ザ・グレート・展開予測ショー

悪魔は神か?(2)


投稿者名:雪男
投稿日時:(00/ 3/19)

美神は美智恵の元からシロと玉藻を攫うように連れ出し、
唐巣、ピートにDrカオスとマリヤまで引き連れて、
再度ダンジョンに挑んだが横島の行方は遥として知れなかった。
カオスによると、横島と2人を分けたのは文殊の扱いに寄るもので、
“脱出”の余波を受けただけの美神とおキヌが瞬間移動した以上、
横島の行方は「異世界というしかない」としか判らなかった。
大本営の調査も横島に関する限り空振りに終わった。

「・・・と言う所が今までの大体の経過です」
美智恵はGSや政府関係者たちを集め説明した。
「・・・ピートまで使って、なにをコソコソしているかと思えば
ボーヤを行方不明にさせてたワケ。
その上除霊からは降りるなんて。
オタク、ホントにGSなワケ?」
「エミさん。美神さんたちも気にしてるんですからここは押さえてください」
「ピート♪ご免なさい。エミ言い過ぎたわ♪」
「(好きな男の前だとこうまで違うか)ゴホン宜しいかな。
こうゆう訳だから政府としては小笠原君にも美神・・・
えーICPOの美神隊長の元で除霊に加わって欲しい。
他のGSの諸君らもだ。
報酬は一人10億。前金は5億。働き次第で10億までの賞与を出す」
「一人10億!!」
「教会が修理できる」
「やりましょう!先生!!」
「マリアもか!当然マリアもだな!!」
「ちょっとカオス!あんた、私と契約したでしょうが!!」
「あー!!美神!貴様!この条件、先に知っていたな!!」
「成功報酬1億で躍り上がって喜んだのは誰!?」
「成功報酬ってことは失敗したら払わんのじゃろうが!!」
「除霊料金は成功報酬が当然よ!!」
「貴様の方は除霊じゃないじゃろうが!!それに前金無しじゃったろうが!!」
「代わりに、マリヤには一日2万、払う約束でしょう!!」
「ちょっと二人とも」美智恵は頭を押さえた
「マリヤには日給払って、わしには払わんつもりか!!」
「元々そうゆう契約でしょうが!!」
「いー加減になさい!!!!
今は会議中です!!!!」
「・・・続けても宜しいかな?
小笠原君は参加していただけるのかな?」
「そうね・・・引き受けてもいいワケ
ただし、呪術に関しては一切干渉せず、私に一任するのが条件なワケ」
「判った。
ただし、実務については美神隊長に一任してあるから、そちらと調整してくれたまえ」
「その条件でいいわ。よろしくね小笠原さん」
「エミで良いワケ。こちらからもよろしく」
「(とにかくアンタは私と契約したんだから、こっちに参加してもらうわよ)」
「(じゃがのー、5億は。家賃を払わんと大家のバーサンがうるさくってのー)」
「(ならせめてマリヤは私が使うわよ。イヤなら違約金を払うのね)」
「(マリアをか。・・・・それぐらいなら仕方ないのー)」
(変な条件だと思ったらそーゆーこと)おキヌは天を仰いだ
「Drカオスは」
「へっ?」
「Drカオスは参加していただけますか?」
「わしも参加させていただく。ただマリアは契約を結んでおるんで参加できん」
「それは政府としても残念です。
伊達さんは?」
「俺は少し考えさせてもらう」
「条件は大変良好だと信じているのですが?」
「勘・・みたいなものかな。なにか見落としている気がするんでな」
「判りました。では気が変わりましたら私か美神隊長にお申し出ください。
それでは参加していただく皆さんとは早速契約しましょう。
この契約書をお読みになってサインしてください」
「ここか!ここにサインすればよいのか!!」
「契約・条項・確認・中・・イエス・Dr・カオス」
「よし唐巣・・と」
雪之丞は薄目を空けて口の端で笑った
「・・・タイガーさんの分・・と・・・結構です。
これで契約が成立しました。
では美神さ・・美神隊長後はよろしくお願いします」
その官僚は契約書の束を抱えて逃げるように飛び出していった
「なんなワケ?いったい?」
「ちょっとママ。私はもう良いでしょう?」
「・・そうね後は報告書があるからいいわ」
「じゃあ、おキヌちゃんマリヤいくわよ」
「はい」「イエス・ミス・ミカミ」
「では会議を続けます」美智恵が宣言した
「今までに確認された情報から今回の霊障は大本営全体ではなく
900年前の天皇を祭った一角を中心に発生している事が判明しました。
よって今回の除霊は、この天皇霊の封印が目的となります」
「天皇の封印・・ですか?
僕が日本に来て知った限りでは、
天皇は日本の最高神官で霊障の原因とな・・・」
エミがピートを遮った
「まっマサカ900年前の天皇ってストク・・・」完全に顔から血の気が引いている。
「ストク?・・・崇徳上皇か!」唐巣も蒼褪める
「ストク条項ってなんじゃ?おぬし知っとるか?」
さすがのカオスも日本史には疎いらしい。だからってタイガーに聞くことないだろうに
「わしにもわからんケドノー、上皇は引退した天皇のことジャから・・・」
「ちょっとまってくれ2人とも。
美智恵君、崇徳上皇なんだね」
美智恵が頷くのを確認して、唐巣は説明を始めた
「崇徳上皇は900年ほど前の天皇で、法律上の父親に徹底的に嫌われた人でね
 色々あって反乱を起こしたこともあるんだが失敗し流刑に処せられたんだ。
 流刑後、自分の責任でないことで酷い目に会いつづけたとはいえ、
 上皇の身で反乱を起こしたことを反省してね、
 読み通しただけで僧侶がお祝いをするような長い経典・・・この経典を写経して
 願うと不可能が可能となると言われていた・・・を自分の血で写経したんだ、
 そして、日本の国と民そして皇室の平和と繁栄を祈った」
「?結局平和を祈った人なら霊障の原因にはならないんじゃないですか?」とピート
「それもそーじゃノー」とタイガー
「確かに解せん話じゃな・・・エミ。そんな格好でどうしたんじゃ?」
エミは這いながら扉に近づいていた
「あああ、万年筆を落としたワケ・・・」
「万年筆など使っとらんかったじゃろうが」
「・・・ボールペンだった・・・」
「エミさん。お気の毒だけど、逃亡も契約破棄もできないわ。
 さっきの契約書見たでしょう?」美智恵の冷静な声がエミの希望を砕いた。
「エミさんが逃げ出すような話ってわけですか」ピートが呟いた
「この話には続きがあるんだ」唐巣が続けた
「崇徳上皇は写経した経典を当時の政府に贈ったんだが政府は突き返した・・・
 反逆者を信じる気になれなかったんだろうし、不気味でもあったろう」
「不気味なのはわかる気もしますね」ピートは苦笑した
「崇徳上皇は帰ってきた経典に日本と皇室に対する、ありとあらゆる呪いを書き加え、
 発狂して死んだ」
「壮絶じゃノー」
「だが政府はその呪いを見て安心した。まさに不可能としか言いようのないこと・・
 例えば天皇の上に民を置くとか、戦争に継ぐ戦争が続くとかそんな呪いばかり
 だったからだ」
「それじゃあ、おぬしはなぜ逃げようとしたんじゃ?」
「その“ありえない呪い”は全て現実になったワケ」
「それもすぐにね」美智恵が引き取った
「“戦争に継ぐ戦争”がやっと終わったのは島原の乱が終結した17世紀、
 “皇の上に民を置く”が解けたのはやっと明治維新・・19世紀。
 もちろん明治維新前後から“戦争また戦争”だけどね」
「ああ、そして第二次大戦終結後は“皇の上に民を置く”ですか」とピート
「なるほどノー」とタイガー
「・・・凄まじい呪いもあったものじゃな
 ・・・じゃが、それほどの話が知られていないのはなぜじゃ?」とカオス
「崇徳上皇が父親に嫌われた理由も凄いのです。
 少なくても子供に聞かせられる話じゃありませんわ。
 それに、本物の魔王に喧嘩を売る度胸のある人間はまず居ません」美智恵が答えた
「魔王?仏教の経典を利用しただけじゃろう?」
「天皇が“現人神”だというのは、
 天皇は人間が神と交渉する場合の現人(あらひと:死者(しびと)と旅行者(まれびと)
 (と外国人)を除いた人間)の代表(神は“上”を意味する古代日本語。上位者、
 代表、象徴の意がある。ここでは元首、族長または最高神官、教皇を意味する)だからです。
 違う言い方をすると“天皇には全日本人の代表として神と交渉する権限がある”
 ということです」
「おまけに、神道の考え方では、崇徳上皇の様に恨みを残して死んだ人は神・・・
 判りやすく言うと悪魔・・・になるワケ」とエミ
「・・・“神”ってのは悪魔のことじゃったんですかいノー」とタイガー
「日本には元々“悪魔”という考え方がないの。
 強制力を持つものは全て“神”・・・
 “触らぬ神にたたりなし”というのは、日本の神が本来“祟りなす”存在だからよ。
 だから祭り上げて力を祟りに使わないように祈るのよ」美智恵が説明した
「そんな人に勝てるんでしょうか?」とピート
「霊障の規模から考えて、霊障の原因は崇徳上皇本人ではなく怨念の一部だけ。
 崇徳上皇本人だったとしても、力が一部しか使えない状態であると推測されるわ。
 今の所、周辺の怨霊を取り込んでいるだけです。
 人間や神魔に対する影響はほとんどありません。
 今なら、勝算は十分にあるわ」
「小竜姫達の助力は頼めないのか?」雪之丞が質問した。
「残念ながらキッパリ断られました。
 崇徳上皇はアシュタロスクラスの魔神なのでハルマゲドンが勃発するそうです」
「それでも本当に勝算が立つのか?」
(さすがは“ヨーロッパの魔王”だな、ただのボケじゃないのか)
雪之丞はカオスの声の鋭さに感嘆した。
「崇徳上皇の封印は歴代の日本政府の国家事業であり、豊富なデータがあります」
美智恵は力強く頷いた。
「ふむ、では予想される弱点と強みを聞かせてもらおうか」
カオスは心底楽しげだった。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa