ザ・グレート・展開予測ショー

らぶ・サバイバル 〜第2回〜


投稿者名:殿下
投稿日時:(04/ 3/23)

〜妙神山〜


事務所を飛び出したルシオラが向かった先は、ルシオラの妹であるパピリオがいる妙神山である。

スタッ
まずは妙神山修行場の前に降り立ち、門番である鬼門の二人に話しかける
「こんにちは、パピリオいる?」

「ん?横島の恋人ではないか、どうしたのだ?そんなに急いで」

「!?、そうなのよね〜。私は『横島の恋人』・・・なのよね〜♪」
ルシオラは鬼門の口から飛び出た『横島の恋人』というフレーズを聞き思わず舞い上がってしまった。

「・・・何なんだ?右の」
「わからん」
何がそんなに嬉しいのかがわからず鬼門の二人は困惑していた。

(いけない、いけない。こんな所で油を売ってる場合じゃなかったんだわ)
ルシオラは気を取り直してもう一度尋ねる。
「パピリオいるかしら?」

「パピリオならワルキューレが連れてきたベスパとかいう魔族と小竜姫様達と色々と話をしているみたいだぞ」

「えっ、ベスパが来てるの?」

「ああ、パピリオが会いたいと駄々をこねていたため小竜姫様が呼んだのだ」

(そっか、これでベスパを魔界から呼び出す手間が省けたわね)
「それじゃあ、入れさせてもらうわね」

「「おう」」

ギギギギギ
修行場に通じる門が開かれる。

そしてルシオラが門を通ろうとすると、鬼門達が
「それにしても、よくあんな女に見境ない男と付き合ってられるのー。なあ右の」
「全くじゃな、左の。あんな優柔不断男のどこに惚れたのか理解できん」
言ってはならないことを言ってしまった。

ぴくっ

鬼門達は少しからかったつもりだったのだが、残念ながら横島忠夫に関する悪い冗談を言うには相手が悪すぎた。

「ごめんごめん、確かここを通る時は、あなた達を倒さないといけないのよね?」

「「へっ!?」」

バキッ!ドガッ!ドゴッ!ガスッ!
ドッッゴ〜ン!!!

「さ〜てと、入ろっと♪」

ルシオラが通った後には全壊寸前になった鬼門達の姿があった・・・


〜妙神山修行場内〜


ドッッゴ〜ン!!!

妙神山修行場内にただならぬ轟音が響き渡る。

「何だい?あの音は」

パピリオのトランプの相手をしているベスパが同じくトランプに付き合わされているこの妙神山の管理人である小竜姫と同じ魔族のワルキューレ、そして小竜姫と同じ神様なのに何故か呼び捨てにされる事が多いヒャクメに音の正体を聞く。

「何でしょーか?老師は神界に用事があるから当分戻ってこないって言ってたし、ジークさんも留学生としての成果を報告しに魔界へと帰還するため一週間は帰らないって言ってたし・・・お客様かしら?」

「客があんな轟音をたてるか!得体の知れん敵かもしれん。ヒャクメ、ちょっと見てくれ」
「オッケー!任せてなのね〜」

心眼で探査中・・・

「・・・・・・・・・・わかったのね〜。ルシオラさんの仕業なのね〜」

「ルシオラちゃんが来たんでちゅか?」
「姉さんが来たの?」
「ルシオラさんが?変ね、来る時は連絡があるのに・・・」
「しかし何であんな音が・・・」
「鬼門と何かあったみたいなのね〜」
予期せぬルシオラの急な訪問にみんな口々に自分の率直な気持ちを述べた。

「ルシオラちゃんが来たってことはヨコシマも来たんでちゅね?」
パピリオが嬉しそうにヒャクメに尋ねる。

「ん?姉さんはいつもポチと一緒に来るのかい?」
「ええ、いつも仲良く一緒に・・・」
小竜姫は一瞬悲しそうな顔をしたがすぐにいつもの表情に戻った。

(ふ〜ん、姉さん、結構ライバルがいるみたいだね。・・・それにしても不思議な男だねえ、ポチの奴は・・・知れば知るほどみんながポチに惹かれていってる・・・みんなが・・)
ベスパがそんな事を思っていると

「どうしたんですか?ベスパさん」
小竜姫が心配そうに聞いてきた。

「いや、別に、何でもないよ!ちょっとね・・・」
ベスパは少し慌てて答える。

「そうですか「何ででちゅか!!何でルシオラちゃんが来てるのにヨコシマが来てないんでちゅか!!!」
パピリオがヒャクメから横島が一緒に来ていない事を聞き、ヒャクメの首を掴んでガクガクと揺らしながら質問という名の拷問をしている。

「ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、ちょっど待っ、待づのね〜〜〜、ぐっ、ぐるじ〜」

「ちょっとパピリオ!あなたの力でそんなに強く首を掴んだらヒャクメが死んでしまいます」
慌てて小竜姫が止めにはいる。

「はあ、はあ、助かったのね〜。かなり・・・危なかったのね〜」
苦しそうにヒャクメが喋る。

「パピリオ、どうせもうすぐルシオラがここに来るのだろう?本人に直接聞いた方が早いと思うぞ」
「そうでちゅね」
ワルキューレの意見に従って、パピリオはルシオラが来るのを待った。


そしてすぐにルシオラがパピリオ達の元へとやって来た。

「やっほ〜♪パピリオ、ベスパ、元気だった?」
ルシオラがすっきりした顔で聞いてくる。

「ああ、姉さんも元気そうだね」

「ふふふ、そうかしら・・・あれ?どうしたのパピリオ?」
ルシオラは自分が来た時いつもご機嫌なパピリオが不機嫌そうな顔をしているのを見て不思議そうに聞いた。

「・・・・」

「どうしたの?ベスパや私が来たのに嬉しくないの?」

「・・・嬉しいでちゅよ」
口では嬉しいと言っているが、ルシオラの目には不機嫌そうに答えるパピリオの姿が見える。

「?」
パピリオの不機嫌な原因が分からず、ルシオラはとまどっていた。そしてパピリオが口を開く。
「・・・・何でヨコシマがいないのでちゅか?」
パピリオが不機嫌そうに尋ねる。

「あっ、そうだった。パピリオ、ベスパ、ちょっと手伝って欲しい事があるの!」
パピリオから横島という言葉を聞き、ルシオラは妙神山に来た理由を思い出し、話し出した。

「「ヨコシマ(ポチ)に関係あるでちゅか(のかい)?」
パピリオとベスパが二人が声を揃えて聞いてくる。

「ええ、ちょっとこっちに来てくれる」
そう言ってルシオラは妹二人の手を引っぱっていく。

「ルシオラさん、横島さんどうかしたんですか?」
小竜姫は横島に何かあったのかと思い、心配になってルシオラに聞いてくる。

「いえ、大したことないんです。ちょっと奥の部屋借りますね?」
「え、ええ。どうぞ」
「ありがとうございます」

そしてルシオラは妹二人を連れて奥の部屋へと消えていった。

「何かあったんでしょーか?」
「さあな」
心配そうに聞いてくる小竜姫に対して冷静に流すワルキューレ

「う〜ん、喧嘩でもしたとか?」

ぴくっ

「本当「ホントか?喧嘩したのか?もう別れたのか?」
ヒャクメの何気ない一言に小竜姫よりも強い口調でワルキューレがヒャクメに聞いてくる。

「ワ、ワルキューレ?」

「あっ、コ、コホン。・・・で、どうなんだ?」
小竜姫の声で自分が取り乱した事に気付き、落ち着いてヒャクメに尋ねる。

「わからないのね〜。でも可能性的にないとも言い切れないのね〜」

「そ、そうですよね。わかりませんよね。別に気にしてませんけどね」
「そ、そうか、そうだな。わかるわけないよな。まぁ、興味ないがな」

「「ハハハハハハ」」
二人の乾いた笑い声が響きわたる中、ヒャクメはあまりにもわざとらしく興味のないふりをする二人を見て、ため息をつきながらつぶやいた。
「全く・・・嘘をつくのが下手な人達なのね〜」


その頃、奥の部屋へと移動したルシオラ達は・・・


「「え〜〜〜〜ヨコシマ(ポチ)を賭けて勝負?」」
ルシオラの話を聞き、またもパピリオ・ベスパ二人の息が揃う。

「いや、正確にはヨコシマと独立した事務所で一緒にお仕事したり、生活したりすることができるっていう話なの」

「ふ〜ん、ポチも随分と出世したもんだね」
(そんな大会が開かれるほどライバルがいるのか・・・)

「それで三人で出場するためにここに来たでちゅか?」

「そうなの。ね、協力して、お願い」

「・・・わかったでちゅ」

「ありがとう、パピリオ」

「お礼を言うことはないでちゅよ、ルシオラちゃん。お礼を言いたいのはこっちの方でちゅから」

「えっ?」

「これでパピリオにもチャンスがまわってきたでちゅ」

「ええっ!?」
パピリオの思わぬ発言にルシオラは言葉を失い、固まってしまう。

「ベスパちゃんはどうするでちゅか?」
パピリオは固まっているルシオラに構わず話を進める。

「えっ、私は・・「パピリオ!!」
ベスパの喋ってる途中にルシオラが叫ぶ。

「何でちゅか?ルシオラちゃん」

「チャンスって・・どういう事?」

「パピリオがヨコシマの恋人になるチャンスでちゅよ」

「恋人って・・・ヨコシマの恋人は私でしょ!」

「それは今の話でちゅ。でも一緒に生活することが出来れば、パピリオがヨコシマの恋人になれるかもしれまちぇん」

「パ〜ピ〜リ〜オ〜。あんたね〜」
今にも姉妹喧嘩をしそうな二人の間にベスパが入る。

「ちょっとやめなよ姉さん。パピリオもあんまり姉さんをからかうなよ」

「からかってなんかいないでちゅ。それにベスパちゃんだってヨコシマの恋人になりたいと思ってるんでちょ?」
パピリオがベスパに対して不意に爆弾発言をする。

「ななな、何言ってるんだよ。姉さん誤解しないでよ!私は別にポチの事なんて何とも思ってないんだから」
誤解しないでと言ってパピリオの言葉を否定しているベスパだが、顔は真っ赤になり、喋り方がぎこちない事からすっかり動揺しているのがわかる。これではパピリオの爆弾発言を認めたと言っても決して過言ではないだろう。

(はあ〜、まさかベスパまで・・・何も姉妹揃って同じ人好きにならなくてもいいのに・・)
ルシオラがため息をつきながらそんな事を思っていると

「まだ別にポチの事が好きってわけじゃないんだよ。ちょっと、気になっててさ・・」

「でも、ベスパは今でもアシュ様の事が好きなのよね?」

「・・・うん、アシュ様が亡くなった今でも変わらず好きだよ。でもアシュ様を思う気持ちは、ポチを思う気持ちとはちょっと違うみたい。今考えると私にとってアシュ様っていうのは、父親みたいなものだったんだと思う。・・・ポチは姉さんの恋人だってわかってるんだよ。でも・・・・・・ごめん。ごめんね、姉さん・・・」
ベスパは今にも泣き出しそうな表情になってルシオラに謝っている。

「ベスパ・・」
「ベスパちゃん・・」

「・・・別に謝る必要なんかないわよ。誰とは言わないけど『誰を好きになろうが自由』って言ってた子がいたしね。確かに人を好きになる事を止める権利なんて誰にもないのよね」

「・・・・・・」
黙ってルシオラの話を聞くベスパ

「とりあえず一つだけ聞かせて欲しいの。えっと、私が言うのも何だけどさ、ベスパとパピリオはヨコシマのどこが好きになったの?」
ルシオラが妹二人に自分の恋人である横島を好きになった理由を聞く。

「・・・わからない」
「ん〜〜と、わたちもわからないでちゅ」

「そうなのよね〜。私もヨコシマのどこが好き?って聞かれても多分わからないって言うと思うわ。いちいち人を好きになるのに理由なんていらないと思うし、それにヨコシマの魅力は言葉なんかじゃとても表せないもんね」
うんうんと頷きながら、納得したように話すルシオラ

「姉さん・・・」
「ルシオラちゃん・・・」

「それじゃあ、改めて二人に頼むわ。ライバルだけど一時休戦して、私と一緒のチームでヨコシマを賭けた戦いに出場しましょ!」

「わかったよ、姉さん」
「わかったでちゅ、でもヨコシマは絶対に渡しまちぇんからね」
「望むところよ!」
こうして横島の現恋人のいる優勝候補筆頭の三姉妹チームが結成されたのであった。


       【つづく】

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