ザ・グレート・展開予測ショー

らぶ・サバイバル 〜第7回〜


投稿者名:殿下
投稿日時:(04/ 5/22)



だいぶ前に事務所を放り出されていたはずの横島忠夫はいまだにアパートに帰っている最中だった。電車で二駅の自分の住むアパートまで何故か電車を使わずブツブツ言いながら歩いていた。


「くっそ〜、事務所に財布を忘れるとは・・・とても事務所に取りに帰れる雰囲気じゃなかったから歩いているものの・・・やっぱ電車で二駅は歩きだと遠いなぁ。
家帰ってもやることないからナンパしてたけど、そのおかげで文殊使うはめになっちまったし・・・。でもさっきの姉ちゃんはええ感じやったなぁ。人間離れした色っぽさというか・・・また会えねえかな」
俺はアパートに帰りながら妙に説明的な独り言を言っていた。

「・・・ていうかそもそも何でこんな事になったんだろ?俺はただ今まで通りの生活を続けたかっただけなのに・・・。こんな事になったのもあの大バカ二人組のせいじゃ!いつか復讐したるでぇーー!!」
俺が復讐を誓っていると
ヒューン スタッ
何者かが俺の前に降り立った。
「ん?」

「横島さん、こんにちは!」
(あれ?メドーサより先についちゃったみたいね)
小竜姫は自分よりも先に出たメドーサがいないのを少し変に思いながらもとりあえず横島に挨拶をする。

「小竜姫様、おおっ・・・!あいかわらずお美しいっ・・・!!」
俺は久しぶり見るミニスカート姿の小竜姫様に思わず歓喜の声をあげてしまった。

「あ、ありがとうございます」
以前も同じ事を言ったのだが、今回は何故か丁寧な言葉で顔を赤らめながらお礼を言ってくる小竜姫様

(かっわいいなぁー。もはやこれは俺を誘ってるとしか思えん!)
「ぼ、ぼかあもーー!!神様と人間の禁断の恋にっ・・・!!」
その愛らしい態度にたまらず俺は小竜姫に抱きつこうをする。以前ならば抱きつく前に仏罰が下るのだが・・・

ガバッ!!・・・・・・・・・・・!?

「あれ?」
抱きつけてしまった・・・何故か小竜姫様は仏罰を下すどころか全く抵抗すらしてこない。

「あのぉ・・・小竜姫様?」
小竜姫様の顔を見てみるとこれ以上ないくらいに真っ赤になっている。それを見た俺は
(や、やっばい、顔が真っ赤になるほど怒ってるぞ)
と感じた。

(とにかく早く離れて謝り倒さねば・・)
小竜姫様の真っ赤になった顔を見てすぐに離れようとしたが、その瞬間

ぎゅぅぅぅぅぅっ!

「へっ!?」

何と小竜姫様が無言のまま俺の背中にそっと手を回し、強く抱きしめてきたのだ。

「え?あ?へ?」
小竜姫様の思わぬ行動にパニック状態になる。

(どうなってんだ?何で俺の背中に手を・・・ま、まさか・・サバ折り!?)
こんな事は経験した事がなかったため突然の小竜姫様の抱擁を新手の攻撃ではないかと考える。

その時、小竜姫の方はというと・・・
(私ったら離れようとした横島さんを逆に抱きしめるなんて・・・早く離さなくちゃいけないのに・・でも・・・でも、離したくない。ずっと・・ずっと・・・このままでいたいな)
・・・という感じだった。

しばらくこの状態が続いていたのだが・・
「あの、小竜姫様?」
俺は何がなんだかよくわからないので、とりあえず小竜姫様に声をかけた。

「あっ!?す、すいません」
俺が声をかけるとすぐに小竜姫様は俺からパッと離れた。俺的にはもう少しこの状態でも良かったのだが・・・

(私ったら、何てはしたない事を・・・横島さんに嫌われちゃったかな)
自分の行動を反省しつつ、手を頬に当て顔を赤らめたまま横島の顔をじっと見つめる小竜姫

(それにしても何だったんだろうか、今のは・・・)
俺はいまだに小竜姫様の謎の行動の意味がわからなかった。

(でも、得したなぁ。小竜姫様に抱きつけるなんて思わなかったもんな。しかも胸が当たってちょっと気持ち良かったし・・・)
思わず顔がにやけてしまう。

「す、すいませんでした。いきなり変なことをしてしまって・・」
何だかよくわからんが俺に謝ってくる小竜姫様

「いいんですよ。気持ちよかったですし・・」
(しまったぁ!?つい本音が)

「はい?」

「い、いえ、こっちの話です。それよりどうしたんですか?小竜姫様が地上に降りてくるなんて・・・何かあったんですか?」
無意識の内に言葉に出た自分の本音に少し焦りながらも冷静を装いつつ、ふと疑問に思ったことを聞く。

「えっとですね。紹介しておきたい人がいまして・・・」

「俺に紹介ですか?それでその人はどこにいるんですか?」
紹介するというが、現在周りに人は一人も見あたらない。

「えっと、私より先に出たはずなんですが・・・どこに行ったのかしら?」
小竜姫様が困りながら周りを見回していると、突然頭上から声が聞こえてきた。

「ここだよ。小竜姫」

その声を聞き、上を見上げる小竜姫様と俺
俺の目に以前何度も死闘を繰り広げた女性の姿が映る。

「メドーサ!?」
思わぬ敵の出現に驚きながらも俺はすぐに小竜姫様を守るように態勢を入れ替え、先ほどの小竜姫様の抱擁で得た煩悩エネルギーで文殊を造り、メドーサに対し臨戦態勢をとる。

「あの、横島さん」
何故か慌てた様子で俺に声をかけてくる小竜姫様
おそらく倒したはずの宿敵の出現に驚いているのだろう。
(小竜姫様だけは俺がなんとしてでも守らなくてわ!)

「安心して下さい、小竜姫様。小竜姫様は俺が必ず守りますから!」
そう言って俺は小竜姫様に優しく微笑みかける。

「・・・・・・は、はい。・・・ぽっ」
身を挺して自分を守ろうとする横島の態度を見て、まるで騎士に守られるお姫様のような気分になり、横島の後ろにそっと隠れ、思わずはいと返事をしてしまう小竜姫

「おいおい・・・」
小竜姫のあり得ない行動にあきれるメドーサ

「く、来るなら来い!・・・出来る事なら来ないで欲しいけど・・」
俺は強がりながらも少々弱気な態度で小竜姫様を背にしながら文殊を手にメドーサと向かい合う。

「・・・・・・・・・♪♪」
小竜姫はまだお姫様気分に浸りながら、横島の背中にしがみついている。
(し・あ・わ・せ♪)

(こ、この女は・・・)
すっかり本来の目的を忘れ、目の前で横島にしがみついている小竜姫を見てだんだんムカついてくるメドーサ

スゥーーーーッ
メドーサが大きく息を吸い込み
「小竜姫ーーー!!!!!」
大声で小竜姫の名前を叫ぶ。

「はっ!?」
メドーサに大声で名前を呼ばれたことによって我にかえる小竜姫

「気がついたかい?そろそろ私の事を説明してやってくれないかい。あんたの騎士さんにね」
少し皮肉気味に小竜姫に横島への説明を頼むメドーサ

「ご、ごめんなさい。わかりました、すぐ説明を・・・その前になんでこんなに遅かったのですか?私より先に向かったはずなのに・・」

「事務所は知ってたけど、そいつのアパートの場所を知らなかったから探すのに手間取ったたんだよ。それでやっと見つけてみたら、このザマだよ」

「・・・その事についてはお詫びの言葉も思いつきません」

「その話は後回しにするとして、早く紹介してやりなよ。そいつボーゼンとしてるよ」

「・・・・・?」
(なんだ・・?なんでこの二人が仲良く会話してるんだ?)
敵対関係にあるはずの二人が普通に会話しているのを見て、俺は全く状況がつかめない。

スタッ
その間に俺と小竜姫様の前に降り立つメドーサ

「えっと横島さん。紹介します、神族として復活したメドーサです」

「ええっ!?」
(なんだって!?)
小竜姫様の予想外の言葉に動揺を隠せない。

「実は、前々から魔族に対して神族の数が圧倒的に少ないことが問題になっていたんです。アシュタロス事件の時も神族側の方がダメージが大きくて、このままだと神と魔のバランスが取れないというわけで神族を増やす計画が立案されたのです。そしてメドーサがその計画によって神族として復活を果たした一人なんです」

「へえー、そうだったんすか。それにしても・・・メドーサ、なんでお前年は女子高生くらいなのに乳はデカイままなんだ?前に若返った時はもう少し小さかったような・・・」

「さてね、年は一番力がある時期で復活させたとして・・・胸が大きいままなのは復活させた奴の趣味じゃないの」

(趣味・・・か、なんて良い趣味してるんだろうか。グッッッッジョォブです!!ありがとうございます!!)
俺は会ったこともない者に心の底から感謝の言葉を贈る。

「まあ、とにかく良かったよ」
俺は素直にメドーサの復活に喜びの声をあげる。

「良かった?何度も殺し合った私が復活したっていうのにかい?」

「そんなのはもう過去の事だし、それにもう戦う必要ないんだろ?だったらいいじゃん」

「そんな簡単に割り切れるもんかねえ」

「あん時はどっちも必死だったしさ。それに殺し合うっていっても俺は死んでねえし・・」

「確かにそうだけど・・」

「だからいいじゃん。むしろ乳のデカイ姉ちゃんが復活して、今俺すっげえ嬉しいんだぜ」

「あんたみたいにみんなそう思ってくれたらいいけどさ、そうもいかないんだよね」
メドーサが少し表情を暗くして話す。

「なんかあるのか?」

「実は魔族だったメドーサが神族として復活したことあまり良く思ってない連中がいまして・・」
メドーサに代わって小竜姫様が俺に話す。

「そういうことだよ。まあ自業自得なんだけどね」

(神様にしては心の狭い連中だな。こういうことは人間も神族も大して変わんないみたいだな)
「別に気にしなくてもいいんじゃねえか?魔族の時にやったことなんて」

「はあ?何言ってんだい、あんたは。私が色々悪事してきたことはあんたも少しは知ってるだろ?」

「そりゃ俺や神族の連中からしたら悪事だけどよ。魔族の時のあんたにとっては悪事なんて思ってなかっただろ?」

「・・・まあね」

「だったらいいじゃねえか。魔族には魔族の、神族には神族の、人間には人間のやり方があるんだからよ。今は神族になったんだから魔族の時にしたことは気にせず生きてこうぜ」

「・・・・・・」

「なんなら、ほらっ」
俺は先ほど造った文殊をメドーサに手渡した。
「それに忘の文字を込めて魔族の時にしたこと忘れて新しく生まれ変わればいいじゃん。そしたら俺達のこととかも忘れちまうけどさ、また出会うとこから始めていけばいいだろ?」

「・・・フフ、フフフ、アハハハハハハハハハハ」
俺の言葉を聞いてメドーサが突然笑い出す。

(俺、そんな変なこと言ったかな?)
笑われるような事を言ったと思って少しばかり恥ずかしくなってしまった。
「笑わなくてもいいじゃねえかよ」

「ハハハハ、いや、すまない」
(本当にバカな男だよ。何度もあんたを殺そうとした女だっていうのに・・・。これが小竜姫が惚れたっていう横島の優しさかな)

「残念だけど、記憶を消すわけにはいかないよ」

「えっ!?なんで?」

「そんなことしたって他の奴らが覚えてたら意味ないだろ?」

(あっ!そっか・・・。全然考えてなかった)

「それに・・・」

「それに?」

「そんなことしたら、あんたとのディープキスも忘れちまうじゃないか」

「で、でも、それは忘れたいんじゃないのか?」

「ふん、仮にも私のファーストキスだからね。忘れるなんてできないさ」

「ファーストキス!?・・・マジで?」

「マジだよ。だから横島には責任をとってもらわないとね」

(まさかファーストキスだったとは・・・超意外だな。しかし責任をとるといってもあれはメドーサの方から・・・しかしファーストキスという事実は変わりない。しかし俺にはルシオラという恋人が・・・・・くおぉぉ〜〜)
俺がマジで悩んでいると、俺とメドーサのやりとりを見ていた小竜姫様が
「・・・横島さん」
恐ろしく静かな口調で俺の名前を呼んできた。

「は、はひ」
思わず声がうわずってしまった。

「あれはメドーサが勝手にやったことなんで横島さんが責任をとることなんて一切ないんですよ」
にこっと笑いながら静かな口調で喋る小竜姫様

「そ、そうですかね」

「そうです!!」

「は、はい、わかりました。すいません」
小竜姫様の迫力に圧倒され何故か謝ってしまう。

「・・・コホン、わかってくれればいいんです。それでは私達は急ぎますのでこれで」

「ええっ!?もう行くのかい。もう少し横島と話をしていたいから小竜姫だけ先に「絶っっっっっっ対ダメです!!」
小竜姫様が怒りをあらわにしてメドーサの提案を即却下する。

「ちっ、わかったよ。それじゃあ最後に横島」
そう言ってメドーサが俺に近づき
「ん?」

ぎゅうっ
帰り際にメドーサがいきなり俺を抱きしめてきた。

「なななななななな、何してるんですか!!!!」

「何って別れの抱擁じゃないか。外国とかじゃ当たり前だろ」

「ここは日本です!」

「わかったよ。そんなに怒らなくてもいいだろ?」
そう言って俺から離れようとするメドーサ
そして離れ際に俺に
「(小竜姫に抱きつかれるより気持ちよかっただろ?)」
小声でこう言った。

「うぐっ!?」
(た、確かに小竜姫様も気持ち良かったけど、メドーサの場合はさらにボリュームがあって気持ちよかったような・・)

「それじゃあ、行こうか。またな横島」
「それでは失礼しますね。横島さん」
「はい。また」

ビュンッ ビュンッ

「今日はついてるのか、ついてないのか、よくわからん日やなぁ」
俺にとって今日は、意志とは関係なくよくわからん大会が決まったり、二人の美女の抱擁を受けたりとよくわからん一日となった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

妙神山に向かって飛行中の二人

「小竜姫」
「何ですか?」
「正直最初は退屈しのぎのつもりだったんだけど、あいつに会って本気で勝ちたくなったよ」
「そ・・・そうですか」
(はぁーっ、やる気になってくれたのはいいけど、ちょっと複雑な気分ですね)


       【つづく】


   《あとがき》
どーも、殿下ございます。
今回の登場人物は3人だけであります。かなり物足りないかもしれませんがご勘弁を
次回はかなりの数の初登場人物が増える予定です。では次回で

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