ザ・グレート・展開予測ショー

非日常(7)


投稿者名:ゴン太
投稿日時:(04/ 2/27)


ここは世界でも有数の霊格の高い山、その名も・・・

妙神山

そしてその頂上に位置する修行場の門の前に男が一人

「ふうー、やっと着いた〜。」

横島は険しい山道を進みやっとのことでたどり着いた目的地の門の前で取り敢えず自分自身の労をねぎらう。
いつもなら除霊をしているはずなのだが、所長である美神令子が精霊石のオークションで四、五日の間、休みとなっているからこそである

『おおっー、横島ではないか。』
『久しいの〜、横島。』

目的地である妙神山修行場の門番である鬼門達は横島との久々の再会を喜ぶ。

「よおー久しぶりだなぁ。パピリオや小竜姫様はいるか?」
「ああ、もちろんいるぞ!」

横島は『そうか』と答えると早々に中に入ろうとする。

『待て、待て、待てーーーーい!! 誰が通すと言った。この門を通りたくば我らと戦え。』
「おい、おい・・・・・そんな必要ねーだろ。』

再会を喜び合い、和やかな雰囲気の中で門をくぐろうとする横島に対し急に一変して猛反発する右の鬼門

『必要のあるなしなどではない!』
『そうだ、そうだ! 我らの出番はここだけなのだぞ!! ・・・戦ってくれー!』
「お前等もけっこー切実なのな・・・・・。」

その勢いに便乗するようにダクダクと涙を流し叫ぶ左の鬼門と、
ドデカイ顔に血の涙を貼り付け訴えかける鬼門に冷や汗たらたらな横島





表の方がワイワイ、ギャーギャー、騒がしい。そのことに気付いたパピリオは、

――― ギィーーーー ―――

内側から鬼門を開けて修行者でも来たのかと顔を出し・・・・・

「全くうるさいでちゅよ。お客さんでも来た・・・・・」

固まった。

「よっ・・・パピリオ。元気にしてたか? ・・・・・・・・ん?あれ?どうした?」

声を掛けたのはいいが目線が自分に向けられたまま全く反応のないパピリオに変に思った横島は近くによる。
そしてパピリオの顔の前で手をフリフリ・・・・・それをしばらく続けるとパピリオの目が突如 カッ と見開く。




一時停止していた脳が再び作動すると、目の前にゆらゆら揺れている手とセットで心配そうにのぞき込む顔。
パピリオはその顔が誰かを認識すると同時に嬉しさいっぱいで、地を蹴り、手を広げ目的の人物に一気に接近する・・・・・頭から。

「ヨッコシマッーーーーーーー!!」
「グフォオオォオッーーーーーーーー!!」

パピリオの凄まじくスピードの乗った“頭”を鳩尾に決められた横島は奇声を上げ、意識が刈り取られた。





横島は困惑していた。
気が付くと目の前にパピリオの顔があり、そのことに気付いたパピリオが、

「ごめん・・・・ヨコシマ・・・・・・」

とてもしおらしく謝っている。たしかにあのヘッドバットは痛かったが、痛かった分、自分に会えた事の嬉しさも伝わってきた。
むしろこうして瞳を潤ませて上目使いで謝るパピリオを見ると何だか自分の方が悪い事をしているような気がしてくる。

「大丈夫・・大丈夫だから・・元気、元気・・だろ? だから・・なっ? 泣くなよパピリオ〜・・別に怒ってないから〜・・・」

必死になってパピリオをあやす横島。
それは本来、逆なのだろうが女の涙と子供にめっぽう弱いのが横島の横島たる由縁だろう。
・・・・終いには謝りだしそうな勢いだ。




しばしの時間が流れ・・・

横島とパピリオは仲良く手をつないで目的の人物を目指していた。

さっきまで横島の手を焼かせたパピリオだが、その顔に先程の面影はすっかり消えていた。
むしろその表情は怒っている、と言った表情で、

「小竜姫は毎日、修行 修行って言って楽しくないでちゅ・・・!ちょっとでも何か言ったらすぐ説教でちゅよ。全く年を取ると説教くさくなって困るでちゅ!」

日頃のうっぷんをこれ幸いと吐き出すパピリオ。

「まッ、まぁ〜そう言うなよ。小竜姫様だってお前のためを思ってやっているんだろうし・・・・・」

本人に聞かれたら、激怒するであろうこと間違いなしの過激な発言を、サラリと言うパピリオに気が気でない横島。

そんな横島にパピリオは分かってないと、つないでいない方の手を横島に向け人差し指を立てると、

「横島は全く分かってないでちゅね〜。小竜姫は私の若さと未来ある私の胸を妬んでいるだけでちゅ!」

と、お姉さん口調で話すが背格好と語尾に付く『でちゅ』のアンバランスに横島は苦笑する。

「今日は日頃のストレスを解消するためにたくさん遊ぶでちゅよ!」
「う〜ん・・・できたらな!」
「歯切れが悪いでちゅね〜。 実は新しいゲームソフトがあるんでちゅ。話が終わったら一緒にやろうでちゅ!!」

いまいち納得は行かないが横島がいる事自体が嬉しくパピリオは早速、今後の予定(遊ぶ事に関してだけ)について話し出す。
横島は瞳をランランと輝かせコロコロ変わるパピリオの表情を楽しそうに眺める。
そんな二人の並んでいる姿は兄妹そのものだった。




「ここでちゅよ。」

パピリオが立ち止まり目的地に着いた事を伝える。彼らの目の前には木造で出来た普通の一軒の家があった。

――― ガララララッ ―――

パピリオは戸を開けると横島を連れ立って廊下を歩く。廊下は一本道でそれぞれの部屋につながっているであろう戸が幾つかある。その中の一つを開けるパピリオ。
中は和室になっており、そこには二人の人物が座ってお茶を飲んでいた。
そんな和んだ雰囲気の二人に声を掛ける。

「お久しぶりです、小竜姫様に、ヒャクメもな。」

「お久しぶりですね、横島さん。」
「なのね〜」

挨拶を交わす三人。どうもヒャクメは休暇で遊びに来たらしい。

そんな中、横島は深呼吸し、

「小竜姫様!修行をさせて下さい・・・・・!」

などと突然、言い出す。

当然周りは全く反応できずに ポカーン とした表情で横島を見る。
そんな時、

「バカモンが! ・・・少しは空気を読め!」

突如、聞こえる声のほうに目をやると一匹のサル・・・否、ハヌマンがいた。
ハヌマンは横島に目を向けたまま、

「ふー、まどろっこしいのは嫌いでな。早速、聞くが・・・何のために強くなりたい?」

と尋ねる。

「大切な人を守りたいから・・・・?」
「自信なさげじゃな。」

「う〜ん?
・・俺さ・・・・バカだしドジばっかだけど・・・最近、美神さんに一人前だって認められたんだ・・・・・・
でさ・・・・周りのみんなも喜んでくれたんだ・・・いっぱい、大勢の人が喜んでくれたんだ。

・・・・・・・・・俺が、あんな凄ぇー人たちを守ることなんていらないお世話なのかもしれないけど・・・・・・・ずっと一緒に笑いたい


・・・・・・もう、誰かがいなくなるのはイヤだ・・・・・・・・・・



・・・強くなりたい・・・・・・・・・。」


ハヌマンの視線をそらすことなく、いろんな感情がないまぜになったような複雑な表情で語る横島

――― ツゥーーー ―――

「「「 !! 」」」

いつの間にか傍観者になっていた三人は驚く。
横島は・・・・・・・・・泣いていた。


「横島お前は基礎から鍛え直すぞ。良いな!それと・・・パピリオ。遊ぶのは今回は諦めてくれ。」

横島の答えに満足したのか、俄然やる気のハヌマン。

ハヌマンの言葉に力強く頷く横島。
うまく頭が回っていなく、どうしてハヌマンがそんな事を知っているのか考えもせずにカクカクと首を上下に動かすパピリオ。

「それと横島。お前はこれからワシの事を『師匠』とでも呼べ。勿論、敬語も使えよ。」

ハヌマンは横島に注意事項を伝えると、まだ追加があったとばかりに口を開き言った。

「横島、お前に力をやろう。」

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