ザ・グレート・展開予測ショー

竜の日々 〜呼び捨て〜


投稿者名:殿下
投稿日時:(04/ 4/19)



「忠夫様、忠夫様ぁ」
俺のことをこんな風に呼ぶ女性がいる。初めて会った時は、この女性と俺がこんな関係になれるなんて夢にも思わなかった。俺のことを一番最初に認めてくれた人・・・そして俺の最愛の人・・・小竜姫様


「忠夫様ってばぁ、起きて下さい。もうお昼ですよ」
小竜姫様が少し甘えた声で俺のことを優しく起こしてくれる。

「ふわぁ、わかりましたよ。小竜姫様」
のろのろと布団から起きあがる。ふと小竜姫様の方を見ると、何故か不機嫌そうな顔をしている。
プクーッという音が聞こえてきそうな程ふくれているのだ。まあ、ふくれてる顔もこれはこれで可愛いのだが、いつまでもこの状態では困るのでふくれっ面になっている原因を聞き出す。

「どうしたんですか?小竜姫様」

「なんでですか?」

「何がです?」

「なんで小竜姫『様』なんですか?」

「なんでって小竜姫様は小竜姫様でしょ」

「だから、何で結婚して3ケ月にもなるのに未だに私の事を呼び捨てで呼んでくれないのですか?」

「いや、だって今までずっと小竜姫様って呼んでたもんだから・・なんか照れくさくって」

「もう!私はあなたの妻となったのですから呼び捨てで呼んで頂きたいんです!」

「わかりましたよ。それじゃあ・・こほん・・小竜姫・・・・様」
意を決して小竜姫様を呼び捨てにしようと思ったのだが、やっぱり照れてしまう。

「もう!!」
さらに機嫌を悪くする小竜姫様をなだめようと
ちゅっ
いつものようにその可愛い唇を塞いだ。
こうすると大概の場合、小竜姫様の機嫌が直るのだ。まあ、少し卑怯な手ではあるが・・

「ん・・んん・・・ぷはっ・・ズルイです。いつもごまかしてばっかり・・」
口づけで少し顔を赤くしながらもまた頬を膨らます小竜姫様

「えっと・・すいません」

「もういいです!」

(あちゃ〜、やっぱり毎回の様にキスばっかしてちゃさすがに機嫌直んねえか・・どうしよ)
「機嫌直して下さいよ〜。そうだ!今日の夕食は小竜姫様の好きな中華料理でも食べに行きましょうか」

「・・・・・・」

「それと夕食の前にショッピングにでも行きましょうよ」

「・・・わかりました。それじゃあ、とりあえずお昼にしましょう」

(ほっ、何とか機嫌直してくれたみたいだな)

俺達は軽く昼を済ませ、出掛ける準備をする。
俺が準備を済ませて玄関の所で待ち始めてから30分経過したが、まだ小竜姫様は準備ができない。

「まだですか?小竜姫様」

「もう少し待って下さい」

「女の人って出掛けるだけで何でこんなに時間がかかるんだろう?・・・謎だ」

それから20分ほど経ってから小竜姫様の準備が出来た。
「お待たせしました。忠夫様」

「じゃあ、行きましょうか」

「はい☆」
2人で外出するのがよほど嬉しいのか先ほどの不機嫌な顔が嘘のようにニコニコしながら腕を組んでくる小竜姫様

2人で町へとくりだしたが、特に買い物をするわけでもなく、服を見たり、アイスを食べたりして、普通にデートを満喫した。
そして、そうこうしている内に日も落ちかけ、夕食時となっていた。

「そろそろ夕食にしましょうか」

「そうですね」
中華料理屋に入り、夕食を食べる・・・のだが、少し困った事になっていた。

「あ〜ん♪」

「小竜姫様、それはちょっと・・」

「あら、いつもしてる事じゃないですか」

「そうですけど・・」
周りの(特に男たちの)視線が痛い。小竜姫様は全く気にしてないようだが・・

「あ〜ん♪」
(確かに家で二人きりの時はいつもしているが、今は周りにたくさん人がいるし・・)

「あ〜ん♪」
(でも、ここで断ったらまた小竜姫様の機嫌が悪くなるだろうな・・よし!)
俺は覚悟を決め、小竜姫様に食べさせてもらう。

パクッ
「おいしい?」

「うん、おいしい」

「はい、あ〜ん♪」

「あ〜ん」
その後も小竜姫様の「あ〜ん♪」は続いた。


食事も終わり、俺達は今帰っている途中である。
「ふー食った、食った」

「おいしかったですね」

「でも俺に食べさせてばっかりで小竜姫様あんまり食べてなかったじゃないですか?」

「いいんです。私は忠夫様の幸せそうな顔が見られたからお腹いっぱいなんです」

「そ、そうなんですか」
これだけはっきり言われると少し照れてしまう。

「ああーっ!忠夫様照れてるんですか?」

「いや、別に」

「忠夫様・・かわいい☆」

「からかわないで下さいよ」

「ふふふ、さあ、早く帰りましょ」

「そうですね」

俺達は帰宅してすぐに風呂に入ろうとした。一緒に入ろうか?と言ったのだが、今日はダメです♪と軽く断られ、少しショックを受けつつも浴槽で今日一日の疲れを癒した。

「ふーっ、サッパリした。風呂空きましたよ、小竜姫様」

シーーーン

「あれ、どうしたんだろ?」
パジャマに着替え寝室へと行ってみると、
そこには静かに寝息を立ててぐっすりと眠っている小竜姫様がいた。

(疲れて寝ちゃったんだな)

俺はその横に寝転がり、小竜姫様の髪を撫でながら話し出す。
「小竜姫様・・・今幸せですか?俺と一緒になるために神界を追放されてしまって後悔してませんか?」
もちろん返事など返ってこない。

「時々、思うんですよ。俺なんかと一緒になるために神界を追放されてしまって・・・俺は小竜姫様に悪いことをしてしまったんじゃないかって・・今さらこんな事言っても遅いんですけどね」

「・・・・・・」

「でも・・・その代わり必ず幸せにしてみせます!今はまだ幸せといえるかわかりませんけど、きっと胸を張って幸せだと言えるように頑張りますからこれからも俺の側にいて下さい」
そして俺は小竜姫様がバンダナに口づけをしてくれた時の様に小竜姫様のおでこにそっと口づけをし、今まで照れて言おうとしても言えなかった一言を言った。

「・・・愛してるよ、小竜姫」
そう言って俺も寝ようとすると

「エヘヘヘ」
嬉しそうに小竜姫様が笑い出した。

「あれ!?起きてたの?」

「はい」

「い、いつから?」

「えっと、忠夫様が私の髪を撫でてくれた所からです」

「そ、そう」
(ほとんど最初からじゃん)

「それより忠夫様、もう一度最後の言葉を言ってくれませんか?」

「何か言ったっけ?」

「もう!意地悪です。でも・・・嬉しかった」
本当に嬉しそうな顔を浮かべる小竜姫様

(呼び捨てにしただけでこれほど喜んでくれるとは・・・)

「それより忠夫様、私は後悔なんて全くしてませんよ。私は自分の意志で忠夫様と一緒になることを望んだんです。それに今まで生きてきた中で今が一番幸せなんですよ」

その言葉を聞き、俺は小竜姫様を抱きしめ
「ありがとうございます。小竜姫様」

「忠夫様」

「ん?」

「もう一度呼び捨てで呼んでくれませんか?」

「それはちょっと・・」

「お願いですから」
ぎゅうっと小竜姫様が俺を抱きしめる。

「わかりました。一度だけですよ」

「はい」

ふーーーっ
一つ息をつき、先ほどの言葉をもう一度言う。
「愛してるよ、小竜姫。これからもずっと一緒にいてくれるかな?」

「・・・はい!!何があってもあなたのお側を離れません!」


       【おしまい】




  《あとがき》

ども、殿下です。またまた短編であります。
前回メインのルシオラに続きまして、今回のメインは初挑戦の小竜姫様でございます。
かなり性格が違うかもしれませんが、お許しを・・・。

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