『雨音』
投稿者名:ヨコシマン
投稿日時:(04/ 5/19)
雨がしとしとと降りしきり、少女の美しい銀の髪を柔らかく濡らしていた。
銀髪の少女はうつむいて、ただ、立ち尽くす。その頬を伝うのは、雨水か、それとも涙か。
少女はその濡れた銀髪に隠れてしまっている顔をゆっくりと上げると、目の前の親友に向かって無理矢理笑顔を作った。
「えへへ、・・・振られ・・・ちゃったで・・・ござるよ。」
金色の髪をしたその親友は、少し戸惑ったように目をそらすと、傘を差し出しながら、そっと声を掛けた。
「えっと・・・、その・・・。頑張ったと・・・思うよ。」
次第に雨は大粒になり、やがて世界は雨音に包まれる。
水滴が大地と奏でるその音に、銀髪の少女の嗚咽はかき消された。
不意に、金髪の少女は傘をたたんだ。大粒の雨が叩き付けるようにその体を濡らしていく。
九つに分かれた金の髪から、ぽたぽたと水滴がこぼれた。
気の利いた台詞も、優しい言葉もガラじゃない。だからせめて、彼女の気の済むまでこうしていよう。
銀髪の親友の痛みが、少しでも感じられるように。
いつか、その顔に笑顔が戻るその時まで。
この、いつまでも続く雨音の中で。
今までの
コメント:
- えー、ヨコシマンです。
いつにもまして短い文です(汗)
テーマは「大人の階段」を一歩登る瞬間です。
まあ、その・・・大目に見てやってくださいぃ!(平伏)
もし良かったら・・・コメントしてやって下さいませ。 (ヨコシマン)
- え〜とさ、振られてないと思うよ!よくあるじゃないか!こんな時にかぎって交通渋滞だったり交通事故にあってたりって!あと3分、いや1分待ってくれ!アイツは絶対来るから!アイツが君を振るわけないから!
この子を泣かすのは誰であろうとも許さ〜ん!!
ヨコシマンさん、ちゃんと責任とってこの子が幸せになれる話も書いてくれ〜!(泣) (なかんだかり)
- なかなかよかったですが、ちょっと短いかな。
もうちょっと、どうしてこの場面になったかの話がほしかったような気がします。
なかんだかりさんと同じで、この後を期待しつつ賛成と (青い猫又)
- コメントありがとうございます!ヨコシマンです。
なかんだかりさんは僕の期待通りのコメントしてくださいました。
どういう事かと申しますと、猫又さんのご指摘にもあったように今回この短さになったのには訳が有るのです。
実は私、この話の前後の物語はあえて設定しておりません。読んでくださった皆さんが思い思いのストーリーを想像していただけたら・・・、と思い書きました。
続きます。 (ヨコシマン)
- 実際僕自身は、「シロ以外の女性と結婚間近の横島に、玉砕覚悟で精一杯の告白をしたシロの結末」をイメージして書いたのですが、なかんだかりさんは「待ち合わせに来なかった恋人(?)」というシチュエーションをご想像されたようです。
読んだ人によっていろんな変化を見せるストーリーも面白いのではないかと思ったわけです。
そういった意味ではなかんだかりさんのコメントは僕的に大成功だったわけです。(笑)
いかがでしょうか?皆さんにはどんなストーリーが思い浮かびましたか?
それでは、失礼致します。 (ヨコシマン)
- 切ないなあ・・・・・。
この後二人は夜の街へと消えていくのですね(謎)
冗談は置いておいて、短いけど良い出来だと思います。
友情の素晴らしさを再確認しつつ筆を置かせていただきます。
しんばるでした。 (cymbal)
- ひょんな事から少年野球のコウチを頼まれたシロ。ライヴァル少年球団の投手が繰り出す魔剛球「ジステンバー・ボウル」に対抗する為、シロは秘打法「八房返し」を伝授すべく少年たちと共に血の滲むような特訓の日々を過ごす事、一週間……そして迎えた当日。
魔球は雨に弱い。この雨がもう少しだけ早く降っていたら1桁以内に食い止められたかもしれない、三振の山を想う少女が
独り、雨のグラウンドに立ち尽くしていた。
……こんな「振られ」を想像しましたが、どうか(と謂われても)。
「振られ」は「ふられ」とかなにした方が想像が広げられそうな気がします……「降られ」とか。 (Iholi)
- ああっ!それ面白いっ!(大爆笑)
Iholiさん、コメントありがとうござます。
そうかー、そういうのも有りですよね。(笑)
負けちゃったんですね、試合。(笑)
Iholiさんの設定で読み返したら、この作品自体がギャグになってしまったような感じで笑ってしまいました。
いっそ、この設定を公式にしたいくらいです。(ぇ (ヨコシマン)
- 順番が逆になってしまいました。ごめんなさい。(汗)
シンバルさんコメントありがとー!
そうです、二人は手を取り夜の街へ・・・。そんなわけないでしょー!(ノリ突っ込み)
ホントにシンバルさんは夜の街がお好きなんですねぇ・・・。(ニヤニヤ) (ヨコシマン)
- 落ち込む少女を優しく包む親友の行動には賛成ですが、雨の中少女がただ泣いている場面に切なさが溢れ、これだけの文章を読んだ限りでは素直に賛成できない気分です。 ですが状況を必要以上に表現しなかった分、読み手にイメージを沸かすお話としては大成功ではないでしょうか? 私自身も「玉砕覚悟で精一杯の告白をしたシロの結末」というシーンを思い浮かべていました。 その結果のみから感じたことは、もう泣かないでほしいと思う、彼女の状況を否定したくなるような気持ちでしたが………そういう理由で今回は反対ですが、友人の行動も踏まえるとシーンの選択としては最良でした。 素敵な友人を持った、少女のこれからの幸せを願います。 (ヴァージニア)
- ヴァージニアさん、コメントありがとうございます。
>友人の行動も踏まえるとシーンの選択としては最良でした。
とっても嬉しいお言葉に私、むせび泣いております。
>もう泣かないでほしいと思う、彼女の状況を否定したくなるような気持ち
分かります。ただ、人には誰しも乗り越えなければならない事があり、彼女にとってはこのシーンこそがそれの一つにあたるのでは、と思えるのです。
甘いSSは多々あるものの、そういった部分にスポットをあてた作品はあまり見ないので、書いてみようと。(笑)
>素敵な友人を持った、少女のこれからの幸せを願います。
少女のこれから・・・。例えば素敵な親友と事務所を開業してGSの業界で大暴れ!みたいな展開はいかがでしょう?え?駄目ですか。(笑) (ヨコシマン)
- 精一杯笑顔を作って、それでも涙が溢れて来て、そんな友人を濡れながら見守る視線があって・・・。
彼女の想う人が何故彼女を拒まなくてはならなかったか、どんな頑張りがあったか、そんな背後にあったドラマも浮き彫りに見えてくるようなどしゃ降りのワンシーンに揺さぶられるものがあります。
比べるのも違う気がしますが、一緒に濡れようと思ったその親友により切なさを感じました。 (フル・サークル)
- 「拙者、ふられちゃったでござるよ・・・ふりまわされちゃったでござるよ。ふられ。ふられて・・・(ぽっ)」
「何があったのかはまったく詮索する気は皆無だけど、とりあえず、がんばったとおもうわよ、おもっとくわよ」
もしも心の痛みが肉体的な痛みだtt(黙れ)
とにもかくにも。美しい表現されど突き放しているなぁと感じました。
そのヒントを得た私たちがこの文の真相を解さなければならないのでしょうね。
と、全然自分の犯したことを正当化できていないなぁとしみじみ思いつつ。
・・・さんせいひょう〜! (veld)
- あ・・うあ・・ヨコシマンさんのお話にコメントを入れるのってすごく久しぶりなような・・・本当に申し訳ありません(泣)全部読んではいたんですが・・・
と、感想です〜
いや〜なんというか「せつない」という言葉が凝縮されてますね〜
う〜ん降り止まぬ雨・・・心が揺さぶられます。
あとタマモ好きの自分としては(笑)彼女の姿がかなり心に染みました〜
いいですね〜う〜んせつない・・もう夏近いですね(謎
ヨコシマンさん、投稿お疲れさまでした〜 (かぜあめ)
- 今頃コメントをしてます駄馬です(汗)。失礼します
短いながらも様々な事を思いました。短いからこそ物語が各人によって補完され、同時に救いと可能性が提示されているような感覚を感じます。本当に酷な拒絶ではなかったのが彼女たちの唯一の救いでしょう。ただ、個人的には逆にその酷の無さがかえって残酷なものにすらなった、という状況に少し物悲しさも覚えました。
流れ続ける雨音が、まるで彼女を優しく包み込むような、そんな優しいものでありますように……。
そしてコレも一つの可能性の末路 (浪速のペガサス)
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