ザ・グレート・展開予測ショー

地獄大作戦1『恐怖の育毛法』


投稿者名:核砂糖
投稿日時:(04/ 4/26)


「ホラ、司会あんたがやりなさいよ」

「え〜あたしぃ〜?」

「私〜自信ないから〜やっぱり〜あなたがいいと思うの〜」


「・・・・じゃあ、ぱ〜っとやるわよ!」
美神はマイクを振りかざした。

おぉ〜〜〜!!

ばばばばん!
クラーッカーがはじけとび、盛大に開会が終えられる。

ここはとある温泉。美神たちはそこの宴会室で宴会を開いていた。
畳の床に縦長の机が横たわり、数々の料理が並んでいる。

「マリア!タッパーを出せ。二週間分は確保しろ!」
「イエス・ドクターカオス」
そして開会と共に始まる戦い。
「こらうまい!こらうまい!」
「てっめぇ横島!それは俺が目ぇつけてたんだぞ!」
「飯ジャァアア!!」
「ガーリック系は無いですよね・・・」
「おお、主よ感謝します・・・」
「肉でござる〜」
「お稲荷さん確保!!」
「あ〜ん、ピ〜ィトォ〜〜」
会場はあっという間し修羅場と化した。
「まったく・・・なんであんなのばっかりなのかしら」
美神は部屋の端っこで一人ちびちびとワインを飲みながらぼやいた。
そして、すっと自分にかかった影に気づく。
「ま、彼らだからね」
「西条さん・・・」
キザったらしいロンゲをたなびかせ、西条輝彦が美神の隣に腰を下ろした。
「ま、とりあえず乾杯でもしないか?」
ニコリ笑う西条。
「いいわね・・・じゃあ何に乾杯する?」
「僕たちの未来・・・なんてのはどうだい?」
「何いってんのよ・・・」
照れたような声。
ちん、とグラスがぶつかる音。

「「乾杯」」

す〜っと紅の液体がボリュームある唇から流し込まれる様をじっと見つめる西条。

くくく・・・こうやってセンチメンタルなところを重点的につけばどんな女性であろうと少しは気に掛けるものさ。
こういうところでは経験の差が出るねぇ、横島君・・・。


横島と大差ない西条だった。


宴も終盤に差し掛かり、皆酒が入り始める。

なにげに未成年にまで酒が入り始めているが、あまり気にしないのが彼らの良い所か悪い所か・・・。
「ぴ〜とぉぉ〜〜〜」
「さっきと変わってないじゃないですかエミさん!」
ピートに纏わり着くエミの隣ではじーさんドクターがおっさん神父になにやら語っていた。
「でな、わしは言ってやったんじゃ。貴様らにくれてやる道具など無い!ってな」
「うんうん、わかりますよ。」
立場上酒が飲めない唐巣神父は寂しそうにオレンジジュースを飲みながら適当に対応している。
いろんな意味で危ない冥子は速攻で酔いつぶされ、部屋の隅で転がっている。

「・・・だからやめとけって言ったのに」
「「うきゅう・・」」
一方横島は見栄を張って慣れないアルコールを口にしたシロタマを寝かしていた。
「急性アルコール中毒なんかになったらシャレにならんぞ・・・」
ぶちぶち呟きながら二人の額に濡れタオルを被せてやる横島。その背後に誰かがやって来た。
おキヌである。しかも酒が入っているのか顔が赤い。
「よっこしまさ〜〜ん」
「おぉ!?」
そしていつもの清楚な態度はいずこへか。見ているほうも朗らかになる緩んだ顔で、いきなり横島の背中へと抱きついた。
「おおおおおおキヌちゃん?!」
はたから見ればおもわず呪ってやりたくなるシュチエーションだったが、突然の事に横島は思いっきり狼狽する。
その様子を見ておキヌはますます顔をほころばせる。
「ん、ふふぅ〜〜」
そしてうれしそうに横島に体を摺り寄せてきた。
「あああああ!!!太ももが、胸が、吐息がぁ!!」

だけどキャラがキャラだから襲えないぃぃ!!!!

横島は大量のは鼻血を噴出しつつ、喉と心の中で同時に絶叫した。



そんな様を、じぃっと見つめる目ん玉が二つほど有った。
その目ん玉は美神令子と呼ばれる人物の顔にくっ付いていた。

「どうしたんだい?令子ちゃん」
西条は突然会話から外れた美神に声をかける。
「・・・・なんか気に入らない。先の温泉でも入るわ」
そして彼女はすたすたと部屋を出て行ってしまった。
「あっ、令子ちゃ・・・・」
手を伸ばす西条だったが、黙殺されてしまう。


・・・・・どうやらキミとはそろそろ決着をつける必要があるようだねぇ・・・

西条の眼光が横島を射抜いた。


「ここまでやってるのに何もしてこないなんて・・・横島さん、私って魅力無いんでふか?」
「い、いや!そんなことは無いぞ。俺だって今にも襲っちまいそうなのをギリギリにおさえてて、現に俺の下半身は戦闘状態・・・・・・って何言ってんだぁ俺はぁああ!!!」
「うふふ〜そうなんでふか〜」











ムカッ






カポ〜〜〜〜〜〜ン・・・・

ここは名物の露天風呂。

周りをぐるりと自然岩で囲み、さらに山を一望できるところが売り。
温泉成分はおもに肉体疲労、肌の美容に効く。

現在は真夜中近くで、高く上がったお月様がなんだかワビサビでいい感じだ。

一流作家などはここで女湯でも書いてサービスするのだろうがこの小説の作者は三流であるがためにスポットは男湯に当てられる。


ガラッ×2
「ぬっ」
「むっ」

二つの扉が同時に開き、二人の野郎どもが顔を合わせた。
横島と西条である。

そしてほぼ同時にお互いの下半身へと目線を向ける。












判定中・・・・


















西条WIN!!!


「フッ、まだまだだね」
「おのれぇ・・・いつかか追い越しちゃる」

二人はくるりときびすを返し、限界までお互いから離れたシャワーで体を洗い始める。
横島が頭をガシガシ洗っている時、西条は丁寧に指ですくようにして髪の毛を洗っている。
しかもそのあとにはしっかりとリンスまでつけていた。
その様をジト目で見つめる横島。
「・・・・なんだね横島君」
「けっ」

やがて体も洗い終わり、湯船へと向かう二人。何故かタイミングはほぼ同じだった。

ぺた、ぺた、ぺた、・・・・

その時、横島がやや歩みを速める。
そして当然のことながら西条も歩みを速めた。

ぺたたたた・・・・


すたたたた・・・・

「うおぉぉおお!!」
「だぁぁあああ!!」

ズダダダダダダ!!!

湯船まで後五メートル。その時、西条が地面に足を取られた。
すってーん!
「うわっ!!」

「もらったぁ!!」

ざっぷ〜〜〜ん。

横島は湯船に飛び込んだ。

続いて西条がぶつけたところを押さえながら湯船に入る。



そんな西条を見て、横島がニヤリと笑う。

「ふんっ!だからどうしたというのだね!!」

「うけけけけ!」



横島WIN!!

注:風呂場で走るのは大変危険です。良い子は真似しないよーに。悪い子もね。


お互いを警戒しつつ、お湯で暖まる二人。
やがて、湯船につかる両者の間に次第に緊張が高まってきた。

次が・・・ファイナルラウンドになる。

その緊張が極限に達したとき、横島が立ち上がった。
慌てて構える西条。しかし横島は彼に背を向け、反対側に向かって歩き出した。

その方向には・・・・・女湯との仕切りの岩壁。

「やめたまえ横島君」
西条はあきれ果てた顔で横島の前に立ちふさがる。
「何言ってやがる。自分だってホントは見たいんだろ?」
横島は余裕しゃくしゃくだ。
「キミって奴は・・・・」
西条は一瞬頭を抱えたようなそぶりを見せ・・・次の瞬間には聖剣ジャスティスが一瞬前まで横島の居たところを一貫した。
「てめぇ・・・というかどっから出した!それ!!」
「そんなことはどうでもいい。それよりまだ覗くというのならキミのそのぶらぶらしてる気色悪いものをきり飛ばすぞ!」
西条は中段の構えで横島を睨みつけるが、横島は全くこたえる様子も無い。
「ほーお、できるもんならやってみな」
ぶーらぶーらぶーらぶーら・・・・。
「キミって奴は・・・・・・・・・もはや斬るしかないようだな!!」
西条は一気に全力で技を振るう。横島もハンドオブグローリーを構え応戦した。

きぃん!きぃん!きぃん!
ぶらぶらぶら。

「前から、キミの事が、大嫌いだったよ!」
「ああそうかい、俺もだよ!!」

きぃん!きぃん!
ぶらぶらぶら。

お互いに熾烈を極めた戦いが繰り広げられる。
しかも相手の攻撃がすべて股間狙いであるがために、一瞬の隙がその後の人生の全て(笑)を決めてしまう。
しかも丸出しで暴れまわるものだから二人ともぶらぶらゆれる。

気色悪いことこの上ない。

しばらく斬り合いが続き、やがて両者は一定の距離を取る。
「そろそろ決着をつけようか・・・」
「望むところだ!」

西条は剣を下段に構え、精神を集中する。
横島は両手に霊波刀を構えた。

二人が突進を始めたのはほぼ同時だった。

「はぁあああ!!」
「うぉおおお!!」



「令子ちゃん〜早く〜」
「だから私はさっき入ったから・・・」
「まあまあ、もう一回入ってもいいじゃないですか」
「おキヌちゃん・・・」
「私は入るワケ」
「うぉおお!!でっかい風呂でござる!!!」
「何興奮してるのよ馬鹿犬」

















「横島君一つ提案がある」
「何だ?」


「一時休戦といこうじゃないか」
「いいだろう」












文珠『覗』発動!





その後、仲良くマジックミラーのようになった岩に張り付いて目を血ばしらせる男が二人ほどいたそうな。



「イヤーええもん見せてもらった」
久しぶりに暴力に会わずに覗きに成功した横島はるんるん気分で服を着る。
その後、奮発して買ったフルーツ牛乳を一気のみ。
脱衣所を出ようとすると・・・
「西条・・・」

そして西条の手に握られていたのは・・・

ピンポンラケット。

そしてお互いにニヤリ笑いを浮かべる。

ニヤリ。←やるか?

ニヤリ。←いいとも。



こちらは卓球場。
横島と西条が真剣な面持ちで向かい合っている。

「じゃあ、行くよ!!」
西条がサーブを打ち込もうとするが、
「ちっと待て、ファイナルラウンドなら・・・・魂、賭けようや」
先ほどの覗きでパワー全開の横島の手に双文珠が現れる。
そして込められた文字に、西条は青くなる。
「そんなものを・・・まあいいだろう。かかってきたまえ!」

壮絶な戦いが始まった。

かかかかかかかかかかかかか!!
恐ろしい勢いで打ち返されるラリー。その速さは天才少女愛ちゃんを軽く越えていた。
いつしかラケットは使い物に無らなくなり、二人はお互いに霊波刀とジャスティスをラケット代わりに使っている。
「うらうらうらうら!!卓球のタダちゃんをなめるな!!」
「こちらとて、伊達にピンポンの貴公子をやってはいない!!」

バックハンド、スマッシュ、大技が連発する。その光景はオリンピック選手が見れば皆、次の日から練習などしなくなるだろう。
馬鹿らしくなるから。

「せいやっ!」
横島の弾いた珠がコーナーギリギリを捕らえる。西条はそれを何とか打ち返したが・・・
「しまった!!」体勢を崩す。
それを見た横島は歓喜した。
「もらった!

必殺・圧力スマッシュ!!!!」

ばかん!!

凄まじい勢いのスマッシュが西条めがけて飛来する。
西条にはそれがスローモーションのように見えた。

徐々に、回転しながら飛来する文珠。西条にはそれに込められている文字までもがはっきりと見えた。

アレを食らったら・・・

想像するだけで西条の背中に寒気がする。

・・・いやだ・・・・いやだいやだいやだ、いやだぁああ!!!!


奇跡か、はたや偶然か。がむしゃらに振るったジャスティスが文珠を弾く。

「「あっ!」」

文珠は弧を描いて飛んで行き・・・





「やあ西条君、横島君。卓球かね?私も混ぜてくれないか。はっはっは、実は私も若いころは・・・」



「「避けろ!唐巣神父―――――っ!!!!」」




「・・・ラケットの魔術師と言われ・・・・え?」

カッ!


文珠は発動した。








あまりの眩しさに目をつぶっていた神父はやがてうっすらと目を開ける。

「いったい何が・・・」
神父が歩き出そうとした瞬間、ばさばさと何か黒い物がが足もとに落下する。

「え?」




これは・・・・・毛?




慌てて自分の頭を触る神父。
しかしペチリと小気味いいおとがするだけで、あのいとしい感触は無い。



「あ・・・・あああ・・・・・」

神父は今起こった恐ろしい事が未だに信じられなかったが、足もとの文珠を見たとき、それは確信へと変わった。

『丸禿』


「うわぁぁあああああああああああああああ!!!!!」





膝を付き、頭を抱えたまま動かなくなる神父。







横島たちはおずおずと彼に近寄っていった。
「あ、あの〜〜〜大丈夫・・・じゃないっすね・・・」
「す、すみません唐巣神父!!この馬鹿がふざけたことをしたせいで・・・」
「あ、西条!てめぇ言い逃れか!!」
唐巣神父を尻目に横島たちは取っ組み合いを始めようとした。




が、


「くっくっく・・・・待ちたまえ」



いつもの優しい声。
しかし温かみは一切感じられない。


「君達には一つだけ、御礼を言わないといけないことがあるんだ。ん?」

思わず逃げ出そうとする二人の肩をがっしりと掴む。


――――――おかげで、若いころの熱情を思い出せたよ



唐巣神父の手が、完全に横島と西条をホールドした。








「「ぎゃぁあああああ!!!!!!」」
















そのころ、ピートはしつこいエミの追跡を何とかかわし、一人廊下を歩いていた。

「ふぅ、エミさんも悪い人じゃないんだけど・・・ちょっとついていけないなぁ」
ため息をつきながらひたひたと人気の無い廊下を歩く。

ところが、次の瞬間、背後に何か冷たいものを感じ、慌てて振り返る。

「っ・・・あれ?先生じゃないですか」

だがそこにいたのはいつものように温厚そうな顔をした唐巣神父だった。
「どうしたんだね、ピート君。やけに驚いて・・・」
神父はやはりいつものように暖かな笑みを浮かべている。とても先ほどの冷たい気配の持ち主には思えない。
「はぁ、僕にもさっぱり・・・」

ではさっきの気配はいったい・・・・

「って、ええ!どうしたんですかその頭!!」

ピートは己の恩師の変わり果てた頭を指差し叫んだ。

「ああ、これかね」
神父は自慢げに己の頭髪をつまんでみる。
「フサフサじゃないですか!!」
今の彼の頭は、後ろ髪をロングに伸ばし、それ以外はやや長めか?というヘアスタイルであった。
「最近の育毛剤って奴は進んでいるようでね。はっはっは」
「へぇ、よかったですね」
ピートは、はて、そんな話は聞いた事は無いな・・・などと心の中ででは思ったものの、信頼できる先生の言う事なのでその疑問は押し込める。
そして改めて恩師の全体像を見つめてみるが・・・・彼の右手の異常に目が行った。





「あれ?どうしたんですか、







何か、大量の髪の毛が指の間に絡まってるんですけど」


唐巣神父は慌てて手を後ろに隠す。
「あ、はっはっはっは・・・なんかだか、強く髪を洗いすぎたみたいだね。
・・・おっと、もうこんな時間か。君もそろそろ眠りなさい。聖職者が夜更かししてはいけないよ」
唐巣神父はそそくさとその場を去っていった。

なんだろう?
やけにそそっかしい彼の姿にピートは疑問を持ったが、やがて何か知られたくないことでも有るのだろうと判断し、そっとしておく事にして自分をその場を去った。






誰もいなくなったろうかで唐巣神父のおとした文珠が怪しく光る。




込められた文字は・・・・『移植』







その後、数ヶ月間。横島と意西条を見た者は・・・・誰一人いない。

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