ザ・グレート・展開予測ショー

悪魔は神か(7)


投稿者名:雪男
投稿日時:(00/ 3/24)

そして二月後
「そうか、もういいのか」カオスは感慨深げに呟いた
崇徳上皇の事件から2月。
遂に横島の消息はつかめず、捜索は打ち切りとなった。
「横島君は見つからなかったけど、マリアは良く働いてくれたわ。
 だから少し色をつけたの」と美神
カオスは一瞬耳を疑ったが、すぐ真顔に戻った。
横島との関係を考えれば茶化すわけにも行かない。
それに・・・マリアが美神の下で働いたのは約二ヶ月・57日間
つまり日給は114万円、家賃分を前借したとはいえ、
それでも100万以上になる。
頬が緩むのを押さえるのも大変だ。
マリアはというとおキヌの部屋の方を見ている。
カオスはそっと溜息をついた。
マリアが豊かな感受性を持っている事を誰よりも理解していた。
視線を落とすと封筒。
手が震える。
小切手らしく、厚さは無いが、これが100万だと思うと・・・
カオスは封筒を開ける、目の色が変わるのが自分でも解るがどうしようもない
「“賞与・10万円。貸した10万円に代えさせて頂きます。美神令子”・・・・・
 なんじゃこれは!!
 美神!おぬし、これはどうゆう事だ!!」
「契約に拠れば、マリアの電気代として1日1万円、
 破損した場合の目安として更に一万円支払う事になっているわ。
 マリアはずっとこっちで充電していたし、破損もしなかった。
 だから使用料は無し。
 解った?」美神は最近愛用のジョッキに、またブランデーを注ぐ。
「そっそんな馬鹿な」カオスは思わず肩を落とした。
何かが引っ掛かる
「美神、おぬし、それを知られたくないから金を貸したんだな!」
「お金を貸してくれと頼んだのはそっちよ」美神がそっぽを向く
「いくらボーズが見つからなかったとはいえ、
 このやり口は大人気ないんじゃないか?」
「よっ横島君は関係ないわ!変な言いがかりを付けないでよね!!」
実際、美神は当初からこのつもりだった。
カオスが政府の方に行くのも計算づくだった。
美神はマリア(だけ)を格安で使うため、あの条件を出したのだった。
「この賞与にしても、
 どうせワシが金を払えないからと“やる”ことにしたんじゃろう!!」
「じゃあ10万払えるの?」
「ぐっ、確かに払えないがな。お上にわしが訴えたらどうなる?」
「マリアは人間じゃないから最低賃金の保証はないわよ」
「GS協会なら?」
「カオスもマリアも正式にはGSじゃないでしょう?どうやって訴えるの?」
「解った!どうしても払わないつもりだな!!」
「契約は契約よ」
「もうお前とは絶対契約せんわ!マリア帰るぞ!!」
「イエス・Dr・カオス」

「(むーむむーむうー)」呪縛ロープに猿轡姿のおキヌが転がっている。
「おキヌちゃん、誰にも喋らないと約束するなら解いてあげるけど?」
「(・・・むーむうーむー)」おキヌはちょっと考えた後、頷いた。
「嘘をついてもダメよ。喋らないけど紙に書こうとか考えてるでしょう?」
「百万ぐらいちゃんと払ってやったらどうっす?お札一枚分じゃないスか」横島が口を挟んだ。
「冗談じゃないわ!
 大体カオスが横島君は異世界に飛ばされたなんて言うから、見つからなかったんじゃない。
 それとも横島君が払う?それならいいわよ」
「俺が百万なんて大金持ってるはず無いじゃないスか」
「なら黙ってなさい。
 それにしても、なんて縛り方するのよ」
おキヌはブレザーの上から亀甲縛りで縛られている。
「美神さんが縛れって言ったんじゃないスか!
 逃げられたら命は無いとまで言ったのは美神さんじゃないスか!!」
実際、横島は本気で殺されると思ったから命令に従ったのだ。
「私は絶対逃げられないようにしなさいと言っただけじゃない。
 こんなSMみたいな縛り方をしろなんて言ってないわよ」
「しょうがないじゃないスか。
 おキヌちゃんは幽体離脱できるんスから」
「どういう関係があるのよ」
「あれ?
 美神さんでも知らない事があるんスね。
 これは女性型の霊体が絶対に逃げられない縛り方っス。
 この縛り方なら女性型限定で絶対に逃げられないんスよ」
「なぁに?厄珍にでも聞いたの?
 確かにこの縛り方なら逃げられないと思うけど」
「実は西条に聞いたんスよ。
 女性型ならこの縛り方で大丈夫だって」
「お兄ちゃんに!?
 じゃあ本当にこんな縛り方をするのね」美神は改めておキヌの縛られ方を観察した。
「(むうーむーむーむむうー)」おキヌは涙を浮かべて抗議するが肝心の美神は気にしない。
「確かにちょっとエッチっすよね。
 初めて写真を見たときは、西条の奴が職場にエロ本を持ち込んだんだと思ったっす」
「(むううー!むーうー!むむー!)」
「へー結構勉強してるじゃない。オカルトGメンに出入りしてるとは知らなかったわ」
「いやぁ、行ったのはその時だけっす。
 行ったら裸の女が縛られてる写真があいつの机に置いてあるから、
 からかったら教えてくれたんスよ。
 そういえば”こっそり練習して美神さんに見せれば見直される”なんて言ってたっすね」
「いつまでこのままにする気でござる?」シロが口を挟む
「おキヌちゃんが秘密を守るって本気で約束するまでよ」
「(むうーむーむーむううー)」
「おキヌちゃんは嘘の吐ける子じゃないわ。それは通用しないわよ」
「(むむうーむーむー)」
「また後で来るわ。
 横島君、逃がしたら・・・判ってるわよね?」
「判ってますよ。判ってます」横島はウンザリしたように答えた

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