ザ・グレート・展開予測ショー

心霊治療針医師、劉義明、登場!!(実は後編)


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(04/ 3/ 7)

※先ず前編を知らない方の為にリンクをはっておきます。ご参照下さい
   http://cwww.pos.to/cgi-bin/tenkai/old67/1057681698.html
  
「じゃ、あそびにいくの〜」
長女、ショートヘアーの雪子ちゃんが、何時もの公園に案内しようと団体の前に出ようとした時、
「待つの〜、忘れてるの」
次女、蜜編みの月壬ちゃんが、長女の雪子ちゃんを抑える。
「あぁ、そうだった。でも忘れてないわよぉ」
反論する雪子ちゃんである。
横島が三女、長髪の華香に、
「ん?遊び道具でも忘れたんか?」
尋ねる。
「ううん。お道具じゃなくてね!」
両人差しを口に含め見事な口笛を鳴らす。
それと当時に裏口からのそり、と何かがやってくる。
タイガー、ピートは知らぬ物だが、
「マーロウ!マーロウじゃないか」
まだオキヌちゃんが幽霊だった頃、知り合った霊能を有す老犬である。
「・・・わぅう」
なんでお前が?という顔とでも言おうか。
「さ、マーロウも来たし、雪、月、華、あそびにいきまちゅよ〜」
何時もの身内だけの言葉使いをしてしまった劉義明氏、バツが悪そうに男子高校生軍団を見る。
脱力でもさせたか、と思ったのだが、
「子供を略称で呼んでるノーエエのぉ」
「はぁ〜家庭を持つ幸せなんですね、これが、横島さん」
「んだな〜、タイガーの言うとおりええな〜」
と、三者とも羨ましがってるから面白いというか。
いやはやよかった、とばかりに息を漏らした義明氏であった。
ようやく春の到来がわかるこの季節、公園の木々も芽を吹き出したばかりだ。
「いい陽気だな、マーロウ」
「ワン」
はい、ご主人様という仕草を見せるマーロウである。
義明氏の隣にマーロウが座っている恰好である。
普段ならパパの取り合いかマーロウの取り合いになる三つ子ちゃんも、
「お砂のお城を作って欲しいの!」
と三人にはっぱをかけている。
「よっしゃ!こういうのは、任せろ!」
遊びに関しては天才的な才能を持つ横島が、これも器用に和風の城を作れば、
「うわー、すっごー!」
三女、長髪の華香ちゃんが手放しで喜んでいる。
「僕はかつての自分の家を」
ピートは西欧風の小さいながら城壁を有す砦を細かい部分まで再現する。
かつては居住していた空間なので再現が比較的楽であるし、
ある種イタリア人はこういった作業はお手の物だったりする。
意外と図画工作というよりも美的センスが物を言ったという所だ。
「う〜ん、もっとココを高くして」
こちらは注文をつけるもしばしばの月壬ちゃんである。
「ワッシ、こういうのは苦手なのジャが」
ガタイのいいタイガー、大きい物を作らせれば適任だが、こういった作業はやや苦手か。
「じゃ、私が教えるから」
長女の雪子ちゃんは自分が中華系で有ることをどこかで理解してるのであろうか。
三人の中で一番面積を使い中華風の宮殿を形成する。
「ほら、そこにさんかくを置くの〜」
彼女、なかなかセンスがいい。
そんな子供達を見て目を輝かせているのが父親の義明氏とマーロウである。
でも、自分たちを構ってくれないので少し寂しいのかもしれない。
小一時間で三人の作品が完成する。
「あたしのお城が一番ね!」
「ううん。あたしのとりーとりー、ナンだっけ?そう、砦よぉ〜」
「うふん。あたしの宮殿よぉ。あたしたちは、華僑なんだからぁ〜」
だれが一番の作品かと話し合ってる最中、男子高校生連中は公園備え付けの手洗い場に。
「たまにはいいかもな、砂遊びってのも」
「そうですね創造性を養うにはもってこいかと」
「手が汚れますが、ノ」
と、順繰りに手を洗っていた時、
先ず異変に気が付いたの獣たるマーロウである。
素早く立ち上がり三つ子たちの前へ寄る。
「あん?」
次いでピートが声を荒げる。
「妖気が、濃くなってます!」
「・・・・・。なにか、来る、ノー」
横島が口を開く。
「タイガー、ピート。あいつらの着てる物、退魔の印だな」
そして霊能犬のマーロウが動く、答えは出すぎている。
「タイガー、どんな奴か判るか?」
「当たり前ジャ。所謂ちっぽけな霊が集まって来ているノ、」
三つ子に取り付こうとしているのはかつて、オキヌちゃんが狙われた霊の複合体なのだ。
三つ子も父親譲りの霊を感知する。父親の義明氏もしかりだ。
「雪月華、動くなよ!」
言うや砂場を中心に走り始める劉義明氏、霊体を弾こうと軌道線上に立ちはだかるも、
「グッ!」
彼自身、人の霊力を直す能力はあるものの、GSとしての能力は皆無なのである。
吹き飛ばされるのが関の山であるのだ。
「やだ・・」
「またなの〜?」
「・・怖いよぉ」
到達した複合体が三人を上から襲う。
三人がわれ先へと駆けつける。
だが、機先は敵に有りと勢いをつけ砂場を目掛ける霊体。
「ウー、ガオッ!」
マーロウがあまいとばかりに霊体の鼻っ柱を挫く。
霊体は一度霧散する。
「さすがはマーロウ」
素直な感想を述べつつ先ず横島が文殊を投げつける。
「発動、爆!」
砂嵐を巻き上げつつも表面に憑依していた低級霊は消えうせている。
それでもまだ象ほど大きさになっている霊の複合体である。
三人はマーロウの前に立ちはだかる形になる。
「お兄ちゃん!」
三つ子が驚く。
「そんなパワーがあったのぉ?凄い・・でも」
「大丈夫、僕らはそんなに弱くないから」
三つ子のいる後ろを振り向いてピート。
「エイメン」
十字を切るとそれが波動となり、幾つかか、集合した霊体を攻撃する。
また幾つかに分かれる霊体。
「ちっ、厄介な。何百体ちゅう集まりだから」
分析しながら一匹霊力の刃で切りつける横島である。
この手合い面倒になるな、と漏らす。
タイガーも比較的大きめの霊体を手で掴み、
「フンヌ!」
一つ一つを握りつぶしている。
【はやくケリぃつけねぇと面倒な事ぉなるぜ、おめぇ達】
霊力を使い始めた三人に聞こえた声は老人の物だ。
「誰だ・・?まさか」
【そうだ。この犬コロが霊力を使ってな。助かってるぜ】
どちらかといえば電波の悪い電話通信の感のある横島であるが。
「面倒とは?どういう事ジャ?」
精神観応という彼独特の技ではっきりとした会話の開始である。
【集まっちまうんだそこいらの雑霊達がこいつら自殺なりの理由で死んでる癖に生の執着は凄まじいンだ。俺の経験からな】
タイガーが通訳しながら、右手を振るう。
集合体から離れた霊が左側に寄ると、
「ツえっ」
とピートがツメでとどめを差す。
「なるほど。では一気に倒す必要性がある、と」
【そうだ。だがな、それは簡単じゃねぇ。補給路を断つとか、しねぇとな】
「つってもよぉ、どうやって!」
霊も集まってきてるのか、三人とも致命傷は無いものの今の場所から守りに徹するのが精一杯である。
不意に。
マーロウがふぅと息を付いた。
【ふ。流石は俺のご主人様だ。もう大丈夫だぜ】
三人とも目の前の敵に精一杯であった。そう、父親は何をしていたのか、と横島が横目をそらすと。
「あっ、魔方陣じゃねーか、何時の間に!」
丁度その線をつなげて終わりになる。
「君達!助かったよ、マーロウだけでは到底守りきれなかったかもなっ」
魔方陣を書いていた棒切れを今度は天にむけ、
『・・・』
なにやらの魔法を唱えた直後。光が迸った。
霊の集合体が綺麗に消えている。
更に光の恩恵に預かった木々が真夏さながらの緑樹になってるのもあった。
「ワッシ・・一度龍を感じたンじゃが」
しばし呆然としていた三人に、ワンワン泣きじゃくる三人であった・
その状況を変えたタイガーの一言である。
「あぁ、実は龍脈を強制的に表面へ押しやる技なんだ」
三人を抱擁しながら義明氏は語る。
「僕自身君達ほど霊能力があるわけじゃないんだ。だけどねこの世界には龍脈とか地脈とか、聞いた事は?」
「はい、唐巣神父からあります。なんでも精霊的な力の流れがあると」
ピートが答える。
「そう。それを人為的に行う技でね。『風水』なんかが、有名な所だね」
「難しい話はこれまでにして、一度帰りませんか?劉さん」
「ん、そうだね。横島君。済まないが・・」
「えぇ、大丈夫でしょうけど、ボディーガード、喜んで」
ほら泣き止んで、横島が華薫ちゃんを抱っこして、
ん大丈夫だよと、ピートが月壬ちゃんを掲げようとしゃがむ。
心配はないケェ、タイガーが雪小ちゃんを起こし上げる
公園を後にした時、三つ子がなにかひそひそ話を始める。
「ん」「そうね」「OK」
不意に、
「ねぇ、ねぇ、ちょっとしゃがんで」
三人同時に言えるのが三つ子たる所以か。
なんだい、としゃがむ三人。
「さっきはありがと」
と言ってから、次の光景。
マーロウはわう、とため息を付く。
父親は目を廻しかける。
「雪月華!キスはまだ早い!なんだね、君達も顔を赤くして、子供の悪戯じゃないか!」
思いがけなかった三人でありやや固まる時間があった。
【やれやれ、おませなこって】
と、マーロウは思ったに違いない。

FIN

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