ザ・グレート・展開予測ショー

現世覚醒伝ONI(第7章前編)禁呪使い


投稿者名:Pr.K
投稿日時:(04/ 4/ 4)



 「そんじゃ、入るとするか・・・」
 気が乗らねーなぁ

 「ところでヨコシマ」
 「どうしたタマモ?早くはいろーぜ」
 「その雪之丞って何階にいるの?このビルそれなりに大きいわよ」
 ・・・・あっ
 「ヨコシマ?」
 聞いてなかった・・・
 「・・・探すぞ」
 あの野郎、
 「ぜってーぶっ飛ばす!」




***********************


・・・・1階・・・・

 「それにしても、ボロボロでござるなぁ」
 確かに、今にも崩れそうな勢いだ。通り名は伊達じゃない。
 あたりは崩れ落ちたコンクリートの欠片がちらほら見えるし
 地元の不良が落書きした後もある。
 「典型的な廃墟ね、住民から苦情が出てないのが不思議なくらいよ」
 「いや、出てるらしいんだが・・・美神さんの話によると金が無くて解体できないらしいぜ」
 「人間って不便ね・・・」
 言われても困る
 「せんせー、早く雪之丞どのを探すでござるよ」
 とは言われても・・・
 「どこにいるんだあいつは?」
 「簡単なことよ」
 え?
 「1階か屋上ね」
 「何で分かるでござるか?あてずっぽではなかろうな?」
 「そんなわけ無いじゃない。1階だったら出口が近いし、屋上だったら飛び降りるって手もあるでしょ?」
 なるほど・・・って
 「それ遠まわしにこのビル崩れるって断言してないか?」
 「可能性よ」
 「じゃあ屋上までいくでござるよ♪」
 「ああ、とっとといく「てめえーーー!」ん?」
 「どうしたのヨコシマ?」
 「いや、なんかアイツの声が・・・」

 ズガーーーン!
 パラパラパラ

 「な、何の音だ!」
 ビルが揺れたぞ!
 「上からでござる!!」
 「何かあったみたいね、急いだほうがよさそうだわ」
 「拙者、先に行かせてもらうでござる!」
 「おいシロ!」
 だめだ追いつけねえ・・・
 「しゃーない、走るぞタマモ!」
 「言われなくても!」
 無事でいろよ

 ズガガガガガガガ!!
 「この音は・・・アイツの霊波砲じゃないのか?」
 「雪之丞ってのは・・・このビルのこと考えずにやりあうような大馬鹿なの?」
 否定できなくもない、戦闘モードに入ったら回り見えないことあるしな。
 前言撤回、ビル壊すなよ雪之丞!!



************************************

・・・・数分前、ビル4階・・・・


 「それにしても遅いなアイツ」
 けっこー待ってんだけどなあ。
 「そういや時間指定し忘れたな・・・」
 「体ほぐしとくか」
 そう言って柔軟体操を始める。
 今回の修行は有意義だった、おかげで魔装術もかなり磨けたし新しい発見もあった。
 特に霊山の祠の中にあった文献は面白そうだ。・・・読めなかったが。
 今度横島を誘って妙神山にでも行くか。
 アイツを連れて行くか行かないかで待遇に差がある気がする。
 前に連れて行かなかった時は、パピリオにはごねられ、天竜童子とか言うたまたま来てたガキにはこき使われ、
 挙句のはてにサルのゲームにも付き合わされて修行以上に疲れる結果になった。
 しかも弓とは帰るのが遅れたせいで喧嘩になるし、いいことが何一つもねえ。
 「思い出したら腹立ってきた・・・」
 絶対横島を連れて行こう、美神のダンナにどつかれるのはアイツだし。



 「こんなとこでいいか」
 しかしまだこない
 「ウォーミングアップやりなおすかぁ?」
 飽きてきた。


 「ならオレが手伝ってやるよ」
 何!
 「どうした?暇なんだろう」
 こいつ、いつの間に窓際に・・・

 おかしい、目の前に、

 「それとも」
 目の前にいるのに、

 「怖気づいたか?」
 まったく気配がない。
 「てめえーーー!」
 霊波砲を目の前のにやけ面に向かって放つ。

 ズガーーーン!
 「誰が怖気づいたって!!なめんじゃねえーー!!」
 魔装術を発動し霊波砲を乱打する。

 ズガガガガガガガ!!
 「どうだ!」
 これなら。
 「ビルを壊す気か貴様?」
 後ろだと!
 「ではこっちからもやらせてもらう!!」
 速い!
 相手が一歩踏み込む、それを認識した瞬間、
 掌底が腹に打ち込まれた。

 ドンッ
 内臓がかき回される、意識が朦朧としてくる。
 コイツはヤバイ、やばすぎる。
 体が崩れ落ちる。
 魔装術が安定しない。
 「魔装術、魔物と契約しその力をコントロール、そして霊体の鎧を作り出す禁呪か・・・気に食わんな」
 コイツ、魔装術のことを!
 「何で知ってやがる!まさか、てめーも使えんのか!!」
 殺気が増幅する。つま先が顔面に食い込む。体が仰向けに倒れこむ。
 「グハッ、てめえ・・・」
 「ふざけるな、そんな醜悪な術に頼らんでも俺は強い」
 オレの魔装術を醜悪だと?
 「ぶっ殺す!!」
 再び魔装術を発動し拳を繰り出す!
 「おっと、まだ動けるか」
 かわされた!?
 「ならば、チ!」
 影に何かが突き刺さる。これは、動けねえ!
 こ、声が出ねえ。
 「影縛り、効くようだな」
 影縛りだと!こんな術見たことねえ。コイツ何者だ!?
 「さて・・・その禁呪、断ち切ってくれよう!」
 聞いた事のある言葉が聞こえてくる。これは弓んちに行った時に聞こえた・・・真言(マントラ)!

 「我彩蔵の名の下にこの結びを断ち切らん・・・カーーー!!!」
 倒れこんでる地面に方陣が描かれる、そこから光があふれる。

 魔装術が解ける。体から大切なものが抜け出していく。
 「この程度の魔物としか契約を結べないか、未熟!」
 オレが未熟だと・・・
 「聞きたいことがあるのでな、運ばせてもらおうか伊達雪之丞」
 くそっ、ここまでか!

 「そこまででござる!!」
 「む!」
 キーーン!
 「それ以上の狼藉、横島忠夫が一番弟子、犬塚シロが許しはせぬ!!!」
 「小癪っ!」
 あいつ・・・いつのまに弟子なんかとったんだ?


**************************************



 男がもう一方の男の顔につま先を叩き込んだ。
 加勢したいが、
 「どっちが伊達雪之丞どのでござろう?」
 まずい、先生に細かい特徴を聞いてこなかった。
 冗談抜きで分からない。
 仰向けに倒れている方が雪之丞どのであったら
 「先生に怒られる・・・」
 かといって何か唱えているほうに襲い掛かったとしてそっちが雪之丞どのだったら
 「やっぱり先生に怒られる・・・」
 どうしよう。


 「我彩蔵の名の下にこの結びを断ち切らん・・・カーーー!!!」
 彩蔵!?ということは、倒れている方が雪之丞どの!
 まずい、怒られる・・・クソ狐に馬鹿にされる。
 落ち着け、落ち着け。神経を研ぎ澄ませ。アイツを観察しろ、隙を見つけろ。
 
 「聞きたいことがあるのでな、運ばせてもらおうか伊達雪之丞」
 今だ!

 「そこまででござる!!」
 「む!」
 キーーン!
 「それ以上の狼藉、横島忠夫が一番弟子、犬塚シロが許しはせぬ!!!」
 迷ってたことは先生には黙っておこう。
 「小癪っ!」
 かわされた、さっきからこやつの動きには凄まじく鋭いものがある。

 攻撃の時だけ感情全てを押し殺すかのような、冷たいものが。

 雪之丞どのの影を見ると、手裏剣らしきものがささっている。霊力のにおいがする。
 『影縛り、効くようだな』
 このことか!
 「よそ見とは、余裕だな」
 裂傷の走った籠手をはずし、腰から短刀を抜き抜き放っている。
 体制を整えられた!
 「横島の弟子か、ちょうどいい、あいつの関係者には事情を聞きたかったのでな」
 狙いは横島先生か!?
 「来て貰おう、無理にでもな」
 そうは行かない!
 「横島先生は拙者が守るでござる!」
 霊波刀を水平に構え飛び掛る
 「てい!」

 「あいつの弟子というからにはと思ったが・・・残念だ」
 残像!
 「そこか!」
 体をねじり左に現れたやつに斬撃を放つ!
 「未熟な・・・」
 受け流された!
 「これで終わりだ」
 残った右手が頬に吸い込まれる。
 視界が反転する。
 駄目だ・・・意識が・・・遠のいていく・・・


**********************************


 「あっけないな、これで魔神を倒せたとは・・・」
 やはり横島の存在が大きかったのだろうか
 確かに、あの文珠は脅威だが
 「やっぱり解せんな」
 まあいい、情報はこいつらから聞き出すとしよう
 後はオカルトジーメンに忍び込ませた部下からの報告を待つだけだ。

 「何してやがる!!!」
 この気配は・・・そうだな、これぐらいのことがないと。
 瞬時に自分のいた所から飛びのく。
 そこが瞬時に破壊される。
 間一髪か。

 「だから、何してやがる!!!」

  ようやくおでましか
 「横島忠夫・・・文珠使い」

 「お前には聞きたいことがある。ご同行願う、どんな形でもな」
 「後にしろ、こいつら治すから」
  「回」「復」

 これが文珠、なるほど凄いものだ。
 瞬時にダメージが消えていく。だが、
 「がら空きだ」
 無防備な背中に足刀を打つ。

 「誰がだ!」
 受け流された!?これが、ONIの血か。

 「残念だけど帰らせてもらうぜ、タマモ!」
 「狐火!」
 横から炎が迫る。
 ふん、気配を読んでいなかったとでも?
 即座に避けて小刀を構える。
 殺す気でやったほうがいいようだな。
 「帰るのは後にしてもらおう」

 「美神さんが怒るからな、意地でも帰る!」




後書き

雪之丞弱くしすぎたかな・・・・
斬人へ、すいませんでした

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