ザ・グレート・展開予測ショー

長編・GS信長 極楽天下布武!!(13)


投稿者名:竹
投稿日時:(04/ 2/27)

汝等は等しく予が股肱腹心也

使う所はその器に従うのみ















京都御所。
今,この場にいるのは,笠を被り袈裟を着た少女と,狩衣に身を包んだ青年。
この,二人のみである。
「……義鎮さんもやられちゃったみたいです」
少女が,地図に手を翳しながら報告する。
「そうか……」
「そして,三……いや,四人かな?此処に向かってきてます」
「……」
「如何……するんです?」
そう青年に問う少女の顔には,怯えの色が浮かんでいる。
「如何したい?」
「そ,そりゃあ私達は都を“魔都”へと変えるリーダーの邪魔をさせない為の最後の城壁ですから,矢張り命を賭して戦うべきかと……」
「敵は,我等が同士を悉く破ってきた者達だぞ。恐ろしくはないのか。それ程迄に魔都建設に拘る理由が,お前自身に有るのか?」
「――それは……」
実際,少女自身は魔都建設に大した感慨を持っている訳ではなかった。今,彼女が此処に居るのは,幼い頃からの腐れ縁である絹女光佐に連れ込まれたからだ。
「でも……“仲間”じゃないですか……」
「む?」
「みんなが戦ったのに,私達だけ逃げるなんて,そんな……」
「……未だ四神も崩れていない。リーダーの“行”が済んでも,それで魔都建設が成るとは限らんぞ」
「……でも」
「……」
「……」
「……そうか,分かった」
「え?」
「お前がそう言うのなら,私も戦おう」
「……!はいっ」



「ふわ〜,此処が京都御所か〜」
「何や,感動してんのか?」
「だって私,お金無いから修学旅行なんて行けなかったもの」
「さよか……。不憫な子や」
京都御所正門。
やって来たのは,浅野ねね。……と,東照大権現こと徳川家康公。
京都タワーから飛び出したねねは,図らずも御所到達一番乗りをしてしまった。
「……此処に豊臣さんが居るのね?」
「か如何かは分からへんけど,話の流れからして最終目的地は此処の筈や。にーちゃんの位置が掴めん以上,此処で待っとんのがいっちゃん確実や」
「そうなの?」
「せや。……にしても」
「何?」
「本ま,出番無かったなぁ〜,ボク等。未だこれで登場三話目やで,十三話中」
「し,仕方無いでしょ」
「何でや!?ボクはコミックス一巻の表紙に,信長様や日吉にーちゃんと一緒に出とったやないかっ!しかも未だヒナタねーちゃん登場前の第一話からの出演やで?これは,ボクが『ジパング』の準々主人公言う事やないんか!?ボクは『ジパング』のおキヌちゃんやないんか!?」
「……び,貧ちゃん……良く分かんないんだけど,ほら,私なんて出させてももらえなかったんだし。まあ,確かに未だ幼女だったけど,七巻の未来予知にさえ出てこなかったんだよ?」
「……て何やねん,ねね。て事ぁ矢っ張ねねは高台院様の転生体だったんか?」
「え?貧ちゃん,今私何か言った?」
「え?いや……」
さっきのショックで前世の記憶が本の少し表に出てきてもうたんか?
とすれば……いや……。
「あれか」
「ん?」
自分達以外の声を聞いて,ねねと家康は振り返った。
「な……誰や?」
狩衣を着た青年と,袈裟懸けの少女だった。どちらも,容姿のレベルはかなりのものである。
「私は『魔流連』の陰陽師,猛吏輝元(もうり・てるもと)」
「同じく,宿曜師・勒鶴義堅(ろっかく・よしかた)。法名は承禎と言います」
「訳有って此処より先に立ち入りを許す訳にはいかぬ。お引き取り願いたい」
青年は,慄然と言い放った。
「び,貧ちゃん……」
「ねね……」
恐いんか。
霊圧が感じられてる言う事は,矢っ張霊感が目覚めてきとるんやな。
……それなら。
「嫌や!」
「貧ちゃん!?」
「ほう……」
何やら思案する顔で輝元は呟いた。
「……何処ぞの神様かとお見受け致しますが,嫌と申されるのなら力尽くで排除させて頂きく事にますが……」
それは詰まり,言外に貴方々で我々に敵うのかと言っている。
「やってみぃや」
「貧ちゃん!ちょっと」
「何や,ねね。日吉にーちゃんの役に立ちたいんやろ?」
「いや,それはそうだけど」
「あの二人は,恐らく日吉にーちゃんの敵や。ねねは,何時迄も待ってるだけの女でええんか?」
「……!」
「なあ」
「……分かった。ねね,頑張ってみます!」
「よぉし!それでこそねねや」
一方,輝元と義堅。
「やるつもりみたいですね」
「しかし……相手は低級神と一般人――いや,“資質者”か?何れにしても,我々に勝てるとは思えないが……」
「まあ,何でも良いじゃないですか」
「義堅?」
「此処は,私にやらせて下さい」
「……良かろう」
「行きますッ!」

御所の庭で,二人の少女が睨み合う。
一人は僧体,もう一人はセーラー服。
戦いは,始まった。
「ナム・モリガァカラ・ナコサタラ・ソワカ!」
印を組み,金剛杵を構えた僧形の少女――勒鶴義堅が,真言を唱える。
彼女は宿曜師である。
宿曜師とは,宿曜経に記された二十八の星宿の配置をを読み解き,大地の理を示す占星術“宿曜道”を専門に扱う密教僧である。
義堅の家は代々続く真言陀羅尼宗の寺院であり,平安時代より続く宿曜師の家系でもある。嘗ては朝廷に仕え,時代が下り戦乱が深まると衆情を救うべく関東へと下ったのだった。
「我は大地の理を知る者也。七曜,九執,十二宮,二十八宿。遙か天空に在る,星々の流れを読み解く者也……」
ゴォッ……
霊気の渦が,義堅を中心に巻き上がる。
「我は不空上人の経を,今生に受け継ぎし者也。星々よ,神とならん。神となりて,地上に降るらん……」
やがて,渦の中央が霊圧を強めていく。
「今一時,我を守れ。我が楯となり刃となりて,我が敵を滅すべし……!」
霊圧がセーラー服の少女――言う迄も無く,ねねの方を向いた。
「宿曜武術・觜の巻!」
ドンッ!
光が,ねねを捉えた。

「……スイーパー試験を思い出しますね」
輝元が,傍らの家康に話し掛ける。
「しかし,試合をしに来た訳ではないでしょう。……何を企んでいるのです?」
「別に何も。他の方等は知らんが,ボク等はこれが目的で来たんや」
「……?」
「あの娘,面倒な奴に惚れたんや。命も賭けんと落とせる様な人とちゃうねん」

「……?」
ねねは恐る恐る,瞑っていた目を開いた。
可笑しい。自分は,先程義堅の攻撃を受けたと思ったのに……
「え……豊臣……さん?」
「あ……ねねちゃん,大丈夫?」
目の前にいたのは,義堅の攻撃を受け止めている藤吉郎だった。
「猿,手前ぇ!俺を足蹴にするとは如何言うつもりだ!?」
「す,すいません,殿っ!ねねちゃんがやられそうになってるの見て,思わず……」
「ちっ!たく,お前は……」
「織田信長……それに,豊臣秀吉か!?」
輝元が叫んだ。
「応,そう言う事よ。お前達の悪巧みも此処迄だぜ」
「ええっ!そう言う話だったんですか!?」
「……猿。お前,何しに来たんだよ?」
「いや,ははは。……成り行きで」
殺伐とした乗り突っ込み漫才を始める二人。
「……!此処は通さない」
バチン……!
輝元が,手にした扇子を開く。
「へっ,面白ぇじゃねえか。あんたを倒せば,ボス戦て訳か?」
「殿!」
「んだ?猿」
「此処は俺に任せて,殿は先に進んで下さい!」
「ああ?何言ってやがんだ」
「……何か良く分かりませんけど,急ぐんでしょ?」
「馬鹿野郎。お前一人で,この娘を護りながら二人を相手に出来んのかよ?」
「そ,それは……」
「せや!にーちゃんの言う通りでっせ,信長様」
「竹千代?」
「ラスボスは主人公が倒すと決まってるもんや。此処はにーちゃんとボクに任せて,はよ先行きぃな」
「……もしあの娘が死んでも,知らねーからな」
「大丈夫でっせ」
「ふん……」
そう言うと,信長は内裏の奥へ向かって駆けだした。
「させるか!」
輝元が慌てて扇子を振ろうとしたが……
バチィ!
「!?」
何かに阻まれた。

『障』

「くっ……文珠……!」
「貴方の相手は,俺っすよ」
「己……ッ!」



オカルトGメン臨時本部。
「……四神は護られたか」
「はい,その様で。先程,織田除霊事務所の方からも連絡が来て,『木帝』を捕らえたと……」
「ふむ……何とかなった様だな」
風は確実に此方に向かって吹いていた様だ。
後,もう一息。そして,事後処理は自分達の仕事だ。
「物見の報告に拠りますと,京都市内では織田信長殿以下数名のGSが『魔流連』の残存メンバーと交戦中との事です」
「うむ」
「それと,京都府警から警官隊三百名を借り受ける事が出来ました。全国から掻き集めたオカルトGメン五十人に指揮を執らせ,京都市内へと突入する準備は進んでおります。今暫しで出動可能かと……」
「ああ。準備が出来次第突入してくれ。只,相手には名うてのGSが多くいると言う。決して無理はさせぬ様に。一般警官が死んだりする事にでもなれば,後々面倒な事になるでな」
「……重々,厳命しておきます」
「頼むぞ」
部下の足音を聞きながら,織田信秀は小さく溜息をついた。
「――矢張り俺には,フリーのGSが合ってるな。この仕事は気を遣う事ばかりで肩が凝るわ」



「殿を追い掛けたいなら,俺を斃してからっすよ」
「そうさせてもらう」
藤吉郎と,扇子を構えた輝元が対峙する。
「で……実際問題,二対一なんすけど,如何すりゃ良いんですか?竹千代様」
「え?」
「え,じゃなくて。何か,策が有るんでしょ?」
「策なんて無いで」
「ええっ!?」
「……何や。ボクは策が有るなんて一言も言っとらんで?」
「じゃ,何の考えも無しにあんな啖呵切ってたんですか!?」
「せや」
「な,何をさらりと……。そ,そうだ。竹千代様は戦わないんですか!?」
「んー。末席とは言え,ボクも神籍に名を連ねる者やからなあ。俗界の内輪揉めに手ぇ貸す訳にはいかんわ」
「あ,あんたって人は……」
その隣で対峙するのは,ねねと義堅。
「あー。織田さんにサイン貰うの忘れたー」
「ええ……?」
「ま,それは兎も角。仕切り直しと行くわよっ!」
キイィィン……
義堅が右手に持った錫杖がシャンと鳴り,それに霊気が収束する。
「宿曜武術・斗の巻!」
義堅が,それで以てねねを殴りつける。
「ねねちゃん!」
藤吉郎が叫ぶ。
ゴッ!
その藤吉郎の頭を,輝虎の放った衝撃波が捉えた。
「人を心配している余裕は無いよ」
猛吏輝元。
代々京都朝廷に仕えた陰陽師の家系の末裔。出身は京都だが,東京の大学に行ったので普段は標準語を話している。
陰陽師とは,古代中国戦国時代の儒家・鄒衍の唱えた“陰陽五行説”に基づいて天文,暦数,ト筮,ト地等を扱う方術“陰陽術”を専門とする学者達の事である。日本では大宝律令の昔に既に規程があり,京都朝廷には陰陽寮が置かれた。時代が下るに従って他の外来宗教と同じく日本式に変化していき,日本独自の陰陽術“陰陽道”として発展し,宮廷や公家の日常を物忌み,方違え等の禁忌で左右した。
平安中期以降,賀茂・阿部の両氏によって分掌されたが,猛吏家はこの内賀茂家の流れを汲んでいる。平安京は抑も陰陽道に基づいて立地されたものであり,今回の『魔流連』の魔都建設計画でもその加護を破るのが最重要課題だった為,風水(陰陽術は大きく見れば風水の一解釈)を専門とする輝元が副リーダー的な役目を務めていた。勿論,性格的に一番まともっぽいと言うのも大きかったのだが。
「天蓬,天内,天衝,天輔……」
輝元が,扇子に“呪”を込める。
「天禽,天心,天柱,天任,天英」
そして,それを以て地面を突いた。
「五行相生・土生金!」
キン……!
「うわ……!?」
藤吉郎の足下の地面が,突然純金と化した。
「おわ,す,滑る!」
「未だ未だ!」
藤吉郎がバランスを崩しかけたその時,輝元が再び地面を突いた。
「五行相生・金生水!」
バシャアッ……
すると藤吉郎の足下が,今度は池と化した。
「うあ……!?」
「元長!」
輝元が叫ぶと,式神が現れ藤吉郎の上に庭石を落とした。
「おぅあ……!?」
「ふ……そのまま溺れ死ぬが良い!」
「ぐばぁ……」
庭石の重みで,藤吉郎の身体は即席の池へと沈んでいく。
「豊臣さんっ!」
それを見て,ねねが叫ぶ。
「人の事を気に掛けてる場合じゃないよっ!」
義堅がそう言って錫杖を振るうと,収束された霊気が拡散し,ねねに降り注いだ。
「宿曜武術・星の巻!」
ドドドドドドドド!
「ねねっ!」
家康が叫ぶ。
「――いや……!?」
「何ッ!?」
しかし,土煙の向こうから姿を現したのは,無傷のねねだった。
「全部……防いだ……?一体……」
義堅が良く良く目を凝らしてみると,ねねの背中から出た何かが,彼女の身体を包んでいた。
「霊気の羽……?あれで,私の攻撃を防いだって言うの?」
「……にーちゃんが危ないんを見て,キレた事で霊能力が開花したか。ま,一寸予定と違うけど,結果オーライやな」
「豊臣さんっ!」
ねねが藤吉郎の溺れている池に駆け寄ろうとした時,
「何?」
直ぐ近くで,藤吉郎の声がした。
「!?」
「な,何!?じゃあ,溺れているのは……」
驚いた輝元が即席の池を見る。
「ああ,あんたの式神だよ。石を落とされる寸前に,文珠で入れ『替』わったんだ」
「元長!く,糞っ!」
激昂した輝元が,扇子に落ち葉を拾う。
「五行相生・木生火!」
ゴオッ!
その落ち葉から発した炎が,藤吉郎を襲う。
が……
「な……全て防がれた……だと……!?しかも,今霊能力に目覚めたばかりの小娘に……?」
「豊臣さんに危害を加える人は,ねねが許しません!」
ねねの霊気の翼に防がれてしまった。
ビュッ!
翼が展開し,フェザーブレッド(霊気の羽根)が輝元に向かって飛んでいく。
「ぐわ……!」
一発でも尋常ならざる威力と思われる霊力の羽根が,無数に輝元を襲った。
「止めですっ!」
尻餅を付いた輝元の首筋に向かって,ねねは霊波の羽根を振り下ろした。
ギィン……!
「な……!」
しかし,それを『壁』の文珠で受け止めたのは藤吉郎だった。
「と,豊臣さん?何で……」
「何でって……あのままやったら,ねねちゃんこの人の事殺しちゃう所だったよ」
「え?でも,その人は豊臣さんの敵なんでしょう?」
「いや,そんな敵だからって……」
敵だから殺すと言うのは,一般的な日本人の思考としては異常と言える。藤吉郎は普段のねねを其処迄良く知っている訳ではないが,こんな事を言う人物ではないと思う。突然に強い力を手に入れ,正常な思考が出来なくなっているのだろうと判断した。
「……その娘の言う通りだ。私はお前達の敵,此処で殺しておかないと,後で後悔する事になるぞ」
藤吉郎の後ろで,輝元が言った。
「大丈夫だよ。今頃は殿があんた等の大将を討ち取ってるだろうし,それに――」
「それに?」
「敵を殺すばかりが戦じゃない」
「……」
輝元は,探る様な眼で前を向いたままの藤吉郎の僅かに見える横顔に眼を細めた。
「言うな。流石は太閤はんの双子の弟や。おい,ねね。もう止めいや」
「……うん」
家康に促され,ねねは翼に込めていた力を弱めた。
「ふ〜。ねねちゃん,霊力強いんだね〜。結界張るのもきつかったよ」
『壁』を解いた藤吉郎が,その場に座り込む。
が,当然其処には輝元が居た。
「っと,御免……て,え?」
藤吉郎は背が小さい。長身の部類に入るであろう輝元に寄り掛かると,丁度胸の位置に頭が来る。
……フニッ
藤吉郎の後頭部に,何やら柔らかい感触のものが感じられた。
「ふにっ……て……あんた……まさか,女の人!?」
「……そうだ」
「ええーーーーー!?輝元さん,女だったんですかぁ!?」
「義堅迄,何言ってるんだ!」
「いや,実はずっと男の人かと思ってました」
「ええ……?」
「だって輝元さんの顔って中性っぽいし,言葉遣いも男言葉で……」
「男言葉は氏康もだろう?」
「でも,ほら。氏康さんはナイスバディーだから……」
「……悪かったな。ペチャパイで」
「ああっ!いや,そんなつもりで言ったんじゃ……」
「良いねん。如何せ内はあんさんや光佐はんにも胸負けとるんやから……」
「うあ……気にしてたんですか……」
あからさまに落ち込み,端の方で体育座りなんぞして京都弁でぶつぶつ言い始めた輝元を見て,藤吉郎はこれって俺の責任だろうかとか思い始めた。
「あ,あの。ほら,その人の価値なんて発育だけで決まるもんじゃ無し。俺なんてこんなに貧弱で禿びだけど……うんたらかんたら……」
「にーちゃん。又たややこしゅうなるから,慰めんなや……」
此処は,何とかして話題を変えるべきやな……。
「しかし,上手い事ねねが霊能に目覚めて良かったな。ピジョンウイング言う所か」
神族や魔族では珍しくもないが,純粋な人間で空を飛べる能力を持つ者は非常に少ない。藤吉郎の知り合いでは万千代めぐみが箒を使って飛べる位のものだ。それをいとも簡単に自分の念だけで飛べると言うのだから,かなり凄い能力である。勿論,それを可能にする霊力量も。
「……あ……!?」
「如何した,ねね!」
突然,ねねの霊波の翼の形状が崩れ,ねねが膝を着いた。
「……!?」
「突然,強い霊能力に目覚めたからコントロールが出来ないんだな。このままでは拙いぞ?」
輝元がのんびりと分析する。慰められて正気を取り戻したのか,標準語に戻っている。
「ねねっ!」
「そうだ。ねねちゃん,これ飲んで!」
「え?は,はい」
藤吉郎が,ねねに何かを渡し,ねねがそれを飲み込んだ。
「何や……喉飴でも渡したんか?」
「いや,違いますよ。文珠です。飲み込むと,効果が半永久的に続くんです」
刻まれた文字は,

『醒』

「あ……収まった……?」
「成程。能力を完全に覚醒させて,霊力をコントロール出来る様にしたんやな」
「ええ。そんな所です。で――」
藤吉郎は,輝元と義堅の方を向いた。
「未だ,やります?」
「……止しておこう。何か,戦意を削がれてしまったよ」
「私も……」
「じゃ,そう言う事で」

戦は六,七分の勝ちを十分と為す。

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