ザ・グレート・展開予測ショー

狐の寝起き


投稿者名:殿下
投稿日時:(04/ 4/ 5)


「ふわぁ、あれ?誰もいないのかな?」
太陽がすっかり昇り、既に午後という時間帯になっていたにも関わらず、未だ眠そうにあくびをしながら一階へと下りてきたタマモ
しかし一階に人の気配はない・・・リビングの机を見てみると

『あんたが全然起きないから、代わりにシロを連れていくわ。おとなしく留守番しとくのよ! 美神』

「そういえば昨日の晩に今日の除霊の手伝い頼まれてたんだっけ?忘れてたわ・・・でもシロが代わりに行ったんならもっと寝ててもよかったわね」
あまり反省の色を見せず、まだ寝足りない様子のタマモ

ぐ〜〜、ぐ〜〜

その時、タマモの耳に誰もいないはずの部屋から寝息が聞こえてきた。
寝息のする方を見てみると、そこにはソファーの上で太陽の光を浴びながら気持ち良さそうに寝息を立てている横島忠夫の姿があった。

「ヨコシマも寝坊して置いてかれたのかしら?・・・それにしても気持ちよさそうに寝てるわね」

事務所の日当たりの良いリビングの高級ソファーで寝るのは、アパートの日当たりの悪い部屋の貧乏布団で寝ても得られない心地よさがあったみたいで横島はすやすや寝息を立てている。
その姿は今起きたばかりのタマモでさえ眠くなってしまうほど気持ち良さそうに見えた。

(どうせ今日はもうすることないんだし、いいわよね)

再び眠りにつこうと屋根裏へと移動しようかと考えるが、横島の寝顔を見て、どうせならその気持ち良さを分けてもらおうと思い、狐姿に戻り、寝息を立てる横島の上に丸まって眠りにつくことにした。

トクン トクン

耳に聞こえてくる横島の心臓の音が心地よいリズムを奏でる。
その心地よい心音と春の陽光によって、タマモはすぐに深い眠りへと落ちていった。





****************************************




「っっっっっくわぁ。よく寝たぁ!」
誰にも邪魔されることなく、じっくりと昼寝した事によって気持ちよく目覚めることができた横島
だが、自分のお腹の辺りに何か違和感を感じた。不思議に思い、少し体を起こして自分のお腹の方を見てみると・・・そこには体を丸めながらすやすやと寝息を立てている狐バージョンのタマモの姿があった。

(タマモが原因か・・・それにしてもいつから俺の腹の上で寝てたんだろうか?
ま、いいか、細かい事は・・・。気持ち良さそうだし、もう少し寝かせといてやろう)

じっとしてるのも退屈なので俺は起こさないようにタマモの頭を優しく撫でていた。

しばらく撫でながら天井を眺めていると、腹の乗っている感触がすっと重くなった。
ふと腹の方を見てみると、人間バージョンに戻ってるタマモがいた。

「おはよう、タマモ」
「・・・・・・」

とりあえず挨拶をしたが、返事は返ってこない。まだ夢の中にいるようで表情も虚ろである。
じっと見つめ合う二人・・・不意にタマモが虚ろな表情を浮かべたまま横島に寄りかかってきた。

「お、おい、タマモ」
寝惚けているのだろうが、普段のタマモからは想像も出来ない行動に少し戸惑いながらも俺は流れに身を任せた。
俺はタマモに押し倒され、二人はお互いに抱き合う形となっていた。

今までの横島の人生で女性に押し倒された事があっただろうか・・・否、押し倒そうとした事は何度もあったが、押し倒される事は皆無である。

(寝惚けてるとはいえ、女の子と抱き合うのはドキドキすんなぁ)
少し感動しながらこの感触を噛みしめている横島にさらなる至福の一時が与えられる。

タマモが頬で横島の顔をすりすりしてきたのである。さらには小さな胸を押しつけつつ、横島の首筋をちろちろと舐め、耳元にかわいらしい寝息を吹きかけてくる始末
普段のタマモからは想像できないその行動の数々。
対象となっている当の横島はというと・・・

(ああ、すりすりしちゃあきまへん。あっ、胸が・・ちょっと気持ちいい・・はうぁ、舐めるな!くすぐったい。うわ、耳は・・・耳は・・・ダメです・・タマモさん・・)

などと少しパニックになりつつもタマモを起こしてはいけないと思い、声をあげないように我慢しつつ喜んでたりする。

ちゅっ ちゅっ ちゅっ
その後、キスの嵐も追加された至福の時は小一時間ほど続いた。


「うぅ〜ん」
目を擦りながら体を起こすタマモ
目を開くと、そこには自分が横島を押し倒しているという状況があった。

「なななな、何!何なの!」

「何なのってタマモが俺を押し倒してきたんじゃないか」
自分は被害者だと主張する横島。確かにこの状況を見れば、どう見てもタマモが横島を押し倒してるようにしか見えない。

「でも・・私がそんな事するわけ・・・」
そんな事するわけがないと言いたいのだが、この状況がそうさせてくれない。
横島の言うことが真実なんだと観念すると同時に顔が真っ赤になる。

その顔を見て横島は
「いやぁ、まさかタマモに襲われるとは思わなかったよ」
明るい声でタマモをからかう。

すると真っ赤だったタマモの顔がさらに紅潮していき、これ以上ないくらいに赤くなっていった。
(確かにヨコシマの事は好きだけど・・・いきなりこんなのって・・ないよ)
自分の理想とはかけ離れた現実に少し泣きそうになるタマモ

そんなタマモを見かねて横島は
ちゅっ
不意にタマモに口づけをした。

「なな、何するのよ!?」
「別に・・・さっきまでタマモにされてたことのほんの一部をしただけだぜ」
「うう・・・」
何も言い返す事ができないタマモ

「とにかく・・これでおあいこな」
そう言ってタマモに笑いかける。

その笑顔を見て、少し落ち着いたタマモは
「・・・・うん」
小さく頷いた。


〜数日後〜


あの時と同じように横島は太陽の光を浴び、ソファーで眠っていた。
目を覚ますとまたもあの時と同じ違和感が腹の上にあった。またタマモかよ!と思いながら起きあがる。
そこにいたのは狼(犬)姿のシロだった。

(今度はシロかよ!俺の腹はそんなに寝心地が良いのか?)
そんな事を思いながらシロの頭を撫でてあげようとする。その時ふとシロの目がうっすらと開いてる事に気が付く。
(こいつもしかして・・・)
撫でようとした手を止める。

「シロ、吉田屋の牛丼が復活したらしいぞ」
「えっ、まことでござるか!・・・あっ!?・・・グー」
一瞬にして人間の姿にもどり、横島を問いただそうとするが、すぐに自分をはめるための嘘だとわかり、慌てて嘘の寝息を立てるシロ

「・・・もう遅いぞシロ、お前嘘寝してただろう」

その言葉を聞き、観念して起きあがるシロ
「うぅーー」
そして唸る。

「何で嘘寝なんかしたんだ?」
「だってタマモが・・・先生のお腹の上で寝たら撫でてくれたり、キスしてくれたり、すりすりしてくれたって言ってたでござるよ。だから拙者もと思って・・」
「なにぃ!!違うぞシロ、それはタマ

ガンッ!!
ドサッ

弁解してる途中に何者かに頭を殴られ倒れる横島
シロが見上げると・・・そこには一斗缶を手にしたタマモの姿があった。

「タマモ、いきなり先生に何するでござる!」
「・・・シロ、3丁目でステーキ食べ放題キャンペーンしてたわよ」
「まことか!こうしてはいられんでござる。ちゃんと先生に謝っておくでござるよ」
シロはそう言い残し疾風のごとく去っていった。

「は〜〜い。いってらっしゃい」

見送りを済ませた後、くるっと振り返り倒れてる横島を起こす。
「大丈夫?ヨコシマ」

「いって〜、大丈夫?ってお前がやったんだろーが!」
「だってヨコシマがホントの事言おうとするんだもん」

「そりゃそうだろ!俺の人格が疑われるではないか」
「お願いヨコシマ、ホントの事は言わないで、ねっ」

「そんな事言ったって、お前、ん!?んん」
先日とは逆にタマモからの不意の口付け

「口止め料って事で、ねっ?」
「・・・・・・」

「ダメ?」
「・・・もう一回お願いできるかな?それでチャラな」

「・・・・・・うん☆」

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