ザ・グレート・展開予測ショー

遠いあなたの空に届くように・・・


投稿者名:fantasy
投稿日時:(04/ 3/ 7)



どうして あなたでなく 私が―――――

どんな時でさえも その自責の念が 私を締め付けている――――

苦しく―――重く―――ただ,頬を涙でぬらす夜がふえていく――――

私は 償いきれない過ちを犯した――――

もう,あなたに笑顔で逢うことすら かなわない――――


許してだなんて言えない―――――ごめんなさい・・・――――






―――――Iam cecretly praying to reach distant your heaven―――――――





「ふぅ・・・寒くなったな・・・。」

私は前線での任務を終え,久しぶりに妹の待つ家に帰ってきた。
つい先日に監視も解かれ,2人で住むことを許可されたのだった。
私たちを受け入れてくれた多くの人に,感謝の意は絶えない。

ガチャ・・・




手に触れたドアノブが妙に冷たい・・・。


「おかえり――――!!」

妹が弾けんばかりの笑顔で私に抱きつく。
“おかえり”という言葉―――――ここが私の帰る場所――――



私が生きているとするなら それはあなたへの謝罪とこの子のため―――




「よっ。邪魔してるぞ――!元気か――?」



奥の部屋から,あいつが笑顔をのぞかせる。
私は一瞬,戸惑って――――

「ああ。」

と返すしかなかった。
目すら,まともに合わせられない自分がいる――――



あいつは,よく私たちを訪ねてきてくれる。
妹もよくなついて,いっしょになって遊ぶ姿はほほえましい―――



そう―――まるで兄妹かのように――――




きゅっ と唇を噛みしめる・・・・




ねぇ―――どうして・・・あなたでなく私が―――――――







―――――I am cecretly praying to reach distant your heaven―――――――






「だめでチュよー!覗いたら殺されるでチュよー!!」

「いかせろ――!男にはどんなリスクを背負っても,成し遂げなアカンことが
  あるんじゃ―――!!俺はいくぞ―――!!」



2人の声だ・・・―――




だいたいシチュエーションは分かる・・・変わらない奴だな・・・



「なーにしてるんだい?」

私が急に部屋に顔を出す。
妹に服を引っ張られているあいつ・・・服,凄いことになってるし・・・



「おわっ!な,なんでもないっすよー!あっ,風呂上がりに一杯どーっすか!?」



あわてて酒の準備をする・・・。




「ふふっ―――あはは――――」




つい笑いがもれてしまう・・・本当にかわった男―――――
体が暖かいのは 風呂上がりというだけではないのだろう――――




ねぇ――――どうして―――あなたでなく―――私が―――――――


「ごめんね・・・――――」



小さく小さくつぶやく・・・



本当なら―――あなたがここにいるべきなのに――――
私には―――心から笑うことなど許されないはずなのに――――






―――――I am cecretly praying to reach distant your heaven―――――――






「やっと寝たよー あいつホント元気だよなぁ。」

あいつが妹を寝かしつけて,リビングに戻ってくる。

「ああ。ありがとう・・・。」




カラン―――――




水割りの氷が乾いた音をたてる。

「俺もそろそろ帰るかな。またくるよ。遅くまでわりぃな。」


そう言って玄関に向かっていく。
あいつの背中――――見るたびに大きくなっていく―――――





「おい―――どーして・・・――――」




私はグラスを見つめながら声をかける・・・酔っていた勢いもあったのだろう・・。

「ん?」

許してもらうつもりなど欠片もなかった――――
ただ,思いっきり嫌われて楽になりたかった――――



「どーして―――どーしてお前は,私たちに優しくしてくれる―――?」




一瞬の静寂・・・――――

あの日から貯まっていた想い――――――



「どーしてって・・・大事な人だからだろ?違うか?」


確かに・・・あいつにとっては,当たり前のことだった・・・―――
でも,わたしの中で何かが―――大きくはじけとんだ―――――


「大事な人って――――わたしは・・・私はその,お前の最も大事な人を
  奪った女だぞ!?なぜ,そこまで優しくしてくれる!?
 なぜ一度も,憎しみの目をむけよーとしない!?私は・・・わたしは――――」


声は大きく張りつめていた――――目には涙が浮かんでいた――――


ぼやける視界の中 あいつが隣に座ったのが分かった。
優しい空気―――



「ああ・・・お前は確かにあいつを殺した・・・けどな,俺もお前の愛した人を
  殺したんだ。おあいことか,そんな簡単なもんじゃねーけど,
  お前の気持ち,よく分かっからさ・・・。」


あいつは微笑む・・・でも―――――


「違う!!」


私は叫んでいた―――


「あの方は死を望まれていた!でも,お前たちには未来があった!そうだろ!?
  それを私が壊したんだ―――私なんかじゃなく―――
 あの子が生き残れば良かったんだ――――そうすれば――
  そうすれば・・・お前もあの子も―――みんなが幸せだったのに――――」



言葉になっていなかった――
私は泣いた――あの日,あなたがいなくなってから
心の奥底で押し殺してきた想い―――――



ねぇ―――どうして―――あなたでなく私なの―――――?






―――――I am cecretly praying to reach distant your heaven―――――――



「なぁ・・・」

落ち着いた私の背に,あいつのてが触れる・・・。



「あいつはあいつで,お前はお前なんだよ・・・。だからさ,自分が死ねば良かった
  みたいなこと言うな・・・。絶対,あいつが悲しむから―――」




どうして―――どうしてお前は――――




「あいつな―――最後に笑ったんだよ――痛いの辛いの我慢して―――
  今でも忘れない――あの瞳には恨みなんてこれっぽっちもなかった。
 きっとお前のこと恨んだりしてないから。な? 俺も妹が泣くのつらいよー
 なんてな!」

私は顔を手で覆っていた・・・



どうして―――お前はそんなに―――





「優しすぎるよ―――お前――――」



今なら―――分かる気がする――――



「あはは・・あいつにもいわれた。」


そう言って軽いノリで,照れてるあいつ・・・。



なら分かる気がする――――あなたがこの男に託したその想い―――――




「姉さんに・・・姉さんに今度逢えるときがきたら,私を許してくれるかな・・・」

ふるえていた―――


あいつはまた笑顔を作る――やめて――――
私には―――私には―――もったいないよ―――その輝き―――




「だいじょーぶ。ごめんって言えばいいだろ?
  俺も,誰かを恨むような女にホレたりしねーよ。」



あなたがうらやましい――――



「命を―――未来までも捨てて―――守りたかったもの―――か――――」



「ん?なんだ?」


あいつがわたしをのぞき込む―――何だろう―――この感じ――――


あなたも――――こんな気持ちだったの―――?



「なっ,なんでもない!」


ゴクッゴクッ・・・私は酒を一気に飲み干す・・・




クラッ――――




なぜか力が抜けちゃって―――




「お,おい!?だいじょーぶかよ!?おい――――
  って,99%の酒,一気飲みするか!?ふつう!お―――い――――」




あいつのあわてた声が遠ざかっていく――――





ごめんね――――




―――――Iam cecretly praying to reach distant your heaven―――――――





「イタ―――ッ―――」

朝日の差し込むルビングで,私は目を覚ました。
気分は最悪だ――――
これが―――二日酔い―――うっ・・・

散らかったテーブル・・・どーやら昨日そのまま寝てしまったのか・・・

「片付けるのだるいなぁ・・・」

はれた目をこする・・・
んっ・・・
膝の違和感・・・


あっ・・・



グゥ――――ッ・・・



私の膝枕であいつがねているではないか・・・



「このっ・・・」
「あと10分・・・ねさせて――――」



遮るような寝ぼけた声に,私の手は止まってしまう―――




あなたは許してくれますか―――――?



「まっ,いっかぁ――――」



あなたと今度逢うときは――――



私はそっと微笑んでいた


心からの笑み―――――   初めて―――?





「ねぇ―――姉さん聞いてる――――――?」





私は窓をから空を見上げる―――




「一つだけ――――わがまま言ってもいいかな――――?」





窓からのぞく雲一つない 晴れ渡った空―――
まぶしい―――けど―――あたたかい―――――




笑ってくれてるの―――――?





「あのね――――私――――」





――――姉さんの笑顔――――――――





今度逢うときは――――――







「私ね――――」








あいつの胸にそっと手を置く――――――――




















「姉さんの―――母親になっても―――――いいよね?」





















――――――――Fin―――――――――

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