ザ・グレート・展開予測ショー

GS信長 極楽天下布武!!【資格試験編】(2)


投稿者名:竹
投稿日時:(04/ 3/ 1)

豊臣秀長(1541〜1591)
 豊臣秀吉の異父弟。
 秀吉に従って諸国を転戦,良くこれを補佐した。
 四国征伐では秀吉の名代となり,九州征伐でも先鋒となった腹心中の腹心。
 資性温容で人望に厚く,彼が秀吉より先に死ななければ豊臣政権はもっと続いたとも言われる。

北政所ねね(1546〜1624)
 豊臣秀吉の正室。
 杉原定利の娘として生まれ,浅野長勝の養女となる。
 出生によるコンプレクスから秀吉が名門出の側室を多く拵えた中でも正妻の威厳を失わず,又た秀吉も彼女を立てていた。
 秀吉の死後は仏門に入り高台院と称,徳川家康の援助を受ける。

前田利家(1538〜1599)
 織田信長の武将。
 槍の使い手として知られ,後に柴田勝家の与力として北陸攻略に従事する。
 豊臣秀吉とも懇意で,賤ヶ岳の戦いでは彼が勝家の命に背いた事が勝敗を分けた。
 五大老の次席として家康を牽制するが,秀吉の死後一年で病死。















夜が明けて。
GS免許取得試験一日目当日。



「ちわーっす……あれ?」
本オフィスに出社した藤吉郎は,事務所の前に見覚えの有る顔を見た。
「御家老様方?如何したんすか,こんな所で。てか,その格好は?」
其処には,黒服を着た鬼門の二人が居た。
「おお,小僧」
「……先日は,世話になったな」
「いや,そんな。礼を言われる程の事でもないですよ,権六様」
「そう言うな。私は命を助けられたのだ。それとも,私の命はそんなに大した物ではないのか?」
「いや,そう言う訳じゃ」
「なら,謙遜等するな。お前の欠点は,自分を過小評価しすぎる事だぞ」
「……そうでもないっすよ」
「そうか?」
「おい。儂にも喋らせてくれ」
「佐久間様……。仕方無いっすよ,佐久間様は『ジパング』出てないし」
「……」


そんな会話を一通り終え,事務所の中へ入る藤吉郎。
其処には。
「勝三郎様」
「あら,豊臣さん。今日は」
と平静を装いつつも,実は半分位藤吉郎に会うのが目当てで来たとは言えない勝竜姫が居た。
「あれ,未だ殿だけですか?」
此処には,ヒナタや両兵衛も住んでいる筈だが。
「みんな,未だ寝起きだよ。お前の方のメンバーこそ如何したんだよ?」
「いやー,みんな結構時間にルーズなタイプで。でも遅刻したりは無いと思うから,平気っすよ。ほら,未だ集合時間迄三十分も有るし」
「そう言う奴は,出世出来ねーぜ」
「はは……。



その頃,妙神山修行場。
「タツリオもムラマサの所に行くでちゅーーーー!」
「駄目じゃ。勝竜姫は仕事で行ったのじゃぞ」
「勝竜姫だけ狡い〜〜〜〜〜!」
「これ。止めんか,タツリオ」
「黙るでちゅ,猿!」
「お主が黙らぬか!儂を猿と言うて良いのは上様だけじゃ」
「はい?」



「で,勝竜姫様は何故此処に?」
「ええ。……豊臣さん,去年のGS試験の時の事を覚えていますか?」
「いや,知らないっす」
「だから,記憶喪失だって言ってんだろ?」
「あ,そうでしたね。えっと……実は前回,魔族が自分達の息の掛かった人間達をGSにして,GS業界を裏からコントロールしようとした事が有ったんです」
「へえ……」
「マフィアと警察が手を組む様なもんだな」
「で,今回も似た様な事を画策している連中がいるとの情報が入りまして……。でも,誰が彼等の手先なのか分かりません」
「ふ〜ん」
「で?俺等に如何しろってんだ,勝三郎」
「はい。お二人に,変装をして試験に潜り込んで欲しいんです。受験生の中に怪しい奴がいないか見定めて下さい」
「あ,じゃあ殿が適任ですね。変装とか大好きだし」
「て,お前ぇもだよ」
「ええっ!でも俺って結構分かり易い顔だし,変装なんかしてばれない自信無いっすよ」
「……猿」
「はい?」
「文珠,貸せ」
「え?は,はい。如何するんですか?」
「んー……」
文珠は,藤吉郎本人でなくてもある程度の言霊を使える者なら発動させる事が出来る。
「俺は坊主に変装する」
「はあ」
「お前はこうしろ」
「え?ちょっ……何するんすか,殿っ」
「うるせー,大人しくしろっ!」
「わー!」
信長は文珠に念を込めると,無理矢理それを藤吉郎に飲み込ませた。
刻まれた文字は,

『女』

「ええー!?」
「おう,結構上玉じゃねーか」
顎に手を当てて値踏みする信長。
「か,可愛いです,豊臣さん!」
自分が童顔なのを棚に上げて,嬌声を発する勝竜姫。
「ま……マジですか?」
「マジだ。お前は今から,新人GS試験受験生の羽柴秀美だ」
藤吉郎は,文珠の力で女の子にされてしまった。
小さくて,なかなかに可愛いが出る所はそれなりに出ている。所謂“守ってあげたい”様なタイプだ。
「で,でも終わった後は如何するんですか〜!?」
「したら,『解』の文珠で戻りゃ良いだろ」
「……」
「ま,頑張れや。これは正式な依頼に基づいた“仕事”だからな。命令だぜ?」
「……主命となれば拒む事は出来ませんが……殿,何か楽しんでません?」
「気の所為だ」
「……」
「う……豊臣さん,私より胸有るかも……」



「おふぁよー御座います,信長様〜……」
「おはよーでござるー」
「……お早う」
目頭を擦りながら,ヒナタと両兵衛が起きてきた。
「おう,起きたか」
「お早う,ヒナタ」
「……て,あんた誰?」
「え?俺だよ,俺」
「いや,俺とか言われても」
「だからお前,女になってんだろがよ」
「あ,そっか。俺だよ,ほら。藤吉郎」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……はい!?」
「だから,藤吉郎だってば。日吉だよ。秀吉」
「えっ……と?」
「実はかくかくしかじかで」
「ふ〜ん」
「せ,先生!美しいでござるっ!」
「と言うより可愛い系ね……。寧ろロリ系かしら?その癖出てる所は出てるってのがやらしくて,その手の趣味の人達には堪らないわね」
「……俺だって好きでこんな事してるんじゃないぞ」
藤吉郎の反論は,主に考高に向けられたものだ。
と言うか,お前もかなり需要がありそうだぞと心の中で突っ込んでみる。それを口に出して話をややこしくする様な愚を犯す藤吉郎ではないが。
ピンポーン
呼び鈴が鳴った。
「誰だ?」
「第二オフィスの人達でしょ?」
「又た説明しなきゃなんないのか……」



と言う訳で,試験会場。
「ふわ〜」
「ひ,人が一杯でござるな」
「どっからこんなに湧いてきたのかしらね……」
「官兵衛,何でお前はそう言う事を言うんだ……」
到着したのは,織田除霊事務所の面々。フルメンバー八人(十人?)と二匹と一霊と一柱。
即ち,信長,藤吉郎,ヒナタ(inヒカゲ,ヒカリ),天回,重治,考高,秀長,ねね,家康,景勝,秀家,輝元。
勝竜姫は,利政の助けを借りて例の魔族の事を調べに行った。


受付。
「次……」
「拙僧は吉法師と申す」
「何か身分を証明出来る物は?」
「これを」
「ん……よし。受験を認めます」
「有り難い」
この網傘の男,言う迄も無く信長の変装である。
「良くこの短時間で身分証明の物とか偽造出来ましたね……」
「ふん」
「半兵衛や官兵衛も,あっさり参加が認められたし」
「親父や蝮の方から口添えが有ったらしいな」
「ひゃ〜」
「しッ!ほら,次はお前の番だぞ」
「あ,はい」
「次ー」
「は,はい,あたしです!」
「名前は?」
「羽柴秀美と言います!」
「何か身分を証明出来るものは?」
「えっと,一寸待って下さい?えっと〜……あれ?確かに此処に入れた筈なのになぁ〜。あれ?何処ぉ?」
「早くしたまえ!」
「は,はい。一寸待って……あ!ありましたぁ!」
「……あのね。まあ,良いや。見せて?」
「はい」
「ん〜……よし。良いよ,出ても」
「ホントですか!?やったぁ〜!」
「……。次ー」

「はっ!何がばれない自信無いだよ。なかなか如何して,堂に入った芝居だったじゃねーか。流石は猿二号の双子っつーだけの事はあるな」
「ははは。俺も,何時迄も只のガキじゃいられないすから」
「へっ!言う様になったな」
「恐れ入ります」
信長よと藤吉郎の他,ヒナタ,重治,考高,秀長,ねね,秀家の参加も決まり,ホッと胸を撫で下ろす一同。
「よう,ヒナタちゃん」
「あ,まつちゃん,小谷ちゃん」
「長政に犬千代様も」
「もし,試合でヒナタちゃんと当たっても,手加減しないからな?」
「あは,お手柔らかに」
「お兄様は来ておられませんの?」
「あ,信長様なら其処に……」
「よっ!お市」
「お兄様!何ですの?その格好は」
「ちとさる筋の依頼で,猿と一緒に試験に潜り込む事になってな」
「え!じゃあ,お兄様も試験に出ますの?」
「まあな」
「へ!豊臣と去年のリターンマッチが出きるとはな!……て,その豊臣は何処だよ?」
「其処に居るだろ,長政」
「信長さん。其処って……?」
「此処です。文珠の力で女に化けているのです」
「うお……」
「豊臣サン,無駄に可愛いですジャー」
「ま,何にせよ,試合で当たるのを楽しみにしてるぜ。今度こそ俺が勝つ」
「いや,それは無理な気が……」
「んだと,マエダー。無理と思ったら何も出来ないんだよっ!」
「まあ,それはそうですケンド……」
「あ!御家老様っすよ,殿」
「何?じいか」
「これ以上,キャラ増やすなよ!」
「この回始まってから,私達,一言も喋ってないぞ」
「景勝ねーちゃんなんか,居るのか居ないのかも分かんないし……」
「……」
「口調被ってる人も多いから,台詞だけじゃ誰が何言ってるのか分からないんじゃあ……」
「如何だろうな……」
「あ,長政にマエダーさん」
「ミツヒデサン……」
「ややこしいから出てくんなよ」
「そう言う訳にもいかないでしょう……」
「アラキちゃんの付き添いで来たんです。神父は,今朝から何処かへ出かけてしまって……」
「おー,そうか。そりゃ良かったな。分かったからもう喋るな」
「酷ぇ……」
「もう,長政の台詞かお兄様の台詞か分かりませんわ……」
「その台詞は一発で市のって分かるな」
「小谷ちゃんを市と呼んでいる事から,上の台詞はまつちゃんね」
「何か,もうクイズの様になってきたのう……」
「詰まりその心は,拙者の様に分かり易い者こそ多く出るべきと言う訳でござるな!」
「違うでしょ,馬鹿犬」
「馬鹿でも犬でもないでござるっ!」
「ふん……」
「うう……」
「泣くんやない,ねねっ!試合が始まったら,屹度もっと出番が有る筈やっ!」
「そ,そうよね!ねね負けないっ!泣いてばかり居たら,田舎者って馬鹿にされちゃうもんねっ!」
「いや,それはされへんて」
「あ!輝元さん,景勝さん,秀家!」
「政宗にーちゃん,光佐ねーちゃん,義堅ねーちゃん!」
「お前等も出るのか?」
「うんっ!」
「負けないわよっ!」
「お互い,火傷しない程度に頑張りましょ」
「うんっ!」
「これでもうアラキちゃんと御家老様達以外,みんな一通り発言した?」
「……俺が未だだ,兄者」
「こ,小竹……」
「新キャラなのに……うう……」
「……」



一次試験会場。
「よーし,次のグループ」
一次試験は霊波の計測だ。放出した霊波の値が,審査員に認められれば二次審査へ進める。
基本的に基礎能力を量るものだが,幾つかのグループに分かれて計測する為,同じグループに運悪く強い者達が固まっていたりすると他のグループなら合格したレベルの者でも失格の憂き目を見る様な事も有る。
「諸君の霊力を審査します。足下のラインに沿って並んで,霊波を放出して下さい」
さて,信長達の番である。
「本気出すなよ,猿。此処で目立つのは拙い」
「承知致しました」
記憶が入れ替わってから,一ヶ月ちょい。霊力の調整位の事は,信長達も流石に出来る様になっていた。
「……」
「?如何した,猿。人の顔,じっと見て」
「い,いえ。何でも」
「そっか。……気ぃ抜くなよ?」
「はい」
そう言って信長から目を背ける藤吉郎の顔は紅い。
「……」
うわー!
何だよ,俺。殿の顔見てドキドキしてるよ!
文珠の効果で,心迄女の子になっちまったってか?
落ち着け,俺!
殿に邪な考えを抱くなんてそんな……
……。
いや,気の迷いだ!
しっかりしろ,俺!男だろ!?
「……何悶えてんだよ,猿」
「な,何でもありません……」
結局,一次試験は見事合格した。



さて此処は一次試験会場から程近い公園。
揃いの胴衣に身を包んだ五人の男女が何やら話し合っている。
「如何,みんな。あたし達の敵になりそうなのはいた?」
五人の中で最も背の高い,おかま風の男が皆に訊いた。
「今年は大漁の年なんじゃないすか?合格なら兎も角,優勝ってのは難しいかも」
そう答えたのは,背の小さい少年。顔つきから判断するに,高校生になるかならずかと言う所か。
「けっ!何をびびってるんだよ,長政。俺等にゃあの魔族野郎から貰った“力”が有るんだぜ?其処等辺の雑魚共に負ける筈がねえ」
そう少年に突っ掛かるのは,顔に傷の有る人相の悪い男。粗暴な性格が,これでもかと言う程に顔に出ている。
「こら,口を慎みなさい。何処で誰が訊いているか分かりませんよ」
傷の男を窘めたのは,細身の眼鏡を掛けた知的な女だ。キャリアウーマンとか美人秘書とか言う言葉が似合うさっぱりした美女である。こんな所でむさい胴衣を着て男達の輪の中に居るのは至極不自然な感じだ。
「そうヨ。いくら“アレ”が有る言っても,油断したらそれ迄ネ。呉々も油断しちゃ駄目アル」
最後の一人は明らかに間違った中国訛りで話すお団子少女。こんな胴衣よりはチャイナドレスが似合いそうだ。
「ふふ……まあ,何にせよ絶対に私達で主席合格を手にするのよ」
「はい!」
「わーってるよ」
「無論です」
「任せるアルよ」

「負けられないわ,絶対にね」
おかま風の男が,念を押す様に呟いた。



そして,二次試験会場。
「間も無く,本年度GS資格取得試験,第一試合が行われようとしております。実況は私,GS協会企画部広報課の明智光安。解説は,『蜂須賀堂』店主,蜂 須賀氏でお送り致します」
ビーーーッ!
「時間です!選手達が入場して来ました」

「ま,気楽にやろうぜ」
「し,暫く話し掛けないで下さい,殿……」
「絶対合格して,役立たずの汚名を晴らすわよぉ!」
「先生,見ていて下され!拙者,頑張るでござる」
「て,トヨトミも出るんでしょうが」
「兄者と当たりません様に……」
「貧ちゃん,私,頑張るからね!」
「父さん,母さん,僕,GSになるよ!」
「今年こそ受かりますケン!」
「へ!ちっせーな,マエダー。如何せ狙うなら優勝だぜ」
「無理ですわ。お兄様がいらっしゃいますもの」
「市,お前ぇよぉ……」
「未だ,微妙に遠近感が掴めないんだよね……」
「何としても合格して,貧乏暮らしから脱出しちゃる!」
「貴女には絶対負けないわ,眼鏡猿」
「こっちの台詞よ,腐れ外人」
「まあまあ,二人共……」
「ふふん。腕が鳴るわね……」
「げっ,従姉ちゃん!?何でこんな所にいんの!」
「何だ,長政。知り合いでも居たか?」
「落ち着きなさい。試合の前に,動揺は禁物です」
「知り合いでも,手加減しちゃ駄目アルよ」

「第一試合は百二十八名,六十四試合が行われます。今回の審判長・溝尾氏,組み合わせを決める“フジタのダイス”を振ります!」
「“フジタのダイス”はあらゆる霊的干渉を受け付けず,運命を示す賽子ダ。この賽子で決められた事は,絶対公平且つ宿命なんダ」
「如何やら組み合わせが決まった様です。各選手が,それぞれのコートに向かいます」


「そして,今!各コート一斉に,第一試合が始まりました!」

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