ザ・グレート・展開予測ショー

横島の未来・過去(5)


投稿者名:cymbal
投稿日時:(04/ 3/17)


白熱の一回戦が始まった!!



そして、あっ・・・・・・・・・・・という間に終了。



(所詮ヨコシマンAの相手では無いという事だ!!)



カオスは瞬殺です。


んでここは会場の裏・・・・。

「横島さん・・・・・、あなたは何者です?」
小竜姫がこっちを睨みつけている。

今日の試合が終わったので帰ろうとした所、小竜姫に呼び止められたのであった。
どうやら聞きたい事があるらしく、わざわざ会いに来たという事である。

「へっ・・・いやですね、宇宙の平和を守る為に・・・」
「冗談はいいんです!!」

シャキン!
剣が横島の首元に突きつけられる。さすがに今度はかわせそうな気がしない。


(どうしようかな・・・・・・。かなりマジっぽい・・・。)
横島の頭脳が回転する。ここのところフル活動しっぱなしである。

「・・・・・いやー、さっき美神さんにも説明したんですが、韋駄天様にですね・・・・」
とりあえずごまかしにかかった。これで何とか・・・・。

「嘘ですね、そんな事で騙されたりはしません。貴方には他に秘密があるはずです。」
視線を逸らそうとしない。真剣な顔だ・・・・・・・カワイイなあ。

(こーゆー真面目な顔も捨てがたい!!・・・・でも襲い掛かったら・・・・。)
首が飛びます。

「どうなんです!?正直になった方が身の為だと思いますが・・・。」
剣に力が込められる。横島の首に少しづつ押し当てられてゆく。


(・・・こ、こらあかん!!シャレで済みそーに無い!!仕方ない、白状すべきか!?)


「じ・・・実はですね・・・・・・、ん?」
観念した横島が言葉を発しようとした時・・・・・後ろから光線が走る!

シュン!!

「危ない!!!」
「はっ?」

横島が小竜姫を押し倒す!

「きゃ!!」

実に絶妙のタイミングであった。光線どうこうより一歩間違ったら首をはねられていたに違いない。声を出した隙に剣を上手くはねのけたのである。

「なっ、何をするのです!」
急に押し倒された彼女は顔が真っ赤に染まっている。
「そんな事言ってる場合じゃ無いです!」

瞬時に小竜姫を抱えると外に向って走り出す!

「ちょっ、ちょっと!」

「いかん逃げられるぞ!!追うんだ!!」
例の人達であった。一度は誤認したが、やっぱり戻って来たのである。


(何処に逃げる!?・・・・・とにかく人が多い所だ!奴らも人前では何もできんだろ!)

会場の敷地内を抜け、全速力で街中へと突っ走る!!
その間小竜姫は訳も分からず横島に抱っこされたままであった。








街中・・・・・・・。

追ってを何とか振り切った横島は何とか人ごみへと潜り込む。
そして・・・・コンビ二の前でやっと止まったのである。


「危なかったー・・・・。」


ほっと一息。その時小竜姫が口を開いた。

「・・・・とりあえず、降ろしてもらえません?」
横島の腕の中で小竜姫が恥ずかしそうにしている。

「あっ、す、すいません。」
急いで地面へと降ろす。

でもって少し距離を置き・・・・・またしてもこちらを見つめる。
何を言おうか考えているみたいだ。


(もう言い訳も利きそうに無いなー・・・・。)


全てを言うべきかも知れない・・・・そうしたら・・・・どうなるのだろう?
なんと言っても目の前に居る人は神様である。問答無用で引き渡されちゃったりして・・。

「・・・・横島さん。」
「は、はい!」

うーん、本音を言えばもう少し頭を整理する時間が欲しい。


「とりあえず・・・着替えてください。その格好では目立ちますので。」
「・・・・はっ・・・・!」

気が付けば回りに人垣が出来ている。良く考えたらシャツとトランクスのままだった事を思い出した。


「い・・・いやーー!!見ないでーーー!!!そんな目で俺を見るなーー!!」


会場の時は何でも無かったが・・・(おかしな姿の奴多かったし・・・。)こう街の中で好奇の目で見られると・・・・・・つらい。

とにかく横島は急いで裏手の方に着替えに走って行った。


(・・・本当におかしな人ですね・・。ぷっ。)
小竜姫の顔に久しぶりの笑顔が浮かぶ。残念ながら横島は見る事は出来なかったが・・・。









・・・そしてここは、喫茶店の中。
とにかくゆっくり話せる場所が欲しかったのである。

「へえ・・・何か落ち着いた所ですね。」
「行きつけの店(だった所)ですから・・。」

社会人時代に良くこの店で休んでいたのであった。
ちょっと古めかしい店なので当然10年前にも存在している。

(顔ぶれも変わって無いなあ・・・・。10年後とほとんど同じに見える。)

一人一人説明する気は無いが、皆さん生活のリズムは変わって無いようだ。
元々そんなに仲良かったわけじゃないし。

コトッ。

コーヒーが運ばれて来た。そして何も言わずに店員が去って行く。

(相変わらず無愛想な・・・。悪い人じゃ無いのになあ。)

思わず苦笑する。その時小竜姫がふいに声をかけてきた。

「これ何です?何か真っ黒い飲み物ですけど・・・・。」
「えっ、いやコーヒーですけど。」
「こーひー?」

どうやら飲んだ事無いみたいだ。・・しまったかな。口に合わなければこれほどマズい飲み物も無い。一番安いのをついクセで頼んでいたのである。(事実、今持ち合わせが・・・・。)

「ふーん・・・。香りは良いですね。」
「まあ・・・お茶みたいなモノです。」

小竜姫がカップに口をつける。


「・・っ・・・・・・・・苦い・・・、けどなんか美味しい気も・・・。」


・・・・・なんとか口に合ったらしい。良かった。





一段落ついた所で・・・・小竜姫がいよいよと言う感じで聞いてきた。

「それで・・・、あの連中は何者なんです?」
「えーっとですね・・・・・、俺もはっきりとは言えないんですけど・・・何と言って良いものやら・・・・んー・・・未来から俺を捕まえに来た人達・・・・ですね。」

そう言うと、彼女は驚くかと思っていたが・・・・以外にもそんなに動揺した様子も無い。

「・・・・なるほど、つまり貴方は未来から来た・・と言う訳ですね。無許可で。」
「あれっ、驚かないんですか?」
「何となくですけど・・・そんなような気がしてましたから。」

なんだ、ばれてたのか・・・。

「そう言う存在があるのも知っています。いわゆる時間犯罪者を捕まえる人達ですね。」

「・・・そうなんですか・・・。俺はどうする事も出来ないんですかね?」

小竜姫達が知っていると言う事はかなり有名な奴等なんだな・・・・・。

「残念ながら・・・、しばらくは逃げ回る事も出来るかも知れませんが・・いずれは捕まってしまうでしょうね。彼らも仕事ですから・・・、いつまでも野放しにして置く訳には・・・。」

なるほど・・・・、人生のやり直しと言うのははかない夢だったのか・・。あのロボットも捕まっちゃってたし、世の中そんなに甘くない・・・・。

(それならば・・・・何か、何か一つでも良い。過去でやりたい事は無いだろうか・・・・。いずれ捕まってしまうのなら・・・。)

横島は懸命に頭を働かす。もうオーバーヒートしててもおかしくない。

「私の方から伝えておきましょうか・・・。自分から出頭した方が罪は軽くなります。幸い貴方はまだ特に何か行動を起こした訳では無さそうですし・・・・。」

(・・・・・・・・・・しばらくは逃げ回る事も出来るかもか・・・・それなら・・・・。)
今の彼に小竜姫の声も聞こえてはいない。今、ある考えが頭の中をかけめぐっているからだ。



「・・・小竜姫様!!」
「は、はい!?」



突然の大声に小竜姫は声が上ずった。

「もう少しだけ俺はこっちに居たいんです!協力してもらえませんか!!」

横島は机に頭を付けてお願いする。ここにしばらく残る為にはどうしても協力が必要だ。

「そ、そう言われましても・・・何か理由でもあるのですか?」
「・・・・一目だけでいいんです・・・会いたい人がいます。一度見ることさえ出来たなら俺はおとなしく捕まります!」

真剣な目で小竜姫を見つめる。これで駄目なら諦めるしか無いだろう。どうせお縄につく運命ってやつだ。やれる事はやっておきたい。

「・・・・・・会いたい・・・・人ですか。」
「そうです。一目見るだけで結構です。」

(二度と会えることは無いと思ってたからな・・・・・。それだけで十分だ・・・・・ホントは喋ったり、色々!したりしたいけど。)
・・・・・せっかくの真面目な場面が台無しである。

その時、小竜姫が悲しそうな目を一瞬見せた。本当に一瞬の事であったが・・・。

「・・・・わかりました。協力しましょう。ただし!!運命を絶対に変えようとしたりしない事。そして、月に一度妙神山に訪れる事を約束して下さい。」
「・・・・わかりました!ありがとうございます!!」

自然と小竜姫の手を握ってしまう。一瞬殴られるかな・・・と思ったのだが・・・。

・・・・・・何もしてこない。あれっ?

「小竜姫様?」
「は、はい?なんですか?」

(なんか調子狂うなあ・・・・・。)
リズムがおかしい。身体そういう風に出来ていないのだ。

「あっ、それでは私は横島さんの事を伝えに行かなくては・・。そうすれば追っても付かなくなるでしょうし・・・・・・・とりあえず、出ましょうか。」
「はあ・・・・。」

・・・・横島は納得のいかないまま支払いへと歩いて行った。
そしてその後ろ姿を彼女はじっと見つめる。


(なんだろう・・・この感じ。・・・「会いたい人がいます」。この言葉を聞いた時・・・・・何だか妙に嫌な気持ちになった。私・・ひょっとして・・・・・・)


「行きますよ小竜姫様。」

その言葉で身体が動き出す。二人揃って店を出た。





店を出て表通りに来ると・・・人込みで溢れ返っている。

「相変わらず下界は凄いですね・・・。」
「時間が時間ですから・・・。ちょうど今ピークの時間帯ですよ。」

ちょっと気を抜くとすぐにはぐれそうである。
そして自然に二人の手は繋がれていた・・・・。

(・・・・・・・・・・。)

人込みに紛れて良くわからないが・・・・彼女の顔は確かに赤く染まっている。
感情を否定する事無く・・・上気していた。


・・・・短い時間であったが・・二人は街中を抜けると別れる。しかし彼女にとっては長い時間に感じたかも知れない。何よりも繋がれた手の平に・・・・・。





その後事務所に再び現れた小竜姫は明日の試験の事をみんなと話し合っている。
横島はその顔を横目で見つめていた。

(・・・・・何だったんだ?嫌がりもしなかったけど。)
相変わらず鈍い男であった。

その横でおキヌちゃんが元気に俺を応援する。

「明日も頑張って下さいね!」

そして向こう側から声が飛ぶ。

「明日は普通の格好で来なさいよ!!!!」

釘をさされてしまった・・・・・。

(一日だけの活躍だったな・・・・。)
横島は名残惜しそうにシャツに書かれた[A]の文字を見つめるのであった。

つづく・・・・・・。

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