ザ・グレート・展開予測ショー

悪魔は神か(8)


投稿者名:雪男
投稿日時:(00/ 3/24)

おキヌちゃんごめんなさい」美神は一人になると懺悔を始めた。
「あんな縛り方だと知っていたら(それでも縛り上げたかもしれないけど。)
 とにかく縛り方を選んだのも実際に縛ったのも横島君よ。私は悪くないわ!
 まったく失言だったのよ”ならせめてマリヤは私が使うわよ”なんて。
 あれじゃカオスの代わりにマリアを使うみたいじゃない」
契約条項に拠ればカオスは成功報酬、マリアは維持費なので、
マリアだけ使う分には横島が見つかっても関係ないはずなのだが、
マリアをカオスの代わりとして使うなら成功報酬を払わなければならない。
裁判なら勝つ(と美神は信じている)が、そんな事を美智恵が認めるはず無い。
あれ?1億の為に縛り上げたのか。さすが50憶のためなら惚れた男を殺す女だな。
「おキヌちゃんだっていけないのよ。
 横島君は自力で帰ってきたんだからカオスに知らせる必要なんてないのに。
 どうしてもマリアに知らせるって聞かないんだから。
 あの時、おキヌちゃんはきっと成功報酬は払わないですむと思っていたわよね」
実際おキヌは美神の計略に気付いていた。だからマリアには知らせても問題ないと思ったのだ。
「でも今は絶対に気付いているわ。
 しかもおキヌちゃんは、マリアをただ働きさせているのを良く思っていない。
 今までのこともあるから、なんとかマリアに報酬が渡るようにするに違いないわ。
 本当に誰にでも優しいんだから。
 別に嘘を吐いた訳じゃないし、契約違反でもないんだから余計なお金を払う事無いのよ。
 お金は私みたいな人間が持ってればいいの。あんな手に引っ掛かるほうが悪いのよ!!」
「そんな事を考えていたの」
「そうよ。カオスみたいなボケ老人は貧乏が相応しい・・・・ママ!何時からそこに!?」
「おキヌちゃんもいけないのよ・・・あたりかしらね」美智恵はにっこりと微笑む。
「なにか用?」美神は生きた心地がしなかった。
「カオスさんがね。”マリアが横島が居ると言っている”とおっしゃったのよね。
 だから確かめに来たのよ」
「そうなの」美神はなるべく平静を装い退路を探す
「そうじゃ。やっぱりボーズは見つかっておったのじゃな」とカオス。
「イエス・Dr・カオス。マリア・横島・さんの・息・聞き・ました」
「マリアはのー、息遣いだけでも人がわかるんじゃよ」カオスが得意そうに解説する。
「令子。カオスさんに報酬払うわよね」
「ママ!契約では・・・」
「払うわよね」美智恵はにっこりと微笑む。
「・・・払います」
「良かった。ママ嬉しいわ。でも”今までの分”も払って差し上げなきゃね」
「そんな!今までの分なんてもうとっくに解決済み・・・」
「そうじゃなー。月ロケットの時と・・・他にあったかのー」
「研究・室の・道具・袋・一杯」
「そうじゃ、それがあったの」
「カオスさん。それはいくら位のものですか?」
「今では誰も作れん物じゃから、値はつけようが無いんじゃが」
「では、今回の分と合わせて一千億くらいでいかがです?」
「いいいいっせんおくぅ!!一千億なんてそんな!!」
「一千億貰えれば不満は無いが、ちと多すぎはせんか?」
「いえ、令子も貰って欲しいはずですから。そうよね?令子」
「いくら何でも一千億は酷いわ!」
「そうね、ちょっと少なすぎたかしら?」
「カオス!一千億の小切手よ!受け取って!!(なんで。何で私がこんな目にぃぃぃぃ)」
「マリアすぐ銀行に行くぞ!これからしばらく研究三昧じゃ!」
「イエス・Dr・カオス。でも・お家賃・と・税金・の・督促・来て・います」
「なんじゃマリア。一千億だぞ一千億!そんなものちょっと残しておけば大丈夫じゃ!!」
そうか?一千億分の税金となると半端な金額じゃないと思うが
「ああ、そうじゃ隊長さんよ、ボーズによろしくな」
「ええ、伝えますわ。
 じゃあ令子、早速横島君に会いに行きましょうか」
「ママ。すぐ呼んでくるわね」
「だめよ。会いに来たのはママなんですからね」
「そっそう。じゃあ私は仕事があるから・・・」
「あら?ママと一緒は嫌なの?ママ悲しいわ」
美智恵はわざとらしく泣き真似するが目が笑ってない。
「いっいえ、一緒に行くわ」美神は13階段を上がる死刑囚の気持ちが理解できた。
「ああ、そうそう。令子、明日は時間取れる?」
「明日?
 今ある仕事は、おキヌちゃん達できそうな簡単なものばかりだから大丈夫よ」
「じゃあ久しぶりに”デザート”にしましょうね」
「デザート?どこかに食べに・・・”デザート”!!」
「本当は”ランチ”くらいだと思うけど、
 結局、報酬を払ったから”デザート”でいいわ」
「あああのママ・・・」
「逃げたりしたら、”ディナー”にするから楽しみにね♪」
美智恵は普段怒らない代わり、
たまに折檻する場合は幼児虐待で捕まりそうなぐらい徹底的にやった。
折檻の内容は”デザート”でも”ディナー”でも変わらない。
”デザート”なら丸一日、”ディナー”なら四日連続で折檻するのだ。
美神が横島相手に容赦しないのは、母親の影響だ。
もっとも、美神自身はあれでも手加減しているつもりなのだが。

「それにしても美神殿も酷いでござるな。おキヌ殿は仲間ではござらんか」とシロ
「仲間より100万円の方が重要なんでしょう」と玉藻
「確かに美神さんはお金に汚いけど、
 お金よりおキヌちゃんが大事って事は無い。なんか理由があるんだ」
「横島さんはそう思うんですか」やっと猿轡だけ取ってもらったおキヌが言った。
「そりゃそうだよ。
 これが俺らを殺せば10億円手に入るなら殺すかもしれないとは思うけどね」
「10億で殺すなら縛り上げるのは100万円でもするんじゃないの?」と玉藻
「そこが美神さんの変な所でね。
 金を手に入れるためなら何でもするけど、使う方はそうでもないんだ」
「じゃあなぜ横島の時給は260円なの」
「そりゃ、収入は報酬引く経費だからだよ。今回は報酬なしだか・・・」
横島とおキヌは恐ろしいものでも見たように虚空を見上げる。
「どうしたでござるか?先生?」
「美神さんが只働きして、そのまま引き下がる訳ない」
「2ヶ月前からずっと只働きですから、少しでも取り戻そうとするはずですね」
「おキヌちゃんを縛り上げても大した儲けにはならないんじゃない?」
「エッチなビデオでも撮って売り捌くつもりでござろうか?」
「あの人がそんなせこい事をすると思うの」
「今やってる事も十分せこいと思うでござるよ」
「そうすると、おキヌちゃんの初体験ビデオか。すると相手は俺!?」
「えっ?私と横島さんのビデオですか?」
「二人とも、なんか嬉しそうね?」
「そんなことはない。確かにおキヌちゃんに色々したいけど。
 縛ったままやる趣味はない」
「そうでるよね。それに縛ったままじゃなんにもできないですよね」
「論点がずれてる気がするでござるな」

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