桜の木の下で
投稿者名:TRY
投稿日時:(04/ 4/11)
さぁぁぁぁぁぁ・・・・
風が吹き桜の花びらが舞い散る。
月の光を浴びながら桜の花が大地を彩っていく光景。
遥かな昔から人を魅了してきたであろう光景。
その光景に私も魅了されていた。
そこかしこで繰り広げられる酒宴。
今日は毎年恒例のお花見が行われていた。
大勢の仲間が日々の忙しさ忘れ、この時を楽しんでいる。
「タマモちゃん、楽しんでる?」
「え? あ、うん」
私が声のかけられた方を見ると、
美神にお酒を勧められたのか、ほんのり頬を赤くしているおキヌちゃんがいた。
どのくらいの間、桜を見つめていたのだろう。
おキヌちゃんが横に来たのに気づかないほど熱心に見ていたようだし、かなり長い時間がたってるのかな?
私がふと周りを見ると
「こらうまいこらうまい」
「小僧、年寄りにゆずらんか」
「カオス殿こそ、そろそろ遠慮するでござる」
横島達は料理を競うように食べ、
「神よ、感謝します」
「先生、相変わらずなんですねぇ」
美神のお母さんは神父を哀れみ、
「横島君なんてねぇ・・・」
「そうだねぇ♪」
美神はお酒を片手に西条に絡んでる。
だけど西条は嬉しそうにしている。
まだ料理があるし酔いつぶれてる人がいない所を見ると
「・・・そんなに時間たってないかな?」
近くにある稲荷寿司が入ってるお重を近くに・・
「タマモちゃん、聞いてる?」
「へ?」
おキヌちゃんの目が据わっていた。
「うぅ〜、桜の花言葉って知ってる?って聞いたの」
「い、いいえ、知らないわ」
「桜の花言葉はねぇ、・・・・」
おキヌちゃんは同じクラスの人に聞いたの話を誰かに教えたかったようだ。
それにしても・・・・
おキヌちゃんが絡み酒だなんて聞いてないわよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ふぅ・・おやすみなさい。おキヌちゃん」
あれからおキヌちゃんにジュースと言って、お酒を飲ませるとおキヌちゃんは夢の世界に旅立った。
中途半端に酔っ払うとああいう症状が出るタイプがいるとは聞いた事あるけど・・・
私は気を取り直して再び稲荷寿司を食べる事に集中することにした。
「あれ? 横島?」
しばらくして、騒ぎのその中に一人足りない事に私は気がついた。
私は美神達に見つからないよう、そっと席を立ちあがる。
あちらこちらから酒の匂いが風に運ばれてくるが
私が横島の匂いが解らなくなる事はない。
私たちが宴会をしていた場所から少し歩いた所へと匂いは続いていた。
私は思わず足を止める。
そこには周りにある桜の木よりも一回り大きな桜の木があった。
まだ肌寒い空気にその巨体をさらし、それでもなお咲き誇る大きな桜の木。
周りの桜も綺麗けど、これは違った。
言葉で表すのがもったいないほどの風景。
私は誘われるように再び歩きだした。
ひらりひらり
ひらりひらり
「・・・綺麗だよなぁ」
私が後ろに立ったのに気が付いたのだろう、横島が桜の木を見上げながら呟いた。
私も横島の横に立って外灯と月明かりに照らされた桜の木を見上げる。
「精一杯花を咲かせようとしても、ちょっとしか花を咲かせることが出来なかったみたい だから・・・だから、ちょっとだけ手伝いしちまった」
文殊を見せながら横島はいたずらが見つかった子供のような顔をする。
横島は見上げた視線を下ろして
「無理やり咲かされたってこいつ怒ってなきゃいいけど・・・」
申し訳なさそうにそう言う横島を何とか励ましたくて
「桜は、春っていう短い季節の中でもさらに短い時間の間だけ一生懸命咲くから
綺麗なのよ・・・きっと」
顔が火照るのがわかる。
「だから、沢山の花を咲かせてくれた事に感謝してるわよ・・・多分ね」
言い切ったとたん私は視線を地面に向けた。
あうぅ、失敗したぁぁ。
思わず口から出ちゃったけど。
めちゃくちゃ恥ずかしいよぉぉ
私はゆっくりと横島の顔を下から覗くように視線を上げて・・・
ポン
爆発した。
視線の先には私に向けて横島が優しく微笑んでる。
桜の花びらが舞う木の下で
「あなたに微笑む」という花言葉を持つ花の咲く、この木の下で
私の大好きな人は私に微笑んでくれていた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
後書きのようなもの〜
どうもTRYです
春といえば桜です〜〜〜〜〜〜〜〜
ってなわけで桜を使ったタマモものを書いてみました。
いかがだったでしょうか?
楽しんでいただけたら嬉しいです。
前回作風をうんぬん言ってましたが、
しばらくはこのスタイルでいこうかと思います。
というよりこれ以外の書き方で書くと酷いものになってしまった・・・(しくしく)
では、ここまで読んでくださった皆様。
ありがとうございました♪
今までの
コメント:
- ほのぼのした話でとても良かったです。特に [ポン 爆発した] のところは情景がありありと浮かんできて思わず微笑んでしまいました。次回作も楽しみにしています。 (taka)
- んと,びみょーに分かり辛かったんですけど,情景は目に浮かんできました。矛盾している様ですが,本当にそうだったのですから!てな訳で,お話には賛成です。 (竹)
- なんていうか、言葉一つ一つの表現がとてもうまくって全体的に綺麗な
かんじの話でとてもよかったです(なんか偉そうな文になっちゃった) (ポトフ)
- 貴方に微笑む・・・、あまり知られていない方の花言葉ですね、純潔だとか、優雅な美人、だとかの方が有名ですからね、たしか・・・、ソメイヨシノの花言葉でしたか?綺麗な作品でした、次回も期待しております。 (どんこすてろ)
- らぶりぃタマモとゆーヤツですな(´▽`)
思わずほろりとあーゆー台詞を零す所にタマモの少女としての成長を、照れて自爆する所に変わらなさを感じました。
横島と良い雰囲気の間柄のよーで、善哉善哉。 (黒犬)
- 「咲かせて」しまう横島に微妙で切ない身勝手さと、その事を自覚する深さを感じました。そして、タマモの答えも静かに意味ありげで。
最後の微笑と「爆発」(笑)とその中の感情。美しい空気です。 (フル・サークル)
- 横島君カッコイイ!タマモ可愛い!タマモと仲良い横島君◎ (紅蓮)
- おいおい・・こいつはなんて殺傷力だ・・(爆
いきなり意味の分からない書き出しですいません・・。
うわあ・・・可愛い・・・TRYさんの描くタマモは本当に素敵ですねぇ・・。
とりあえずこのお話は素晴らしいです!なんだか読んでるだけで幸せな気分になってきます。
>>「無理やり咲かされたってこいつ怒ってなきゃいいけど・・・」
かっこいいというか優しいというか・・とにかく、この台詞が一番のお気に入りです。
大賛成でございます〜うう・・・10票ぐら入れてしまいたい心境です。
TRYさん本当にありがとうございました〜 (かぜあめ)
- 桜、良いですよね〜
ずいぶん大所帯の花見だったんですね。
タマモと横島もいい感じでした。 (青い猫又)
- 目に浮かぶ情景がとても綺麗で、素直に「いいな」と思えました。
桜の花言葉は初めて知りましたが、桜の木が二人に微笑んでいる感じがしますね。
不器用で優しい二人に一票です。 (tea)
- 横島かっこいいですね〜。
恥ずかしがるタマモもかわいいし、大賛成です。
ところで
>>私が横島の匂いが解らなくなる事はない。
ってことは、タマモはすっごく・・・(意味不明)
次も期待しています。 (飛翠)
- 綺麗ですね〜、桜とタマモの組み合わせがとってもグーです。
絡み酒のおキヌちゃんも可愛かったけど、恥ずかしがったり、ポンと爆発するタマモはもっと可愛かったです。
次回作も頑張って下さい。 (殿下)
- おキヌちゃんに絡まれてみたいですっ!!(バカ)
タマモが可愛いですね。それに横島クンのツボを刺激するセリフを言ってますね。
情景がありありと浮かんでくるきれいな文章でした。 (林原悠)
- taka様、竹様、ポトフ様、どんこすてろ様、黒犬様
フル・サークル様、紅蓮様、かぜあめ様、青い猫又様
tea様、飛翠様、殿下様、林原悠様
コメント、ありがとうございました。
遅れましたが皆様には感謝しております。
正直、こんなにコメントいただけるとは思ってなくて驚いております。
凄く嬉しいです。
まだまだ力不足な僕ですが、頑張りますのでよろしくお願いいたします。
(TRY)
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