ザ・グレート・展開予測ショー

傷ばかりの天使!!(その32)


投稿者名:TAITAN
投稿日時:(04/ 3/22)

「私の名は、バルチザン王国初代国王バルドルフ・ドティル・バルチザン。簡単にいえば、"本体"ということになるな。」


「"本体"だと・・・?」
西条が言った。
「そうだ、貴様らが倒したのは、私が悪霊を使って作った"人形"だ。」
薄笑いを浮かべながら、バルドルフは言った。
「まぁ、私の作った"人形"で事は済むと思っていたがな。」
そして、倒れているダンテを見る。
「フンッ。"人形"を倒しただけで力を使い果たしたか。」
その時、殴り飛ばされ、倒れていた横島がゆっくりと立ち上がる。
「ぐ、ぐぐぐぐ・・・・。」
「ほぉ、常人なら死んでいるぐらいの力でやったのだがな。」
「て、てめぇ・・・。」
ヴォンッ
右手に霊波刀を出す横島。
「まだ反抗するか。虫の息になっているこの魔族のようになりたいのか?」
「てめぇっ!!」
ダッ!!
「ふんっ、弱者が強者に挑むか。」
バルドルフは長剣を収め、代わりに短剣を抜いた。
「でぇーい!!」
ヴォンッ!!
横島は霊波刀を振り下ろす。
しかし、
ガキーンッ!
「!!」
「このような鈍(なまくら)で、私を斬れると思っているのか?」
バルドルフは言った。
横島の霊波刀を、"短剣の先"で止めて。
「く、くそ!!」
「いいか、剣とはこういう風に使うものだ。」
ヒュッ!!
風を切る音がした。
ズバァッ!!
「ぐあぁぁぁっ!!」
叫び声をあげる横島。
バルドルフは短剣で、"霊波刀ごと"横島を斬ったのだ。
胸に出来た傷口から血が噴き出す。
「横島クン!!」
「ぐっ!」
横島は"治"の文珠を作り、傷口に当てる。
バシュッ!
文珠により、一瞬にして傷口は塞がったが、横島はその場に片膝をつく。
それを見て、西条はアリスに言った。
「アリス王女。リナ王女とエリッサ、アメリヤとダンテ君を連れてこの城から脱出してください。」
「!?でも・・・!」
「早く脱出してください!!死にたいのですか!!」
「!!」
「死にたくないのなら、早く城から脱出してください!!」
「・・・・分かりました。」
「お姉ちゃん!?」
「リナ、行くわよ。」






「フン、邪魔なヤツはいないほうがいい。」
バルドルフは、倒れているダンテの腕を掴み、彼を放り投げた。
「ダンテ様!!」
エリッサは、放り投げられたダンテを受けとる。
「消えろ、死にたくなかったらな。」
「・・・・・くっ!」
アリスはアメリヤを抱き上げ、地下ドームの出入り口へと向かう。
その後をリナとダンテを抱えたエリッサが追う。
「フン、行ったか。」
バルドルフは横島と西条を見る。
すでに横島は立ち上がっており、西条は横島の隣にいる。
「邪魔者はいなくなった。これで思う存分、貴様らに恐怖と絶望を与えることが出来るな。」
ニヤリと笑うバルドルフ。
「そう簡単に与えられてたまるか!」
横島は霊波刀を出す。
「王女たちやダンテたちの為にも、貴様を倒す!」
ジャスティスを構える西条。
「フン、せいぜい吠えろ。どうせ、ここから出ることなど出来ないのだからな。」
「何だと?」
「フフフフ・・・・。」





カッカッカッカッ!
階段を駆け上がっていくアリスたち。
「お姉ちゃん、何で!?何で西条さんの言う事を聞いたの!?」
「あそこにいても、私たちは邪魔なだけよ。」
「だけど!!」
「黙ってなさい!今はこの城を脱出することだけ考えるのよ!」
「だけど!! ・・・・・!!」
リナは言葉を止めてしまった。
アリスの唇から、血がしたたる。
ギリッ・・・
唇を強く噛むアリス。
「お姉ちゃん・・・。」
(何が王女よ。私は何の役にも立たなかった!)
アリスは自分の無力さに怒りを感じていた。
(誰かを守るために、私は拳法を学んだ。1人でも多くの人を守るために!
なのに、私は無力だった。私、いえ、私たちのせいで多くの人たちが死んでしまった!!
何が王女よ!!私のせいで、私のせいで!!)
「お姉ちゃん・・・・。」
リナはアリスに何も言うことが出来なかった。





ズバァッ!!
『ギャアアアアアアアアア!!!』
断末魔の悲鳴を上げながら、悪霊が消滅する。
「ふぅ、これで悪霊は全部やっつけたみたいね。」
腕で額の汗を拭う美神。
「美神さん、早く助けに行きましょう。横島さんたちが心配です。」
「そうね、早く城の中へ「誰か出て来たわ!」何ですって!?」
タマモの声を聞いた美神は、城門の方を見る。
すると、城から誰かが出てくる。
「あれは、リナ王女とアリス王女!!」
美智恵が叫んだ。
美神たちは、城から出てきたアリスたちに駆け寄る。
「アリス王女、リナ王女、お怪我は?」
「私とリナは大丈夫です。それより、あの方のほうを!!」
美神は、エリッサに抱えられたダンテに気付く。
「魔族!?」
「お願いします!あの方の治療を!」
アリスが叫ぶ。
「分かったわ!おキヌちゃんとシロは心霊治療を!タマモは車から救急箱を取ってきて!」
「はい!」「分かったでござる!」「分かったわ!」
エリッサは、ダンテを優しく地面に下ろし、心霊治療を開始する。
続いておキヌとシロも心霊治療を始める。
タマモは向こうに置いてある車に向かって走っていった。
「アリス王女、横島クンと西条さんは!?」
「城の中で戦っています。」
それを聞いた美神は、美神は城の中へと向かう。
しかし、
ゴッ!
「ぶっ!」
美神は、何か堅い壁みたいなものにぶつかる。
「いたたたた・・・。」
鼻を摩る美神は、城の入り口を見る。
すると、黒いオーロラみたいなものが、城の周囲を覆っていた。
「な、何なの、これ?」
「"魔障壁"じゃよ。」
「!!」
美神が後ろを振り向くと、ドクター・カオスとマリアがいた。
「ドクター・カオス、あんた、これのこと知っているの?」
美神は、黒いオーロラを指差す。
「昔読んだ書物に書いてあったのを、今、思い出したんじゃ。」
カオスは魔障壁を見る。
「しかしこれは・・・・・、まさか!?」
「どうしたの?」
「いや、そんなはずはない。しかし・・・・、そんなことがありえるんじゃろうか?」
「えぇーい、何なのよ!早く言いなさいよ!!」
カオスを怒鳴る美神。
「・・・・・・。」
カオスは、静かに言った。
「・・・・・もしも、わしの予想が正しければ、2人は、・・・・・100%の確率で、死ぬ。」
「!! どういうことよ!!」
「この魔障壁を使えるのはただ1人、魔神ヴァルシオンだけじゃ。」
「魔神ヴァルシオン?」
「魔界で最強の力を持つ魔神じゃ。その魔神が使う魔障壁は、どんな攻撃も防ぎ、決して破壊されることはない。」
「何ですって?」
「その魔障壁を魔神ヴァルシオン以外の者が使っているとすると、その者は、ヴァルシオンを倒したことになる。」
「・・・・その魔神ヴァルシオンの力はどのくらい?」
「・・・・一瞬にして、地上を草1本も生えない地にすることが出来る。」
「!!」
美神は驚愕する。





「さぁ、ショータイムだ。君たちに地獄を味あわせてあげよう。」
ニヤリと笑いながら、バルドルフは言った。


続く

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