ザ・グレート・展開予測ショー

前門の狐、後門の狼


投稿者名:殿下
投稿日時:(04/ 5/16)



ふにゅっ

眠りから覚めたばかりでまだ意識がもうろうとしている横島の手に何かを掴んだ感触が感じられた。

(ん・・・?何だこれ?)

ふに ふに

わからないのでもう一度触って何か確かめようとする。

(柔らかいなぁ、何だろ?俺の部屋にこんなもんあったっけ?マシュマロの様な柔らかさだけど・・・、う〜ん)

やはりわからない。
仕方なくうっすらとだが目を開け、掴んでいる物を確認する。
まだ寝惚けているためぼやけて見える。

(えっと・・柔らかくて・・・肌色ぽくって・・・丸くて・・・中心にピンク色の突起物があるもの・・・)

チクタクチクタクチクタク(シンキングタイム)






チ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!(結論が出た音)

(そうか、これは饅頭だ!おキヌちゃんか小鳩ちゃんが置いていってくれたんだ。だとしたらすぐに食べなくては悪いだろう)
横島は目の前の物体を饅頭と判断した。

(ちょっと小さいけど二つあるから小腹が空いてる俺にはちょうどいいな。それでは・・・・・・・・いただきま〜〜す!)
横島が今まさに饅頭と判断したものにかぶりつこうとした・・・・・が、その眼前に驚愕の光景が映る。

「ぐはぁっ!?」
思わず声を出してしまうほど驚いたものとは・・・

「・・・うぅん」

・・・・・・裸のタマモでした。

(なぜ?どうしてタマモが俺の部屋の布団に・・・ていうかなんで裸なの?)

何とか自分を落ち着かせようと深呼吸し、タマモの姿を見て、思わずムラムラした自分のこれからの行動を考える。


◇第1回脳内会議◇【出演・どこかで見たことがあるような神様と悪魔・計4名】


「いいんじゃないの〜。無防備なタマモちゃんが悪いのね〜」

「何を言ってるんですか!!タマモちゃんはまだ少女じゃないですか!!」

「でも妖狐なんだろ?別に問題ないんじゃないか?」

「貴様!そんなことしていいと思ってるのか!それでも私が認めた戦士か!そんなに欲しいのなら私の・・もごもごもご」

「どさくさに紛れて何言ってるんですか?横島さんは私のが欲しいんですぅ!」

「たわけた事を抜かすな!そんな貧相な胸で」

「見たことがないのにそんなこと言わないで下さい。脱いだら私だって結構・・・・・・・・す、すごいんですから」

「私だって負けないのね〜」

「やっぱ大きさからいったら私だろ?キスまでした仲でもあるしねえ」

「「「ぐっ・・・・」」」

「だったら今すぐに私も横島さんに接吻しに行きます」

「私だって口づけの一つや二つくれてやるわ」

「それじゃあ、私は全部あげちゃおっと☆」

「そんなことさせません!」

「させてたまるか!」

「あいつはもう私のものさ!」

「「「「というワケだからその子には手を出すのはダメーー!!!!」」」」


◆脳内会議終了◆


◎会議の結果・とりあえずタマモに手を出さない事が決定


(よし!気を取り直して、何でこうなったのかを確認しよう)
タマモを起こさないよう寝た態勢のまま天井を見てみるとまず自分のアパートでない事が発覚、しかし見覚えはある天井である。

(もしかして事務所の屋根裏部屋か?だったらタマモがいるのも頷けるけど、そしたら何で俺がタマモのベッドに一緒に寝てるんだ?)
下手をすれば、自分はタマモに夜這いしたという可能性をごまかすように必死に昨夜の記憶を呼び覚ます。

(たしか昨日は事務所で宴会が開かれて・・・当然美神さん、おキヌちゃん、シロがいたよな。ハイペースでお酒を飲んだ美神さんが酔っぱらって酒をすすめてきて・・・それで酔い潰れちまって・・・その後どうした?まさか本当にタマモとやっちまったのか?)


◇第2回脳内会議◇【出演・前回と同じ】


「横島さん!私というものがありながらタマモちゃんに手を出すなんて・・・そんな・・・私・・・私・・・」

「お前と横島は何でもないだろうが!何が私という者がありながらだ」

「そうなのね〜。いつもいつも飛びかかってくる横島さんをどついてるくせに」

「あれは照れ隠しですよ。横島さんがもっと強引に来て下されば、私は・・・」

「そんなんだからあんたはダメなのさ。私みたいに自分から横島を襲うくらいじゃないとね」

「私はあなたの様なふしだらな女性ではありません!」

「喧嘩するのは結構だが、横島の方はどうするんだ?このままではタマモとかいう小娘の物になってしまうぞ」

「簡単なのね〜。寝てる間に『忘』の文殊を使って記憶を消しておけば万事解決なのね〜」

「確かに良いアイディアだが、お前ホントに神族か?魔族並の悪どい考えだぞ」

「そ、そんな事ないのね〜。私は純粋な神族なのね〜。ねっ?」

「・・・・・・・・・」

「ちょっと・・・何で黙ってるのね〜。誤解を解いてなのね〜」

「・・・・・・・・・」

「この二人は放っておいて・・・とりあえず横島、文殊だ。文殊を使いな」


◆脳内会議終了◆


◎会議の結果・文殊で証拠隠滅


(よ、よし!それでは・・・)
『忘』の文殊を造る。さきほどのタマモの裸で煩悩エネルギーは満タンなのですぐ出来た。

そして文殊をタマモへと近づける横島
しかし、すぐにその手は止まってしまった。
(本当にいいのか?やっておいてその記憶を消すなんて・・・いや、いいわけない!そんなの最低のクソ野郎のすることだ。ここは責任をとるのが男というものだろう)
文殊をポケットに入れ、タマモが起きるのを待つ。

(あれ?ポケット?ということは俺は下を履いている。・・・よく考えたら、責任をとる前に確認しておくべき事があるんじゃないか?)
自分が本当にタマモとしてしまったのかを確認するために視線を下に向ける。
(よかったぁ。タマモも下は履いてるみたいだ)
一応これで最悪の状況を抜けだしたと安心する横島

タマモとした可能性が極めて低くなったことに安心した横島に睡魔が襲いかかってきた。
(タマモもすぐ起きそうにないし、もう一眠りするか。恥ずかしいだろうから一応タマモに背を向けておくか)

クルッ
ふにゅっ
振り向いた瞬間、先ほど手で掴んだ物と同じ感触を鼻先に感じた。

(これはさっきの・・・でもタマモは後ろにいるし・・・ということは)
ここは屋根裏部屋、タマモの他にいるとすれば、一人しかいない。

「ぐはぁっ!?」
(シロか!?)
タマモの反対側にはシロが眠っていたのです。こちらも下は履いているのですが、やはりタマモと同じく上半身は真っ裸だったのです。

(なんなんだ。この状況は・・・!?なんで三人が一つのベッドで寝てるんだ。しかも三人とも上半身裸)
いまだかつてない危険な状況に戸惑う横島


「うぅ〜〜ん」
グイッ!!
ビクッ!?

横島が頭を抱えていると寝惚けたタマモが横島を自分の方に向けて抱きついてきたのです。

どきどきどきどきどきどきどきどきどきどき
横島の心臓が今まで聞いたこともないくらいのスピードでリズムを刻んでおります。

(落ち着け!落ち着くんだ!『まだ』やましい事は何もしてないんだ)

ふにゅう
横島の顔にタマモの小さいながらも柔らかい胸が押しつけてきます。
横島は未だに気付いてないが、実はタマモは起きております。当然シロも


〜横島が起きる数分前の出来事〜


昨夜美神に酒を飲まされてソファーでダウンしていたタマモとシロはほぼ同時に目を覚まし、あらためてベッドで寝るために屋根裏を目指す。二人はまだ身体がだるいのかのろのろと屋根裏へと上ってきた。
そこでベッドで寝ている横島を発見したシロが

「あっ!先生が拙者に夜這いに来てるでござる!ふつつか者でござるが、早速夜伽をせねば」
そう言って横島に抱きつこうとしたシロを
ガシィッ
素早くタマモが捕まえる。

「何をするでござるか!せっかくの拙者と先生の初夜を」

「もう日が昇ってるから夜じゃないわよ」

「そうか!すでに朝でござるな。夜だと初夜・・・ということはこの場合は初「ちがう!チガウ!違〜〜う!!!」

「何をそんなにムキになってるでござるか?」

「・・・もういいわ。それよりもヨコシマは私のベッドに寝てるの。わかる?つまりヨコシマは私の所に夜這いに来たのよ」

「断じて違うでござる!きっと先生は拙者のベッドとタマモのベッドを間違えたのでござるよ」

「そうかしら?」

「そうに決まってるでござる!」

「それじゃあ、こうしましょ。今から二人で眠った振りしてヨコシマを誘惑してヨコシマが手を出してきた方の勝ちね」

「その勝負受けてたつでござる。ところで先生は今横向きに寝てるみたいでござるがどっちが前側でござるか?」

「私のベッドなんだから当然私が前側よ」

「そんなのズルイでござる!拙者が前側でござる」

「な〜んだ、シロは後ろ側じゃ私に勝つ自信がないんだ。いいわよ、私が後ろ側で勝ってみせるから」
そう言ってタマモが横島の後ろ側に回ろうとするが、シロがそれを止める。

「い〜や、拙者が後ろ側に回るでござる。ちょうどいいハンデでござるよ」

(かかったわね)
「・・・そう。それじゃあ、お言葉に甘えて前側に寝させてもらうわ。いい?くれぐれも起きてるってバレちゃダメよ」

「わかってるでござる」

「それじゃあ、いざ尋常に・・」

「「勝負!!」」


〜そして現在に至る〜


(落ち着け、俺ーー!!・・・・・・
ふにゅ ふにゅ
・・・・・・・・・無理)
反則的な柔らかさに1秒でギブアップ!!

(・・・もしかしてタマモの奴起きてるくせにわざとやってるとか)
押しつけてくる胸を退けてタマモの顔を見る。

すーーーっ すーーーーっ

そこは流石に古来から人を騙すことにかけてはタヌキと双璧をなす狐なだけにタヌキ寝入りならぬ狐寝入りで横島をあざむきます。

(寝てる・・・みたいだな)

まったく疑いどころのない完璧な狐寝入りです。
もちろん横島が気付くはずもありません。

むにゅっ
後ろからシロが横島に抱きついてきて、背中に胸を押しつけてきました。
もし横島が後ろを振り返ることができてれば、顔を真っ赤にしているシロを見てシロが起きていることに気付いただろう。しかし残念なことに前と後ろから押さえられているため振り返ることはできません。


◇第3回脳内会議◇【出演・前回のメンバー+どこかで見たことあるような魔族3姉妹】


「ヨコシマ、負けないで!いくらなんでもそんな小さな女の子に手を出すなんて許さないわよ!私、そんな人を父親だなんて認めないからね」

「そうでちゅ!そんな小娘がいいんだったら、わたちでもいいはずでちゅよ」

「いいわけないだろ?ここは愛しい者を亡くした者同士の私が妥当だと思うんだけど・・・」

「お前達は急に出てきて何好き勝手言ってるんだ!既に横島は私のものという事で決定したのだ」

「いい加減なことを言わないで下さい。私は横島さんに初対面で服を脱がされそうになったんですよ!」

「そんなこと言ったら私は初めて会った時に横島さんの所有物って言われたのね〜。だからもう私は体も心も横島さんのものなのね〜」

「だからぁ、私は横島とディープキスをしたんだから私が一番横島に好かれてるんだよ」

「「「あれは不可抗力でしょ(だろ)(なのね〜)!!!」」」

「ヨコシマったら、そんな事してたわけ・・・でもそれは私と出会う前の事だもの。信じてるわ、ヨコシマ」

ふにゅ ふにゅ(タマモが胸を押しつける音)

「ヨコシマ、なんてだらしない顔してるのよ!気をしっかりもって!相手は少女よ」

むにゅ むにゅ(シロが胸を押しつける音)

「ヨコシ『 ふにゅっ   むにゅっ 』


◆脳内会議強制終了◆


◎結論・出ず


ただいまの横島の状況を確認すると、タマモが横島の顔を両手で抱え込んで胸を押しつけていて、シロが横島の首に手を回して、横島の裸の背中に胸を押しつけているという他人が見たら鼻血と吐血による出血多量で致命傷になること間違いなしという状況です。

どきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどき
横島の心音はさらに加速し、爆発するんじゃないかという感じです。

それでもタマモ&シロの魅惑の攻撃は続きます。

ふにふに
むにむに

『父さん、母さん、お元気ですか?忠夫です。今僕は上半身裸の美少女二人に前と後ろから挟まれる天国という名の生き地獄にいます。
もちろんまだ手は出していません!しかし今から出してしまいそうなわけで・・・。次に僕の事を知るのは少年Aとして紙面を飾ってる僕かもしれないわけで』

もはや理性の限界がきたのか、非常に危険な状態に陥る横島忠夫
そしてついに横島は二人に襲いかかろうとする・・・


◇第4回緊急脳内会議◇【出演・初めてできた恋人1名】


「ヨコシマ・・・・・・・・・・・ぐすんっ」


◇緊急脳内会議(?)終了◇


結論・恋人を泣かせちゃダメ!!


「・・・・・・・・・・・・はっ!危ない危ない。もう少しで紙面を飾る所だった。」
(しかし、どうする?よく考えるとこの状況で手を出せば紙面を飾るよりも前に美神さんによる確実な死!!
しかしこの状況を耐えれるような異常な精神力は俺にはない!どうすれば・・・)
なんとか持ちこたえ、どうすればいいか必死に悩み続ける横島

しかしそれをあざ笑うかのように二人の美少女は艶めかしく抱きついてくる。

(タマモ、胸を顔に押しつけるなぁ!シロ、耳に息を吹きかけんといて!!
誰か助けてくれーー!!!いや、やっぱり助けんといて・・・・・・じゃなくて!あ〜もう、俺はどうしたらいいんじゃーー!!)

横島の心の叫びは天に通じたのか通じなかったのか小一時間誰の助けもありませんでした。

そして小一時間経った後、天国という名の生き地獄は二人の美女によって本物の生き地獄に変わったことは言うまでもないだろう。


       【おしまい】


   《あとがき》
どーも、殿下でございます。
今回の話は「前門の虎、後門の狼」ということわざから考えたものです。ちなみに意味は、「一難去って、また一難」です。
会議に出てくる女性陣はあえて名前をふせましたが、誰が誰だかわかりましたでしょうか?

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