ザ・グレート・展開予測ショー

らぶ・サバイバル 〜第6回〜


投稿者名:殿下
投稿日時:(04/ 5/ 9)


美神は冥子が壊した建物等々を弁償させられるのを怖れ、すぐに冥子を連れて事務所に戻っていた。

「それにしても冥子がこの大会に出場するなんて夢にも思わなかったわ」

「え〜〜、どうして〜?」

「だってこの大会に出場するってことは少なからず横島くんに好意を抱いてるってことでしょ?普段の冥子からしてとてもそんな風には見えないもの」

「私は前から横島くんのこと好きだったわよ〜」

「ええ!?そうだったの。でも何で?」

「だってぇ〜、初めて私のことを好きだって言ってくれた男の人ですもの〜」

「そ、そんな理由だけで?」

「そんな理由だけなんてひっど〜い。令子ちゃん」

「でもそんな理由じゃ普通は人を好きになんかならないと思うけど・・」

「私すごく嬉しかったのよ〜。私に声をかけてくれる人は令子ちゃんくらいしかいなかったし、同じ式神使いのマーくんですら私のこと怖がってるし・・それなのに横島くんは初対面で『ずっと前から愛してた』なんて言うんですもの〜」

「そういえばそんな事言ってたわね」
(初対面でずっと前からなんて・・とんでもなくおかしいこと言ってるわね)

「他の人にとっては何でもないことかもしれないけど、私にとっては本当に・・本当に嬉しいことだったの」
普段はあまり見せない真剣な表情を浮かべる冥子

「・・そうだったの。まあ、好きになる理由は人それぞれだしね。お互いに頑張って絶対に優勝しましょ!」

「うん!」
満面の笑顔で答える冥子

「さてと、ちょっと確認しておきたいことがあるの。冥子も付き合ってくれない?」

「ええ、いいわよ〜。でも、どこに行くの〜?」

「先生の所よ」

二人は美神の愛車に乗り、唐巣神父の教会へと向かった。
かなりのスピードで走ったためすぐに到着した。

「うっ、何この強烈な匂いは・・」

「ニンニクの匂いみたい〜」

「何でこんなに大量のニンニクが?ピートなんかひとたまりもないじゃない」
急いで教会の中へと入る美神
そこには・・・ニンニクで埋め尽くされた礼拝堂があり、その中心に見慣れた人物が倒れていた。

「先生!?」
ニンニクをかき分けて唐巣神父の所へと駆け寄る美神

「うっっ、美神くんか?」

「ええ、一体何があったの?」

「実は・・」

〜回想モード〜

「ピート君、今日はエミくんと約束があったんじゃないのかい?」
「いえ、ちゃんと断りましたから」

「別に今日は仕事もないし、断る必要はなかったのに」
「いいんです。僕みたいな中途半端な男にはエミさんは勿体ないですよ」

「そうか、君には君に考えがあるんだろうし、これ以上は何も言わないよ」
「ありがとうございます」

ガシャッ〜ン!!
「「!?」」
ドガガガガガガガガガガ
教会内に鳴り響くマシンガンの音

「先生、頭を下げてください。僕が
ベシャッ
喋っているピートにマシンガンから発砲されたらしき物体が直撃する。
「こ・・これは・・・う゛ああああぁぁ!!!」
ピートに直撃した物体、それは吸血鬼にとっては毒に匹敵するニンニクだった。
そのままピートは意識を失い、その場に倒れた。

「ピ、ピート君!」
頭を低くしたままピートに駆け寄る唐巣神父
スタッ
その眼前に何者かが降り立つ。
「ピートは今から私とデートに行くわけ。それじゃあ」
そう言ってその女性はピートを抱きかかえ教会から出て行った。
唐巣神父はいつの間にか強力な呪いをかけられていたため身動きがとれなかった。

〜回想終了〜

「・・というワケなんだ」

「なるほど、エミのしわざね。先生に呪いをかけれるほどの腕を持ってて、ピートを連れ去るような女はエミしかいないわ。・・それにしてもデートとか言ってたくせにこれじゃただの拉致じゃない」

「エミちゃん、大胆ね〜」
エミの行動にすっかり感心している。

「犯罪行為に感心してる場合じゃないわよ。とにかくこれでエミを大会に誘うのは不可能ね。犯罪をおこすほど本気なんじゃ、冗談でも大会に出場なんかしてくれないわ」

「そっか〜、残念ね〜」

「用事も済んだし、さあ、帰りましょ。今日は泊まってくんでしょ?」

「うん」

バタンッ
そして二人は何事もなかったかのように出ていった。ニンニクだらけの教会で呪いによって身動きがとれない唐巣神父を残して・・・


〜とある路地〜


先刻、美神に対して取った自分の行動を後悔し、ため息をつきながらトボトボと道を歩く一人の女性・・・おキヌちゃんである。

「はあー、あんな事言っちゃったけど、他に組む人なんかいないもんなあ。弓さんや真理さんは横島さんを賭ける勝負って聞いたら協力してくれないだろうしな・・」

おキヌの親友であり、常に力になってくれる二人でも横島忠夫の事に関しては力になってはくれないだろう。二人にとって横島は、『それほど霊力も強くなく、女性を見れば誰にでも声をかけ、上司であろうと美人ならばセクハラをし、彼女がいるにもかかわらず好意を持つ女性に思わせぶりな態度をとる男』という印象を持っているのだ。まあ、半分以上は当たってるのだが・・・
もしかしたらおキヌが一生懸命頼めば、二人は渋々参加してくれるかもしれない。しかし、それはできない。二人にはそれぞれ彼氏がいるのだ。もし横島を賭けての勝負なんかに出場したらいらぬ誤解を招きケンカをしてしまうかもしれない。他の女性ならば、そんな事など構わず頼むかもしれないが、彼女はそれができるような女性でない事は周知の事実である。しかし今はその優しさが仇となっている。

(やっぱり、事務所に戻って美神さんに謝って一緒に出た方がいいのかな。私一人じゃ、とてもじゃないけど優勝なんかできないし・・・)

おキヌが美神以外の女性と組む事ができないとあきらめかけていたその時

バッシャ〜ン!!
「きゃっ!?」
突然水をかけられてしまうおキヌちゃん

「ご、ごめんなさい。ちょっとよそ見して水撒きしてて・・あれ?おキヌさんじゃないですか?」
水をかけてきた一人の女性がおキヌの名前を呼んできた。

「えっ!?魔鈴さん。どうしてこんな所に・・」

「どうしてって、ここは私の店の前ですよ」

「あれ?いつの間にこんな所まで来ちゃったんだろ」
考え事をしている内に魔鈴の店の方まで歩いてきてしまっていたようだ。

「それより早く乾かさないと・・、店に入って下さい」

「ありがとうございます。でもお店営業中じゃ・・」

「いえ、今は改装中で休みなんです」

そう言われ店のドアを見てみると確かに改装中のため休業しますという紙が貼ってある。

「そうだったんですか。それじゃあ、お邪魔しますね」
魔鈴と一緒に店の中に入るおキヌ


〜魔鈴の店〜


「はい、タオルです」

「ありがとうございます」

「いえ、悪いのはこっちなんですから・・本当にすいませんでした」
深々と頭を下げる魔鈴

「いいんです。私も少し考え事をしながら歩いてたんで」

「そうだったんですか。あっ、これ着替えです」

「どうもありがとうございます」

「それに着替えたらちょっとおキヌさんにお願いがあるんですけど・・」

「あ・・はい。私に出来ることなら聞きますよ」

「ありがとうございます。それじゃあ、この濡れた服は乾かしておきますね」
そう言っておキヌの服を持って部屋を出ていく魔鈴

「それじゃあ着替えさせてもらおう。魔鈴さんってスタイル良さそうだし着れるかな・・ってこれは・・・」
魔鈴が持ってきた着替えを見て少し驚くおキヌ

〜着替え中〜

「似合ってますよ、おキヌさん」
部屋に戻ってくるなり、おキヌの姿を見て喜ぶ魔鈴

「そ・・そうですかね」
魔鈴と同じ魔女ルックのおキヌが少し恥ずかしそうに答える。

「ええ、とっても似合ってますよ。私とお揃いですね。良かったら差し上げますよ」

「あ、ありがとうございます」
(こういうのもたまにはいいかな。コスプレみたいで・・横島さんに見せたいな・・って、キャッ)

「どうかしましたか?」

「え?あ、いえ、そういえばお願いって何なんですか?」

「実はですね・・・おキヌさんに料理を教えて欲しいんです」

「えっ!?料理を教えるって、私が魔鈴さんにですか?」

「はい、そうですよ。おキヌさんに和食を教えて欲しいんです」

「和食ですか?」

「はい、プロとして恥ずかしいのですが、私、和食はあまり作ったことがなくて・・・。前におキヌさんの料理を食べた時にすごくおいしかったので是非とも私に和食を教えて頂きたいと思いまして」

「はい、私で良ければ別に構いませんけど・・・でも魔鈴さんのお店は洋食が専門ですよね?何で急に和食を?」

「実は・・・よく店に食べに来てくれる人が和食が好きだって言ってたんです。だから近い内にその人に私が作った和食を食べさせたいなって思って・・・」
魔鈴は少し照れくさそうにおキヌに理由を説明する。

(よく店に食べに来てくれる人で魔鈴さんがわざわざ和食を勉強してまで食べさせたい人って事は西条さんね。魔鈴さんたら、素直に言えばいいのに照れてごまかしてりなんかして・・・でも西条さんが和食好きだなんて意外だな。思いっきり洋食好きって感じなのに)

「そういう理由なんですけど、教えてくれますか?」

「はい、喜ん・・・で」
(そうだ!魔鈴さんみたいな魅力的な女性と出場すれば優勝できるかもしれない。断られるかもしれないけど、とりあえず頼んでみよう)

「どうかしましたか?」

「あの・・・魔鈴さん、一つお願いがあるんですけど」

「お願いですか?私が力になれる事でしたら何でも言って下さい」

「あの、実は・・・」

〜会話省略〜

「優勝したら横島さんと一緒に・・・」
おキヌから勝負の話を聞き、魔鈴は何か考え事をしている。

「はい、そうなんです。ですから魔鈴さんに私と一緒にその大会に出て欲しいなと思って・・・ダメですか?」
先ほど彼氏のために和食を勉強しようとしていた女性に他の男性をめぐる勝負に誘うなんてちょっと無神経だったかなとあきらめかけるおキヌに魔鈴が
「わかりました。おキヌさんと一緒に出場します!」

「ホントですか?ありがとうございます魔鈴さん」

「いいえ、お礼を言うのはこっちの方ですよ。和食を教えて頂けて、しかもその人に食べさせる機会を与えて下さって・・・」

「え?今なんて?」

「だから和食を食べさせる機会を下さって」

「も・・・もしかして魔鈴さんが和食を食べさせたい相手って」
おキヌの脳裏に一抹の不安がよぎる。

「はい・・・横島さんです。・・ぽっ」
頬を赤らめながら答える魔鈴

(まさか魔鈴さんも横島さんの事が好きだったなんて・・でも西条さんは?)
「でも魔鈴さんは西条さんと付き合ってるんじゃないんですか?」

「私が西条先輩とですか?いいえ、それは誤解ですよ。私と西条先輩はそんな関係ではありませんよ。それに私は西条先輩のことは先輩として尊敬はしていますが、恋愛感情みたいなものは全っっっくありませんよ」
魔鈴が必要以上に西条に恋愛感情が無いことを強調する。

「そうなんですか・・」
全くライバルだと思ってなかった女性がいきなりライバルということがわかり、落胆するおキヌ

「どうしたんですか?なんか表情が冴えないですけど・・」

「いえ、そんなことありませんよ。あの・・一つ聞きたいんですけど、魔鈴さんは横島さんのこと好き・・なんですか?」

「・・・・・・はい」
少し恥ずかしがりながらもしっかりとした表情で答える魔鈴

「どうして横島さんのこと好きになったんですか?全然そんな感じしなかったんですけど・・」

「えっ?えっと・・あの・・好きかなってハッキリと意識しだしたのは最近なんです。
前から横島さんはよくお店の方に出向いてくれてたんです。横島さんは私が作った料理を本当においしそうに食べてくれて、その内その顔を見ていると改めてお店を開いて良かったって思いでいっぱいになったんです。
そうこうしている内に意識しだしていて、先日のアシュタロス事件の時の好きな女性のために命を賭ける横島さんを見て・・それで・・」

「それで好きになったんですね?」

「は・・・はい」
魔鈴は耳まで真っ赤になっている。

(なんかどんどんライバルが増えてってるような気がするな。少し前までは私だけだと思ってたのに・・。落ち込んでる場合じゃないわね。魔鈴さんと一緒に優勝して、前の告白の返事を貰うんだから)
「魔鈴さん、一緒に頑張りましょうね!」

「はい」

「あの、言いにくいんですけど・・今美神さんの所に戻れなくて、大会までここに置いて貰ってもいいですか?」

「ええ、もちろん構いませんよ。その代わり和食教えて下さいね」

「はい、ありがとうございます」

こうして家事全般なら向かう所敵なしの魔女&巫女チームが結成された。


       【つづく】


   《あとがき》
ども、殿下です。
今回は前回に言ったように第1回以降出番がなかったおキヌちゃん登場です。相方は魔鈴ということになりました。
次回は毎回名前だけは出てくるのですが、1回目から全く出番のなかったこの作品の中心人物である主人公・横島忠夫登場予定であります。

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