ザ・グレート・展開予測ショー

『雨音』


投稿者名:ヨコシマン
投稿日時:(04/ 5/19)

 雨がしとしとと降りしきり、少女の美しい銀の髪を柔らかく濡らしていた。

 銀髪の少女はうつむいて、ただ、立ち尽くす。その頬を伝うのは、雨水か、それとも涙か。

 少女はその濡れた銀髪に隠れてしまっている顔をゆっくりと上げると、目の前の親友に向かって無理矢理笑顔を作った。

「えへへ、・・・振られ・・・ちゃったで・・・ござるよ。」

 金色の髪をしたその親友は、少し戸惑ったように目をそらすと、傘を差し出しながら、そっと声を掛けた。

「えっと・・・、その・・・。頑張ったと・・・思うよ。」

 次第に雨は大粒になり、やがて世界は雨音に包まれる。

 水滴が大地と奏でるその音に、銀髪の少女の嗚咽はかき消された。

 不意に、金髪の少女は傘をたたんだ。大粒の雨が叩き付けるようにその体を濡らしていく。

 九つに分かれた金の髪から、ぽたぽたと水滴がこぼれた。

 気の利いた台詞も、優しい言葉もガラじゃない。だからせめて、彼女の気の済むまでこうしていよう。

 銀髪の親友の痛みが、少しでも感じられるように。

 いつか、その顔に笑顔が戻るその時まで。

 この、いつまでも続く雨音の中で。

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