは、「こいつは一体誰だ?」と本気で思ったそうだ。

「小竜姫」
「えっ!?あっ!はい、何でしょうか?姉上」
軽くトリップ中だった小竜姫は、不意の大竜姫の呼び掛けに少し驚きながら返事をする。

「この男の名は横島というのだな?」
「は、はい。そうですけど・・」

「・・・・・・一週間後の大会に出場する事を許そう」

「えっ!?ほ、本当ですか?姉上」
「そ、そんな急に・・・まさか本当に写真で惚れたのか?」
突然の大竜姫の大会出場の許可が下り大喜びする小竜姫と大竜姫の態度の急変に困惑するメドーサ

「うむ、本当だ。儂もお前達と一緒に参加させてもらうがな」
「「えっ、えぇぇ〜〜!?」」
大竜姫の突然の大会参加表明に絶叫の様な驚きの声をあげる二人

「なんで?どうしてですか?何故ですか?」
「なんでもいいじゃろ!とにかくそれが参加する条件だ。わかったな?」

「は・・・はい」
とりあえず罰を逃れ、大会に出ることを許されたので大竜姫の条件を了承する小竜姫

「久しぶりに下界に降りて来て少し疲れた。もう夜も更けたので奥の部屋で休ませてもらうぞ」
そう言って、大竜姫は二人に何の質問もさせずスタスタと奥の部屋へと行ってしまった。


「絶っっっっっっっ対におかしいぞ!あの態度の変わりようは」

「やっぱり横島さんのお顔立ちに惚れてしまったのでしょうか?それなら不思議はありませんわ。だって最近の横島さんは本当に格好良くなりましたもの」
顔をポッと赤らめ、またまた両手で顔を隠し、再度いやいやと顔を左右に振りながら言う。

「・・・・おい小竜姫、そろそろ真面目に考えないと、終いにゃ私も怒るよ」
先ほどからの小竜姫のキャラの変わり様に流石にむかついたのか霊圧を上げながら静かな口調で話す。

「わ、わかってますよ。そんなに怒らなくてもいいのに・・」

「さっきまでは下らない男とか言ってたくせに、何で横島の写真を見た途端に態度が変わったんだ?前に横島に会った事があるとか」
「それはないと思います。だって姉上は何百年以上もの間、下界に降りてないですから横島さんに会ってるわけないですよ」

「それじゃあ、今日会ったんじゃないか?」
「あれ?そういえば・・・・・・今日横島さんがナンパしてる時に人間離れした色っぽい女性に会ったとか独り言を言ってたような・・」

「それだ!今日横島がナンパしてる時に大竜姫が横島と会ったんだよ」
「確かにそう考えれば・・」

「それしか考えられないよ。今日しか二人が会う機会はなかったんだから」
「そうですね。でも二人の間にいったい何があったのでしょうか?あの姉上が男性の写真を見てすぐ大会に出るなんて言うなんて・・・・」

「う〜ん、それは本人に聞かないとわからないねぇ。でも大竜姫がそれを話してくれるとも思えないし、また横島に会いに行って聞くしか・・・・・あっ!私に良い考えがあるよ」
「何ですか?」

「これだよ、これ」
そう言ってメドーサが小竜姫に見せたのは・・・・横島に会いに行った時にメドーサが貰った文珠だった。

「あれ?返してなかったんですか?」
「あんたが早く帰ろうとか言うから、返しそびれたんだよ。それよりもこの文珠に『覗』の文字を込めて使えば、大竜姫に今日何があったのか覗けるんじゃないか」
「なるほど・・・・・でも姉上のことだから完全に眠らないと多分気配で気付かれますよ」

「そっか。それじゃあ、深夜まで寝て待つか」
「そうですね。今日はなんだか色々あって疲れちゃいましたし・・」

大竜姫と横島の間に何があったのかを探るために二人は深夜になるまで寝室で仮眠することにした。


       【つづく】



   《あとがき》
どうも、殿下でございます。まあまあ早く更新できたんじゃないかと自己満足しております。
一つ謝らなくてはいけないのは前回のあとがきに西条を出すとか言ってましたが、結局出せませんでした(ペコリ)
次回は第3回から音沙汰なしだったタマモ&シロ&美衣が再登場する予定であります。予定ですので変更したらスイマセン

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