ザ・グレート・展開予測ショー

GS信長 極楽天下布武!!【資格試験編】(7)


投稿者名:竹
投稿日時:(04/ 3/ 8)

濃姫(1535〜?)
 織田信長の正室で,名は帰蝶。
 斎藤道三の娘で,母の小見の方は明智光秀の従姉と言われているが,『Mr,ジパング』では少し設定が違うらしい。
 嫁ぐ時のエピソードは有名だが,その後の消息は不明で諸説有るが,『ジパング』では夫共々全く老けてないお姿で76話に登場した。
 最後,安土城に居た事から『ジパング』では“本能寺の変で死亡”説が採られていると思われるが,光秀との絡みを考えると違うのかも。

芳春院(1547〜1617)
 前田利家の正室で,名はまつ。
 織田信長の弓頭・篠原主計の娘として生まれ,父の死後,前田家に引き取られた後,従兄にあたる利家に嫁ぐ。
 嫡男・利長を始め二男九女を儲け,利家の死後は関ヶ原,江戸開府の混乱の中で,前田家の大黒柱となった。
 彼女を主人公とした大河ドラマ『利家とまつ〜加賀百万国物語〜』は,毎週似た様な話と言う,『水戸黄門』の様なドラマだった。

南殿(?〜1638)
 木下秀吉こと,後の豊臣秀吉の側室。
 秀吉が長浜時代に作った側室で,仕事人間だった秀吉が大身を得て初めて作った側室だと言う。
 素性は不明だが,城に仕える侍女とも,京極高吉の次男・長寿丸の乳母を務めた未亡人とも言われている。
 秀吉の長男・秀勝を儲けたと伝えられるが,七,八歳で早世した。















            決勝トーナメント・組み合わせ表


          _________|_________
     ____|____       ____|_____
  __|__     __|__     __|__      __|__
_|_  _|_  _|_  _|_  _|_  _|_  _|_   _|_
|   | |  | |  | |  | |  | |   | | |  |   |
吉  勒 浅  佐 那  豊 マ  織 時  雨  雫  善 浅   浅  益  羽
法  鶴 井  々 柄 臣 エ 田 読  姫  手  楕 野 野  汰   柴
師  義 長  成 正  秀 ダ    ヒ  蛇  政  三 長 ね  長  秀
   堅 政  政 家  長 ・ 淀 カ  秀 宗  成 政  ね  盛 美
                利    リ  家
             家





「おお〜」
「取り敢えず,殿とは最後迄当たらないな」
掲示されたトーナメント表を見て,ホッと溜息をつく藤吉郎。その周りには,当然だが除霊事務所の面々の姿が在る。
「でも,又た武行会の奴とよ?」
「あ,ホントだ。っても,十六人中四人もいるんだからねえ」
「まあ,そうね」
とは言え,藤吉郎のいる方に大分偏ってはいるのだが。
「この話って,主役,殿だよねえ?」
「……まあ,こんなもんでしょ,椎名作品の主役って。読者の目線は天才型の主人公じゃなくて,(比較的)普通の人の準主人公に合わせられてるんだから」
「そうだけど……ね。殿をさしおいて,俺がこんな目立って良いのかなあ」
「日吉は,主要キャラの中で唯一ネガティブな思考してるから,出番が多いのはある意味宿命だよ」
「……もう止めない?この会話……」
「そうね……」

閑話休題。

「僕の相手はヒナタねーちゃんかー。負けないよ?」
「私もね!」
「子供相手に大人げないなあ……」
「五月蠅い!」
「ねねちゃんの相手は,あの長政と似た名前の奴か」
「ええ……」
「?如何したの」
「いえ……頑張ります!」
「ん,準々決勝で会おうね」
「は,はいっ!」
「日吉にーちゃん……。確信犯とちゃうよな?」
「如何思います?」
「……」
あかん。矢っ張り,太閤はんの弟や。底が知れん。
「小竹も武行会の人か。見た所,一番強そうだったおかまの人だね」
「大丈夫だ,兄者。俺とて,伊達に此処迄勝ち進んできた訳じゃない」
「頑張れよ」
「応,頑張るよ。遙々ナルニアから帰国してきて,敵キャラの引き立て役で終わっちまったら,目も当てられない」
「そ,そうだな……」
「……絶対,勝つ!」
空気の様とは,秀長の様な男を言うのだろうか。
「応,猿」
「先生ー!」
「あ,殿。それに両兵衛」
「……馬鹿犬と一括りにしないでよ」
「え,ああ。御免御免」
「ふん……」
「女狐!先生に向かって何でござるか,その態度は!」
「別に,私はトヨトミに師事してる訳じゃないわ」
「失礼でござろう!」
「あー,もう。良いって良いって」
「先生,でも……!」
「ほーら」
「こ,このっ!」
「ほら,落ち着けってば!」
どっちかっつーと,お前のが失礼な気もするぞ,半兵衛……。
「ははは。もてんな,猿」
「いや……はは」
此奴等のは,俺に向けた好意じゃないですよ……。
「はあ……」
「はっ。あんま深く考えんなよ。人生,楽しく生きようぜ?」
「そう……ですね」
矢っ張り殿はお強い。
俺は,そんな風には出来ません。だから……
「力が全てのあの時代じゃ,逆立ちしたって俺はヒーローにはなれない。俺がなりたかったのは――」
「……先生?」
「日吉?」
エテ公共を蹴散らして,誰が何と言おうと構わずに……,颯爽と自分の道を歩いていく様な男なんだ。だから……」
「……」
「だから,応援してみようって……ヒーローを応援するのは,自分がなるのと同じ様に気持ち良いのか,確かめようって……。俺以上の,誰かの為に……!」
「……それで?」
「だから……」
「……」
「……一生付いていきます,殿」
「……ふん」
「殿……」
「お前の人生だ。好きにすれば良いさ」
「……!はいっ」

「……で,結局何だったの?今の」
「さあ……」




一方,その頃――
「くっ……!見失ったか」
マスアを追っていた勝竜姫は,その姿を見失ってしまっていた。
「……!如何すれば……」
彼女は,逃走する事で今回の件を自分がやったと認めたに等しいが,確かにそうだと言う物的証拠は無い。
それに,上手く突き出せたとしても,魔族軍は蜥蜴の尻尾切りで知らぬ振りをするだろう。その為にマスアを使ったのだと言う事位は,勝竜姫にも分かる。
何にしても,武行会の五人は既にGS資格を手にしてしまっているのだ。武行会の会長に証言させた所で,大した問題にはならないだろう。
……と言うか,彼等が氷山の一角である可能性もあり,彼等だけを駆逐しても余り意味は無いかも知れない等と言う事は,真面目一徹な勝竜姫には,考えも及ばなかった。大体からして,情が移って退治すべき妖怪を逃がしてしまう事位の事は,実は良くある話だったりする。
「もう……!如何すれば良いの……?」
こんな時,信長や秀吉なら瞬時に最善の策を考えつくのだろう。
不甲斐無い自分に,怒りが湧いた。
真面目である事に安心して,成長する努力を怠った自分を,幾ら責めても責めたりなかった。
「……っ!」
何の考えも浮かばないまま,勝竜姫は,中空で涙した。



「ぜえ,ぜえ,ぜえ,ぜえ……」
マスアは,妖気を絶ち,薄暗い路地裏に座り込んでいた。
「……撒いたか」
神気は感じられない。勝竜姫は,何処か遠くへ行ってしまった様だ。
「ふう……」
呼吸を整え,マスアは安堵の溜息をついた。
「……」
テンパっていた気持ちを無理矢理落ち着けようと,額に手を当てて地面を見る。
「……あたしは……何をしようとしていたんだ……?」
零す様に呟く。
「ルシトラ……」
縋る様に,姉の名を呼んだ。
「……あんたは……どんな気持ちで死んだんだ……?……ムラマサの……心に残りたかったのか……?……それとも……忘れられる事を望んでいたのか……?」
ルシトラの事等忘れて楽しく暮らせるなら,ムラマサにとってはその方が幸せな筈だ。だが……
だが。
それではルシトラが,余りに可哀相じゃないか。
ルシトラは,死んであんたを護ったのに……!
「……ふう」
少し落ち着いてきた。
背を壁に預け,上を見る。古びたビルの狭間から,青い空が見えた。
「あんたは……何を望んでいたんだ……?」
ムラマサを生かす。
それは分かってる。
しかし,その“成果”は,何の為に得ようとしていた?
ムラマサに,何事も無かったかの様に普通の人間として普通に幸せに生きて欲しかったからか?それとも,自分の所為でムラマサを死なせたと思いたくなかったから……,自己犠牲と言う,薄甘い自己満足な愛情表現だったのか?
後者ならば,自分はムラマサを許せない。
「何は如何あれ,ルシトラはお前の為に死んだんだ……!」
そのルシトラを,一年も経たない内に忘れて良い筈ないじゃないか……!
――そして,勝手に身体が動いた。口から,無意識に憤怒が迸った。
「……彼奴からすれば,正に身に覚えの無い事なんだろうな……」
だからこそ,余計に許せない。
でも……
「タツリオ……あんたは如何思った?」
此処には居ない妹に尋ねる。……完全に独り言だ。
思えば,彼女の方が自分より大人なのかも知れない。
自分は今だ魔族軍に馴染めず,挙げ句の果てが蜥蜴の尻尾として汚れ役を押し付けられてしまった。
……自分は,未だ妹の様には割り切れない。
「……」
元来,考え事は苦手だ。これ以上,うじうじ悩んでいた所で,答えは出ないだろう。
煮詰まった時は,行動するのが一番だ。
「よしっ!」
意を決して立ち上がる。
もう一度,ムラマサに会おう。
妙神山預かりのタツリオに会うよりは簡単だろう。
それで,答えが出るかは分からないが。
まあ,GS試験に送り込んだ連中は五人とも資格を取れたらしいから,取り敢えず任務完了と言う事で,終わりにしても良いだろう。如何せ,いけ好かない仕事だ。
「どの道,このままじゃ寝付きが悪くて仕方無い」
大きく伸びをし,一つ,深呼吸をした。




再び,試験会場。
『さあ!遂に四回戦が始まります!先ずは,安土院・吉法師選手対観音寺・勒鶴義堅選手!』
「両者,コートへ!」
「ああ……じいにくっついてた小娘の連れか」
「あの人って信長さんの変装なんだよねえ。これは……あの信長さんと闘れるなんてと喜ぶべきなのかしら?」
「……」
「それとも,強敵に当たった不運を嘆くべきかしら?私が信長さんのファンだなんて事,書いてる本人も今の今迄忘れてたのに……。相手が決まらなくて適当に空いてる所に押し込まれた私の立場にもなって欲しいわ」
こら。
『宗派は違えど,ブッティスト同士の対決です!これは面白くなりそうだ!』
「悪いが,勝たせてもらうぜ?」
「え?あ,はい……。いや,私も精一杯やります」
「ふん……。面白ぇな,お前」
「え。そ,そうですか?」
「気に入ったぜ」
「そ,そんな……」
「……顔,赤らめるなよ。そう言う意味じゃねえ」
「っても,たった四つか五つの差ですよ?ロリコンの気は……」
「無い!」

「試合開始!」
『さあっ!始まりました!』
「宿曜武術・尾の巻!」
『勒鶴選手,霊波鞭で先制攻撃だぁ!』
「疾ッ!」
バシィ!
『吉法師選手,難無く弾いた』
「今度はこっちから行くぜ?」
バババババ!
『吉法師選手,霊波砲を連射します!』
「宿曜武術・柳の巻!」
「む!」
『おおっとこれは!勒鶴選手,不思議な動きでするりと全弾をかわしました!正に,柳に風と言った風情です!』
『風情?』
「宿曜武術・虚の巻!」
「!」
『っと,これは!幻術でしょうか,勒鶴選手の姿が八人に増えました!』
「さあ,どれが本物か分かりますか?」
「……。全部に攻撃すれば良いんじゃねぇ?」
「残念ながら違います」
「何故?」
「斯ういう事です。……宿曜武術・井の巻!」
「それは……?」
「相手の攻撃を吸収する呪法です」
「へえ……。何でも有りだな」
「でもないですよ。全ては,二十八宿の導きの侭に」
「ふん……,成程な。けど……」
「けど?」
「未だ,詰めが甘い」
「!?」
ドドドドド!
『おおっと!吉法師選手,上に向かって霊波砲を発し,それが拡散して八人の勒鶴選手を襲います!』
『……ルーキー同士とは思えねえ戦いだナ』
「うわあああ!?」
ドォン!
『命中!』
「その術で防御出来るのは前方のみだろ。術を組み合わせる発想は良かったが,一寸考えれば直ぐに対策が思いつく様じゃ,実戦で使うには少々リスクが過ぎたな」
「いたたたた……」
「未だ,やるか?気絶した振りしても良いんだぜ?」
「やります!……いえ,やらせて頂きます!」
「……良い度胸だ!益々気に入ったぜ」
「有り難う御座います!」
「これ終わったら,ウチで雇ってやっても良いぜ」
「ホントですか!?」
「ああ……。で?次は何してくれるんだ?」
「……一つ,試してみたいのが有るんですよ。けど,なかなか使う機会がなくて」
「ほう」

「何か……あれだな,ヒナタ」
「何よ」
「ウチの事務所,女の子ばっか増えてくな……」
「そう言えばね。天回と竹千代様を省いたら,男女比4:7ね」
「んでも,それを入れたら6:7か。案外,バランス取れてんな」
「そう?」
「そうだよ。偶にバイトに来てくれてる犬千代様入れたら,1:1じゃん」
「……まあ,ね」
「?」
「それは良いんだけどさ……」
「如何したんだよ」
「いや,別に。私,今の勤務形態って言うか職場の割り振りは,納得出来ないなあって思って」
「何で?」
「何でだと思う?」
「分かんないから聞いてんだけど」
「……ホントに分かってない?」
「こうじゃないかなー,ってのは有る」
「むかつくわね……。それで多分,正解よ」
「えー,どれ?」
「……。何?私,からかってるの?」
「そう言う訳じゃないけど……。事はそう,簡単じゃなさそうだからさ」
「?」
「俺は,俺であって,俺じゃなくもあるから」
「はあ……。もう一寸ポジティブにいけないの?」
「無理だな。俺の性格からして」
「そりゃ,無理って入ってちゃ無理でしょうよ」
「この歳で,今更性格の矯正なんて無理だって」
「はあ〜ぁ……。大変な奴に惚れちゃったなあ……」
「あ,そうだ試合!」
「はぐらかすなよ……」

「……なんちゅう痴話喧嘩や」

「行きます!」
「来い」
「自らに暗示を掛けて限界迄力を引き出す……,宿曜武術・鬼の巻!」
『おおお!勒鶴選手の霊力が,鰻登りに上がっていきます!』
「へえ……」
「これ使うと,理性がぶちきれるんですよ……。気絶させて下さい」
「本当に……良い根性してやがんな……!」
「おおおおお!」
『勒鶴選手,雄叫びを上げ,吉法師選手に突っ込んで行きます!』
『……仮にも女の子に,「雄叫びを上げ」はないだろウ……』
バチィ!
「く……!重い……っ!」
「がああぁぁっ!」
バチィ!
『吉法師選手,何とか捌いた!』
『彼奴の持ってたあの錫杖は,仕込み神通根だったのカ』
「ごおおぉぉ!」
『勒鶴選手,尚も飛び掛かる!』
「へっ……。斯ういう奴に,小細工は無用だな」
「ぉぉぉぉお!」
「全力で叩き潰すのみ!」
『吉法師選手,受け止めた!そして……』
バチバチバチッ!
「おおぉぉあ!」
「把……ぁああっ!」
ゴッ!




「是非に及ばず!」




『決まったぁぁぁぁああ!』
「がはぁっ!」
ドサッ……
『吉法師選手の強烈な一撃に,勒鶴選手,ノックアウトーーーーー!』
『凄い霊力だナ……。て言うか,どっかで見た様なナ……?』
「ふう……」

「勝者,吉法師!」
『ベスト8入り第一番は,吉法師選手です!』

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