絵本
投稿者名:DIVINITY
投稿日時:(04/ 3/18)
1/女の子は女の子なれど・・・・
ある所に守るべきものも守るべき教えも持たない、それ故に生きる目標を見失った一人の女の子がいました。
肉親は遠く離れてしまい、親身になってくれる人はいても、女の子の心はいつも一人ぼっち。
寂しくて、寂しくて、
涙が止まる日はありませんでした。
(誰か、お願いだから一緒にいてよ……)
でも、誰も少女の願いを叶えてくれませんでした。
少女は頭の良い子です。
考えを変え、目標を作る事にしました。
(誰も助けてくれないなら、私が私を助けてあげよう)
2/女の子は少女へと成長し・・・・
時が流れました。
女の子は背が伸びて、髪が伸びて、でる所はでて、引っ込むところは引っ込んだ、それはそれは美しい少女へと大変身!
活発そうな外見は行動にも表れ、暗さなど微塵も感じません。
彼女は目標を無事成し遂げたのでしょうか?
いいえ、彼女は勘違いをしているだけでその快活さは薄っぺらな擬態に過ぎません。
彼女は皆を認めさせようとがむしゃらに頑張って、そしてその努力がついに報われたので、嬉しさの余りそれが目標到達と勘違いしてしまったのです。
だから、まだ内に潜む「寂しさ」はなくなりません。
しかもほっといたせいで「寂しさ」は時間をかけて彼女の心に大きな穴を作ってしまいました。
その穴には時々、冷たい風が入り込み彼女に痛みをもたらします。
さほど痛くない事の方が多いのですが、稀にズキンと心がバラバラになってしまうような痛みが走る事もあります。
彼女はそういう時に限り、お布団に潜り込んで痛みが去るのをじっと待つのです。
お布団の柔らかさで硬くなった心をほぐしてほぐして……
お布団の温もりで冷たくなった心を温めて温めて……
でも、心の穴に吹き込む風とともに乗せられた言葉には為す術もありません。
―――楽しいって何だろう?
彼女は泣く事でしか答えられませんでした。
3/少女に一抹の幸福を・・・・
女の子は無駄な事が嫌いです。
道端にある石につまずいて転ぶような愚行は以ての外。
だから、今日も今日とて効率的に時間を使っていきます。
そういうふうに日々を積み重ね、それが日常へと変わり、振り返って見ればあれびっくり。
コピーでもしたんじゃないかという程の変化のない世界が広がっているではありませんか!
これでは生きる事への執着を失ってしまいます。
でも彼女はその事に気づきません。
だって過去を振り返るなんて事は無駄な事なんですから。
そんな可愛そうな少女の為に私達はせめて祈りましょう。
転ぶ事を嫌う彼女が何かの間違いで自分から転ぶ事を……
4/迷い続ける石
少年は今、目を覚ました。
それと連動して眠っていた時間が動き出す。
石膏のように真っ白くなった心に色がついて、
閉じていた目を開けて、目に映る全てを受け入れた。
少年は過去を振り返る。
楽しさが多く溢れる中に、後悔や悲しみがちらほらと見えるmy road。
自分だけが持つそれをを一通り眺め、やがて前を見据えた。
何色にも染まっていない道がずっと続いている。
その道は変化に富み、曲がりくねっていたり、道が分かれていたり、螺旋を巻いていたり、場所によっては落とし穴まで存在したりする。
今日もそんな迷路にも似た道を迷い歩けるのだ。
少年は嬉しくなって走り出した。
「うっしゃー!今日こそは、綺麗な姉ちゃんをGETしてやるぜっ!」
少年は好んで迷い続ける大きな石。
不思議な魅力をもつその石は、コロコロコロコロ転がって、目に付いた人を片っ端から転ばしていく。
楽しいな。
楽しいな。
今日はどんな人が転んでくれるのか考えるだけでも、楽しいな。
5/少女は石に躓いて・・・・・
少女は今日も働き尽くめ。
頑張って頑張って、より多くの人たちに私の価値を教えないと。
お金を集めて、権力拡大に努めて、そうすればもう寂しいなんてことはないはず。
少女はそう考え、それを希望に頑張ります。
・・・・・その「希望」が幻である事に気づく気配はなく、誰かが教えてあげることももう叶わないでしょう。
このままでは、少女はまたあの寂しい日々を繰り返すことになります。
ああ、もう為す術はないので・・・・・・おや?これは、これは珍しい。
もう心配することはないみたいですね。
少女は見事に石に躓いて、転んだようです。
ふふ、少女は石に向かって何か怒鳴ってますよ。
何故かそれがとても微笑ましいように感じます。
これで私の肩の荷も下りました。
後は、石に任せましょう。
きっと少女はこれから先、「寂しい」などと感じる暇のないアクシデント続きの日々を送ることになるでしょう。
でも、それはとても喜ばしいこと・・・・・・
「横島〜〜〜〜っ!また、あんたの仕業か〜〜〜〜〜!」
「ああっ、堪忍や〜〜〜〜〜〜っ!」
・・・・・・・・・・・・・彼女たちに幸多からんことを、ねがって・・・・・・・・・・・・・
今までの
コメント:
- なんか、懐かしいな〜。
お久しぶりです。しばらく、顔を出さないうちに、いつのまにか俺は「過去の人」になってしまった感じですね。
えっと、今回の話ですがまあ、絵本調の語りで紡いでみました。多少、無理な感があるのはご愛嬌。最後らへんなんて、自分で読んでて首を傾げてしまったしだいです(笑)
閑話休題
ほったらかしにしていた俺の長編「悲劇に血塗られし魔王」は「椎名作品二次創作小説投稿広場」に移行することにしました。まだ、そう決めただけで実際に投稿したわけではありませんが・・・・・
ふむ、後言うことは・・・・ないですね。では、これで今日は失礼します。 (DIVINITY)
- 初めまして。
大量入荷の新人の内の一人の竹と申します。
DIVINITYさんのお名前はかねがね聞いていたのですが,「悲劇に〜」じゃ未読です,御免なさい。
で,この作品。
良かったです。まあ,シロではないわな・・・。
て,絵本はこんなではないですって。多分。
「石」と言う表現が素晴らしいと思いました。 (竹)
- ぼくも絵本と謂うよりは童話かな、と想いました。
ところで、彼女を見守り続けたこのヒトは何者でしょうね?
「天は自らを助くる者を扶く」という諺に従うならば「天」となるでしょうが……やっぱり美智恵さんでしょうか。何せ彼女は「母からの伝言!!」篇の冒頭で、この「石」に「危機(ハーピー襲来)の時にあの子のそばにいてあげられるのはあなただけ」と云った忠告を与えていますし。そして、この童話をれーこちゃんに語り聴かせている……と勝手に妄想。
この種の作品に能く有るヒッカケが無くて、どこかほのぼのとした雰囲気のまま、最後まで安心して読めました(笑)。 (Iholi)
- お久しぶりです〜DIVINITYさん、ヒロです〜
さて、個人的な感想なんですが・・・難しいですね〜
賛成と付けるべきか否か・・・いえ、個人的には非常に賛成したい内容なんです。
ただ、冒頭で女の子を『令子ちゃん』と断定するには。ちょっと難しいかな?と。
ハーピー戦のときに、美神さんの他人より自分の命のほうが大事、ということを納得していた点、そして
>(誰も助けてくれないなら、私が私を助けてあげよう)
という点にちょっと違うかな?と思うところがあったんです・・・(ごめんなさい) (ヒロ)
- そして美神さんなら例え小石にけ蹴躓いても、小石を蹴り散らして前に進むことをやめないかな?
とは言え、内容事態は前文にも書いたように非常に賛成したいことも事実、ということで、なんだかんだ言いながらもやっぱり賛成(汗)
まぁ、実際横島君(小石)は美神さん(女の子)に何度も蹴っ飛ばされながらも、それでもめげずに何度も蹴躓かせていますしね〜
さて、久しぶりのご投稿にこんなことを書いて申し訳ないです〜
であであ〜またのご投稿をお待ちしておりますです〜 (ヒロ)
- 愚行や無駄を避けつづけた挙句生きる事への執着をなくしてしまう、と言う下りは心に痛く響きました。
生きる事と言うのが生命の維持に留まらないものだとすると、確かに彼女の完璧主義は脆さにも繋がり
ますね。本質的な彼女の「幼さ」のルーツであるかも知れません。
「転がる石」な彼とその本質が対比できます。
躓いて転んで怒鳴る彼女を見つめる視線は、やはり美智恵さんっぽいなとも、思いました。 (フル・サークル)
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