ザ・グレート・展開予測ショー

GS信長 極楽天下布武!!【資格試験編】(10)


投稿者名:竹
投稿日時:(04/ 3/13)

織田信秀(1510〜1551)
 尾張守護代・清洲織田家の三奉行の一人。
 初めは尾張勝幡城に在ったが,次第に勢いを得て,守護代・織田信友や同僚達を圧倒していく。
 三河小豆城で今川義元を軍勢を破り,松平家を圧し嫡子・竹千代(後の徳川家康)を人質に取った。
 又た,屡々斎藤道三と争ったが,嫡子・信長に道三の娘・帰蝶を娶る事で和睦,後の信長飛躍の基礎を作った。

興雲院(?〜1612)
 織田信長の側室で,側室に台所用品の愛称を付けると言う信長の趣味から“おなべ”と呼ばれた。
 近江国の郷士・高畑源十郎の娘で,初めは近江八尾山城の城主・小倉実澄に嫁いだ。
 実澄が信長に付いた事により六角義堅に攻められ自刃した後,夫の旧臣の仲介で信長の側室となり,信高,信吉,振姫の三子を産む。
 関ヶ原の戦いの後,淀殿から五十石を賜り,静かに暮らした。

淀殿(1567〜1615)
 豊臣秀吉の側室で,名は茶々。
 浅井長政の長女として生まれ,母は織田信長の異母妹・小谷の方。
 継父・柴田勝家の死後,秀吉に引き取られ,鶴松,秀頼を産む。
 秀吉の死後は徳川家康と政権を争って敗れ,大坂城で秀頼と共に自害。















   吉法師━┓
       ┃━┓
  勒鶴義堅─┘ |─┐
  浅井長政━┓ | |
       ┃━┛ |
  佐々成政─┘   |─┐
  那柄正家━┓   | │
       ┃━┓ │ │
  豊臣秀長─┘ |─┘ │
マエダー利家━┓ |   │
       ┃━┛   │
   織田 淀─┘     │──
 時読ヒカリ━┓     │
       ┃━┓   │
 雨姫蛇秀家─┘ │─┐ │
  雫手政宗─┐ │ │ │
       ┃━┛ │ │
  善楕三成━┛   │─┘
  浅野長政━┓   │
       ┃━┓ │
  浅野ねね─┘ │─┘
  益汰長盛─┐ │
       │─┘
  羽柴秀美─┘




「っと,俺の試合か」
「みたいね」
「ヒナタ」
「さっきの子は?日吉」
「さっきの子って,ユミちゃんの事?」
「知らないけど」
「彼女は小竹の奥さんなんだってさ」
「ふ〜ん……」
「何さ,そのジト眼は」
「別に……」
「……。ま,良いや」
『益汰選手と羽柴選手は,コートへ上がって下さい』
「やべ,行かなきゃ。文珠,文珠……と」
パク
「これで良し,と。……ん,矢っ張し『女』になると胸が重いな」
「何それ,嫌味?」
「いや,そう言う訳じゃ」
「この可愛子ちゃんが日吉とか。詐欺よね」
「知らないよ,そんなの……」



『さあ!四回戦もいよいよ最終試合。第八試合は,益汰長盛選手と羽柴秀美選手の対戦です!』
「……あんたには,手加減しないアルよ」
「あはは,お手柔らかに」

「試合開始!」
『さあ,始まりました,四回戦最後の試合!これでベスト8が出揃います!』
「いくヨ……!」
ゴォッ!
『益汰選手,いきなりの変蟲術だ!』
『あれは……蜘蛛カ?』
「そう。私,“蜘蛛”の力持つ者ヨ。粘りけ有る糸で敵捕らえて,八本の足で確実に仕留めるネ」
ブアッ!
『お,おおっと,これは!?』
『蜘蛛の巣……カ?』
「ふふ……。私の糸,粘るし強いし簡単には解けない。もう,あんた逃げられないヨ」
「うわっ!?」
「掛かったアルね。これであんた,身動き取れない」
「うぇ……。何これ,気持ち悪い〜」
「さあ,後はじっくりと仕留めるだけヨ」
メキィ!
『おっと,益汰選手の背中から,四本の足が生えた!』
「行くヨ……!」
『おおっと,自ら吐き出した糸の上を,カサカサと這い回ります!なまじ可愛い顔をしているだけにグロい!グロすぎます!』
「……放っとくヨロシ」
「くっそ……!」
如何する?又た誤魔化して文珠使うか?
とすると……『ほどく』?いや,駄目だ。漢字で書くと『解く』だから……,女装(?)が解けちまうかもしんない。
じゃあ……
「さあ!チェックメイト,アル!」
ゴォッ!
「うわっ!」
て,この後未だ試合有るんだから,文珠の無駄使いも出来ないし……。
と,なると……
「よっ!」
「!?」
『おおっと,羽柴選手,霊波を発して益汰選手の糸を引き千切った!』
「なっ……!?」
『と言うより,身体を浮かせたんだナ。霊波を全身に纏って,身体と糸の間に隙間を作ったんダ』
『成程!……っとぉ!?羽柴選手,何故か服を脱いだぁ!』
『全身に強い霊波を常に発し続けるなんて,不可能からナ。糸が服を捉える隙を狙って,脱出したんだろウ』
『脱出に成功しました,羽柴選手。残念ながらサラシを巻いています!観戦席から,ブーイングと歓声が同時に巻き上がっております』
「おおお,サラシ巻いといて良かったぁ。ブラジャーじゃ,いざ男に戻る時に困るからな。かと言って,ノーブラも戦いにくいし」
「何をぶつぶつ言ってるネ?」
「!」
「勝負は未だ着いてないヨ!」
バッ!
『益汰選手,糸を操って羽柴選手をドーム状に取り囲んだぁ!』
「今度こそ,逃げられないアルよ……!」
『羽柴選手,遂に万事休すかぁ!?』
「ゴキブリホイホイに掛かった,ゴキブリの気分味わうヨロシ!」
「くっ……」
仕方無い,文珠……!

『淺』

パサッ……
「へ,パサ……?」
『おっとぉ,羽柴選手に掛かった蜘蛛の巣ですが,何故か粘ついたりしていない様です』
「な,何でアルか!?」
「ふふふふふ……」
「!」
『羽柴選手,笑みを浮かべながら蜘蛛の巣の下から這い出てきました』
「これで,この糸は只のゴム紐だよ」
『なっ!何と,蜘蛛の巣がゴム紐になっていた!?』
「馬鹿な!何したネ,あんた!?」
「一寸した手品……かな?」
「ふっ……ざけるな!」
ビンヨヨーン,バシィ!
「ぶっ!」
『おおっと……羽柴選手が掴んでいたゴム紐を離し,縮んだゴム紐が端を持っていた益汰選手の顔面を直撃しました!所謂ゴムパッチンと言う奴でしょうか。これは痛い!』
「くっ……!ど,何処迄も馬鹿にして!許さないアルよ!」
メキメキメキ……ッ!
『こっ,これは……!益汰選手の犬歯が伸び,眼の数が増えていきます!何と言うか……怪人蜘蛛女と言う様な趣です!その顔には元の面影も有りません。仮面ライダーの第一話に出てきそうだ!』
『何だそりャ』
「おおお……!」
バシャア!
「うあ……!?」
『こっ,これは……!結界の縦横に無数の蜘蛛の巣が張られます!もう結界の中は白いスクリーンが掛かった様で,さながら繭の様です!』
『これでは中が良く見えないナ』
「ふ……ははは!これで,あんた,もう身動き取れない。これだけ雁字搦めに巻き付かれたら,妙な小細工も出来ないネ。このまま,縊り殺してやるヨ!」


「馬鹿が……!直ぐに熱くなって……」
「こ,このままじゃ拙いんじゃないですか!?」
「そうね。このままじゃ,理性も何もかも無くして,正真正銘の大蜘蛛と化すわね」
「なっ,何をそんな悠長な!長盛が危ないんですよ!?」
「……あのコには,変蟲術を使うだけの器がなかった……。それだけよ。愚者が,それに見合った末路を辿るだけ……」
「そんな……」
「変蟲術は,常に冷静でいなければ蟲の本能に飲み込まれてしまう。その事は,長盛も良く知っていた筈だ。それを承知で,覚悟もしないままに軽々しく変蟲術を振り翳したのは愚かと言う他ない。如何なろうと,自業自得だ」
「三成さん迄……」
「そんな事より,良く見ておきなさい,長政。あれが,貴男の次の相手。一寸気を抜けば,貴男も蝉となるわよ……」
「え……如何言う事ですか,正家さん……」
「……数合もやり合わない内に,見事な迄の演出で長盛を追い込んだ……。恐らく,彼女の一足一挙動,いえ,雰囲気作りから軽口迄の全てが,長盛の精神状態を乱し,昂らせる為の巧妙な罠……!」
「端から見ている分には,長盛が何故にあんなに激昂しているのか分からない。瞬時に長盛の性格を読み取り,それに最も効果的な策を迅速に張る……。あどけない様に見えて,何と恐ろしい……」
「……」
正家さんと三成さんが,他人を絶賛するなんて……。
あの女の子が,それ程迄に恐ろしい人なのか。
「で,でもじゃあ,長盛は……」
「これ以上先に進んだら,もうアウトね」
「戻ってこれるか……」
「そんな……。長盛……ッ!」
「覚悟は,しておきなさい」


「フーッ,フーッ……」
「うわ……」
藤吉郎は嘆息した。
――状況はかなり悪い。
幾重にも巻き付いた蜘蛛の糸によって身動きがとれず,目の前には既に大蜘蛛と化した対戦相手が居る。
「やり過ぎたかなあ……」
如何やら自分は,少々敵を追い詰め過ぎてしまった様だ。自分が予想していた以上に,少女の心は繊細だった。
「シャアァァァッ!」
「さて……」
如何するか。
周りからは張り巡らされた糸に遮られ,中で起こっている事は見えないだろうから,多少の無茶はしても後で何とでも誤魔化せるだろうが……。
文珠のストック……,後,最低でも二,三回戦う事を考えると少し心許ないか。とは言えこの状況を文珠無しで切り抜けるのは無理だろうし……。何とか一つに文珠で切り抜ける方法を考えなければ。
「シュアァァッ!」
「っと,悠長に考え込んでる暇は無いな」
眼前には,既に衣服の切れ端も纏っていない“少女だった”蜘蛛。このままでは,彼女の餌となってしまう事,請け合いだ。
その様は,さながら蜘蛛の巣に捕らえられた,美しい蝶を思い起こさせた。
……いや,誰に?とか訊かれても困るのだが。
「文珠……っ!」
そう言って,藤吉郎は右手に霊力を収束した。兎に角,この場を生還せねば。出し惜しみしている場合ではない。
「ま,出た所勝負だな……」
負刻まれた文字は,

『滑』

「!」
文珠が光り輝き,その効力を発揮する。
ある意味,賭けである。
藤吉郎自身,この文珠がどんな効果をもたらしてくれるのか,具体的なイメージは持てなかった。希望的観測は有るのだが,そうなってくれるとは限らない。
失敗したら,死ぬ。
だが,藤吉郎には気負いも焦燥感も無かった。
勿論,死ぬか生きるか等はGSと言う職業に就いている以上,日常茶飯事だし,抑も,あの未曾有の戦乱期に生まれ,ぺーぺーの下っ端として,仮にも戦場を生き抜いたのだ。自らの命をオッズにした賭けに,恐れは無かった。
そして,それ以上に,こんな所で自分が死ぬ訳はないと,何となく楽観していた。
心の何処かで,そんな事を思っている。それは,自分に限ってなどと言う逃避ではなく,絶対の確信を伴っていた。
それは,天回の看破した藤吉郎の予知能力であるのだが,本人は気付いていない。気付こうともしないだろう。
彼にとっては,予知など“何の意味も無い”のだから。
「南無三ッ!」
カッ!
「シュウゥ……!?」
結果として,藤吉郎は賭けに勝った。
精神性の問われる霊能力の扱いにおいて,“イメージ”は重要な意味を持ってくる。そう言う事だったりするのだが。
「蜘蛛の糸が,ナイロンになった!」
確かに,ナイロンは良く滑るが。
「シャァアッ!」
とは言え,糸は藤吉郎の身体に巻き付いたままである。粘々と気持ち悪い感触はなくなったが,今度は糸が身体を締め付けボンレスハム状態だ。かなり痛い。
大蜘蛛……長盛は,自らの尾から出る糸を引っ張り,更に締め付けようとしてくる。このままでは,首が絞まってThe Endだ。
「もう一丁……!」
勿体ないが,仕方無い。
藤吉郎は文珠を生成した。
刻まれた文字は,

『収』

バシュウ!
「!?」
「よし!」
一瞬の内に,コートの結界に張り巡らされていた蜘蛛の糸(今はナイロン糸だが)が,藤吉郎の手元に収束した。
先程迄,縦横無尽に藤吉郎の身体を縛っていた蜘蛛の糸は,今は巨大な糸玉となり,不格好に藤吉郎の掌に乗っていた。
「ガァッ!」
ズザァッ!
それに伴い,当然,糸の製造元である大蜘蛛長盛は,藤吉郎の方へと引きずられてきた。
「勿体ないけど,仕方無いか……」
このまま見捨てると言うのも気が引ける。
後先考えずに取り敢えず挑発した自分にも,責任が無いとは言えない。
上手くいくか分からないが,やらないよりはマシだろう。
「文珠!」
藤吉郎は掌の中で文珠を生成し,此方に引きずられてくる長盛に押し付けた。
刻まれた文字は,

『解』

「把ぁっ!」
観客へのカモフラージュに,掛け声を賭ける。
バシィ!
「グァアァアアア!」
糸が千切れ,長盛は後方に吹っ飛んだ。
「ァ,アアアァァ!?」
メキメキメキッ!
仰向けに倒れ込んだ長盛は,八本の足を醜悪に蠢かせ,必死に藻掻いている。
そして,その長盛の身体に何やら変化が起こってきていた。
「ァ……アァァ……」
長盛は,耳障りな音を立てながら,又たもや変体し始めた。
「……っ!」
藤吉郎が,脱ぎ捨てたシャツを拾って着終わる頃には,再び先程の“怪人蜘蛛女”形態に戻っていた。
「これが精一杯か……」
自分の霊力では,こんなものなのか。
まあ,やるべき事はやった。
自業自得と言えばそうなのだから,これ以上同情してやる必要もないだろう。
如何しようもないし,する気も無い。


『何か分かりませんが,結界を覆っていた蜘蛛の巣が消え,同時に益汰選手に掌底を当てている羽柴選手の姿が認められました!』
『何が,如何なったんダ?』
「これが精一杯か……」
『吹っ飛ばされた益汰選手,動きません。ダウンでしょうか。序でに裸になっているのは如何してでしょうか』
『序でなのカ……』
よっし,何とか誤魔化せた様だな。
ふう……。
矢っ張り,人生もう一寸主体的に生きなきゃな。
『審判が,益汰選手の様子を窺います』
「……」

「勝者,羽柴!」
『ベスト8進出の八人目は,羽柴秀美選手です!』



「長盛っ!」
浅野長政は,担架に乗せられて運ばれようとしている,益汰長盛に駆け寄った。
「長盛……」
今だ意識を失っているその顔には,八つの瞳が輝いていた。
「何て馬鹿な事を……」
共に修行を積み,“力”――変蟲術を求め,悪魔にその身を売り渡した仲間の末路は,長政に哀愁と恐怖を与えた。
五人の仲間の中でも,最も歳の近い長盛の哀れな姿には,長政も涙腺が緩むのを禁じ得ない。
だが,それ以上に,明日――いや,数刻もしない内に来る“後”には,それは我が身かも知れないのだ。
長盛を此処迄追い詰めた少女と,次に戦うのは自分である。
棄権やギブアップは許されない。折角取得した公認GSの資格を,剥奪されてしまうからだ。
その行為は,長政にとって死と同義である。
合格出来ねば殺す。言外にそう臭わせていた,あのマスアと言う名の悪魔の,酷薄な瞳を思い出し,長盛は戦いた。
「……っ」
前門には虎,後門には狼である。
「もう,良いですか?」
「あ,はい……」
運ばれていく長盛を見送り,長政は視線を次の対戦相手に移した。
コートを降り,見慣れた自分の従姉と談笑する少女の可愛らしい顔が,長政には,これ以上無い程に恐ろしいものに見えた。
「……」
恐怖で,身体が芯から凍っていく様な錯覚を覚えた。
「良かったわね」
「え!?」
突然,直ぐ近くから聞こえた声に振り返ると,何時の間にか,正家と三成が立っていた。
「ああ。あれなら,時間は掛かるが元に戻れるだろう」
「ほ,ホントですか,三成さん!」
「……多分な」
「よ,良かったぁ……」
恐怖は取り敢えず端に置いて,長政は心から安堵した。
彼は,素直な少年だった。
「でも,おかしいわね?十中八九,戻ってこれないと思ったけど」
「矢張り,あの羽柴と言う少女が何かしたのだろうな。――あの長盛の“巣”の中で,何が行われたのかは知らないが」
「玄以の時も,彼女,おかしな術を使ってた様だしね」
「何にしても……彼女と戦った者は,玄以も長盛も,二人とも意識不明だ。先ずは,如何しようもないな」
「玄以の奴,未だ起きないの?」
「ええ……。GS協会に押さえられている可能性も有るな」
「ふ,良いじゃないの。あたし達を非難出来る理由なんて,何処にもないわ。仮に魔族と通じてると玄以が吐いたとしても,あたし達が白ばくれれば,それで如何も出来ないでしょう」
「……そうだな……」

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