ザ・グレート・展開予測ショー

GS信長 極楽天下布武!!【資格試験編】(3)


投稿者名:竹
投稿日時:(04/ 3/ 2)

毛利輝元(1553〜1625)
 中国地方の覇者・毛利元就の嫡男,隆元の子。
 父の夭折後,祖父の後継者となり,織田信長の武将・羽柴秀吉と争う。
 信長の死後は秀吉と和し,後に豊臣政権五大老の一人となる。
 関ヶ原の戦いでは西軍の主将を務め,周防・長門の二国に減封。

宇喜多秀家(1572〜1655)
 岡山の領主,宇喜多直家の子。
 父の死後,羽柴秀吉の猶子となり,後には五大老に任ぜられる。
 秀吉の子飼い大名として忠誠を尽くし,全国征伐や朝鮮出兵で軍功を立てた。
 関ヶ原の戦いに敗れ,八丈島に配流。

上杉景勝(1555〜1623)
 北陸の雄・上杉謙信の兄,長尾政景の子。
 謙信の養子となり,同じく養子となった北条氏康の子・景虎を倒し家督を継ぐ。
 織田信長に抗し,その武将・柴田勝家と争うが,後に豊臣秀吉に協力し,小早川隆景の後釜として五大老となる。
 関ヶ原の戦いでは西軍に通じ,米沢三十万国に移封。















GS試験二次試験会場,観客席。
「未だ一回戦となれば,見ても余り面白いものではないな,景勝?」
「……」
「霊能力に長けているとは言え,実戦を知らぬひよっ子共だしな」
「……」
「私達が来た意味等,無かったかな」
「……」
「おい」
「……場外乱闘が……有るかも……」
「そ,そうか……?」


「ええんかいな,天回はん。巫女のねーちゃんに付いてなくて」
「構まん。彼奴も,この一ヶ月それなりに訓練はしたからな」
「ふーん」
「お前こそ良いのか,家康」
「あー,構へん構へん。ねねはああ見えて,才能も強かさも持ち合わせたおなごやで」
「くくく……」
「何や」
「偉業を成し遂げた天下人も,死んでしまえばそれ迄だな」
「輪廻転生,人生のやり直しやな」
「ふ……」
「ま,ボクのお陰であんさんも歴史上の有名人になれたんや。徳川家康のブレーン・南光坊天海と言えば,辞書にも載っとるで」
「それより,理学書に載りたかったがな」
「贅沢言うなや」
「は……変わってないな,家康」
「あんさんもな」
「ははは……」
「ははははは……」


「……女の子になった豊臣さんを見ると,ドキドキするのは何故だろう」



『さて,最初の試合がそれぞれのコートで始められます。全てをお伝えする事は不可能なので,実況席前のコートの試合をお伝え致します』
「ふっふっふ。女とはついてるぜ」
『先ずコートに現れたのは,パワー志向の縄田屋勘助選手!』
「お手柔らかにお願いしまーす!」
『対するは羽柴秀美選手。……と,特にデータはありませんが?』
「30%だ!30%の力で勝負してやろう。せめてもの情けだ……!」
「手加減してくれるんですか!?そんな,悪いですよ!」
「いや,悪いって……。……調子の狂う娘だな」

「試合開始!」

『さぁー,遂に試合が始まりました!』
「はああーーっ!!」
『縄田屋選手,凄まじい霊波です!これで本当に,実力の30%なのでしょうか!?』
『……彼奴,去年は10%とか言ってなかったカ?』
「うわー,凄いですぅーーー!」
大した事ねーな。
「ふふふふふ,俺だって鬼じゃない。痛いのは少しだけだ。一撃で終わらせてやる」
「そ,そうですか……?有り難う御座いますぅ」
さて,如何すっかな。なるたけ目立たない様に,此処は……
「行くぞっ!」
『縄田屋選手,猛然と殴りかかったぁぁぁ!』
よし……
「きゃあっ!」
「え!?」
バギィ!
「……」
「……」
「……」
「ぎ,ゃあああああ!?」
『お,おおっと,これは……』
「あ……ご,御免なさいっ!」
上手くいった。でも,一寸可哀相だったかな?
「う,ぁぁぁ……」
『何と言う不運!縄田屋選手の余りの霊圧にバランスを崩し転倒してしまった羽柴選手の足が,パンチを空振った縄田屋選手の股間を蹴り上げてしまいました!』
『可哀相ニ……』
『縄田屋選手,ついていません。逆に,羽柴選手においては希有の幸運と言えるでしょう!』
『……幸運,かナ?』
『と,言いますと?』
『いや……でも,何かどっかで見た気がするんだよナ。あの娘……』
「ぎく……」
感付かれてる……。矢っ張,分かるのか?俺も矢っ張り,修行が足りないよな。
……と。

「縄田屋選手,戦闘不能!羽柴選手の勝ち!」
「ま,待て……。未だ後70%が……」


「おう,豊臣君。試合,終わったのかね」
見事一回戦を突破し,コートから出た藤吉郎は,信長の父であるオカルトGメン隊長の織田信秀に呼び止められた。
「信秀様……如何したんすか?こんな所で」
「うむ,ちと頼みが有るのだ」
「頼み?」
「こっちに来てくれ」



「勝者,浅井長政!」
「勝者,浅野ねね!」
「勝者,アラキ=ヘルシング!」
「勝者,市 小谷!」
「勝者,雨姫蛇秀家!」
「勝者,吉法師!」
「勝者,黒田考高!」
「勝者,絹女光佐!」
「勝者,篠原まつ!」
「勝者,竹中重治!」
「勝者,雫手政宗!」
「勝者,ドクター・ヒラテ!」
「勝者,時読ヒカリ!」
「勝者,豊臣秀長!」
「勝者,マエダー利家!」



「勝者,勒鶴義堅!」
『今の試合で,第一回戦の全試合が終了致しました。これを以て,第一日目を閉会とさせて頂きます』




そして,その夜。
織田除霊事務所。
「ま,取り敢えずみんな一回戦を突破出来たと言う事で……」
「かんぱーい!」
「飲み食いした分は,後できちんと払えよ?」
「せ,せこい事言うなよ……」
「せこくない!しっかりしてるだけだよ」
「主婦か,お前は」
「如何言う偏見だよ,それ……」
卓越した経済感覚も,豊臣秀吉を天下人たらしめた一因である。勿論,その時空違いの存在である藤吉郎にも,その資質はある。


さて,その頃応接間では。
「上は大騒ぎだな」
「はは。ま,仕方無いよ信長君。彼等にしてみれば,嬉しくて堪らないだろうからね」
「でも,余り羽目を外して明日に響いても大変ですね」
信長と利政,勝竜姫がミーティングを開いていた。
「兎に角,今日の所は収穫無しですね……」
「信長君,実際に試合を見てみて,如何だったかね」
「さーな。只……」
「只?」
「これが審判席から掠めてきた二回戦進出者の全名簿だよ」
「ふむ,これは……」
「ウチ以外で最も多く一次試験合格者……二回戦進出者を出している所」
「これか。武行GS,二回戦進出者64名中5名を排出している……」
「では明日は,此処を当たってみましょう」
「ま,それは良いがよ,勝三郎」
「はい」
「其奴等の糸を引いてる魔族ってのはどんな奴なんだ?」
「それが……何やら魔界正規軍の上層部が絡んでいるらしく,未だ詳しい情報は入っていないのですよ」
「そうか……」
霊感が疼く……

「少しは,楽しい事になりそうだな……?」



その頃,武行会道場内,武行GSオフィスでは。
「五名とも,無事二回戦に出場が決まりました」
おかま風の長身の男が,女性に何やらを報告していた。
「ご苦労様。明日も油断せずに,主席合格を目指して精進して下さい」
「は……」
「それと,もし二回戦を勝ち抜けなかったり,我々を裏切る様な者が出た場合は……。分かっていますね?」
「肝に銘じておきます」
「よろしい」
「……失礼します」
男が,部屋を出て行った。
「……ふん」
同時に,女が鼻を鳴らす。
「矢っ張り,斯う言うのは慣れないねぇ。明らかに向いてない仕事じゃないか。あたしにこんな事やらせるなんて,上の連中は何考えてんだか」
鮮やかなブロンドの髪に,抜群のプロポーションを持つ美女である。だが,その垂れ目がちな目を縁取る隈の様な模様と不自然に紫色の唇,そして何より髪の合間から出た触角が,彼女が人間ではない事を示していた。
「……如何せ疚しい仕事だ,切り捨て易いあたしにやらせようって腹かい。糞っ……」
目を伏せ,腹立たしげに吐き捨てる。
「まあ,良いけどね……」
それでも構うものか。
寧ろ,望む所だ。

「出来るののなら,やってみて欲しいよねぇ……」



「ったく。みんな,散らかすだけ散らかして帰っちゃうんだから……」
ぶちぶちと愚痴りながらも,食器を片す藤吉郎。人より劣ると以て自認する藤吉郎にとって,『勤勉である』と言う事は,唯一絶対の武器だった。
「殿ー。……あれ?」
「どしたの,日吉」
「あ,ヒナタ。殿,知らない?」
「信長様なら……」
「え,お風呂?」
「そう,お風呂」
「そっか。じゃあ……」
………………。
お風呂,かぁ……。
殿が……
「ってぇぇぇ!」
「なっ,何よ。如何したのよ,日吉」
「ちっ,違うんだ,ヒナタ!俺は決して,そう言う趣味は……」
「何言ってるの……?」

「あー,もう。やばいかも,俺……」




やがて夜が明けて。
翌日,二次試験会場。
『いよいよ合格ラインを決める第二試合です!選手達の顔も心無しか緊張気味です』


「あたし達の試合はもう少し後みたいね,長政」
「すね……。如何します?見ておきたい試合は有りますか」
そのスタジアムの片隅でだべっているこの二人は,件の武行会のメンバー。揃いの胴衣を着たおかま風の男と背の低い少年。
「そうね……一番はあの吉法師とか言う坊主かしら。それと,あの羽柴とか言う女の子……。両方とも,ただ者じゃない。何かあって,実力を隠してるとみたわ」
「同感です。もしかして彼奴等,俺達の事を……?」
「さあ。其処迄は分からないけどね。あんたは?何か見ておきたい人の試合とか有る?」
「俺は……そっすね。じゃあ,従姉ちゃんの試合を」
「貴男の従姉?」
「はい。……にしても,何でこんな所に……?」



ドゴォ!
浅井長政のパンチが,対戦相手を捉えた。
『浅井選手の攻撃は,神通根をへし折って坂井選手の頬を捉えました!坂井選手,立ち上がれるか!?』
「う……ぐ……」
「未だやるのか?それなら,容赦しないぜ……!」
ドスゥ!
「ぐぁぁ!」
『浅井選手の渾身の一撃が坂井選手にクリーンヒット!これで決まりかぁ!?』
「ふん……。その根性は認めるが,些か修行不足だったみてぇだな?」

「勝者,浅井!」
『浅井長政選手,GS資格取得!』


「ふう。……と,何だ次はお前ぇの試合か?」
「うん」
「ま,頑張れや」
そう,長政は擦れ違いざまにヒナタへエールを送った。
「ふ〜……緊張するなあ。よっし……」
パン!と両手で頬を叩き,気合いを入れるヒナタ。
「やってみますか……!」


「――次の試合は,時読ヒカリ選手対九能市姫路選手!両名,コートへ!」
『さあー,次の試合は女性同士,しかも未だ未成年の少女同士と言う異色な試合です!』
『今度から設けられた六女の二年生枠が有るから,これから斯う言うのも増えるかもナ』
「お手柔らかにお願いしますわ」
『さて,先ず入ってきたのは九能市姫路選手!忍法を使う現代の乱破です!』
『去年の試験で秀吉に負けた奴だナ』
「こっちこそ」
『対するは時読ヒカリ選手!その豊臣秀吉選手も所属する,織田除霊事務所のメンバーにして,世界でも珍しいネクロマンサーです!』
『いや,でもあれハ……』
「ああ,ドキドキしちゃう」
「私はヒナタだってば」

「試合開始!」

ビュッ!
『おおっと!九能市選手,試合開始と同時に霊刀“信包”で斬り掛かったぁ!』
「おや……?私の居合いをおかわしになりましたね……」
「な,何よ,あの人……。あっぶなー」
『此処迄は前年度の豊臣選手戦と同じ展開です!去年の雪辱を晴らせるでしょうか,九能市選手!』
「実を申しますと私――生きた人間を斬るの初めてなんですの。ああ……楽しみですわ……!」
「うっわ。目が据わってる」
『前回は,一太刀も報いる事が出来ぬままに敗北を喫してしまいました,九能市選手』
『まあ,相手が秀吉じゃナ』
「さあ,お楽しみはこれからですわ!」
「面白いじゃない……!こちとら武田の渡り巫女よ。平和な時代のパチもん忍者と一緒にしないでくれる?」
『さあ,両者の間に緊張が高まります!本番はこれからと言った所でしょうか!』
「行くわよっ!」
『九能市選手,斬り掛かったぁ!』
「行くっつってから攻撃する忍者が何処にいんの……!」
ギィン!
『時読選手,くないを取り出して斬撃を受け止めた!』
「く……この……っ!」
「は……ぁ……っ!」
パキィィィン!
『九能市選手の“信包”が折れたぁ!』
『霊力を込めるなら,込める範囲が狭い方が集中して込められル。刀身全体に霊力を使わなくてはならない太刀より,小さなくないの方が破壊力があったんだナ』
「くっ……,刀等不要!忍の極意は己の全てを武器にする事!霊的格闘モードチェーーンジ!」
「望む所よ!そう言う事なら……」
「はーーッ!」
「得意分野よ!」
ドカァ!
『おおっと!上着を脱ぎ捨て跳躍した九能市選手に,時読選手のエルボーがクリーンヒットぉ!』
『空中では姿勢が取り辛いからナ』
「やっ,やってくれるじゃない……!お返しよッ」
ドドドドド!
『九能市選手,霊波砲の凄まじいラッシュだぁぁぁ!』
「さあ,これで……何っ!?」
『な,何と!時読選手,耐えきった!……いや,あれは時読選手じゃないぞ!?』
「幽霊!?」
「私はヒカゲ。今迄貴女と戦っていたヒナタの姉よ。ヒカリの片割れって所かしら。防御力は,私の方が高いんでね」
「な……!じゃ,じゃあ彼女は何処に……」
「決まってるでしょ?わざわざ私が幽体離脱したって事は……」
「貴女のし・か・く!」
「……!」
ドゴーン!
『決まったぁーーーー!時読選手の霊波砲が,九能市選手にクリーンヒットぉ!』
「そ……そんな……!」

「勝者,時読!」
「いやったぁ!ナイス,ヒカゲちゃん」
「貴女もね」
『時読選手,GS資格取得!』



「く……何て事ですの……!」
「さあ,これで終わりだよ」


「あ,長政さん」
「政宗か,試合終わったのか?」
「いや,俺は未だだけど。……どしたの?難しい顔して」
「あれだよ。小谷の試合」
「え?うわー,苦戦してますね。相手は何て奴なんです?」
「ああ……」


「止むを得ないですわね……!まさか二回戦でこの術を使う羽目になるとは……」
既にぼろぼろの小谷が,死力を尽くして立ち上がる。その身には,市式除霊術の奥義『水晶観音』を纏っていた。『水晶観音』とは,平たく言えば魔装術の霊力版,若しくは仏教版と言った所か。
「?」
「市式除霊術・秘奥義『水晶観音』六捨覇輪砲!」
小谷の纏った美しいクリスタルの鎧(水晶は,古来霊力を溜め易いと言われている)から霊力が溢れ,その六本の腕の先端に収束されていく。
「全手,一斉射撃!」
ゴッ!
小谷渾身の一撃が,放たれた。対戦相手の小さな身体を,六つの巨大な霊波砲が飲み込む。
「もう……駄目……」
ゴォォォン……
余りの霊圧にスタジアム全体が揺れ,霊力を使い果たした小谷は,その場に倒れ込んだ。
そして。
「……勝った」
最後にコートに立っていたのは,対戦相手の方――“武行”と刺繍された胴衣に身を包んだ,背の低い少年だった。

「勝者,浅野!」
『浅野長政選手,GS資格取得!』

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