ザ・グレート・展開予測ショー

悪魔は神か?(3)


投稿者名:雪男
投稿日時:(00/ 3/19)

「どうもワシは信じる気にならないんじゃがノー。あの話本当ですかの?」
「まあ隊長さんの言うことですから」ピートはタイガーに一応そう答えた。
「だがよ。タイガーが言うのも無理ないぜ。
 アシュタロスクラスの魔神に、そんな欠点本当にあるのか?」
結局参加した雪之丞も不信を募らせた
「“崇徳上皇の霊力は日本人以外には殆ど効かない”ですか?」
「そうだよ!
 第一ピートやカオスのオッサンならともかく、
 俺やタイガーにも効かないってのは何だよ!」
「そのことについては、君も説明を受けたのではないかね?」
「俺はその説明では納得できないと言っているんだ“日本人以外”の唐巣神父!」
「“本当の意味の異教徒にも効かない”か・・・」唐巣も渋い顔になった。
「結局純日本人、それも信仰や生誕地まで含めて日本人だという奴にしか効かない。
 何でそれで“魔神”なんだ?
 しかもだ、“あの”美神令子や“あの”横島には効くんだぞ!
 あの2人が天皇家に忠誠を誓っているなんてあり得るか?」
「まぁ、霊力が魔神級とは言っても、
 人間を土台にしているため限界があるってことじゃろうな
 崇徳上皇に日本人以外を祟る気がないって事じゃろう。
 とはいっても・・・・」カオスが天を仰ぐ
「・・・“俺は死後銅像に成っても嬉しくないぞ”か・・・」
雪之丞も天を仰いで呟いた
「なんです?それ?」
「あぁ。横島の旦那がな、アシュタロスの“逆天号”だかの中で、そう思ったんだと」
「でっですけど、あの時とは状況が・・・・」
「本気でそう思うかピート?
 あの隊長は誰の母親だ?
 本気で信じる気になるか?」
「いや、そう言われると僕もチョット・・・・
 でも唐巣先生まで巻き添えにはしないんじゃ・・ないか・・な・・」
ピート達は思わず唐巣を見詰めた
「美智恵君か・・・いや・・・私を囮には・・・そんな・・・」
さしもの唐巣も歯切れが悪い
「・・・猛烈に帰りたくなったんじゃがのー、帰ってはいかんのじゃろうか?」
「まあ無理だな、タイガー。
 お前はあの契約書にサインしたんだろう?
 お前ン所の所長が一言も言い返さなかったところを見ると、
 ありゃトンでもない術が掛かってるに違いないぜ」
「そういうお前だって結局契約したんだろう?」ピートが珍しく突っ込む
「俺が?馬鹿言うな。俺は普通に契約したんだ。契約条項もチョット違うぜ」
「何億で引き受けたんだ?」
「6億だ」
「少ないのか?」
「まあな、契約条項が違うから絶対って訳じゃないが。
 それに俺は、お前らと違ってヤバければ違約金で・・・お客さんだぜ」
「もうですか?この辺は除霊したのに・・・なんだ?雪之丞」
「・・・ピート、言っていることは解るけどな。敬語の使い方がめちゃめちゃだぜ。
 タメ口効くか、敬語にするかどっちかにしてくれ。」
「・・・日本語は難しくて・・・って、とりあえず奴等をなんとかしよう。
 あれは“トネリ”とか言うやつだ」
「強いんですかいの?」とタイガー
「“Guard”だそうだよ」とピート
「ガードマン?」とタイガー
「近衛兵のことさ」とピート
「なら大した事ないな」と雪之丞
「どうしてそうなる!!」とピート
「?近衛兵なんだろう?」と雪之丞
「“舎人”は“親衛隊”のことだよ」唐巣が口を挟んだ
「そりゃ大変だ」雪之丞も臨戦体制を取った
「日本にも色々あるのさ」唐巣はピートの肩に手をおいて呟いた
(帝国陸軍では大都市の兵(大阪<京都<東京)は弱いことで知られていた。
指揮官がお坊ちゃんばかりの近衛兵に至っては・・・言わないでおこう)

「片付いたようじゃな」カオスは洞窟を見回した
「私はもうへとへとだよ」唐巣は汗を拭った
「雑魚とはいえ、ああ一杯出ると大変だな」と雪之丞
「なんか弱いのばかりでしたね」ピートが合意した。汗一つかいていない
「先に行くほど弱い気がするんじゃがのー」とタイガー
「まあ敵が弱いのは良い事だよ。
 本隊が来るまでに“道”を作るんだから」
「そういえば崇徳上皇が父親に嫌われた理由ってのはなんじゃ」カオスが聞いた
唐巣は目をそらした。
「戦いに影響するかもしれない。俺も聞いときたいな」雪之丞も加わった
「・・・父親である鳥羽上皇は崇徳上皇のことを“おじご”と呼んでいたそうです。
 “叔父”である“子供”と言う意味で。
 しかもその事は当時の常識だったそうです」
「・・・ほっほう!
 日本の王家は尊敬に値すると思っていたが、本当に尊敬するべきじゃな。
 色んな意味で」唐巣の言葉を理解するとカオスは笑顔で言った。
「父親が嫌うのも無理ないのー」とタイガー
「・・・それは確かに自分の責任じゃねえな・・・」
 雪之丞の顔は苦虫を噛み潰したようだった。

(あまりに非道徳的で理解できない方へ
  公式の系図
   白河天皇72
     |
   堀川天皇73
     |
   鳥羽天皇74
     ├――――――┬――――――┐
   崇徳天皇75 近衛天皇76 後白河天皇77
                   |
                 二条天皇78

  実際の系図
   白河天皇72
     ├――――――┐
   堀川天皇73 崇徳天皇75
     |
   鳥羽天皇74
     ├―――――――┐
   近衛天皇76 後白河天皇77
             |
           二条天皇78

 どうしてこうなったかというと。
 白河上皇が自分の養女に手を出し、愛人にし(年齢差50才)
 その愛人を自分の孫の后にして、その後も関係を続けたからです。
 (白河上皇は歴史上指折りの政治家、歌人であり、日本一の金持ちでもあった。
  当然凄くもてた。だから双方の合意の上そうしたらしい。うーん)
 鳥羽上皇が崇徳天皇に譲位させ近衛天皇を即位させたのは、
 近衛天皇は実子でしかも后の子ではないからです。
 ちなみに鳥羽上皇は政治的には完全に無能であり、
 白河上皇の功績を無にする事にのみ熱心だったそうです。
 この辺りは天皇家御欠徳の証拠として、のちに徹底的に非難されました。
 (ある人から見てある人が父でもあり祖父でもあり曽祖父でもあるんだから凄いよね)
 また後白河天皇も白河天皇(当時は上皇)の子という説もあります。)

「まっまあ、この調子なら、夜半までに着きそうですね。
 僕達だけで封印できるかもしれません」ピートが話題を転換した
「それも良いだろうね。そろそろ先へ進もうか」
この時点で既に、雪之丞以外の4人は賞与のことしか頭になかった

「先生。封印しますか?」
「チョット待て!ピート!ひょっとしてここが目的地か?」雪之丞が慌てて確かめた
「そうだよ。一昨日美神さんが霊視して確かめたから間違いない」
「おかしいのではないか?しばらく雑魚さえ出なかったではないか?」
カオスが指摘する
「ひょっとしたら、外に出た後かもしれんのー」とタイガー
「とっとにかく霊視して確かめてはどうかね?」
先行部隊指揮官である唐巣にとって、
的確な指揮が出来たかどうかは賞与の額の係わる重大問題だった
「バンパイヤミスト!」
ピートが霧となって付近に広がる
「では、カオス式霊魂探知機で」
カオスはアコーディオンのような装置を操作した。
「おお!反応があったぞ」とカオス
「それで強さもわかりますか?」唐巣が勢い込んで質問した
「もちろんじゃ、特に強い反応が4こある」カオスが得意そうに言い放った
「・・・それって俺達じゃねえか?」雪之丞があからさまに不信の視線を送った
「・・・そっそうじゃな。じゃが弱い反応が周囲全てから・・・」
「・・・それはピートさんじゃないかのー」今度はタイガーが指摘した
「・・・!反応が変わったぞ!!11時の方向に強い反応が現れよった!!」
「ピート。どうだった?」雪之丞はカオスを無視した
「この部屋には悪霊の欠片もありません。・・・カオスさんはどうしたんですか?」
カオスは座り込んでいじけていた
「今チョット話し合いをしていてね・・・崇徳上皇が居ないのは確かかね?」と唐巣
「はい。この部屋には。・・・ただ前方の壁に隠し扉があります」
「おお!その先に反応があるぞ。かなり強め!距離は30m位じゃ!!」
カオスは一瞬で立ち直った
「タイガー、精神感応で確かめられないか?」と雪之丞
「強い悪霊だとこっちが取り込まれてしまうんでのー。残念じゃが・・・」
「ピート。隠し扉の開け方、解るか?」と雪之丞
「そこまではチョット・・・」
「しょうがないな。バンパイヤミストで中に入ろう。何人連れて行ける?」
「2人・・かな」
「雪之丞君あのね、この部隊の指揮官は・・・」
「2人か・・・俺と唐巣神父でどうだ?」
「ふん!ヨーロッパの魔王と呼ばれたこのDr・・・」
「先生とお前か・・・そんなところかな?先生もいいですか?」
「・・このDrカオスを忘れて・・・」
「まあ妥当なところだろうね。タイガー君Drカオスを・・・」
「任せてくだい!帰ってくるまで守りますけ、気ーつけて行ってくだせー」
「はん!そんな小僧に守ってもらう・・・」
「じゃあ2人とも僕に捕まって。じゃあタイガー、カオスさんをお願いするよ」
ピートたちは霧となり隣室に消えていった

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