ザ・グレート・展開予測ショー

過去と現在(いま)


投稿者名:フォルテッシモ
投稿日時:(04/ 5/11)

「ここはどこだ?」

状況がわからないまま辺りを見渡した。ジェットコースター、観覧車、お化け屋敷その他色々なアトラクションがあった。どうやら遊園地にいるらしかった。

「さっきまで自分の部屋にいたはずなんだがなぁ」

なぜ自分は今ここにいるのか、これからどうしたものか考えてみる。

「ヨコシマ!」

考えがまとまらないのでとりあえず遠いすがりのきれいなお姉さんをナンパしようとしていたらどこからか自分を呼ぶ声がした。

「!!」

声のしたほうを振り返ってみる。

「ルシオラ!!」

そこにはルシオラが立っていた。

「久しぶりね」

「ああ、でもどうして・・・」

そう、ルシオラはあの時死んでしまったはずだ。自分を助けるために・・・

「ここはねヨコシマ、ここはあなたの夢の中なの」

横島の疑問に彼女はそう答えた。

「俺の夢の中?」

「そう、だから本当のヨコシマは今頃眠っているわ」

「そうか夢か・・・」

ルシオラが生きているのかと思った。しかしそうではなかった。これは自分の見ている都合の良い夢なのだった・・・あの時の事が脳裏をよぎる。ルシオラが消えてゆくのを見ているとことしかできなかったあの時のことが・・・

「ねぇ、せっかく久しぶりに会えたんだからデートしよ?」

そんな考えを察したのだろう、横島の腕に自分の腕をからませ少し甘えたような口調で言った。

「・・・・・ああ、そうだな」

少し何かを考えたあと横島は誘いをうけた。その顔はやさしく微笑んでいた




時間はあっというまに過ぎた。(夢の中なのでどのくらいの時間かはわからいが)
気が付くともうすぐ日が暮れようとしていた。

     ふたりはベンチに座っていた

「たのしかったね」

「ああ、楽しかったな」

そう答えた横島だが表情には曇りがあった。

「どうかした?」

横島のが浮かない顔をしているのを疑問に思いきいてみた。

「・・・」

しばらく黙っていた横島だったが意を決したように話し始めた

「俺・・・いま、おキヌちゃんと付き合ってるんだ」

アシュタロスの一件が終わって一年くらいが過ぎた頃だろうか横島とオキヌは付き合いだした。もちろんルシオラのことを忘れたわけではなかった。だが、ルシオラを失った悲しみを癒してくれたのはまぎれもなく彼女だった・・・。
怒るだろうか、悲しむだろうか、それともあきれてしまうかもしれない。

「うん」

だが、横島の予想に反しルシオラから出た言葉はそれだけだった。

「怒らないのか?」

「どうして?」

その口調はとても穏やかだった。

「だって、俺はおまえを裏切ってしまった・・・」

「気持ちは変わるものよ。私が敵だったヨコシマを好きになったように。それに悪いのは私、あなたの側にいることができない私が悪いの。だからヨコシマはおキヌちゃんを大事にしてあげて。私のことはたまに思い出してくれればいいから」

これ自分の本心なのか彼女自身わからなかった。ここにいる自分とてヨコシマの夢の産物にすぎないのかもしれないのだ。だが、今いる自分が夢の産物にすぎなくとも、今の言葉に嘘はない。そうであってほしい・・・

「そんなとこ言わないでくれ!ルシオラ!俺はいまでもおまえのこと・・・」

「だめよ!!それ以上はいっちゃだめ!」

横島の言葉をかき消す声でルシオラは叫んだ

「ルシオラ・・・」

横島がなにかを言いかけたそのとき世界がほやけた。夢が終わろうとしているのだ

「お別れの時間みたいね・・・とてもたのしかったわ。ありがとう。・・・さようなら」

世界と共にルシオラの姿もだんだん見えなくなったゆく。

                              ・・・
「ルシオラ!俺、必ずお前を転生させてやるから!だから!・・・またな!

叫んだ、力いっぱい叫んだ。横島の目からは涙があふれていた。

    ・・・
「うん!またね!

ルシオラの目からも涙が溢れていたが、その顔には笑顔が浮かんでいた





自分の部屋だった・・・どうやら眠っていたらしい

目が覚めたときなぜかやけにすっきりとした気分だった。

台所から「トントントントン」と包丁の音がしていた。そこで横島はおキヌが夕食を作りに来てくれていた事を思い出した。

「おはようござい・・・・どうしたんですか?」

おキヌが自分の顔を見て心配そうなにきいた

「え?なにが?」

おキヌは何のことをいっているのだろうか?

「だって横島さん泣いてるじゃないですか」

「え?」

おキヌに指摘され横島は自分か泣いていることに気付いた。どうして泣いているのだろう。自分でもよくわからなかった。

「なにか変な夢でも見たんですか?」

「夢・・・」

そういえば見ていた気がする。さっきまでのことなのによく思い出せない。でも、なにか大切なことがあったはずだ。

ふと、ルシオラの顔が浮かんだ。

  ああ、そうか・・・

夢の内容は思い出せなかった。だが、なにかを感じた。

「おキヌちゃん」

黙りこくっていた横島がおキヌを呼んだ

「はい?」

横島が自分をみている。その顔つきは大人びて見えた。でも、急にどうしたのだろうか。などと考えているうちに横島が言葉を続けた。

「おキヌちゃん・・・一緒に幸せになろう」

一瞬何を言われたのかわからなかった。
徐々にその言葉の意味を理解し、そして・・・


        「はい!!」


いままでみたことないくらいに最高の笑顔から出た返事だった

               おわり











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