ザ・グレート・展開予測ショー

散歩する理由


投稿者名:TRY
投稿日時:(04/ 4/18)

日曜の午前。

拙者は朝食をいただいた後、おキヌ殿にお弁当を作ってもらって

散歩に出る事にした。

「〜〜♪ いい天気でござる〜♪」

隣に先生は・・・いない

昨日の夜、先生は泊まりで仕事に行ってしまわれた・・・・女狐と一緒に・・・
今日の夕方には帰るらしいでござるが

(ひくひく)あ、いかんでござる。

(ひくひく)思い出しただけで頬が

拙者も一緒に行きたかったのに、付いていって良いのは一人だけなんて

しかも選び方がジャンケンなんて

・・・町内一周とかなら負けないのに





今みたいに先生が仕事や学校で散歩に行けない時、前はそんなに遠出はしなかった。

でも最近は

「今日はいい場所、見つかるでござるかなぁ・・・先生・・・」

こうして景色がいい所を探したりしている。

先生と一緒に見たいから

先生に元気になって欲しいから・・・

何故もっとはやく気づかなかったのだろう。

あの日、散歩の帰りに夕日を見る先生は・・・

父上を亡くしたばかりの頃の拙者に似ている雰囲気がしていた。

先生はきっと大切なモノを失ったんだ。

何時も皆に笑ってくれているから気づかなかった、なんて言いたくないでござる。

拙者は村の皆や先生達に励まされ乗り越えられた。

その先生が傷ついてるのに・・・拙者は何もしていない。

先生は、散歩に連れて行ってくれたり色々してくれているのに・・・

そう思った時、拙者に出来そうな事を必死で考えた。

お金もなく、気のきいたこともいえない拙者が出来そうな事。

そうして思い出した。

一度、散歩の途中で見つけた景色が綺麗で二人で見入っていた事があったを

その後ちょっとだけ先生が喜んでくれていたような気がしたのを

その時から『散歩の時、先生と一緒にいい景色を見る』というのを密かに心の中で誓ったのでござる。

ただ拙者に付き合って散歩をするんじゃなくて喜んで欲しい。

シロは今そう思っているのでござるよ、先生。





考え事をしながらだと時間が経つのは早いでござる。

知らないうちに風景が変わっていた。

時刻は・・・とりあえず、太陽が真上を通り過ぎてる。

お腹がすいたなぁと思って足を止めた。


  ぐぅ〜〜


と、とりあえずご飯にするでござる。

辺りを見渡して、おキヌ殿が作ってくれたお弁当を食べれそうな場所を探す。
 
少し歩いて辿り着いたのは

遊具も何もなく、ただ名前も知らない草花が広がっている場所。

「・・・いい場所でござるな」

安らいだ気がした。

柔らかな風が草花を撫でるように吹いている。

降り注ぐ日差しをさえぎる物は何もない。

張り巡らされた電線も高いビルも視界に入る事はなく、
ただ広くて青い空が広がっていた。




その場所でお弁当を食べ終え、ぼ〜っと寝転ぶ。

「ははは、本当に拙者は先生の事ばかり考えてるでござるな」

そう、寝転んでいても食事をしていても考えるのは先生の事。

でもそれは、嬉しい事のように思えた。

拙者が先生にして上げれる事なんて少ない。

何時も先生を想い、拙者が元気でありつづける。

そうすれば、少なくても先生がこれ以上悲しくなる事はないと信じたいから

でもそれは無理をしているわけでもないでござる。

先生が近くにいてくれるなら拙者は自然と笑える。

大好きだから・・拙者は先生の前では笑っていられるでござるよ。

まだ癒えない傷があるのならそれが治るまでお傍にいたい。

出来るならその後も・・・


「さて、そろそろ先生が帰ってくる時間でござるな。
 今度の散歩には先生をここに連れてくるでござる♪」











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あとがきのようなもの

ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました♪

今回はシロSSです。
横島君を連れまわすシロの気持ちがこんなんだったらなぁ〜というのから
このSSを書き始めました。

いかがだったでしょうか?
少しでも楽しんでいただけたのなら嬉しいです。

それではまた次の投稿作品で



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