ザ・グレート・展開予測ショー

公園での会話。


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(04/ 4/ 6)

事務所の電話が鳴った。
「はい、美神GS事務所です」
ちょうど棚の辺りを掃除していたオキヌちゃんが電話に出る。
暫しの沈黙の後。
『美神です』
「はい?」
電話の主が美神と名乗る。しかも男の声が返ってきた。
『美神公彦です』
びっくりする事しきりである。名前は知っている。
「美神さんのお父様なのですね、はい私は美神・・令子さんの元でアルバイトの氷室と申します。えっと・・」
父親との不仲を知るオキヌちゃん、ここで変わるべきか迷いがあるのか。
『そうですか。貴方が。いや美知恵から娘のことは聞いてます。いつもお世話になっているようで』
「いええ。私の方こそ、今は美神さんの間借り状態ですし」
そんな会話が続いてから。
『実は・・今日本に戻ってきてまして、娘に会おうかどうか迷ってる所でしてな』
会話からオキヌちゃんが、信頼できる人物と判断したのか、未成年にも関わらず、
本題の相談をし始める。
「そうですね、いきなり会うのもなんでしょうし、一度お会いしませんか?」
『・・・そうですね。じゃあ、近くの公園で、
 そう携帯はお持ちで?・・持ってる。電話番号は・・、わかりました。では後ほど』
指定時刻に間に合わせるにはのんびりとしてる時間は無かった。
携帯電話を握り締める形で指定された公園に向かう、
そして公園の目の前に立ったとき、着信が響く。
「はい、氷室です」
『先ほどはどうも、公彦です』
「あぁ、美神さんのお父さんですね。今公園に」
『待ってください。私の病気はご存知ですね?』
「病気?・・えっとテレパスの事ですか?」
『そうです。それ以上近づかれると貴方のプライバシーは皆無ですから』
今更ながらぞっとするオキヌちゃんである。
『ですので。そこから携帯で。便利になりましたよ。この機械は』
幸い機械越しでは能力が発動しないという事だ。
公園内を見ると、中年の男がベンチで手を振っている。
『今手を振ってるのが私です。初めまして』
「こちらこそ。です」
『えっと。参ったな』
「えっ?」
『いや、実際に会ってもどうするかは、ははは』
そう。通例こんなケースでも第三者とあってどうにかなるものではないのだ。
しかも遠めの携帯越しとなると、どうも次手が沸かない。
『などと、笑ってもしょうがないかな。えっと娘は元気にしているのかな?』
「えぇ。美神さんはとっても元気ですよ」
『そうそう。なんでも人獣を使ってるとか聞いたけど』
「あぁ、タマモちゃんにシロちゃんですね。しょっちゅう喧嘩するけど、中の良い二人ですよ」
『そうですか。それは良かった・・』
「あと一人、横島さんがいらっしゃいまして」
話の流れからいけば美神事務所の面子の説明だ。最後になるのが横島で。
『で、その子が、男の子だといのだよね?たしか高校生で、オキヌちゃんと同じ学校なのかな?』
「いいえ。違いますよ。私は女子高なんです。横島さんは共学ですよ」
『そ、そうか。で氷室さん・・その横島君というのは・・その・・』
この時に気が付いたとでもいうべきか。
公彦氏も一介のパパである事に。
「えぇ、美神さんにちょっかいを出してますよ。えぇ、それにちょっと助平過ぎますし」
『う、うむ』
「でも、美神さんも満更じゃなさそうですけどね〜。今は恋人よりも、弟みたいな感じじゃないかな?」
『そ、そうでしたか』
ほっとする仕草が遠めでもわかる。そして、
(そっか、今咄嗟に思いついたけど、美神さんと横島さんて、そんな感じよね。うん!)
妙な自身を付けてたりする。
不意に携帯の向こう側、オキヌちゃん側になにやらの雑音が入る。
「ちょ。ちょっと待ってください、今」
慌てる声がした後、
「親父!なーに、女子高生をナンパしてるのよ!」
やや怒気の含まれる声の主、正に娘の令子である。
『れ、令子どーしてここに?』
「なによ。オキヌちゃんが珍しく長電話してるから、傍耳をたてたら、すぐ判るってもんよ、」
『そ、そうか、そうだよな。ええっと・・』
どうすればいいか判らぬ公彦氏。
「いいからこっちに来てよ」
『来てよって・・俺の病気知ってるのにか?』
「えぇ、そうよ。さっき話題に出た横島から借りてる物があるのよ」
それが文殊であり、公彦氏の病気を緩和する絶好の薬であることは間違いない。
「と、いうワケっす。パパさん」
再度電話口が変わる。横島も近くにいたという事か。
何の事は無い。実は二人で厄珍堂からの帰りの偶然という奴だ。
だが、
『まだ、君にパパと呼ばれる筋合いはないのだが』
やや大きめの声、美神とオキヌちゃん、それに横島を笑わせるには、
十分の台詞である。

FIN

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