ザ・グレート・展開予測ショー

らぶ・サバイバル 〜第3回〜


投稿者名:殿下
投稿日時:(04/ 3/30)

ここは以前村の活性化のために全てゴルフ場にする計画があったのだが、妖怪のせいで開発計画が他の候補地に移ってしまった。しかし都会に住む者から見れば、豊かな自然が残る良い土地である。


ザザザザザッ
森の中を駆け回る二つの影

「どう、見つかった?」
「ダメでござる。この森、雑霊の気配が多すぎて匂いが特定できないでござる。猫叉の匂いがどれなのか全くわからないでござるよ」

先ほどからどんどん出てくる自縛霊を退治しながら森の奥へと進んでいく二人

「そうよね。この森全体を探すのはちょっと骨が折れるわね・・」
「どうするでござる?」

「う〜〜〜ん」
腕組みをしながら何か策を考えるタマモとそれをじっと見つめるシロ、その時

ガサッ

「誰!?」
近くの物陰から聞こえた音に素早く反応するタマモ

「!?」
ガサガサッ
その音がタマモ達から遠ざかって行こうとする。

「シロ!」
「わかってるでござる!」
シロがその音の正体を確かめようと音のする方向に飛び込む。
すると走って逃げる人影が見えた。

「待つでござる!」

その声に驚き、さらに早く逃げようとする。シロがダッシュで追いつき、動きを止めようと霊波刀を振り下ろそうとするシロ、しかしその物音を発していた人影の正体が子供だとわかり慌てて霊波刀を振り下ろすのを止めようとするが、間に合わず・・・

コンッ
ほんの少しではあるが、その子供の頭に当たってしまった。

「う、う、痛いよーー!母ちゃ〜ん」
激しく泣き叫ぶ子供

その声を聞き、タマモも駆けつける。
「どうしたの?シロ・・・!?この子は?」
「タマモ〜、拙者、拙者、子供を叩いてしまったでござるよぉ」
知らなかったとはいえ子供を叩いてしまった罪の意識からシロがタマモに泣きつく。

「拙者、知らなかったのでござる。本当でござるよ」
タマモの胸の中で泣きながら話すシロ

「よしよし、とにかく早いとこその子に謝って手当てしてあげないと」
シロの頭を撫でて落ち着かせるタマモ
「そうでござった」
タマモから離れて、叩いてしまった子供にヒーリングをしようと近づこうとすると

「ケイ!!」

ザザザザザザザッ
この子の名前らしきものを呼びながら激しい音をたてて、こちらに向かって何者かが近づいてくる。

「何か来る!?」

タマモは何者かが来ている方向を向き、狐火を出し臨戦態勢になる。
そしてシロもタマモと同じ方向を向き、霊波刀を構える。

ガサッ
タマモ達の前に現れたのは、一匹の化猫だった。

「あっ、母ちゃん」
そう言って母親の側へと駆け寄る子供

「ケイ、大丈夫だった?怪我はない?」
母親が心配そうに自分の息子に怪我はないか聞く。

「うん、頭にたんこぶができちゃったけど大したことないよ。ちょっとビックリして大げさに泣いちゃったけどね」
頭をさすりながら自分は平気だと話す。

「そう・・・良かった」

ギロッ
自分の息子が大丈夫だとわかり安心すると、タマモ達の方を睨み付け
「あんた達人間じゃないみたいだけど、この子が何をしたって言うの。何でこんな事を!返答次第によってはタダじゃおかないよ!!」

「あう〜、拙者わざとやったのではなく、子供とは知らなくて、動きを止めようとして、」
動揺し、しどろもどろになるシロ

「・・・あなた、美衣さんね」
確信したようにタマモが話す。

「な、何で私の名前を知ってるの?あなた達は一体・・・」
初対面の者から名前を呼ばれ動揺する美衣

「横島忠夫って知ってるでしょ?私はヨコシマの彼女(になる予定)のタマモ、それでこっちがシ「コラッ!!誰が先生の彼女でござるか!」
さりげなく自分を横島の彼女だと主張するタマモに対して激しく突っ込むシロ

「近いうちにそうなるんだから別にいいじゃない」
「何を言ってるでござる!この女狐がっ!!」
「何よ!やる気?バカ犬のくせに」
「上等でござる!」
お互いに睨み合い一触即発状態の二人

「あの〜、もしもし?結局あなた達は一体・・」
事態がよく飲み込めず、とりあえずもう一度何者なのか聞き返す美衣

「あっ!ごめんなさい。私は妖弧のタマモでこっちは人狼のシロ、二人ともヨコシマの仕事の同僚よ」
今度はちゃんと自己紹介をするタマモ

「私は化猫の美衣、そしてこの子が私の息子のケイです。それより横島さんの同僚の方々がここに何を・・・とにかくこんな所で話をするのもなんですし、家に来て下さい。横島さんの事も聞きたいですし」
横島の同僚と聞き、少し上機嫌になって二人を家へと招待する美衣

「こっちもゆっくりと話したいことがあったからちょどいいわ」
その誘いを受けるタマモ

「それじゃあ、案内しますので付いてきて下さい。ケイ行くわよ。あら?」
美衣がケイを呼び、ケイの方を見てみると
「わーーー!やめろって、大丈夫だよ」
「いいから、じっとしてるでござる。拙者のせいで怪我をしたのだから当然のことでござる」
ケイの頭にできたたんこぶの部分を舐めようとしているシロ、そしてそれを嫌がるケイの姿があった。

「シロさん、いいんですよ。ケイはその程度の怪我だったら私にもヒーリングをさせませんから」
その光景を見て少し微笑みながら話す美衣

「でも・・・拙者のせいで」
「いいんだよ。ボクは横島の兄ちゃんと言われたんだ。強い化猫になって母ちゃんを守れって、だからこんな傷ぐらい自分で治せなくちゃいけないんだ!」
「そうだったんでござるか・・・先生とそんな約束を」
(先生・・・惚れなおしたでござるよ)

「ケイ、早くしないと置いて行くわよ」
「シロもね」
「待ってよ〜」
「こんな所に置いてけぼりは嫌でござる」

こうして四人は美衣達の家へと向かった。


〜妙神山〜


「どうしたんでしょうか?奥に入ってかなり時間が経ってますけど・・やっぱり横島さんに何かあったでしょうか?」
さきほどから小竜姫はルシオラ達がかなり気になっているようで奥の部屋の方ばかり見て、同じ事を何度も言っている。

「落ち着け小竜姫!」
「そうなのね〜小竜姫ったらさっきから同じ事ばっかり口にしてるのね〜」
落ち着かない小竜姫を落ち着かせようとする二人

「でも・・・」
(だってきっと横島さんの事を話してるに決まってるもの・・・う〜〜、知りたい。聞きたい。覗きたい!)
神族らしからぬ考えをおこす小竜姫

「横島の事になると、すぐ冷静さを失うみたいだな」

「な、何を言うんですか?私は常に冷静ですよ!ただ横島さんに何かあったのかなと思って」

「別にそんなに気にすることないだろう!あくまでもあいつは修行者の中の一人にすぎないんだし」

「そ、そうなんですけど、いつもルシオラさんが来るときは一緒に来るのに・・・」
(もしかしたら喧嘩したのかもしれないし、そしたら私にもチャンスがあるわけだし・・ん?でも・・)

「でも、何でそんなにしつこく聞いてくるの?ワルキューレ」

「べ、別にしつこくなんか聞いてないだろう。ただ最近の小竜姫は彼奴のことばかり気にかけて本来の業務をおろそかにしてるように見えたのでな」
(しまった!追求しすぎたか)

「そういえば、ワルキューレってこの頃よく訪ねてくるわよね。横島さんが来る時に限って・・・何でかしら?」

「そそそ、そんな事はないぞ!たまたまだ。偶然だ。」
明らかに動揺した様子のワルキューレ

「そうでしょうか」
(どうせヒャクメに頼んで、いつ来るか聞いてるんだわ)

「それより小竜姫だって横島が来る時は何故か普段より豪勢な料理を作って迎えているではないか」
(よし、うまくごまかしたぞ)

「そそそ、それは横島さんが普段ろくな物を食べていないと思ったから妙神山に来た時くらいは栄養をつけて欲しいと思いまして」
(これなら理由としては最適な答えですよね)
こちらは動揺しながらも即座に妥当な返答をする。

「ほう、では何故同じように普段ろくな物を食べていない雪之丞には、ごはんに漬け物だけなのかな?」

「うっ、そ、それは・・・(汗)」
(しまった〜、ごまかさなきゃ、く〜、こうなったのも雪之丞さんのせいだわ!今度修行に来たときに仏罰を下さなければ・・・)
動揺のあまり小竜姫は理不尽な考えをおこしていた。


ゾクッ
「どうしたの?雪之丞」
「嫌、なんでもねえ。ちょっと寒気がしてな」
その頃弓とデート中の雪之丞は原因不明の悪寒に襲われていた。


「さあ、どうしたんだ小竜姫!答えてもらおうか、何故横島と雪之丞で待遇が違うのかを!」
詰め寄るワルキューレ

「そ、それは・・」
(どうしよ、どうしよー)

「それは?」

「それは・・・」
(どうしよ、どうしよ、どうしよ、どうしよ、どうぢよー)

その時ワルキューレの激しい追求に泣きかけてる小竜姫に一つの光明がさした。

「わかったのね〜」
ずっと沈黙していたヒャクメが喋ったとたん
「どうしたの?何がわかったの?」
(やったー!追求をかわしたわ。ああ、ヒャクメ様、まるで神様のよう・・)
小竜姫はワルキューレの追求から逃げるようにヒャクメの元へ駆け寄る。

「神様のようじゃなくて、神様なのね〜」
小竜姫の心を読んだのかヒャクメは涙を流しながら叫んだ。

「ごめんごめん、それで何がわかったの?」

「実はルシオラさん達を覗いてたんだけど・・」

「何ぃーーヒャクメそんな事してたのか?貴様それでも神族か!」
「それでどんな会話をしてたのですか?」
何故か魔族のワルキューレが注意し、同じ神族の小竜姫は気にせず話を続けさせようとする。

「小竜姫、貴様ヒャクメと同じ神族だろう。注意しなくてはいいのか?」

「はっ!そうでした。ヒャクメあれほど覗き見はダメと言ったでしょう!」
思い出したかのようにヒャクメをしかる小竜姫

「はう〜、ごめんなさいなのね〜」

「わかれば良いんです」

(あれ?今日はえらく簡単におわったのね〜。いつも最低でも1時間は説教が続くのに・・)
ヒャクメが小竜姫の態度を不思議に思っていると・・

「それで?」
「えっ?」
「それでルシオラさん達は何の話をしていたのですか?」

「何を言ってるんだ小竜姫!その話を聞いたらお前も覗き見したのと一緒になるぞ」

「いいえ、私は妙神山の管理人として聞いておかなくてはいけません!もしかしたらあの三人が妙神山爆破を企ててるかもしれませんし」

「爆破って・・・(汗)」
小竜姫のむちゃくちゃな言動だが、一度三人には妙神山を消滅させられてるだけにそれ以上は突っ込めないワルキューレ

「そういうわけですのでワルキューレには席をはずして頂たいの「冗談ではない!!」・・ですが」
小竜姫の言葉を遮ってワルキューレが叫ぶ。

「あの・・ワルキューレ?」

「魔族の会話なんだから同じ魔族として聞いておかなくてわ」
(絶対に聞くぞ!絶対に横島の事を話しているに決まってるのだから)

「そうですか・・わかりました。それではヒャクメ、話して下さい」
(仕方ないか、一刻も早く聞きたいし)

「わかったのね〜。実は・・・」


〜会話省略〜


「横島さんを賭けて勝負・・・」
(大チャンスだわ!一緒に住む事が出来ればさりげなく誘惑したりできるわ)
「勝てば一つ言うことを聞いてくれる・・・」
(何でも一つだけ・・・か。いきなり恋人になるというのも可能なのだろうか)

「二人とも出場してみれば?」

「ななな、何を言ってるんですか」
「そそそ、そうだぞヒャクメ。何で我々がそんな下らないものに・・」

「じゃあ、二人とも出場しないのね〜」
「「出場します(するぞ)!!」」
二人が声を揃えて叫ぶ。

「そ、そう・・・二人とも出場するの。一人で出るの?」
ヒャクメは二人の勢いに少し戸惑いながらも質問をする。

(う〜ん、一人で出場して優勝すれば横島さんと二人きりだけど、一人で優勝できるのかしら・・)
(ここは誰かとチームを組んで優勝し、ライバルを減らしておくのが得策か・・)

「二人で出場すればいいのね〜」
考えてる二人にヒャクメが提案する。

「そ、そうね」
「あ、ああ」
二人がぎこちなく返答する。

(ワルキューレと組むのも良いけど、ワルキューレは横島さんの事が好きなようだし・・やっぱり横島さんに好意を持ってない人に頼んでチームを組んだ方が優勝した時、実質上ライバルが0になるのよね。それに神族と魔族が組むっていうのもなぁ)

(小竜姫と組むか・・確かにこいつは同じ女としても魅力的な女性だし、小竜姫と組めば優勝する可能性も高い・・が、優勝した場合、かなりの強敵になることは間違いない!ここは他の女と組んで小竜姫という強力なライバルを倒しておいた方が・・)

「二人ともどうしたのね〜」

「え?ちょっと考え事を」
「私もだ」

(横島さんに好意を持ってなくて魅力的な女性か・・・あっ、そうだ!不本意だけど、彼女に頼もう)
何かを思いだしたようにスクッと立ち上がる小竜姫

「ん?どうしたのね〜小竜姫、急に立ち上がって」

「ちょっと神界に用事ができました。二人はゆっくりしてて下さい」
「えっ、ちょっと、小竜姫」
「何で急に神界に?」

シュッ

二人の言葉も聞かず小竜姫は神界へと行ってしまった。

「何故、急に神界へ・・」
「・・・なるほど、小竜姫も考えたわね〜」

「何か知ってるのか?ヒャクメ」
「小竜姫は神族の女性と組むみたいなのね〜」

「しかし神族の女性で横島と関わりがあるのは小竜姫ぐらいだし、頼まれても神族がこんなものに出場するとは思えんが・・」
「ふふふ、ワルキューレは忘れてるのね。少し前に神族となって復活した女性の事を」

ヒャクメの一言にワルキューレが何かに気が付く。
「まさか!?しかし小竜姫が奴に頼み事などするわけがない」
「それだけ小竜姫も本気って事なのね〜」

「・・・そのようだな」
(奴と小竜姫が組んだら、厄介だぞ・・どうする、どうすれば)


〜神界〜


机の上で事務処理に追われている女性が一人
「あ〜〜〜もうやってられないねぇ。復活させてもらったのは良いけど、事務仕事ばっかりじゃないかい。魔族だった時みたいに何かスカッとする事はないかねぇ」

「・・・・様、小竜姫様が訪ねて来ておりますが、お通ししてもよろしいでしょうか?」
部下が小竜姫訪問の報告に来る。

「小竜姫が?久しぶりだねぇ、いいよ、通しな」
「は!」

「どうぞ」
「どうも」
部下の男に案内され、部屋に入る小竜姫

「随分久しぶりだねぇ。復活してからは初めてかな」
「久しぶりですね。メドーサ」


         【つづく】

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