ザ・グレート・展開予測ショー

妙神山の平凡な一日 後編


投稿者名:純米酒
投稿日時:(04/ 6/10)

「あ、あぁぁぁ・・・タマモッ、小竜姫さまっ助けっ・・・いやじゃぁーーーーーーー」
神通棍が、シメサバ丸が、霊波刀が横島に迫る

(おキヌちゃんがお袋と化してるっ!シメサバ丸だけはシャレになんねぇーぞ、なんとしてもそれだけはかわさねばっ!!)
幸いなことにおキヌはネクロマンサー能力がある以外は、いたって普通の女の子である
数多くの覗きと実戦を経験した横島にとって、かわす事は造作のないことであった
が、いつまでもかわし続けられる訳でもなく、おキヌの動きに気を取られてる間に、神通棍や霊波刀の攻撃が当たってしまう

(もーあかん!俺は死ぬのか?いーやコレはきっと夢だ!うんそうだ夢だ、夢なんだ!夢に違いないないんだぁ〜!
 夢じゃないと嫌過ぎるんじゃ〜!)
こんなとき、現実逃避が役に立つ事はありえないが、しつこく「夢」だと念じていた為ポケットに入っていた文珠が「夢」
という能力で発動した。まさに奇跡である
事務所の中にいる横島を覗いた全員が夢を見ているかのように焦点の合わない目で立ち尽くす

「な、何だか解らんが逃げるチャンスだ!ドアが開かないんなら窓をぶち破って逃げる!って結界破れなきゃ逃げれねー!
 どうする・・・文珠を作ってる時間はない・・・結界を解けるのは美神さんと人工幽霊一号だけだがこの二人は俺の言う事
 を聞かないだろう!!むしろ敵といってもいい。となると・・・結界の出力以上の霊力を持ってる小竜姫様だけが頼り!」
虚ろな目でぶつぶつと独り言(寝言?)をいう小竜姫に近づき、目を覚ませようと声をかける
「小竜姫様!小竜姫様!!小竜姫様ぁっ!!!」
声をかけただけでは変化が現れず、ゆすっても頬を叩いても一向に変化が見えない小竜姫に焦りを感じる横島
「ええいこうなったら「眠ったお姫様の目覚め」のお約束『ちう(チュウ)』で起こすっきゃねーのか!?」
流石は横島という考え、しかもかなり切羽詰った精神状況も手伝ってキスすることが当然という顔をしている
「えーい、小竜姫様から愛の告白は受け取ったんだぁぁ!」
やけくそとも取れる宣言と共に小竜姫の肩を優しく抱き、ギュッと目を瞑り小竜姫の小さな唇に自分の唇を押し付ける

途端に小竜姫の目に光が戻る、そしてすぐ目の前にある横島の顔と、唇に感じる温かい感触に驚く
が小竜姫は静かに眼を閉じると横島を抱き返した
こんな反応がくるとは思ってもいなかった横島が驚く。
(あ、あれ?イヤーーーとかって突き飛ばされない・・・これはもしや・・・人間と神様の禁断の恋が成立!?
 というか俺の背中にまわされてる手は小竜姫様の手で、押し付けられてるこの柔らかいものは小竜姫様の・・・
 お母さーーん、男に生んでくれてありがとーーー!!)
横島の頭の中がかるいパニックに陥っているようである、思わず力を込めて小竜姫を抱き返すと小さな悲鳴と共に
小竜姫の体がすこし離れる

「す、すんません!すんません!文珠の効力で眠った(?)小竜姫様を起こすにはこれしか方法がなくって・・・」
気が弱いの相変わらずだった、目覚めた小竜姫にすかさず言い訳する
しかし、横島の言い訳は最後まで言う事が出来なった
小竜姫の方からキスをしてきたのである、意外な行動に更にうろたえる横島
「しょしょしょ、小竜姫様?」
「横島さんからキスしてくれて・・・私、嬉しかったんですよ」
この言葉に横島の心臓は張り裂けんばかりに脈打つ

「小竜姫さま・・・俺なんかでいいんですか?」
「私は横島さんじゃないとイヤです♪」

甘い空気が漂いだすが、視線の先に得物を持ったまま固まっている三人をみると、ムードに浸ってる場合ではない事を思い出す
「そ、そうだ小竜姫様、逃げなきゃヤバイんでした!危うく美神さんたちに殺されそうになってたんすよ!」
「駆け落ちですね?愛の逃避行ですね?横島さんって大胆・・・♪」
「もうそれでもいいですから結界を破ってください!文珠1個もないんすよ〜」
「はい♪あ・な・た。きゃっ」
顔を真っ赤にしながらも霊波を高め結界にぶつける、結界に穴が開いたのを確認すると二人は窓を破って逃げ出した

「何処か逃げる当てはあるのですか?私と一緒に逃げてるのは明白ですから妙神山にはいけませんし・・・」
「うーん・・・シロが居るから近いところだとすぐに見つかっちゃうしなぁ・・・強力な結界があるところは・・・
 人狼の里しか知らないし・・・」
「そうだ!、天界に行きましょう!あそこならいくら美神さんとはいえ簡単には見つけられません!たとえ見つけられても
 神族がいないと入ってこれないですから」
「名案ですねそれで行きましょう」
「じゃぁ・・・横島さん私から離れないようにしっかり掴まっててくださいね・・・ってそんなにしがみつかないで♪」
「あぁ・・・小竜姫様。あったかいなーやーらかいなー」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「それで二人で天界に来て生活してたのよ、半年ほどたって美神さんに脅されたヒャクメが美神さん連れてきたんだけど
 もうそのときは蛍がおなかのなかにいたしね。」
「へぇ・・・そんなことがあったんだぁ・・・」
「そうよ・・・蛍も好きな人が出来たら遠慮したらだめよ♪さ、できた。お部屋に持っていくわよ」

「お待たせしました。さぁ召し上がれ♪」
「いただきまーす!こらうまい!こらうまい!」
「い、いただきます(な、なんか食べづらいなぁ・・・)」
「・・・いただきます(あーん、お料理の最中にもっとつまみ食いしておけばよかったわ・・・)」
「いただきまちゅ・・・(うぅ・・・ジークもおかず抜きでもおかしくないのに、なんででちゅか!?)」
「まさか本当にやるとはのう・・・(小竜姫もなかなか侮れなんわい・・・)」

横島、ジーク、小竜姫の前には、香ばしいかおりが食欲をそそる野菜炒め、塩をタップリと振って焼いた脂の乗った川鱒
濃い目の味付けがご飯を進ませる根野菜の煮物などが、所狭しと並べられているのに対して
蛍、パピリオの目の前には、主食のご飯と味噌汁と申し訳程度に添えられた漬物しかなかった
老師にいたっては本当にバナナ一本しか置かれていない

掻き込むように料理を次々と口に運ぶ横島、それをみて満面の笑みを浮かべる小竜姫
ばつがわるそうに三人の顔色を伺いながら食べるジーク
目の前におかれた夕食をみてあぜんとする残りの三人
(結局はいたたまれなくなった横島とジークが、おかずを分け与えるることで三人ともそれなりの食事がとれた事を記しておく)

夕食は特に問題なく(?)終わり、ゆっくりと時間が過ぎていった

横島とジークが食後のお茶を片手に建物の修理計画を話し合い、老師とパピリオがゲームに熱中している、そこへ食器を洗い終えた小竜姫と蛍が戻ってくる

「おつかれさん、二人とも」
「お疲れ様です、小竜姫様。蛍ちゃんもおつかれさま」
横島、ジークが一仕事終えた二人にねぎらいの言葉をかけるが、ゲームに夢中の二人はテレビから目を離さない

そこには妙神山のいつもの光景が広がっていた
蛍の大好きな家族のぬくもりがここにはあった

(ふふ・・・パパとママが結婚してくれて本当に良かった・・・)

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