ザ・グレート・展開予測ショー

寒い場所で熱い思い出を


投稿者名:TRY
投稿日時:(04/ 4/21)


「ふぅ、疲れたわね。横島、休憩しない?」

「あぁ、そうだな・・・ちょっと休むか」

冷たい空気が辺りを満たしている鍾乳洞の中、仕事が終わって地上に向かう前に少し休憩しようと私と横島は近くの岩に腰を下ろす。

(う〜ん、もっと近くに座ってくれていいのに)


今回の仕事は、私と横島の二人でイベント開催が予定されている鍾乳洞の奥に住み着いた妖怪の除霊。

他の事務所のメンバーは、同時に依頼されたもう一つの方に向かっている。

ちなみに美神が向かった方には温泉があるらしい・・・

その時点で横島がこっちに来るのは確定だったのよねぇ。

馬鹿犬は最後まで駄々こねてたけど、美神が荷物持ちとして引っ張っていった。


ここに住み着いていたのは子供連れの妖怪で、気温が高いのを苦手としていたらしい。

それが解った横島が必死に説得した、本当に傷だらけになって。

その妖怪も横島の熱意が通じたのか、別な気温の低い場所に移っていってくれた。。

(でも、移動する時用に〜って文殊を渡すなんて・・・そこが横島らしいんだけどさ)

ふと、隣にいる横島を見ると彼は嬉しそうにしている。

多分、今回の仕事で相手を除霊しないですんだのが本当に嬉しいんだろなぁ。

「横島? 嬉しそうだね?」

「ん? あぁ、随分前にも似たような依頼を美神さんが受けた事あるんだ。その時対象に なった妖怪が美衣っていう名前でさ、ケイっていう子供とと山奥で暮らしてたんだよ」

私はじっと横島の話を聞いている。 

「んで、人間に住処を奪われそうになったから、ちょっと悪さをしたんだ。
 その時、俺が美衣の側について美神さんと対立する形になったんだけど、
 結局美神さんのお陰で助ける事が出来たんだ。
 あの時は、殆ど何も出来なかったけど今回は・・・な」

「・・・うん。横島、頑張ったもんね♪ ねぇ、その時の話、もっと詳しく教えてよ」

「あぁ、いいぜ。あれはな・・・・」

私の知らない横島の思い出。

・・・ずっと前から横島の優しさは変わってない、その事が解るお話。

今回、横島の隣にいたのが私なのが、横島を手伝う事が出来たのが嬉しくてたまらない。





懐中電灯の光が辺りを照らす中

  くしゅん

私のくしゃみが鍾乳洞に響き渡る。

「おい、大丈夫か?」

「うん、平気よ」

うぅ、失敗した〜

春と言ってもいい時期なのに、最近暑い日が続いた為薄着をしてきたのだが、今日の仕事場ではこの格好は間違いだったとしかいえない。

仕事で動き回った為汗をかき、それが鍾乳洞の冷気で冷えはじめた。

寒いなら横島に頼んで「暖」の文殊を出して貰えればいいんだけど、さっきの仕事で文殊は打ち止め、今は私も霊力の回復中の為、狐火が出せないし。

どうしようかな、やっぱり疲れをおして直ぐに外へ出るべきかな? 

ちらっと見ると横島が心配そうに私の様子を見ている。

う〜ん、せっかくいい雰囲気だったのになぁ

・・・そうだ♪ 

「ねぇ、横島。ちょっと・・・」

私は座っていた場所から横島の隣に移動する。

「ん? 俺のGジャン貸して欲しいのか?」

それはそれで嬉しい事なんだけど、私の考えているのは違う。

大体それじゃ横島風邪ひくじゃない。

「んっとね、ちょっと動かないでね?」

「あ、あぁ?」

横島はさっぱり解らないって顔してる。

くすくす

「それじゃ、いくわよ」


   PON!!!


久しぶりに狐になったわね。

横島は何事かと目をまるくしている。

その隙に私は素早く横島の服に潜り込む。

「わぁぁぁ、な、なぁぁぁぁ!!?」

  ごそごそ

う〜ん、爪をたてないように気をつけて〜
 
   ごそごそ

服から顔を出して〜

「くぅ〜〜ん♪」
(これならいいでしょ♪)

すぐ近くに横島の顔がある

「な、なにしてんだぁぁぁぁ〜」

「くぅ〜ん」
(これなら二人とも暖かいでしょ?)

「と、とりあえず元に戻れ。あ、服から出てからだぞ?」

「くぅ〜ん・・・」
(駄目なの?)

私は横島の目を覗き込む為に顔を近づける。

「あぁ〜〜、何言ってるのか解らないけど。その目とその声で訴えないでくれ〜〜」

あ、ちょっとそんな暴れないで・・・

横島が首をぶんぶんと振りながら悶える。

そして、目で訴える為に横島の顔に近づいていた私に


  CHU♪


「「○×%!?#&△◇!!??」」


首を振って悶えていた横島の唇が・・私の唇に・・

そう認識した瞬間

「・・・いってぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

爪を立てちゃった。







 ペロペロ

ほむ、何かエッチだ。





じゃなくて〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜何考えてんのよ私

ばい菌が入ると困るからヒーリングしてるんでしょ?

真面目にやらないと

あの後、横島の服から抜け出した私は、人間に戻って直ぐにヒーリングを開始した。

だからもう傷は殆ど治りかけている。

「もういいよ、タマモ」

横島は優しく声で頭を撫でながらそう言ってくれる。

「ん・・・ごめんね、横島」

突然だったから私もビックリしたけれど嫌じゃなかったし、もともと横島の顔に近づきすぎた私のせいでもある。

「あぁ、気にすんな。俺も悪かったんだしな・・というより俺が悪い」

なに謝ってるのよ、横島

「・・・キス・・・嫌じゃなかったから・・」

「えっ」

小さな声で言ったから聞こえてなかったみたいだ。

「ううん、何でもないわよ。さ、休憩お終い、外に出ましょう」

横島の腕に自分の腕を絡ませて歩きだす。

「ちょ、ちょっと・・・」

「何? 腕組むの嫌?」

「嫌じゃない・・・って・・あぁぁ、違うんやぁぁぁぁぁ、そうじゃなくてぇぇぇ」

くすくす・・横島が言いたい事は想像ついてるんだけど言わせてあげない。

「何よ、嫌じゃないならいいじゃない」

さっきのキスを思い出すたびに胸が高鳴って私をおかしくする。




空気の冷たさなんて感じない

この腕が温かいから

もう寒さなんて感じない

ヨコシマの傍にいればこんなにも胸が熱いから

外に出て夏の暑さが襲ってきても

今の私の熱さにはかなわない




「な、なぁ? 怒ってないのか?」

横島がさっきから言いたかったのはこれだろう。

「怒る? 何で?」

「なんでって、いや、だから・・・」

横島がさらに何か言う前に




「ねぇ、ヨコシマ? 今度は狐じゃない時にキスしてね♪」



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ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました♪

さて、今回はタマモの甘いSSに挑戦してみましたが思ったより甘くならなくて・・・
実力不足を痛感しました(苦笑)


皆様、少しでも楽しんでいただけたでしょうか?
楽しんでいただけたのなら嬉しいかぎりです。

それでは、また次の投稿作品で






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