ザ・グレート・展開予測ショー

オ・ン・ナ・ノ・シュ・ラ・バ♪4〜告白タイム〜


投稿者名:ノリ
投稿日時:(04/ 3/19)


事務所にて……

今まさに、横島に断罪の斧が振り下ろされようとしていた!というのはいいすぎだが。
横島の顔が青ざめている所を見ればそれに近いような雰囲気が漂っているのだろう。

「横島君。なんで、タマモと一緒にいたのかしら?」

美神は、笑顔を浮かべて横島に問いかけた。
それだけならいいのだが、その笑顔は目がまったく笑っておらず。
背景に地獄の業火が燃え盛っているのだ。
美神の激怒に横島は、恐れおののき歯の根がかみ合わないまま喋りだした、

「ぐ……偶然会って、に……逃げるのに協力してもらってただけであります!」
「そうなの? タマモ?」
「ええ、間違いないわ。」

タマモは、傍目から見ていてもわかるように明らかに不機嫌そうにしていた。
しかし、美神はその態度を歯牙にもかけず横島に自分の部屋に来るようにと言いつけて、自分の部屋に入っていった。
そして、美神が去った後、横島は……

「おキヌちゃん! どないしたらえんや! このままじゃ、美神さんに殺されてまう!」

横島は、相当パニックしているようだ。
先ほどの美神の敵意は、横島にではなくタマモに向けられていたのだが。
タマモが平然としていたため横島は、自分に向けられていると勘違いしたのだった。

「そんな心配はないですよ。あとで、私の部屋にも来てくださいね?」

おキヌちゃんもそそくさと自分の部屋に引っ込んでしまった。
まさに、横島は孤立無援となってしまったわけだ。

「親父、お袋。息子の先立つ不幸を許してください。」

横島は、真っ白に燃え尽きたようになって美神の部屋へと入室した。
一方で、シロとタマモは……

「た、タマモ! 一大事でござるよ! 先生をお助けしなければ!」

タマモは、美神の部屋に飛び込もうとするシロを、尻尾をつかんで止めた。
そのため、シロは顔面から地面にダイブすることになった。
効果音を現すのなら“ビタンッ!”という音だ。

「なにするでござるか! この女狐!」
「あんたが飛び込んでいったら。ややこしくなるから止めただけよ。」

シロは、相変わらず、横島を助けると息巻いたが……タマモの
「美神さんと戦って、勝てるの?」
という言葉に、なすすべもなく敗北してしまった。

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そして、横島はというと……

「あ、あの……美神さん?」
「なに? 横島君。」

横島は、嬉々としている美神に少々戸惑っていた。
いや、少々どころか心の中で、
(美神さんは、サディストだったのか〜!?)
などと、叫んでいるぐらい混乱していた。

「今日は、大事な話があったからここに呼んだのよ。」
「へ? 大事な話?」

美神は、一歩一歩横島に近付いていく。
横島は、一応引いてはいない……ただ、心の中は恐怖で一杯で、逃げ出したい衝動に駆られていた。

「私ね。最近やっと自覚できたのよ。」

顔を赤らめる美神を見て……
横島は、真面目な顔になる。

「わたし、横島くんのことが―「まってください。」

横島は、そこで美神にまったを掛けた。
横島は、美神の肩をつかみこう告げた。

「美神さん。俺、美神さんの気持ちには―「そんなこと関係ないの!」

美神は、横島の拒絶の言葉を遮る様にこう告げた。

「横島君が私をどう思っていようと関係ない。
 だって、私が横島君を好きだってことには、変わりはないもの。」

美神がこういったにもかかわらず、横島は……

「だけど、もしそのまま結婚ってことになったら。あいつが―」
「横島君?私、努力する。横島君の心の中で、一番とは言わないでも、あの子と同列になれるように。」

横島は、そこまで言われて息をつまらせた。
何も反論できなくなってしまったからだ。
ただ、一言こう呟いた。

「……なんで、俺みたいな奴を好きになんか……」

小さい言葉だったので、美神には聞こえていなかったが
そのセリフは、横島の心境を現していた。

「私の話は、それだけ。まだ、返事はいいわ。でも、いつか頂戴ね?」
「わかりました。」

横島は、そのまま美神の部屋を出て行った。
美神は、横島の背中を見送り、ある人に電話をかけた。

「あ、もしもし、ママ?私、横島君に告白したわ。
 え?返事はどうだったかって?まだ、貰ってないわ。
 現状じゃ、受け入れてくれるわけがないもの。」

沈み始めた太陽に照らされた美神の姿は、どことなく哀愁を帯びていた。

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部屋から出てきた横島にまず、声を掛けたのはシロだった。

「先生。大丈夫だったんでござるか!?」
「ん?ああ、大丈夫……」

横島は、心ここにあらずという感じで、おキヌの部屋に向かっていった。
横島の元気のなさをいぶかしんだシロとタマモは、美神の部屋へと入っていった。

「美神さん。ちょっといい?」

タマモが声を掛けると美神は、普通に返してきた。

「何かよう?」

シロは、一気に美神に詰め寄り問いただした。
いや、普通に訊ねただけであるが……

「先生になにを話したんでござるか?」
「え、なにって……」

美神の表情が一気に赤らむのを見て、タマモは確信した。
そして、タマモは、いきなり確信をついた質問をした。

「美神さん。横島なら、美神さんに告白されたら有頂天になって喜ぶと思うんだけど。
 横島はなんで、あんな深刻そうに悩んでたの?」

この言葉に、シロは目を見開き“美神殿が、先生に告白したんでござるか!?”などと大仰に驚いたので、美神が茹でたタコのように赤くなった。

「タマモ!あんた、まさか聞いて―」

タマモは、美神の愚問に対して……
“あんなわかりやすいリアクションをしたらだいたいの人はわかると思うけど?”
といった。
その返答に美神はまた、顔を赤らめた。

「で、話してくれない?横島が素直に喜べないわけを……」

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おキヌの部屋で……

おキヌと横島は、互いに見つめあっていた。
なにをするでもなくただそこに静寂があるだけだった。

「あのさ、おきぬちゃん。」
「ひゃい!? な、なんですか!?」

静寂を破ったのは横島だった。
横島は、深刻そうな顔をしたままおキヌにこう尋ねた。

「おキヌちゃんは、美神さんが俺のことがすきだってわかってたの?」
「え?まぁ、私も同じ女性ですから。勿論、私も美神さんと同じで、横島さんが……だ、大好きです。」

おキヌは、顔を真っ赤にしながら横島に告白する。
しかし、横島は、さらに深刻そうな顔をした。
勿論、美神の時と同じ理由で悩んでいるのだ。
なぜ、こんな俺を好きになったのかと……

「美神さんに、した質問はしないで下さいね。
 私も、美神さんと同じくらい……いえ、それ以上に横島さんのことが好きですから!」

おキヌは、顔を真っ赤にしながらも俯かず、笑顔で横島を見た。
横島は、とりあえず、ぎこちない笑顔でおキヌの部屋を退室した。
おキヌは、横島が退室したあとベッドに寝転がって、思案していた。

「はぁ、やっぱり横島さん。あの人が忘れられないんだ。
 でも、私は絶対にルシオラさんには、負けませんから。」

その時のおキヌの瞳には、明らかな決意が宿っていた。

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横島は、おキヌの部屋から出たあと直ぐには帰らず。
屋根の上に上っていた。
まるで、昔を思い出すように……

「ルシオラ……俺、どうすればいいんだ?
 美神さんやおキヌちゃんを幸せに出来ると思うか?
 お前の命を守れなかったこの俺に……」

そんなことを呟いていると後ろから声を掛けられた。

「先生、そんなところでどうしたんでござるか?」

声の主は、シロだった。
横島は、シロを少し見つめると直ぐに夕日に視線を戻しこういった。

「少し前の事を思い出してただけだよ。」

シロは、そのセリフを聞いて、横島の隣に座った。
そして、おもむろにいった。

「ルシオラ殿のことでござるか?」
「!!!」

横島は、当然のことながら驚いた。
シロが知っているわけがないのだから当然といえるだろう。

「なんで、それを?」
「美神殿から聞いたでござる。」

横島は、一言“そうか”と呟くと夕日を見つめてこういった。

「夕日、綺麗だろ?」
「綺麗? ……そういわれれば、確かに綺麗でござるな。」

横島は、シロのセリフを聞いて、さらに続けた。

「ルシオラがいったんだ。昼と夜の境の少しの時間に見えるから綺麗なんだってな。」
「確かに、そうでござるな。」

だんだんと、夕日は沈んでいき。
ついには、完全に沈んでしまった。

「沈んじまったな。そろそろ帰るか。」

横島が、立ち上がり帰ろうとすると、シロがいきなり後ろから抱き付いてきた。
そして、横島に告白をする。

「拙者も! 拙者も、先生の事をお慕い申しているでござる。
 いつかは、生涯の伴侶として生きて行きたいと思っているでござる!」

なれないセリフで、恥ずかしくなったのかそれだけいうとシロは、早々と中に入ってしまった。
横島が、唖然としていると声をかけられた。

「あれじゃ、答えようがないわね。」
「た、タマモ!」

タマモは、横島の後ろから現れたのだ。
獣形態になって、身を屈めていれば気付く事はあまりないとは思うが……
意図的でないと出来ないことである。

「私も、美神さんから聞いたわ。ルシオラって魔族の女性のこと。
 横島って、顔に似合わず、熱愛してたのね。」
「ちょっと、酷くないか?」

横島は、少しげんなりした顔でタマモに返答した。
タマモは、そんなことはお構い無しに横島に近付いて耳打ちする。

「私もね。横島のことが好きよ。」
「タマモ。お前もか?」

横島は、その場にどかっっと座り込みタマモに質問した。

「タマモ、なんで俺を好きになったんだよ。
 大切な人一人守りきれなかったこの俺に。」

横島の表情は見るからに暗く落ち込んでいた。

「私は、そうは思わない。横島は、きちんと守りきったと思うよ?
 ルシオラっていう人が横島を命と引き換えに助けたのだって、
 命をすててまで助けてくれたっていう愛情にこたえたかったからだろうし。
 私もほかの皆も横島の行動に心を動かされたからだと思う。
 他にも、要因はあるんだろうけどね。」

タマモは、それだけいうと下に下りていった。
横島は、少しその場で考え込んだ後、帰路に着いた。

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