ザ・グレート・展開予測ショー

妙神山の休日 その3 前編


投稿者名:青い猫又
投稿日時:(04/ 3/18)







横島はジークと共に玄関から中に入ると、先頭をパピリオが歩きひとまずパピリオの部屋に向かった。
前をパピリオたち三人が歩いてるので、ジークと横島はその後ろを並んで歩いている。

「なあ、ジーク。」

横のジークに横島は話しかける。

「なんですか?」

「小竜姫さまに今挨拶に行ったらまずいのかな。」

ジークは少し考えるそぶりを見せた後、横島のほうに顔だけを向けて答える。

「いえ、予定ではそろそろ終わる頃ですし、小竜姫さまも会いたがっていましたから、
平気だと思いますよ。」

「そうか。」

それを聞いて横島は安心すると、先頭を歩いているパピリオを呼び止める。

「お〜い、パピリオ。」

「なんですか?」

横島の声に、パピリオが歩くのを止めて後ろを振り向く。

「俺、小竜姫さまに挨拶してくるよ、すぐ戻るからそれまでシロとタマモで遊んでてくれ。」

横島の発言に、パピリオが答える前にタマモが反応して叫んでくる。

「ちょっと横島〜、でってなによでって。
私たちを見捨てる気ね。」

「うるちゃいっ!!」

頭を軽くぽこりと殴られるとタマモも諦めたのか大人しくなる。
それを見た横島は笑いながら答えた。

「わるい、わるい、二人と一緒に遊んでてくれ。
小竜姫さまに来たって挨拶ぐらいは最初にしたいから、ちょっと話したらすぐ戻るよ。」

「しょうがないですね、後でいっぱい遊んでもらうでちゅよ。」

「横島、後で覚えてなさいよ。」

タマモが捨て台詞を言ってくるが、とくに気にならないのでスルーする事にした。

「二人に似合いそうな服があるでちゅ、きっと気にいると思うからさっさと来るでちゅよ」

横島は前に自分が着させられた服を思い出して、二人に心底同情をするのだが、
小竜姫さまに会うために心を鬼にする。

グッバイ、シロ、タマモ








そこでひとまずパピリオたち三人と別れ、横島たちは小竜姫の部屋へと向かう。
久しぶりに会う小竜姫を思い浮かべながら、横島は微笑を浮かべる。

「嬉しそうですね。」

横で歩くジークが横島を見て話しかけてくる。

「とうぜん!、俺の心のオアシスだからな。」

そう横島にとって今回の目的はたった一人、小竜姫さまだけだった。
もちろんパピリオに会いたかったのは本当だ、久しぶりにかまってやろうと思っている。

だが、だがしかし、小竜姫さまを捨てきれるほど、
横島は落ち着いてもいなけりゃ大人にもなっていない!

「オアシスですか。」

多少あきれたようにジークは言い返す。

「相変わらずですね、横島さんは。」

「まあな、それよりワルキューレは元気なのか?」

ジークの姉であるワルキューレの事を思い出した横島は、聞いてみる事にする。
ジークは歩きながら、ちょっとだけ真剣な顔を横島に向ける。

「ええ、元気にしてるそうです。
どうやら、ベスパさんと同じ部隊になったらしいのですよ。
今回呼ぼうとしたのですが、任務中らしく来れないとの事です。」

ジークの答えに、横島はほんの少し悲しそうなそぶりを見せる。

「そっかベスパと同じなのか、会えないのは残念だな。」

横島のそんな態度に、ジークはまずい事を言ってしまったと思ってしまう。
横島は下をちょっと向いて少しの間黙ってしまう。
どう、話しかけようかジークが迷っていると、心底悲しそうなため息が聞こえる。

「はぁ〜、そうすればよ、楽しみが3倍に広がったのに・・」

「へぇ?」

横島が言った内容が理解できずに間抜けな声を出してしまう。

「小竜姫さま一人から、ワルキューレとベスパも混ざって三人になってみろ、美神さんが居ない今だ。
やりたい放題だったのによ〜〜」

ジークはこけそうになる自分を何とか踏みとどまらせると、思いっきりため息をつく。

「相変わらずですね・・・・・・横島さん・・・」

三倍で撃墜されるだけのような気もするが、それは言わないでおこうとジークは思う
そんな話をしていると目的地についたようで、ジークがここですと止まる。

「ここが小竜姫さまの書斎になります。
朝食事を運んだ時に、もうすぐ終わると言ってらしたので終わってるとは思うのですが、
取り敢えず確認してみますね。」

「まて、ジーク。」

横島は書斎のドアをノックしようとするジークを止める。

「はい、どうしました?」

「久しぶりだし、俺が自分で声かけるからいいよ。
それよりパピリオがうちの連中に無茶してないか、見ててくれないかな。
あいつらも俺にとっちゃ仲間だし少し心配だからさ。」

横島はさわやかな顔をして、シロとタマモの心配をしてみせる。
これが美神や他の連中なら、さわやかな横島なんぞ信用をしないのだが、相手はジークであった。

「そうですか、お二人の事心配してるのですね。
わかりました、では小竜姫さまの事は任せますね。
あまり無茶をしないように言ってあげてください。」

「おう、任せろ、ちゃんと言っておくよ。」

さわやかな笑顔を浮かべたまま横島は言ってのける。
それではとジークが去っていくのを見送るその瞬間まで、横島はけっしてその態度を崩さなかった。

ジークが見えなくなると横島の本領が発揮される。

「うははははは、小竜姫さまと二人っきりだ。
良く考えてみりゃ、一人で来たらパピリオの相手で、
小竜姫さまと二人っきりには絶対になれなかったではないか。
シロ、タマモお前らナイスだ、俺は誓おうお前らの援護を無駄にしないと、絶対にうまくやって見せるぞ。」

扉の前でこれだけ騒げば、うまくやるも無いものだが、横島はまったく気がついてない。
そして横島は書斎のドアをそっと開ける、もちろんノックなんてしないでだ。

ドアに鍵はかかって無かったようですんなり開く。
中を覗くと外より少し暗い部屋の中央に、小竜姫と思われる人影が見えた。
机に向かって座っているようで、机にうつ伏せぎみだ。

「小竜姫さま〜〜〜〜〜」

取り敢えず抱きついておこうと、横島は部屋に飛び込む。
目標はいまだに中央の席から動いていない。
抱きつくと思った瞬間、小竜姫は机に倒れこんでしまい見事にかわされてしまう。

ドカッ

かわされた横島は、そのままの勢いで本の壁に顔からぶつかってしまい、
鼻を押さえながら声も出せずに転がる。

転がる転がる、まだ転がる。

部屋の端にぶつかった所で止まると、何事も無かったかのように立ち上がった。

「あ〜、痛かった、俺じゃなかったら鼻つぶれてるぞ。」

「なにやってるんですか横島さん。」

後ろから眠たそうな声で話しかけられた横島は、ドキッとしてしまう。
もしかしたら寝てたのかもしれない。
恐る恐る後ろを向いて見ると、かな〜り冷たい目をしている小竜姫がジッとこっちを見ている。

「あれ?」

そこで横島はなにか違和感を感じた。
なんだろと思うのだが、良く分からないので小竜姫の顔をジッと見つめてしまう。

「な、なんですか。」

ジッと顔を見つめられた小竜姫は、さすがに顔を赤くして照れるが、
横島はまったく気にしないでさらに近寄って行く。

近寄ってくる横島から逃げようとするのだが、椅子に座っている小竜姫は、
背もたれにあたってすぐに逃げられなくなる。

後もう少しで顔がぶつかるという所で、やっと止まると小竜姫の顔を見つめたまま動かなくなってしまった。
小竜姫もいつもと違う横島に、張り倒して逃げるか迷っていると突然横島が声を出した。

「あ〜そっか!」

「ひぃ」

横島の声に小竜姫はびっくりして悲鳴をあげてしまう。

「小竜姫さまいつの間に眼鏡掛けたんですか?」

「えっ?」

言われた事がすぐには理解できなかった小竜姫は、一瞬間の抜けた声を出したが、
横島の言った意味を理解すると今度は顔を真っ赤にしてしまう。

「い、いえ違うんですよ。
これは目が悪くなったとかじゃなくてですね。
書類関係で細かい字を見たり書いたりしていると、どうしても目が疲れてしまうので、
それで使ってるだけです。」

そこまで一気に喋ると、眼鏡をいまだに付けている事に気がついて、急いではずしてしまう。

「別に急いではずす事ないですよ。
眼鏡姿の小竜姫さまもとっても似合ってましたよ。」

微笑みながら言ってくる横島に、小竜姫は顔をさらに赤くしてしまう。

「か、からかわないでください。」

その時横島は、照れる小竜姫さまなんて新鮮だ〜と心で叫んでいた。
そして押せる時には押すのが心情の横島だ、さらに押してみる事にする。

「なに言ってるんです。
小竜姫さまはとってもビューティフォーでワンダフォーですよ。」

横島は自分でも良く分からない言葉を使いながら、小竜姫の肩に手を置いて顔を寄せる

「横島さん、前から言ってますが私に無礼を働くと・・」

小竜姫は立ち上がる動作と共に、いつの間にか握っている剣を横島の右上から振り下ろしてくる。
横島は本能でその殺気を感じ取り、体をひねってかわす。

「仏罰が・・・」

かわしたと思ったら、今度は左下から殺気が迫ってくる。
小竜姫は振り下ろした剣を再び下から振り上げてきた。
ツバメ返しというやつだろうか、よく分からないが、とにかく食らったら死ぬのは間違いない。
体勢が悪い状態からなんとか後ろに飛びのいて、ぎりぎりかわす。

「くだり・・・」

ほっと息をつく暇もなく今度もまた殺気がふくれ上がる。
小竜姫は振り上げた剣を、勢いのままに体ごと一回転させ横島に近づき、
再び左下から剣を振り上げてくる。

横島には、小竜姫が背中を見せたままこちらに近寄ってくる事しか分からない。
だが本能が、左下からの必殺の一撃をかわせと伝えてくる。
後ろは本が積まれているので下がれない。
思い切って小竜姫の右に転がるようにしてかわすが、服の一部がかわしきれずに切られてしまった。

「ますよ。」

積まれていた本が、何冊か真っ二つになる。
それを転がりながら見ていた横島は冷や汗が流れまくりだ。

小竜姫は振り返って横島を見る。
すると先ほどまでの殺気など無かったかのように微笑むと、横島に手を伸ばして起き上がらせようとする。
横島はおっかなびっくりその手を取ると、素直に起き上がった。
起き上がるときに握った手がやわらけ〜な〜と思ってしまうのは本能だろう。

「横島さん、腕を上げましたね。
正直3回目まで避けられるとは思っていませんでした。」

「避けなきゃ死んじゃうじゃないですか!
絶対に止める気無かったでしょ!!」

「ま、まあ横島さんですから、なんとかなると思ってました。・・・」

かなり言いにくそうに言うと、そういえば仕事が残ってましたとごまかしに入る
再び眼鏡を掛けると自分の机に戻って、書類に判を押し始めた。

「そ、そういえば、もうパピリオには会ったんですか?」

小竜姫はすでに先ほどの事は無かった事にしたらしい。
横島はなんと文句を言うか迷ったが、ごまかす小竜姫も珍しいのでつい笑ってしまう。
それを見た小竜姫はちょっとだけむっとするが、結局文句は言わなかった。

「門まで出迎えに来ましたよ。
今は一緒に来た事務所の仲間と遊んでいます。」

「美神さんとおキヌさんですか?」

シロとタマモを知らない小竜姫は、来たのを美神たちと勘違いする。

「あ〜いえ、そういえばまだ会った事無いですね。
いまうちの事務所に住み込んでる、シロとタマモってやつです。
まだ子供なんですけど、パピリオと気があったみたいで仲良くしてますよ。」

「そうですか、あの子にはいろいろと我慢してもらっているので、少しでも喜んでくれれば幸いです。」

微笑みながら言ってくる小竜姫に、横島は相変わらず可愛いな〜と思ってしまう。
まあ、相手は神様だしな、手が届くとは思えないけど。

「パピリオのやつは真面目に修行してるんですか?」

パピリオが真面目に修行しているのを想像できない横島は、小竜姫に確かめてみる。

「そうですね、あまり言うことは聞いてくれませんが、よくやっていると思いますよ。」

「今度、パピリオがうちの事務所に遊びに来るって出来ないんですか?」

また事務所に連れて来てみんなで騒ぎたいと思った横島は、軽い気持ちで聞いてみた。
すると、書類を押していた小竜姫の手が止まり、申し訳なさそうに横島を見る。

「すみません、パピリオは妙神山から出られないんです。」

「えっと、出られないってどういうことですか?」

小竜姫の言葉に不安になった横島が聞き返す。

「アシュタロス事件の事でパピリオをどうするか、問題になったのは知ってますよね。」

「覚えています。でもとくにお咎めは無かったと思いますけど。」

横島は当時の事を思い出す。
パピリオは妙神山の再建の手伝いをする条件で、それ以外の事は無かったはずだ。

「ええ、パピリオは妙神山の再建を手伝いながら、
しばらく様子を見て問題が無いようなら自由になります。」

「なんだ、しばらくってだけですか。」

横島はその言葉で安心をする。
しばらくは駄目でも、ちゃんと自由になればいつでも遊びにこれるって事だ。
だが、小竜姫はつらそうに下を向く。

「違うんです。」

「なにがですか?」

なにが違うと言うのか、本当はもっと重い罪なのか横島は戸惑ってしまう。
横島は小竜姫を見る、じっと下を向いていた彼女は決心をしたように顔を上げると、
横島の勘違いを正してくる。

「パピリオは確かに今言った通りの内容だけです。
ですが、神族や魔族の時間の感覚と人間の時間の感覚は大きく違うのです。
しばらくと言ってもパピリオは、最低100年はここを離れる事はできません。
・・・・・横島さんが生きている間には、ここを出ることは出来ないのです。」

なにを言っているのか横島は一瞬理解できなかった。
しばらく・・・その言葉の意味がこんなにも違うだなんて、思ってもみなかった。

「それってパピリオも知ってるんですか?」

「100年と言う事は伝えました。ですがパピリオはまだ理解してないんです。
人間がいかに短命かを、そして自分がいかに長い時間を生きるのかを、
生まれたばかりの彼女は、時間と言うものをまだ完全には把握できていない。
最初が1年と言うあまりに短い時間だったから、
自分が人間とは比べ物にならない時間を生きる事が分からないんです。」

「そうですか・・・」

横島は本棚に寄りかかる、少し自分で立っているのがつらくなってしまったから。

「パピリオの処分には、私からも変更の依頼をかけてます。
まだどうなるかは分かりませんが、なんとか美神除霊事務所へ行く事を
許してもらうようにお願いします、だからもう少し待ってくれませんか。」

真剣な表情で伝えてくる小竜姫を見て、少し弱気になった自分がどうしようもなく間抜けに思えた。
諦めたらお終いだよな、少なくてもパピリオのために、一生懸命になってくれる人が居るのだから。

「小竜姫さま俺のためにそこまで、もうこうなったら添い遂げるしか。」

上着を脱ぎ捨て、小竜姫に飛び込んで行こうとすると、ぴたりと首筋に冷たい感触が・・・

「切り刻んでみて良いですか?」

取り敢えず、動ける範囲で首を振っておく。
すぐに剣を下ろしてくれたので大人しく服を着た。

「まったく、相変わらず真剣な話はお嫌いですか。」

「がらじゃありません。」

呆れた様子の小竜姫の質問に、横島は簡単に答えた。

コンコン

ノックの音がしたので二人はドアを見てしまう。

「小竜姫さま、お茶を持ってきましたけど今よろしいですか?」

「はい、お願いします。」

慣れた手つきでドアを開けながらジークが入ってくる。
そして小竜姫の机の上に二人分のお茶を用意すると、どこからともなく横島の椅子まで準備してきた。

こいつ、手慣れてやがると横島は思うのだが口に出すか一瞬迷う。

「私はこう言った事の方が、しょうにあってるんですよね。」

顔に出ていたのか、横島の思っていた事に返事を返して来る。

「私、魔族なんですが戦闘は嫌いでして。」

それだけ言うと、でわと言って部屋から出て行った。

「なぜかむかつくやつですね。あれだけさわやかだと。」

「それは横島さんが、素直じゃないからです。」

横島の素直な意見に小竜姫は賛同してくれなかった。

「せっかくですしお茶でも頂きますか?」

小竜姫は質問をしながら、横島に椅子に座るように勧めてくる。
大人しく座った横島は、頂きますと言って一口飲んでみる。

そうやってしばらく時間をすごした。
その間、小竜姫はちょっと考えている様子だったが、すぐに顔を上げて横島を見つめる。

「横島さん、少し真面目な話しませんか?」

「・・・」

なんと言って返せば良いのか分からずにいると、部屋の時計が六時を知らせ始める。

ゴ〜ン、ゴ〜ン、ゴ〜ン・・・・

六回鳴るのを聞くと、小竜姫が慌てて立ち上がった。

「あ、そろそろ食事の用意をしないといけませんね。」

「え、小竜姫さまが用意するんですか?」

今まで小竜姫が食事の用意をしたのを見たこと無かった横島は、正直出来るとは思って無かった。

「あ、失礼ですね。私結構自信はあるんですよ。」

「へ〜、小竜姫さまの手料理が食べられるなんて、俺って運が良いですね。」

「ええ、まあ、そ、そうですね。」

歯切れの悪い言い方をしながら、何故か顔を真っ赤にする。

「そ、それより横島さん、明日時間取れますか?」

「ええ、パピリオの相手を少しの間シロとタマモに頼めば、平気だと思いますよ。」

横島はう〜んと考えながら、明日の予定を想像してみる。
まあ、小竜姫さまと話すぐらいは出来るはずだ。

「なら明日、私のために少し時間をください。」

「明日と言わず、今日の夜ベッドの中にでも行きますよ。」

小竜姫の腰に手を当てようとするのだが、首筋に当たる剣の冷たさが邪魔をする。

「いや、明日で結構ですよ。」

にっこり微笑みながら脅してくる。

「了解しました〜」

そう言うと二人で部屋を出て一旦パピリオの部屋へ向かった。
廊下を歩きながら小竜姫は、横島の最近の出来事をいろいろと聞いてくる。
横島もそれに答えてこの間の修行はとか、おキヌちゃんの学校ではとか、たくさんの話をした。

そしてもうすぐパピリオの部屋が見えてくると言う所で、小竜姫がここの名物に作った銭湯を勧めてくる。

「作ったってなんですか?」

横島は作ったという言葉に反応して聞いてみる。

「ええ、この間壊れたときに、せっかくだからと機能を増やしたんですよ。
さすがに温泉は沸かないので銭湯になってしまうのですが、露天風呂ふうで結構な自慢ですよ。
ぜひ、パピリオやそのシロちゃんとタマモちゃんでしたっけ、その人たちと入ってください。」

その言葉に横島は額から汗が一滴流れる。

嫌な予感がする・・・・

それを見つけた小竜姫が不思議に思い聞いてくる。

「どうしました横島さん。お風呂って嫌いでしたっけ?」

「なに言ってるんですか、小竜姫さまと一緒なら喜んで入ります。」

何度やっても無駄だと思いつつ腰に手を当てようとする。
身の危険を感じて伸ばした手を戻すと、手があった場所を包丁が通過した。
包丁なんていつの間に・・・そして相変わらず必殺の勢いを感じる。

「私は夕食の準備がありますから駄目ですよ。
場所については後で案内をよこしますので、パピリオの部屋で待っていてください。」

「は、はい。」

それだけ言うと小竜姫は台所へと去って行った。
一応パピリオの部屋は聞いていたので迷う事は無いが、シロとタマモを紹介したかった気もする。
まあ夕食で会うから問題は無いだろう。

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