ザ・グレート・展開予測ショー

続々々々・GS信長 極楽天下布武!!(6‐2)


投稿者名:竹
投稿日時:(04/ 4/ 7)

「ん?」
コンクリートの塀が立ち並ぶ,簡素な住宅街。
九能市姫路は,耳障りな風切り音に振り向いた。
「飛行機……?」
キィィィィ……ン
「違……,て言うか,近付いてくる……?」
それは,遙か上空を飛ぶジェット機と言うには,余りに近い音を立て,此方へ向かってきていた。
「……!?」
ゴゴゴゴゴ……!
それに,破壊音が混じっているのも,気の所為ではあるまい。
ドゴーン!
“それ”は,目の前の塀をぶち壊し,果たして姫路の方へと突っ込んできた。
「曲者!?」
シャキッ……!
姫路は,自衛の為,霊刀『信包』を鞘から抜いた。
……て言うか,思いっ切り銃刀法に触れまくってるのだが,彼女の常識と感覚は,特殊な家庭環境故に,常人とはひたすらずれていた。
ドゴゴゴゴ……
姫路は,突っ込んでくる“それ”に向かい,剣を構えた。
「はあッ!」
猛スピードの“それ”に,姫路は大上段に剣を振り下ろした。
ギィン!
「!」
“それ”は,何やら以上に硬かった。
「お……おおっ……!?」
ドォン!
力で押し切られ,姫路はコンクリの塀に叩き付けられた。
「ぐっ……!」
姫路は,一瞬止まった呼吸を立て直し,眼前の“それ”を睨んだ。
「お……,己……!」
未だ完全に動かない震える手で,『信包』の柄を掴む。
ゴゴゴゴゴ……
“それ”は,姫路の眼前で煙を吐いている。
「ぐ……!」
て言うか,煙……?
一応,人型みたいだけど……

「あ,いたよ!」
「待て〜!」

「?」
遠くの方から,声が聞こえた。
それとも,衝撃で耳が可笑しくなっているのだろうか。
「……」
いや,違う。
五人の人影が,向こうから走ってきた。



「あ,いたよ!」
「待て〜!」
勒鶴義堅,黒田考高,ドクター・ヒラテ,フカン,絹女光佐の五人は,暴走した光佐の造ったアンドロイド(失敗作)を追っていた。
「あのガラクタみたいなのが,こーちゃんの作ったロボット?」
「ガラクタ!?何を言ってるの,よっちゃん!あれは私が,持てる知識の全てを動員して作り上げた……」
「あー,はいはい。良いよ,説明しなくて。長くなるから」
これと普通に親友やってる自分も,実は結構変なのかも知れないと思う義堅。
「じゃ……,私は此処等辺で」
「駄ぁ〜目!」
どさくさに紛れて,又た逃げ出そうとする考高の服を掴む義堅。
「ちょ……,いや,マジで許して」
「待ってよ,一人にしないで!」
「いや〜っ,私を共犯にしないでよ〜!」
暴れる考高を,押さえつける義堅(ややこしいって)。
「こんな所に,私を一人にしないでよ!こうなった以上,官兵衛ちゃんも一蓮托生よっ!」
因みに,考高は普段,官兵衛と呼ばれている。……何故だかは分からないが。
「勘弁してよ〜,ホント」
「こんな所に,私を一人にする気!?」
「貴方は,慣れてるでしょ!?」
「慣れてないッ!て言うか,慣れたくないよ!」
「だからって,私を巻き込まないでよ!」
「ああっ,もう!今度,狐饂飩驕ってあげるから!」
「えっ……」
……………………。
「やっ,やだよ!饂飩一杯で死にたくないッ」
「今,一瞬考えたでしょ?そんなに好きなの,油揚げ」
まあ,狐だしね。
「いやっ,そう言う訳じゃ……,もう,ホントにお願いよ!」
「群の仲間を見捨てる気!?」
「いや〜ん……」
「とか言ってる間に,ドクター・ヒラテがロボットに殴られて気絶してる!」
「あの人,ホントに良い所ないわね……。何てついてない爺様なのかしら……」
「こーちゃんを弟子にしてから,貧乏籤引きっぱなしだよね」
「まあ,フカンを作ったってだけで既に出番が終わってるのかも……」
「そ,それは否定出来ないね……」
「て言うかさあ……」
「何?」
「凄い被害じゃない?これ……」
そう言って,アンドロイドの暴走によって廃墟と化した町並みを見渡す義堅と考高。
「見たくない……」
「ねえ……,ホント,捕まらない内に逃げちゃ駄目?」
「駄目。逃げるなら,私も連れてって」
「……」
かと言って,目の前で人が死にかけてるし,こんな場面で一人だけ逃げ出せる程,考高は割り切った性格でもない。
「ああ,もう,仕方無いわねッ」
「如何するの?」
「さっさとアレを止めて,ずらかるわよッ!」
「うんっ,そうしよう!」
義堅がウエストポーチから金剛杵を取り出し,考高が狐火を発生させた。


「ヒ,ヒラテさん,大丈夫ですか!?」
「う,う〜ん……」
「あ,ああっ!如何しよう」
絹女光佐は,気絶したドクター・ヒラテを抱いて困惑していた。
自分の造ったアンドロイドが,暴走している。既に師であるヒラテはそれに殴られて気を失い,今は師の造った世界唯一の完全自立型アンドロイドのフカンが,自分の造ったアンドロイドと戦っている。
因みに,彼女の目にはそれに因って被害を受けた町並みなどは,全く眼中に入っていない。そんな事より,造ったアンドロイドが又た失敗作だったと言う事の方が重要だ。化学の発展の為に,多少の犠牲は必要なのである。
「はあ〜,矢っ張りヒラテ師匠は凄いや。史上二番目の人口霊魂練成迄,未だ未だ道は遠いなあ……」
遠い目になる光佐。
だが,勿論,今はそんな場合ではない。


「エルボー・バズーカ!」
ドウッ!
フカンの肘から発射されたバズーカ砲が,光佐のアンドロイドを直撃する。
「ギ……ガガ……」
「効いて・ない……!?」
が,埃の向こうから現れたのは,未だ立って動いている光佐ロボ(で良いや)だった。
「クレイモア・キック!」
バズン!
次の攻撃を叩き込むフカンだが,矢張り対して効いた様子はない。
「この・耐久力,フカン・の・1.6倍……!?」
凄まじい防御力である。魔法霊装が為されているとは言え,凡そ人間の造り出せるもので,これ程の耐久力を持ち得るものはそうはない。
「凄い・ですね,ミス・光佐」
だが,主の弟子の才能と成長を喜んでいる暇は,今のフカンには無い。
「ですが,残念・です。壊さなくて・は・ならない・の・ですから!」
創造主たる人に逆らい,危害を加える機械は,排除され,破壊されなければならない。
人のエゴとかそう言う問題ではない。それは,この世界を保つ為に,絶対に必要な最低限のルールなのだ。
数百年の時をヒラテと共に生き,其処から学んだ,それがフカンの考える,機械人形の“在るべき姿”である。


「加勢するよ,フカン!」
義堅が,金剛所を構えて印を切る。
義堅の家は,宿曜術で有名な真言宗の名跡・観音寺だ。由って,彼女も強力な宿曜師だったりする。
宿曜道の知識を戦闘能力へと変換する“宿曜武術”が,彼女の得意分野だ。
「宿曜武術・星の巻!」
ドドドドド!
無数の霊波弾が,光佐ロボを襲った。
「プシュー……」
「効いてない!?」
「なら,今度は私が!」
考高が義堅の前に出ると共に,無数の狐火が光佐ロボを取り囲む。
「燃え尽きてしまいなさいッ!」
ゴォッ!
狐火が,一斉に光佐ロボに襲い掛かる。
「よおっし!」
手応えを感じ,ガッツポーズをする考高。
「いや……,未だよ!」
「え!?」
だが,義堅の声に良く良く見直すと,殆ど余り堪えてない様な感じで,光佐ロボは平然と立っていた。
「げ……,効いてない!?」
「耐火装備・も,完璧・ですね」
フカンが,補足を入れる。
「信じられない……,何よ,あれ?人間て,何て物を造り出すのよ!」
「て,ああ,そんな事より!」
「ヴ……ヴヴヴ……」
ドオン!
光佐ロボの体がブルブルと震えたかと思うと,爆音を立てて上空へと飛び去ってしまった。
「逃げた!?」
「ちっ……,追うわよ!」
そう言って,考高は光佐ロボの飛んで行った方向へと駆けだした。
「ごねてた割には,乗り乗りじゃない?官兵衛ちゃん」
「ふふ……,何か,火が付いたわ。権力者に擦り寄って,その寵を得る事に因って“安全”を手にしていた私の前世だけど,野生の臭いが残ってない訳じゃないのよ」
「ふうん。……て,如何したの,フカン。早く,行きましょうよ」
「でも,ドクター・ヒラテ・が」
「ヒラテさんの事は,こーちゃんに任せとけば良いでしょ?早く行かないと,見失っちゃうよ」
「大丈夫・で・しょうか・?」
「……ま,多分,平気でしょ」
と言いつつ,自分も親友が信用出来ない義堅だった。
「何やってるの,二人共!急ぐわよッ」
「はいはい」
「イエス,ミス・黒田」
「ふふふ……,狩りは,獲物がでかい程,燃えてくるものよ……!」
血の昂揚の侭に,考高は舌舐りをした。


「……で,結局何だっったんですの?」
「え〜と,いや,話すと長くなりまして……」
その場に残った光佐と九能市姫路が,何故か意気投合してしまったらしいが,それは又た別の話。



六道女学院霊能科に通う,二年B組の篠原まつと市 小谷の二人は,学校からの帰り道,ショッピングセンターをぶらついていた。
「今日も学校休んでたな,ヒナタちゃん」
「何でも,入院してらっしゃるらしいですわよ」
「入院!?何で,又た」
「お仕事中に,何か遭ったらしいですね」
「うひゃあ〜……,矢っ張大変だな,GSって」
「そうですわね」
「んじゃ,これからお見舞いでも行かなきゃな。何処の病院か,知ってるか?」
「ええと……」
極普通の家庭に生まれ,茶髪を烏の様に逆立てているヤンキー少女のまつと,仏教系除霊術の名家に生まれた,切れ長美人の小谷(別にまつが不細工と言う訳ではない)。正反対の二人だが,同じクラスの時読ヒカリ(ヒナタ/ヒカゲ)共々,霊能術に置いては学年中でもトップスリーと言える程の力を持っており,その辺の関係から,今では親友と言っても良い仲だ。
「ん?」
「如何しました?」
「何か,聞こえねえか?キィィ……って」
「確かに……,飛行機じゃありません事?」
「えー,そうかなあ。それより,もっと……」
ィィィィイイイ……
「!?」
ドォーン!
二人の目の前に,空から鋭角に“何か”が突っ込んできた。
「な……な……な……!?」
「何ですの,一体……?」
石畳で出来たショッピング街の床が剥がれ,茶色い地面が見えている。
分かっているのは,先程,自分達が少しばかり前方に存在していたとしたら,間違い無く今頃は物言わぬ肉塊と化していたと言う事だ。
「な,何だ!?」
「テロか!?」
「うわぁーん!お母ちゃーんっ」
ザワザワザワ……
幸い,死者は出ていない様だが,恐怖と困惑は,周囲の者達をも巻き込んで増幅していた。
「何なんだよ,一体……!?」
「け,警察だ!」
「自衛隊を呼べぇっ!」
まつや小谷は,仮にも日頃から“死”の現場に身を置こうとするGSを志望している。それだけあって,周りのギャラリーよりは冷静になれた。或いは,周囲の騒擾に因って,寧ろ自分達は冷静を保てたか。
まあ,どちらでも同じだが,二人が晴れた土煙の向こうに見たものは,何やら金属の塊の様な物だった。……例えるなら,メ○沢みたいな感じ。
て言うか,ぶっちゃけた話が光佐ロボである。
そして,更に上空から又た何かが飛んで来た。
「あ,あれは……!」
「錬金術師ドクター・ヒラテの,霊能ロボット……!?」
二人とも,交際中のGSの伝手で,ヒラテとは何度か顔を合わせている。ヒラテの傍らには殆ど常にフカンが居るから,当然,フカンにも見覚えが有った。
プシュー……
足の裏のジェットを逆噴射させ,フカンは二人の近くに降り立った。その両腕には,勒鶴義堅と黒田考高が掴まっていた。
「目標,補足・しました。直ちに,破壊・します!」
「うひゃあ〜,酷い騒ぎになっちゃってるよ。最悪の展開だね……」
「さっさと彼奴をぶっ壊して,とんずらするわよッ!最悪,幻術かまして逃げるッ」
三人(一人と一匹と一台)は,それぞれ光佐ロボに対して構えを取った。
「な,なあ,あれって……?」
「ええ,確か,お兄様の所の……」
小谷は,義堅・考高の雇い主である織田信長の異母妹である。

「先ずはこれ以上,チョロチョロと飛び回れないよう,動きを封じなきゃねッ!」
義堅が,金剛杵を掴む。
「ナム・モリガァカラ・ナコサタラ・ソワカ!」
そして,印を切ると金剛杵を光佐ロボの頭上に投げた。
「宿曜武術・壁の巻!」
ボッ!
光佐ロボを中心に結界が張られ,それを閉じ込めた。
「ナイス,ロッカク!」
「この結界は,内側からの攻撃は通らないけど,外からの攻撃は通す様になってるわ!これで,後は壊れる迄攻撃を続ければ……」
チュドン!
「……え?」
勢い込んだ義堅の頬を,光佐ロボから発射されたレーザービームが掠めた。
「全然,駄目じゃないッ!」
「あ,あれ!?そうだ,霊波攻撃のみに有効なんだった,これ」
「駄目じゃん!」
「だ,大丈夫よ,出てはこれない筈だから……」
「ったく……,兎に角,攻撃するしか無いのねッ!?」
「そう言う事だね」
ドドドドド!
「!」
光佐ロボから発射されたマシンガンが二人を捉えたが,間一髪で体を割り込ませたフカンによって止められた。
「フカン!」
「ノー・プロブレム,ミス・勒鶴。お怪我・は・ない・ですか・……・?」
「私に,怪我は無いけど……」
「いっその事,ロッカクが彼奴に殺されれば,ケンニョも迷惑な機械造るの止めるんじゃない?自分の造った機械に,親友が殺されればさあ」
「やだよ!」
「んじゃあ,百歩譲って重傷ってのは?」
「それも,嫌だ……。て言うか,重傷程度の怪我なら,これ迄に何度も喰らってる様な……」
「そ,そうなの……,大変ね……」
「うん……」


「な,何か知らないけど,大変そうだな……,お仕事してんのか?」
「苦戦しておられる様ですわね……,わたくし達も加勢致しましょう!」
「そうだなっ!」
急な展開に,暫し呆然としていたまつと小谷だったが,我に返ると,参戦の意を示した。
まつが,光佐ロボに霊波砲を放つ。
「喰らえッ!」
ボーン!
霊波砲は光佐ロボを直撃したが,勿論,そんな攻撃で壊れる様な代物ではない。
「き,効いてねえ!?」
「なら,今度は私が!市式所霊術“水晶観音”!」
小谷が,霊波を蒼い鎧に変換する。
「ギ……ギギギ……」
敵意を感知した光佐ロボが,二人の方に顔を向けた。


「目標・の・攻撃・ベクトル・が,ミス・篠原・と・ミス・市・の・方に・……」
「あああ,余計な事を!て言うか,危ないッ」
「でも,チャンスよ!ロッカク,結界を解いて!」
「え?う,うん……」
バシュウ!
義堅が印を組むと,瞬間の内に結界が解け,金剛杵は義堅の手元に戻った。
ポンッ!
考高は,原型に戻るとそのまま光佐ロボに突進した。
「か,官兵衛ちゃん!?」
「何・して・ますか,ミス・黒田・!」
義堅とフカンが,叫ぶ。しかし,それは杞憂だった様だ。
「ジ……ジジジ……」
「あ,あれ?止まっちゃった……」
「フリーズ・して・います」
耳障りな電子音と共に,光佐ロボは動きを止めた。
「……?」
「何ですの?」
バシュウ……
まつと小谷も,戦闘態勢を解く。
「ど,如何いう事?官兵衛ちゃん」
「ふふっ」
再び人型に化けた考高が,妖しく微笑った。
「機械ってさ,一寸した事で壊れちゃったりするんだよね」
「え?」
「例えば,通気口に毛玉が入っちゃったりした位でもさ,パソコンとかだとデータが飛んじゃってたりするでしょ?」
「あ……,そうか!」
義堅には,それで全てが分かった。要するに,先程,光佐ロボに身体を擦り付けた時,間接部分から光佐ロボの体内に毛玉を滑り込ませたのだ。自立型ロボットなどと言う物は物凄く精密に出来ているのだろうから,それだけでも壊れてしまって然るべきだろう。
「良く,考えついたねえ」
「ふふふ〜,って……」
「え?」

ファンファンファンファン……

遠くで,サイレンの音が聞こえる。
「ま,不味い,警察よッ!逃げましょう!」
「え?う,うん……」
「イエス,ミス・黒田」
ドゴーン!
義堅と考高は,再びフカンに掴まると,天空に消えていった。


「な,何だったんだ,一体……」
「さ,さあ……」
再び話に付いていけず呆然となるまつと小谷は,この後,重要参考人として警察の尋問を受ける事になる。



「ふ〜,やれやれ……。こーちゃんと関わると碌な事が無いなあ……」
「じゃあ,早い所縁を切れば良いじゃないの」
「そう言う訳にもねえ……」
「君子,危うきに近寄らずよ」
「う〜ん……」
フカンと分かれた義堅と考高は,夕焼けの中を織田除霊事務所へと帰っていっていた。
「まあ,でも,警察に柄まったら不味いよね。誤解とは言え,警察に補導なんてされたら,織田除霊事務所の名に傷が付いちゃう」
「それもあるけどね」
「え?」
「――九尾の狐は,嘗て印度と中国を壊滅的な混乱に陥れた傾国の魔物。行く所で国家元首が病に倒れ,クーデターや大量虐殺が勃発する……」
「マジ?」
「偶然よ!そんなに簡単に,真に受けないでよッ」
「まあ……,人は見掛けに拠らないものだしねえ。特に,こう言う商売やってるとさあ……」
「それはそうだけど……,あ,でも傾国の美女ってのは本当よ?」
「はいはい」
「兎に角,日本政府だけじゃなくて国際的にも指名手配とかされちゃってるのよ,私は。あの時だって,トヨトミに助けてもらわなかったら,如何なってた事か……」
「あの時?」
「あー,いや。私が,あの事務所に棲む事になった切っ掛けの事よ」
「ふ〜ん……」
「何よ」
「それでか,官兵衛ちゃんが豊臣さんを好きなのって」
「いや……,まあ,それも無いとは言わないけど……」
「え?」
「私は,強い男が好きなの」
「強い男?」
「て言うか……,牝が牡に盛るのに,明確な理由が必要な訳?」
「盛るって……,う〜ん,如何だろ。私,未だまともに恋愛とかした事無いから,分からないな」
「オダは,違うの?」
「信長さん?あれは……,ファンて言うか,憧れみたいなものだよ。恋愛感情とは一寸違うかなあ……」
「ふ〜ん……」
複雑な表情で,考高は義堅の顔を見る。
「ま,良いけどね……」
夕日を見つめて,考高は呟いた。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa