ザ・グレート・展開予測ショー

続々々々・GS信長 極楽天下布武!!(2‐2)


投稿者名:竹
投稿日時:(04/ 3/22)

「ははははは!恋人に殺されるが良い,ゴーストスイーパー!」
吸血鬼,ミツツナ=ド=コレトーが高笑う。
「……っ!」
ボッ!
ミツツナに噛まれ,吸血鬼と化したユミの右手に,炎が熾る。
「何,これ……,身体が勝手に……!?」
「言ったろう?君は最早,余の操り人形だ。余の思う通りに動くしかなく,余の意に反する事は出来ぬのだよ」
「そ……そんな……っ,ぅあっ……!」
ゴオオッ!
必死に抗おうとするユミだが,それも虚しく,右手の炎は益々燃え盛っていく。
「ユミ!」
秀長が叫ぶ。
「ひで……な……が……っ!」
「はははっ!何やら不可思議な魔術を使う様だが,まあ,良い。その炎で自らの恋人を灼き殺すのだ!」
「くぅっ!」
ゴッ!
“精霊使い”の猛火が,至近距離の秀長を襲う。
「くっ,水の精霊よ!」
バシュアッ!
秀長は,すんでの所で水の精霊を召還し,炎を打ち消した。
ジュウゥゥ……
辺りに水蒸気が立ちこめる。
「良かったぁ。霊衣も詠唱も無かったから,しょぼい威力で済んだのね」
ユミが,胸を撫で下ろす。
「ほう……?詰まり,それが有れば良いのだな?」
「ギク……」
「よし!では,次は詠唱してから魔術を使うのだ,娘よ!」
「……炎の精霊よ,我が祈りを聞け……って,いやあーっ,口が勝手に動くぅー!」
「ふはは!貴様如きの矮小な魔力で,余の術が解けるものか!」
「乾き虚空に燃え盛れ!」
「ユミ!?」
ドオン!
刹那,ユミの右手に小さな爆発が熾った。
ゴオオォォ……
それから発せられた炎は辺りの松の木に燃え移り,松林は灼熱地獄と化した。
「うわっ……!」
「ふふふ,やるな,娘。人間の分際で,これ程迄の力を持っているとは。それでこそ,我が僕に相応しい!」
「ああっ!さっきは矮小な魔力とかって言ってたくせにぃーっ!秀長ぁーっ!」
「く……!」
ユミの霊力量は秀長より高い。単純に霊力が高い方がより破壊力の有る攻撃を使えるのだから,炎の渦に囲まれた秀長に,助かる術は無い。
「糞……,兄者……っ」
秀長が早くも死を覚悟した時,遠くの方から叫び声が聞こえてきた。

「居たぞっ,彼処だ!」

「ちっ,この声は……!」
それを聞いたミツツナは,苦々しげな顔をすると,マントを翻してその場から飛び去った。彼に操られているユミを連れて。
「ユミ!」
「秀長!」
「ははは!ゴーストスイーパーよ!この娘を返して欲しくば,余を斃すより他に無い!決着は又た次の機会だな!」
バサア!
捨て台詞を残し,ミツツナはユミを連れて天空へと消えた。
「く……っ!」
ユミを人質に取られてしまった。否,この場合,敵に回したと言う方が正しいだろうか。
……兎に角,先ずはこの場を脱しなければ如何にもならないだろう。
夏のじめじめした空気の中でも,松の木は良く燃える。水の精霊の力を借りて,少し位消化した所で,焼け石に水だろう。
と言って,林のど真ん中から,火の海を突っ切って脱出すると言うのも無理臭い。
そして秀長は,吸血鬼の様に空を飛べる訳でもない。
「手が無いじゃないか……」
万事休すか。
「……っ!」

――良いか?人間の最大の武器は知能だ。どんな時も常に冷静でいろ。どんな窮地に陥っても,諦めずに解決策を考え抜くんだ。そして,敵を追い詰めた時も,決して油断するな――

その時,秀長の脳裏に兄の言葉が浮かんだ。
そうだ。考えろ,考えるんだ。
兄に初めて任されたこの仕事を,駄目にする訳にはいかない。
最後迄,決して諦めるな……!
「……!」
秀長は,ふと,足元を見た。
「そうだ……地面の中迄は炎も入ってこない……」
ザッ!
秀長は,地に膝を着いた。
「土の精霊よ,我が呼び掛けに応えたまえ。我が身を護る鎧となれ……!」
ズァッ!
地面の土が隆起すると,屈んだ秀長の身体を覆った。
ォォォォォ……
冷たい地面がシェルターとなり,秀長を猛火より救ったのである。



「……何と言う事だ」
「くっ,ミツツナめ……!」
「酷い……」
世界有数のエキソシスト(悪霊払い)と呼ばれる斎藤利政と,その二人の弟子,ヴァンパイアハーフのミツヒデ=ド=コレトーとヴァンパイアハンターのアラキ=ヘルシングは,退治してくれと仕事の依頼を受けた吸血鬼(ヴァンパイア)・ミツツナ=ド=コレトーを追って,海岸近くのこの松林にやって来た。
のだが,彼等が遠目からミツツナを見付けた時には既に遅く,ミツツナは松林を燃やし,逃げ去ってしまった。
彼等が松林に到着した頃には,近くの住民の通報でやって来た消防車によって火事は消し止められ,松林は先程迄の青々と繁った姿を見る影も無くしていた。
「これは……如何しようもありませんね」
「手掛かりも無いのか……」
制止する消防士にゴーストスイーパーのライセンスを見せ,除霊作業中だとして現場へと立ち入らせてもらった三人だったが,これと言ってミツツナの手掛かりは見付からなかった。
「……仕方有りませんね。これ以上,此処を探しても……」
三人が諦めて帰ろうかとした時,ボコッ,と言う低い音が響いた。
「え?」
三人が音のした方を振り向くと,なんと土の中から人間が出てきた。
「ふー,助かった」
「!?」
それは,ミツヒデの高校の同級生である豊臣秀吉の異父弟・秀長だった。



「……成程,君もコレトー伯爵を捕らえに来たのだね」
秀長と目的が同じと分かった利政達は,取り敢えずミツツナとやり合ったと言う秀長の話を聞く事にした。
「ええ。っても,依頼内容は此処等に最近出没する妖怪の退治って事だったんすけど」
「我々も同じだよ。此処最近,此処等で報告されている怪異は,我々の調べに拠れば,全てミツツナ伯爵の仕業と考えて間違いない」
三人を代表して,利政が秀長と話す。
「そうなんですか?でも,依頼人から貰った資料に拠ると,死人は出てないとかって……。彼奴,最も強力な吸血鬼って,自分で言ってましたけど……」
「ふむ。死人は出ていないが,行方不明者は出ているのだよ。知っての通り,吸血鬼は血を吸った者を自分の支配下に置くからね」
「あー,そうなんすか。そう言えば,家内もそれにやられて……」
「え,家内って……君,幾つだね?確か,君のお異父兄さんが十七か十八……」
「いえ,その……。俺,この間迄,外国に住んでまして……。其処じゃあ,十五になったら強制的に結婚するのが決まりだったんす」
「ああ,そうなんですか」
「で……家内も,あの吸血鬼と一緒にどっか行っちゃって」
「ふむ。恐らくは,他の行方不明者達もそうなっているだろう」
「そうって……」
「コレトー伯爵の兵隊となっていると言う事だよ」
「そ,それはキツい……」
「……奥さんと戦うなど,君には辛い事かも知れないが,解決方法は有る」
「何すか?それ」
「それは……」
そう言って利政がちらと背後に視線を送ると,それを引き取ってミツヒデが話し始めた。
「僕は,ミツツナを父に持つヴァンパイア・ハーフなんです」
「え,あの吸血鬼の息子さん!?」
「ええ,お恥ずかしい事ながら……」
「そ,そうなんですか……」
あの馬鹿みたいなのが父親とは,確かに恥ずかしい。
「……吸血鬼は,血を吸う事で相手を魔力で支配していきます。ミツツナは馬鹿ですが,魔力はアホみたいに高い。噛まれた者は,噛んだ者に絶対服従するしかありません。しかし,他の吸血鬼がその吸血鬼共の大ボス――今回の場合はミツツナを噛んでしまえば,秩序が崩壊し魔力は消滅する。詰まり,みんな元に戻るのです」
「えっと……要するに,十兵衛さんがお父さんを噛んでしまえば,ユミも他の行方不明の人達も,みんな助かる,と」
「そう言う事です。……て,何ですか?十兵衛って」
「え?いえ,兄者がそう呼んでたから……」
「はあ……」
「兎に角」
話が脱線しそうになったのを,利政が戻す。年の功か。
「ターゲットが同じなら,君にも手伝ってはもらえないかね」
ターゲット,と言うのは,慈善と清貧を以て知られる利政には,普段使わない言葉だが,話を合わせるにはこう言った方が早い。
「ええ,是非お願いします」
秀長も,正直,一人では心許なかった。渡りに船である。
「よし,決まりだね」
「じゃあ,行きましょうか」
そう言って,利政とミツヒデが立ち上がる。
「え,でも,吸血鬼が何処に居るか,分かってるんですか?」
不思議に思った秀長が訊く。
「そんな時は,私にお任せっ!」
すると,今迄黙っていたアラキ=ヘルシング嬢が椅子を蹴った。
「うわ,びっくりした」
「ふふふ。この私,ヴァンパイアハンターのアラキ=ヘルシングに掛かれば,コレトーだろうがドラキュラだろうが,簡単に見付けられるのですよ!」
「そうなのですか」
「そうなのですよ!これを見なさいッ!」
そう言って,アラキは懐からドラ○ンレーダーみたいな機械を取り出した。
「これは?」
「うふふ,良くぞ訊いて下さいました。これはヴァンパイア発見用レーダー,その名も『ムラシゲ』!ヴァンパイアの妖気に反応して位置を補足すると言う,素敵にご都合主義な機械なのですよッ!」
「確かに,都合が良いけど……」
秀長は,不安気に利政に視線を送る。
が,利政は頷いてこう言ったものだ。
「……と言う訳だよ,秀長君」
「マジですか……?」
その時,秀長が覚えた不安は,彼がジャングルで修行を積んだ事のみに起因するものではないだろう。



「……此処ですね」
過程を一気にすっ飛ばして,秀長達はミツツナが棲処にしている古城にやって来た。
「な,何で日本にこんな物が……?」
秀長はそう呟いた。
その通り,其処は明らかに周りの景色と合ってない,西洋風の古城だったのだ。
「此処,千葉県ですよね?」
思わず,訊いてしまう。
「ああ。此処は,明治の昔に外国から移り住んできた貿易商が立てた屋敷なんだ。観光名所にしようと言う計画も有った様だが,これだけでかいと維持費も篦棒に掛かると言うので,今は斯うして打ち捨てられているのさ」
利政が,そう説明した。
「へえ〜……って,あれ?」
「如何したのかね」
「そう言えば,吸血鬼って陽の光が駄目な筈じゃあ……」
「ああ……。言っていただろう,彼は最も強力なヴァンパイアの一鬼だと」
「ええ……,けど,それが?」
「詰まり,彼は特別なのだよ。彼だけは,陽の光を浴びても灰にはならない。まあ,力が減少はするのだがね。その位の特別に高い力が無ければ,流石に世界征服などとは考えまいよ」
「せ,世界征服っすか」
「まあ,馬鹿げた話だがね。しかし,彼の力が脅威であり,又た,人々を苦しめているのも又た事実。我々は,GSとしてこれを止めなければならない」
「はい……」
「陽の光の下では,コレトー伯爵に噛まれたと思われる行方不明者――即ち即席吸血鬼達は力を失う。今がチャンスだ」
「……ウチの家内は,陽の光の下でも思いっ切し動いていた様な……」
「ふむ。それは魔力が高いからと言う事かな。もしかして,吸血鬼の魔術と相性が良いのかも知れない」
「相性が良い……?」
「もし,そうだとすれば急がなければ。そう言う者は,何かの拍子で本当に吸血鬼になってしまうかも知れない」
「ええっ!そりゃ大変だ。早く行きましょう!」
「うむ。では,行こうか,諸君」
「はい」
利政は三人を鼓舞し,錆び付いて軋んだ音を立てる大きな鉄製の扉に手を掛けた。
ギギギ……
耳障りな音を立て,扉がゆっくりと開かれる……。



館の地下,ワイン倉庫。
「くっ……!何者かが城に潜入して来おった」
「はあ,そうですか」
苦々し気な顔で呟くのは,ミツツナ=ド=コレトー伯爵。
如何でも良さ気に応えるのは,ミツツナに血を吸われ,即席吸血鬼にされたユミだ。
「我が僕達が戦えぬ昼間を狙って来るとは,何と言う卑怯千万な者共!」
「当たり前な気がしますけどねえ」
「五月蠅いぞ,お前!僕の分際で,良くもそう,余に生意気な口を……!」
「好きで仕えてるんじゃありませんから」
激昂するミツツナを,しれっとした顔で流すユミ。
操られてはいるものの,自我は保っている。
……余り意味は無いが。
「貴様……!……まあ,良い。貴様は強力だ。僕の分際で,陽の光の中を歩けるのだからな」
「それは如何も」
「よし。では,侵入者を蹴散らして来い!」
「嫌とは言えないでしょ?」
「そうだ。誰も頼んでなどないだろう,これは命令だ」
「分かりましたー」
「……むかつくな」
「申し訳御座いません」



城の中に入った四人。
「吸血鬼は,陽の光の中では動けない。コレトー伯爵は特別強力な吸血鬼故,陽の中でも活動出来るが,それでもパワーは落ちる」
「とすれば,敵が居るのは地下……!」
利政とミツヒデが敵の位置を分析する。
「でも,パンフレットに拠ると,この館には地下室ってワイン倉位しか無いみたいですよ?」
アラキが,市役所で貰ってきた,この館の観光地化計画が推進されていた時に作られたと言うパンフレットを読んで,言った。
「じゃあ,敵は其処に?」
「そうなんですか?」
「でも……」
斎藤師弟が何やかんやと話し合っているその向こうに,秀長は人影を見た。
「!」
あれは……。
「ユミ!?」
見慣れた,自分の妻が其処に居た。
その格好は,『精霊使い』の正装――先程,“儀式”をした時の服装だった。
「え!?」
「奥さん,おられたのですか?」
他の三人も振り向く。
「え,ええ。ユミ?如何した……」
「いや,だからあの阿呆な吸血鬼に操られちゃってるんだってば。……行くよ?」
「え……」
「灼熱の炎よ,聖なる篝火を焚け……,精霊よ,我が呼び掛けに応えよ……!」
ゴオオッ!
巨大な炎が,ユミの右手に盛る。
「ちょ,一寸,ユミ!?」
「だから,御免って!あの吸血鬼に操られてるのっ!私が自主的にやってる訳じゃないのよ!」
そう言いつつも,ユミの右手からは,秀長達目掛けて火球が発せられる。
「くっ……!大気の精霊よ!」
ゴオッ!
秀長は,大気の流れを操り,何とか炎を逆流させる事が出来た。
「長くは保ちません!皆さんは,早く例の吸血鬼を!」
秀長が,三人に叫ぶ。
「分かった!」
「すいません!」
「頑張って!」
口々に秀長に礼を言うと,三人はワイン倉を目指し走り去った。
「くっ,駄目だ……重いっ!」
ゴォッ!
だが,最後尾のアラキの姿が曲がり角の向こうに消えた瞬間,秀長の召還した大気の精霊は,ユミの炎にねじ伏せられ,その効力を消してしまった。
「ぅあっ!」
「秀長!?」
その攻撃をした張本人なのだが,ユミが秀長の身を案じて叫ぶ。
「だ,大丈夫だ……何とか」
「よ,良かった……」
間一髪,避けれ事が出来た秀長。
煉瓦造りのこの館では,火が残ったとしても何とも無いが,しかし,ユミの呪力が暴走すれば,館毎蒸し焼きにする事も不可能ではない。
「ま,拙いなー……」
「御免ね,秀長ー。自分じゃ止められないのよ」
「お,応……」
あー,もう,糞。考えろ,考えるんだ。
この窮地を脱する方法を……
「あ,そうだ!ユミ,あの吸血鬼には何て命令されたの?」
「え?確か,『侵入者を蹴散らして来い』って……。……あ,そっか!」
ユミが手を叩いた。
「こういう事ねっ!」
ドカァ!
「がはあっ!」
ユミの見事なハイキックを顔面に受け,,秀長は開きっぱなしの扉から,館の外へとぶっ飛ばされた。
「いてててて……」
だが,ダメージは大した事なく,秀長は直ぐに,頬をさすりながら起き上がった。
「ごめーん,大丈夫?」
そんな秀長に,ユミが走り寄ってきた。
「う,うん。何とか……。それより,そっちは?」
「うん,ばっちり!」
秀長の問いに,ユミはペイントされた顔を歪ませ,ガッツポーズで応える。
「これで,任務完了したみたいよ」
「そっか,良かった」
「ええ。でも,こんな裏技を思いつくなんて,流石はお義兄様と同じ血が流れてるって所かしら?」
「うん。いくら魔力を注ぎ込んで支配してるって言っても,細かい命令を下してるのは,“言霊”を乗せた奴の『声』だろうからね」
「文字通り『蹴散ら』せば,それだけで任務完了って訳よね。館の外に出れば,もう『侵入者』でもないし」
「序でに,ターゲットを『侵入者』って単数形で命令してるから,奥に向かった三人は排除しなくても良いしね」
「そう言えば,あの人達,何者?」
「同業者だよ。何度か有った事有るだろ?」
「そうだっけ」
「そうだよ。……ま,良いや。兎に角,此処であの人達が奴を退治してくれるのを待とう」
「そうね」



「パンフに拠ると,此処がワイン倉へ続く階段ですよ」
地下へと続く階段を手にしたパンフレットと見比べて,アラキが言う。
「よし,行きましょう。あのボケ親父を,今度こそ完全に制して見せます!」
ミツヒデが奮起する。
「でも,ミツヒデおにーさま?今は昼間だから,此方からワイン倉に攻め込むより,奴を外に誘き寄せた方が良いのでは……」
「それもそうか……」
「いや,待て」
「先生?」
「コレトー伯爵は,未だ倉の中なのだろう?」
「?はい……」
「『ムラシゲ』は,そう示していますが」
利政の問いに,二人が答える。
「ふむ,なら……」
「何ですか?」
「私に,考えが有る」



暫くして,館の外に三人が出て来た。
「何とかなったんですか?」
開口一番に秀長が訊ねる。
「ええ,なりました」
「え。でも,ユミの呪いは解けてないんですけど……」
「ああ。ワイン倉に立て籠もったコレトー伯爵を,倉毎封印したのだよ」
利政は事も無げに言った。
「ええ!?」
「私の出来る,最上級の結界だ。コレトー伯爵と言えども,解けるものではない。幸い,此処は私の家の有る東京からも近いから,私やミツヒデ君が定期的に結界の手直しをしていけば,半永久的に保つだろう」
「ええ〜,でも……」
「父は,それだけの事をしました。当然の報いです……」
何か勘違いしたミツヒデが,遠い眼をし始めた。
「いや,そうじゃなくて。呪い解いてもらわないと,ユミは如何なるんすか!」
「大丈夫だよ。コレトー伯爵の魔力の影響が薄まれば,自然に元に戻る。その間,伯爵の命令も届かぬ訳だし……。如何してもと言うのなら,特別な医者に掛かれば何とかなるよ」
再び,利政が答える。
「そんなもんなんですか」
「そんなもんだよ」
未だ,訝し気な眼の秀長に,ユミが後ろから肩を叩く。
「ま,良いじゃないの!兎に角,初めてのお仕事は無事完了したんだしさ!」
「……。ああ,そうだな」


「それに,吸血鬼プレイってのも味が有るかも知れないしね」
「何,言ってるんだ……」

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