ザ・グレート・展開予測ショー

現世覚醒伝ONI(第8章後編)試練其之弐


投稿者名:Pr.K
投稿日時:(04/ 4/27)



 「では、これにて」
 ヴュン

 微妙な音を立ててモニターの電源が落ちた。
 「コイツもボロくなってきたのぉ」
 「じゃあ買い換えるとかして下さい」
 後ろに立っていた部下が文句を言ってくる。

 「7年以上前の、ろくにメンテナンスしてない通信装置がここまで持つということがおかしいんですから」
 そうは言われても
 「こんな田舎まで来る業者さんは少ないしのぉ」
 「だから!・・・・もういいです」
 苦虫を100匹ほど噛み砕かないとできない表情をする。
 やっとあきらめたか。
 これ以上新しいものはつかえんしのぉ、ワシ。

 「そういえば、下はどうなってるんでしょうね」
 「下か?さあなぁ、ワシにも分からん」
 そろそろ罠を抜け切ってるころじゃったな
 「試験官は誰にしたんです?」
 「彩蔵じゃ」

 ガンッ!
 部下が頭を機材に押し付けて煙を吐いている。何か悪いもんでもくったかの?
 「正気ですか御館様!!?」
 自分の上司を疑うとは・・・・嘆かわしい
 「首振ってないで!」
 「うるさいのぉ。当たり前じゃ、ぼけるには後70年早いわ」
 「何年生きる気だアンタ!!」
 「さあのう、それより何を危惧しておるのじゃ?」
 たいした問題ではないはずじゃがの。

 「今彩蔵さんメチャクチャ機嫌悪いのに!」
ほう?
 「それぐらいどうしたということでもなかろう?あやつなら「その原因が問題なんです!」原因?」
 なんかあったのかのぉ?
 「彩蔵さん配置に着くまで横島さんの資料確認したいからってこの部屋にいましたよね」
 「そういえばそうじゃったのう・・・で、それがどうかしたのか?」
 「御存知の通りこの部屋は常に最新の情報が優先的に保存されます」
 そのとおり。
 この部屋は情報・資料管理室にもなっている。
 もっとも、古文書等は倉にしまってあるが。

 「そこで入りたての横島さんの資料、オカルトジーメンが保管してたアシュタロスの乱時のやつを見てたんですよ」

 「そしたらだんだん纏ってる雰囲気が恐ろしいものに変わってきて、配置に着く時間には元に戻ってたけど・・・」
 彩蔵がのぉ・・・あの青年がらみでは感情を隠し切れぬか。
 「しかし何故それで不機嫌になるんじゃ?」
 「あの後僕もその報告資料読んだんですが・・・・」

 そしてワシは聞かされた。

 青年が見たもの、得たもの、失ったものの詳細を。




 「なんとも・・・激しい人生じゃのう」
 ここまで濃度が高い人生は聞いたことがないのぉ。
 「激しすぎますよ・・・何で生きてんですかねこの人は?」

 「それにしても・・・・・彩蔵が怒った原因はやはり」
 「このルシオラとかいう魔族の女性でしょうね」
 それしかないのぉ。
 「彩蔵さんのことを思ったら分かんなくもナイですけど」
 「ふむ・・・」

 「今頃全力で殺しあってんじゃないスか?」
 彩蔵が横島殿を挑発したらそうなるだろう、しかし
 「流石にそれはないじゃろ、暴走したONIは手に負えるものではないと分かっているじゃろうしの」
 「でも彩蔵さん青龍丸もっていきましたよ」

 ナンデスト?
 「貴様今なんとほざいた?」
 「いやだから、ありったけの忍具と青龍丸持って行きましたよ」
 ・・・・・・・・・・・さすがに、いや、まさか、そんなことは無かろうが・・・
 「一応どうなってるか、確認はしておこうではないか」
 「うぃっす、カメラ番号は・・・・022に合わせて・・・映像出します」

 ヴォン
 鈍い音を立てモニターに光が宿る、そこには・・・

 キィン、キィン、ガンッ!!


 「悪い予感的中ッスか・・・・」
 「あやつら・・・・」

 飛び散った忍具、握られた小刀
 鈍い輝きを放つ鬼丸 
 ぶつかり合う拳

 「「真剣に殺しあってどうする!?」」
 頭が痛いわい・・・

 「ちょっと行って来る」
 「急いだほうがいいッスよ」


***********************************


 「ウワッ!」
 小刀のラッシュを避けきった所につま先に膝を打たれる。
 体勢が崩れたのを狙い顎にアッパーが入る。
 そのまま浮いた所に首を狙い小刀が走る!
 「チッ」
 それを空中で身をよじりかわす
 着地した瞬間、またつま先が迫ってくるが右に小さく飛んでかわす。
 かがんだまま両足で足払いを打つ。
 両膝を曲げただけで飛びかわされるがこれは予測の内。
 足が彩蔵の真下にきた所で跳ね上げる!

 だがそこに小刀を振り下ろしてくる。
 やむ終えず蹴りを緊急停止させて左に払う。
 彩蔵の太ももに引っかかるが強引に払う。
 そしてその勢いを利用して手の力で左に大きく跳ぶ。
 彩蔵は追撃するかと思ったら俺とは逆方向に移動する。
 
 「貴様は不意打ちに関しては知恵が働くらしいからな・・・慎重にならせてもらう」
 コイツはさっきから自分が攻める時は不意打ちみたいなことしかしてこない

 1度目は煙玉をばら撒き、

 2度目は煙がある時にばら撒いたマキビシの上に誘い出したり

 オレから攻めようとする素振りを欠片でも見せると、手裏剣とクナイで牽制してくる。
 さっきは足元にロープが張ってあった

 おまけにチマチマと攻撃をくらったせいで全身には裂傷と青アザが。
 傷口からは血が少しずつ流れていて徐々に体力が奪われていく。
 
 所々に飛び散った手裏剣とクナイのせいで足場も悪い。


 ・・・・・・・最悪じゃん。

 「なあ・・・」
 「?」
 「見逃してくれない?」
 「却下」
 返事と共に手裏剣の雨が降り注ぐ。
 かわしきれない!
 こうなったら負傷覚悟してこっちから攻めるしか・・・

 手裏剣が過ぎ去った瞬間に鬼丸を構え彩蔵へ駆け出す!
 彩蔵は腰から2個の玉を取る。
 また煙玉か?
 開いた手でクナイを放りながらバックステップで離れようとする。
 それに追いすがるようにスピードを上げる。
 追いつきかけた瞬間彩蔵の玉から煙が出始める。
 玉がちょうどオレたちの間に落ちる。

 カッ!

 え?

 ドォン!
 玉がいきなり爆発する。
 わけも分からず吹っ飛ばされ、運悪く床に手裏剣とクナイが大量に突き刺さった所へ叩きつけられる。
 「いってえー・・・何で爆発すんだよ!」

 「煙玉と爆弾を同時に使っただけだ」
 不意に後ろから声がする。
 振り返る間もなく襟首を捕まれさらに叩きつけられる。
 「グハッ」
 そのまま手を捕まれ押さえ込まれる。
 鬼丸は・・・どっかに飛ばされたみたいだ

 「弱いな、いや・・・・殺す気で来ていないだけか」
 「殺す気って・・・、この年で人殺しはちょっと」
 むしろ今殺されそうだ。
 「そこまで腑抜けか?予想以上だ、いろんな意味で」

 「貴様はこの先必ず死ぬ、だからその魂が利用されないうちに・・・・殺す」
 ヤバイ!!マジだ!マジで殺す気だ。
 美神さんとキスもしてない、おキヌちゃんとデートしてない、雪之丞から金を返してもらってない!

 それに、
 ルシオラに逢ってない!!

 瞬間的に作れる文珠は1個、不完全なやつも1個
 ・・・・・いけるか!?

 「輪廻の輪に還れ・・・」
 空いた手で小刀を振り下ろそうと構えている。
 押さえ込まれた手を握り不完全な文珠を作り出す
 「?今更文珠を」
 そこに微弱な霊気を注ぎ込む

 プシューー
 「?何の音」ドバシュッ!!

 「な、なんだ!?」
 不完全な文珠は生成された後霊力をガス状に噴出し・・・

 バスンッ!!!
 衝撃のみの爆発を起こす!!
 霊力を込めたら威力も上がるし爆発までの時間も短くなる!!

 以前老師が言ってたのを覚えてて良かった〜〜
 煙は霊力のカスみたいなものだからジャミングにもなる!

 反動で彩蔵の拘束を無理やり解き右手に残った霊力を全部使って文珠を作る。
 動きが止まっている彩蔵に零距離まで接近する。
 空いた手で彩蔵を逃がさないようガッチリと掴む。
 「ちぃ!?」
 込める字は・・・
      「爆」

 ドォーーンッ!!!
 ちょっ、威力強すぎ・・・

 想像していたよりも大きい威力に吹っ飛ばされる。
 ガンッ
 頭を床にぶつける。
 「いってーー!」

 あー、意識が、飛ぶ。
 そう思った瞬間ブラックアウトする。

 片隅にオレをこんなとこに落としてくれた爺さんが見えたような?


**********************************


 「ホント派手にやったのぉ」
 忍具が飛び散り、床に穴は空き、まだ爆発のあおりが残っている。
 「当分ここは使えんなぁ」
 おっと、二人を回収せねば。

 横島殿は・・・おったおった。
 頭にコブをつくり気絶しておられる
 「頑丈なお方じゃなぁ」

 彩蔵は、爆発の中心にいた。
 流石に気絶している。
 「耐火・耐水・耐霊・耐魔・絶縁・防刃・防弾・おまけに頑丈とそろった服、それに青龍丸使ってこれか・・・・」
 最後のあれは流石に耐えれんわなぁ。

 2人を担ぎ、乗ってきたエレベーターにのる。
 便利じゃなぁ。

 さて・・・・・横島殿にどう説明しようかのぉ


後書き

 さて・・・彩蔵の衣装説明{黒色の、肩アーマー&爆弾・クナイ・手裏剣ホルダー付忍者服}
いや、描写忘れてたんで・・・・

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