ザ・グレート・展開予測ショー

傷ばかりの天使!!(その31)


投稿者名:TAITAN
投稿日時:(04/ 2/29)

「エリッサ、横島どのと西条どのの心霊治療を頼む!」
「はっ!」
エリッサは抱きかかえていたアリスとアメリヤを地面に下ろす。
「アメリヤ様をお願いします。」
「・・・分かりました。」
エリッサはすぐに西条と横島のいる所へと移動する。
「動かないでください。心霊治療を始めます。」
エリッサの掌から暖かい光が発せられる。
すると、横島と西条が感じていた激痛が徐々に引いていく。
「くっ・・・。」
汗が頬を伝っていく。
エリッサの体に疲れが溜まっていく。
(あと少し・・・・。)
エリッサは更に掌に霊力を集める。
そして、エリッサの掌から光が消える。
「はぁ、はぁ、お、終わりました。」
エリッサは片膝を地面に付く。
顔からは幾つもの汗が出ており、エリッサの疲れは限界まできていた。
「折れた・・・骨は、完全に元に戻りました。」
「すまない。」
「西条、行くぞ!アイツを援護しねぇと!」
「分かってる!」
横島と西条は、バルドルフと戦っているダンテの援護へと向かった。






「でぇーい!!」
ドゥッ!!
ダンテは手から霊波を発射する。
『フンッ。』
バルドルフはそれを盾で防ぐ。
ヴォンッ!
バルドルフは大剣をダンテ目掛けて振るう。
「くっ!」
ダンテは高く跳び、大剣を避ける。
そして拳銃を抜き、バルドルフの顔面目掛けて撃つ。
ダンッ!ダンッ!!
『甘い。』
バルドルフは瞬時に顔の前に盾を出し、それを防ぐ。
『ふんっ!!』
バルドルフは盾を前に出し、そのままダンテに突進する。
ドゴォッ!
「ぐぅっ!!」
自分の十数倍の大きさのバルドルフの突進を喰らったダンテは吹き飛ばされ、後ろの壁に体をぶつける。
ボフゥッ
「?」
ダンテは驚いた。
ぶつかった壁が、まるでクッションのように柔らかいのだ。
ダンテは下を見た。
「よ、横島どの、西条どの!」
ゆっくりと地面に下りるダンテ。
「なんとか間に合ったようだな。」
"柔"の文珠を持った横島が言った。
「な、何故助けに来たのです!ここは僕に任せてください!」
「バカなことを言うな!相手は君1人でどうにかできる相手ではないだろう!」
西条がダンテに言う。
「しかし!!」
『井戸端会議はそのくらいにするんだな。』
バルドルフが言った。
そして、左手を前に出す。
『出でよ、風の精霊"シルフ"!』
バルドルフがそう叫ぶと同時に、左手に魔法陣が出現し、中から怪鳥が現れる。
腹は白いが、それ以外は濃い緑色をしている。
そして、黒い嘴をしており、鋭い眼で、横島たちを睨む。
『クエェェェーーーーーーーー!!!』
泣き声を出しながら、シルフは翼を動かす。
すると幾つもの真空の刃が出現し、3人に向かってくる。
「ちっ!」
横島は霊波刀を出し、西条はジャスティスを鞘から抜く。
そして向かってくる真空の刃を、2人は剣で弾き飛ばす。
ガン!キン!ガン!
「な、何をしているんですか!!」
ダンテは叫んだ。
「貴方たちはまだ完治したわけじゃないのですよ!!」
「だが、僕たちがこの攻撃を避けたら君に当たってしまう。」
西条が言う。
「あれぐらい避けられます!」
「だったら、君はアリス王女とリナ王女の護衛に回ってくれ。ヤツは僕たちが引き受ける。」
「バカなこと言わないでください!!」
「君にはヤツと戦うのは無理だ。君には戦いはふさわしくない。」
「僕は軍で厳しい訓練を受けたんです!!戦う事ぐらいできます!!」
「強がるのもいい加減に「黙っていてください大尉!!」・・・!!」
西条の言葉を、ダンテの言葉が遮る。
「確かに僕は実際に戦ったことはありません!ですが、ヤツを倒さなければ大勢の人が死んでしまう!!」
ダンテは叫んだ。
「もう・・・、人が目の前で死ぬ光景を見たくないんです・・・!!」
「・・・・・。」
「分かった。」
「!!」
「横島クン!」
「だけど、前衛は俺たちに任せてくれ。お前は援護を頼む。」
「は、はい!横島少尉!!」
ダンテの言葉を聞いて、横島はコケそうになった。
「西条より下かよ・・・。」
「キャリアの差というものさ。」
西条は言った。
「とにかく、なんとしてもヤツを倒さなきゃな!!」
「あぁ!」






『クエェェェェーーーーーー!!!』
シルフは、大きく翼を振り下ろす。
ヒュヒュヒュヒュッ!!
すると幾つもの羽根が、3人に向かって襲い掛かる。
3人は散開し、自分に向かってくる羽根を防いでいく。
ドドドドドドドドドッ!!
「ぐっ!!」
次々とくる羽根を必死に防ぐ3人。
その3人に休む暇も与えず、シルフは次の攻撃に移った。
『クエェェェェーーーーーー!!!』
グオォォォォォォォォォォォォォォ!!!
シルフは高速に回転しながら、横島たち目掛けて突っ込んできた。
それはまさに、銃から発射された巨大な弾丸のようであった。
「ちっ!」
横島と西条は防御の姿勢をとる。
バッ!
その2人の前にダンテが立つ。
「下がってください!!」
「バカなことをするな!1人で防げるものじゃない!!」
「大丈夫です!」
そう言ったダンテは、右手を前に出し精神を集中する。
「はぁぁぁぁぁぁ・・・・。」
ヴォォォォォ
ダンテの右手が赤く染まっていく。
そして、爪が紅く鋭くなる。
「横島少尉、西条大尉、僕から離れてください!」
「まさか、ヤツを倒すというのか?」
「えぇ!」
「無茶だ!」
「信じてください、大尉!!」
「・・・・分かった。」
「ありがとうございます!」
横島と西条はダンテから離れる。
グォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!
シルフとダンテの距離が短くなる。
『クエェェェェーーーーーー!!!』
ドーム中に響くシルフの叫び声。
「ダンテ!!」
ダンテはゆっくりと、右手を高く上げる。
そして、思い切り右手を振り下ろす。
「鮮血の爪(ブラッディ・クロウ)!!」
ズバァァァァァァァァッ!!
『グゥ、グエェェェェーーーーーー!!!!!!』
切り裂くような高い叫び声を上げたシルフの体は、バラバラになっていた。
そしてシルフの体は、ゆっくりと消滅した。
「ダンテ君、その手は・・・・。」
西条が聞いた。
「ギルファ様の遺産みたいなものです。」
「・・・・そうか。」
「話は後にしましょう。まだバルドルフが残っています。」






『まさか、精霊を倒すとは、予定外だったな・・・。』
バルドルフは少し驚いたような表情をした。
『まぁいい。お主達全員、我が刃で斬り捨ててくれん。』
「そう簡単にはやられないぜ。」
横島が言った。
「俺は宣言する、次の俺たちの攻撃でお前を倒す!」
「「!!」」
『ほぉ、面白い。やってみろ。』
「何馬鹿なことを言ってるんだ横島クン!」
「俺に考えがある。」
「考え?」
「上手くいくかどうかは分からないけどな。」
横島は、その考えを2人に、小声で伝えた。
ぞの後、横島は西条とダンテを見る。
「どうする?のるか?」
「・・・・・。」
少しの間、沈黙が起きる。
「君の考えはロクなものじゃないことは承知していた。」
西条は言った。
「君には散々ヒドい目に遭ってきたからな。・・・・・仕方ない、のってあげるよ。」
「すまねぇ、西条。」
横島はダンテに聞く。
「お前はどうする?」
「・・・・僕は貴方方を信頼しています。だったら、答えは1つしかありません。」
「決まりだな。」
「じゃ、やるとするか!行くぞ!!」
3人は一斉に、バルドルフ目掛けて走り出す。
『下らん、ただ突っ込んでくるだけか。』
「そいつはどうかな!」
横島は掌からサイキック・フィールドを出す。
「喰らえっ!」
横島は、サイキック・フィールドをバルドルフの顔目掛けて投げつける。
『フンッ。』
バルドルフはそれを大剣で弾き返す。
こっちに返ってきたサイキック・フィールドを、横島は避ける。
ドゴーン!!
地面に激突し、砂煙があがる。
バッ!
『!』
その砂煙の中から西条が姿を現す。
サイキック・フィールドが地面に激突したときに起きた爆風に乗って跳び上がったのである。
「くらえっ!!」
西条は、横島から渡された"閃"の文珠を思い切り投げる。
文珠は、バルドルフの目の前でその能力を開放した。
カッ!!
『ムッ!!』
突然の閃光に驚き、バルドルフは目を瞑ってしまう。
そして、閃光が収まりバルドルフが目を開けた時、
「今だ、ダンテ!!」
「鮮血の爪っ!!!」
ズバァッ!!
『ば、バカな・・・・。』
バルドルフの目の前にいたダンテは、思い切り真紅の右手を振り下ろし、バルドルフを切り裂いた。
『こ、このバルドルフが、お主達に負けるとは・・・・・・。』
シュウゥゥゥゥゥ・・・・
切り裂かれたバルドルフは、煙となって消滅した。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・。」
「た、倒したのか・・・・?」
「・・・やっと、終わったんだな。」
ドサッ
「あぁ、疲れた!」
その場に倒れる横島。
「僕もだ。これほど疲れたことは無い。」
そう言って、西条は地面に腰を下ろす。
「ギルファ様・・・・。任務・・・・、完了しました。」
ダンテは横島と西条の所へ行こうとする。
「横島少尉、西条大尉・・・。」





ザシュッ!
「「!!」」
横島と西条はダンテの方を見る。
すると、ダンテの胸を、長剣が貫いていた。
「ダ、ダンテ様!!」
エリッサの叫び声が、辺りに響く。
「まさか、私の"人形"を倒すとは思わなかったよ。」
漆黒の鎧を身に纏い、銀の長髪、蒼い瞳をした男。
その男が、長剣でダンテの胸を貫いた。
「フンッ。」
ズルゥッ
男は長剣を、ダンテの体から抜く。
バタッ・・・
ダンテは、ゆっくりと倒れる。
「ダンテ!!」
ダンテの所へ駆け寄る横島と西条。
「おい、ダンテ、しっかりしろ!!」
「動かすな横島クン!!出血が酷くなる!!」
胸を貫かれたダンテは、すでに瀕死の状態であった。
「くっ!てめぇ!!」
男を睨む横島。
「人を睨んだところで、私を倒せはしないぞ。」
薄笑いを浮かべる男。
「てめぇ!!」
男に向かって駆け出す横島。
「待て、横島クン!!」
ドバキャッ!!
男は向かってきた横島を殴り飛ばす。
「ぐはっ!」
「横島クン!!」
「光栄に思いたまえ、貴様らは、この私と戦える権利を手に入れたのだからな。」
「お前、何者だ?」
男は口元を歪ませ、笑みを浮かべる。





「私の名は、バルチザン王国初代国王バルドルフ・ドティル・バルチザン。簡単にいえば、"本体"ということになるな。」


続く

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