ザ・グレート・展開予測ショー

B&B!!(26)


投稿者名:フル・サークル
投稿日時:(04/ 2/25)



 ワイヤーロープを手繰りながら12回目に船の鉄板を両足で蹴った時、目の前の覗き窓から軽機関銃を持った教団員の
一人が身を乗り出して来た。――目が合った。奴が構えるより先に俺の両足は奴の顔面を捉えていた。そのまま窓の
内部へ飛び込む。
 そこは船壁に沿って伸びていた狭い廊下だった。他の窓にいた教団員達が一斉に俺を見て銃口を向ける。長髪の男が
縮小した人造式神と共に窓から飛び込んで来た。打ち合わせる事もなく俺は右へ、男は左へと駆けた。
 俺は霊波のシールドだけで弾を防ぎ、奴らを蹴散らす。騒ぎを聞きつけたのか、前方にあるT字路の横から更に5人、
武装した教団員が駆け付けて来る。俺は出力弱めにサイキックソーサーを出し、そいつらへ飛び掛かって行った―――。



 + + + + + + +



 どこまでも続く入り組んだ長い廊下、俺は駆け抜け、突き当たりを折れ、現れた敵を倒し、進んだ。―自分の進んでいる
方向を見失わない様、気を付けなくちゃいけねえ。さっき、前に進んでるつもりで後ろだったからな・・・。それに、いつまでも
こんな所を這い回ってる訳にもいかねえ。パピリオのいる礼拝堂―タンク部分は船の中央だ。入口は、恐らく上にある筈。
 目の前の突き当たりに非常灯付きのドアがあった。その手前に二人の教団員―機関銃ではなくライフルを構えていた。

 マズい・・・こいつら、バラ撒くつもりじゃねえ。“当てる”気だ。つまり・・・!

 ドン!ドン!ドン!ドン!俺は身を屈めた。奴らの撃った弾はシールドを貫通して飛ぶ――弾道に霊気の存在を感じた。
奴らの全身からも少しだが霊気が立ち昇っている。俺は床を蹴って地面と平行に飛び、頭から奴らへ向かって行った。

  「・・うわあああっ!?」

   ばしばしっ!

 両方の首に同時に手刀を叩き込みながら着地した。ここにだけ能力者が配置されていたと言う事は、つまりビンゴだ。
ドアを開くと非常階段が曲がりくねりながら上下へと伸びていた。俺はその階段を駆け登る。
 頭上から複数の勢い付いた足音が俺に接近して来る。踊り場を回るとちょうど階段を挟んだすぐ上に敵の連中が到着
した。ライフルを持ってる奴もいるが、半分以上が手にサイキックソーサーを出していた。

 ―――これ程の能力者をそんなに掻き集められる筈がねえ・・・ラケリエルの奴、俄か仕込みで力を分けたな・・・?

 俺は構え、魔装術を装着する。やっぱりこの先は生身じゃ厳しいぜ。

   だんっっ!!

 飛び上がり、銃を構えた一人を蹴り倒すと、その勢いで更に上の踊り場へと跳ぶ。教団員達は振り向き、踵を返してこちら
に駆け上がって来たが、上にいるのと下にいるのとでは状況がまるで違う。俺は登って来た奴を接近しての一撃で一人ずつ
倒して行く――最後の一人は少し下から霊撃を放とうと構えていたので、飛び降りながらのローリングソバットで仕留めた。


   どがあああん・・・!!


 直後、かなり上の方で大きな爆発音がした。甲板より上―この階段は艦塔にも通じている様だ―での爆発らしい。轟音は
それで終わらず、小さな爆発音と何かが突進する音とを繰り返しながら階段を下り、俺に近付いて来る――!
 身の危険を感じた俺は手近なドアに飛び込む。轟音に混じり男女一組の悲鳴。


  「きゃーーーっ!きゃーーーっ!いやああああっ!怖いーーーーーっ!!」

  「落ち着け!・・落ち着くんや冥子ちゃん!お蔭さんで敵はとっくに全滅しとるでーー!?」

   ―――どがぁぁぁっ・・どどどどーーーーっっ!!


 俺のすぐ横を暴走する12匹の式神とその上にしがみ付いて子供泣きしている六道冥子、式神に引き摺られてボロボロの
六道正樹が通り抜けて行った―――この分だともう、上の方にめぼしい敵はいねえ。
 俺は少し慎重に、半壊した階段を登って行く。



 + + + + + + +



 途中、ドアが開き冥子達の追撃に来たらしい教団員達数人―内、2〜3人がRPGランチャーを担いでやがった―とカチ
合い、片付けると、俺はそいつらの現れたドアから階段を出た。ここまで登れば甲板も近い筈・・・。俺が出たのは艦塔半ば
のブリッジだった。甲板は眼下に広がっている――登り過ぎだ。
 ブリッジの柵では教団員達が横一列に並び、身を乗り出して機銃掃射を行なっていた。背後のドアから入って来た俺には
気付かない。ダッシュでそいつらに接近し真ん中の一人を横殴りに吹っ飛ばす。両脇の連中が気付き俺に銃口を向けるが、
同士撃ちを恐れて発砲は出来ない。その間隙を利用して右・左と瞬く間に片付けた。


   ドシュッッ・・・・ヒュウウウウウッ!!

 低く鈍い音と風を切る飛来音。離れたブリッジ隅にもう一人残っていた。そいつのぶっ放したロケット弾・・・避け切れない。
――俺は霊波を放出しながら両腕を前にガードの構えをとった。

 爆発音。俺の目の前で炎と煙と衝撃、様々な破片が舞い上がる。
 煙の向こうにびくともせず立っていた俺を見て、その教団員は慌てた様に叫んだ。

  「何だこいつは・・・人間かっ!?―畜生、悪魔め・・悪魔だな!?」

 神でも悪魔でも人間でも、どっちにしろ、次のロケット弾の装填には間に合わねーぜ。
 俺はガチャガチャと次の弾をランチャーに取り付けようとしているそいつに向かって行き、ドロップキックを食らわしてやった。

 殆どただの人間相手とは言え、これだけの人数を相手にして来たにも関わらず、霊力の消費された感じが全くしない。
逆にウォーミングアップで奥深く眠っていた無尽蔵の力が引き出されて行く様な感じさえしていた。明らかに自分のパワー
が普段と違う。―これがあの岩山の効能かよ?・・・俺は今、「絶好調」と言う字を具現化した様な気分だった。

 柵から甲板上の状況を確認する。船首から両脇にかけて甲板外周は至る所で煙が上がり、人が倒れていた。
 右側の内周付近で小竜姫が飛び回り、火花が舞っている。唐巣はその下で奮闘していた。彼の力は基本的に奴ら相手
には向かない。その周囲をピートがフォローしている。
 左側に美神や横島達の姿はない。先に内部潜入に成功したのだろう。教団員達の応戦も今や右側に集中していた。
 小竜姫達をタンク入口に近付けまいとあらゆる戦力が投入されている。通常、船上作業の車両が通る為の舗装路を
装甲車や狙撃者を乗せたトラックが行き交い、攻撃を加えつつ前進を妨害していた。外周内周より数m低い中央部からも
攻撃が行なわれている。
 普通の戦闘ならともかく、小竜姫達は一人一人、殺さないで倒そうとしている。・・・攻略が難航する訳だぜ。

 俺は両手両足に霊気を溜めると柵の上に乗った。甲板中央の車両や教団員が集中している場所を見定め、柵を蹴り、
掛け声と共に飛び上がる。



  「―――――とおっっっ!!」



  「―雪之丞さん!?」

  「―雪之丞君!?」


   ぶわっっっっ・・・・・しゅたっ!



 俺は着地すると目の前の―こちらに向かって一斉に駆けて来た―敵に自分からも駆けて行き、そのまま連発で拳を繰り
出し、ぶっ飛ばして行く。


  「―オラオラオラオラオラオラオラアッッ!!」

   どごどごどごどごどごどごどおぉぉぉん・・・っ!!


 仕上げに構えて霊撃放出、手前の装甲車を轟音と共に引っ繰り返す。


   ブロロロロォ・・・・ッ・・・・タタタタタタタ!


 右手から複数のエンジン音と機銃掃射音、俺の足元が爆ぜ、魔装術のプロテクターを弾丸が掠る。荷台に機関銃の射手
を詰め込んだトラックが四台、俺の周囲をぐるぐる回り始めた。俺はその一台目掛けてダッシュし、ジャンプ・・・蹴り一発で
2〜3m向こうへ横転させた。そのまま後続トラックのフロントガラスを破り、平手で運転手を昏倒させると、車の下で雷撃を
炸裂させ、後ろへ引っ繰り返す。更に後続の車が下敷きになり、その後ろでも玉突き衝突・・車の動きは止まった。
 荷台からの銃撃は続いていたので、その箇所へ続け様に霊撃を放つ。機関銃片手の教団員達が吹っ飛び、トラックが
次々と爆発した。
 新たに接近して来た装甲車・・・その上でランチャーを担いだ男がロケット弾を撃って来る。俺は弾と爆発を躱しながら
サイキックソーサー片手に装甲車へ・・その上の男へ飛び掛かった。ランチャーを斬り払い、男を掴んで放り投げる。霊波の
刃を車体の上に突き立てて伸ばし、甲板床まで貫通させる。


  「―はあああああっ!!」


 そのまま刃を傾けながら前へ跳び、車両を一刀両断。真っ二つになり炎上する車から、教団員達が慌てて逃げて来た。


  「―――うおおおおおおっ!!―どんどん行くぜえええええええっっっ!!」


 俺は次の敵へ向かって駆ける。



 + + + + + + +



  「霊岩山の増幅効果によるものだけではありませんね・・・例えピークを過ぎようと、地道に日々の修練を積み重ねて
  来たからこそ、です・・・。」

 眼下の甲板中央部を見下ろしながら小竜姫が、その場所で荒ぶる男を評した。彼女の周囲はほぼ制圧されている。

  「驚くべき事です・・・一時的とは言え全盛期に戻るどころか、それ以上に『パワーアップ』してますね。ふふ・・・やっぱり
  敵には回したくないものです。」

  「・・・まあ、パワーがどうあれ、彼と戦う事にならなくて本当に良かったじゃありませんか。」

 唐巣神父は穏やかな笑みを浮かべながら隣の彼女に答えた。



 + + + + + + +



   パララララ・・・・パララララッ・・・・びしっ!・・・がすっ!

  「――ぐぁぁっ!」   どさっ。


   ――――俺は、強い・・・。


   ブロロロ・・・ヒュウウウッ、ドゴオッ!・・ドガアッ!

   ――だだだだだだっ!

  「オラアッ!!」

   どしゅっっ・・・・どおおおおおんっ!!


   ブロロ・・・ゴォーーーーッ、ドンドンドンッ!パララ・・・パラララララ・・・!

  「オラオラオラァッ!!――ハアッ!!」

   どがっ!べきっ!ばしっ!・・どしゅどしゅっ・・・・・・どっごおおおおおん!!


   ――――俺は、・・・カッコいいっ!


   たたたたた・・・だんっ!・・・ひゅおおおおっ・・・

  「―――こっちに来るぞーーっ!・・・っ、うわああああ!?」

   どすどすどすっ、・・・・・どがぁあああん!!


   ――――俺は、たくましい!


   『ふふふ・・・・・美しい!・・・・・美しいぞ!!』


   どがっ!! どごっ!! ばしゅっ!! ばしゅっ!! べぎっ!! ぼごっ!!

   ――――――しゅたっ。・・・・・ぴしっ。




   『――――俺は何て美しいんだっ!    ママァァーーーーーーっ!!!!』



   どがあああああああっ!!どがあああああああっ!!どがああああああああーーーんっ!!!!

   ・・・・ごごごごごごごご・・・・・っ。





 + + + + + + +



  「・・・・・『パワーアップ』・・・してます・・・ね・・・。敵に回したくないです・・・・。」

  「・・・・・彼と戦う事にならなくて・・・本当に・・・良かったです・・・・。」

 眼下の甲板中央部を見下ろして小竜姫と唐巣神父が、その場所で荒ぶる超絶マザコン男を評した。
何だかとてもげんなりした、嫌そうな表情を浮かべながら・・・・・・。



 + + + + + + +



 周囲の敵を全て片付けた俺の頭上で白い光の粒子が無数に舞い始めた。それらは群れ集まって一つの塊となり、やがて
形をとり始める。

  「人間如きが・・・どこまでも不信仰に奢る勿れ・・・。」

  「・・・てめえの出番って訳かよ、白鷺野郎。」

 中空に現れた七角水帰白鷺尊はデジャブーランドの時と同じく全身に白い炎、メギドフレイムを纏っていた。上から小竜姫が
降りて来て、奴の近くで剣を構える。

  「七角水帰、貴方にもメギドフレイムの地下流通についてお話頂きましょうか・・・まずはこの船内の保管場所へ案内が
  欲しいものですね。」

  「フンッ、龍族の力で神の炎に敵うと申すか?」

  「ここでは貴方がたの卑劣な手は通用しませんよ・・・何度でも言いますが、力の強さが剣士の強さじゃありません・・・。」

  「私ん家の家訓にも似たよーなのがあるわね?」


   ――――バゴォオッッ!!


 横のシャッターが派手に吹っ飛ばされ、一台の装甲車が突進して来た。

  「“たとえ力で劣っていても立ちはだかる敵を倒す”ってのがね!!」

 装甲車の上には美神令子が片膝立てて構えている――手に神通棍と文珠を持っていた。神通棍を屋根に突き立てると、
車体前面が霊気でコーティングされた。文珠をかざしてから車体に叩き付ける。――――「跳」!

  「ぐっ・・?・・・ケエエエエーーーッ!?」

 その勢いのままバウンドした装甲車は、空中高く舞い上がると白鷺野郎とモロに衝突した。白鷺野郎は車に押し出されて
落下し、20m程弾き飛ばされた。続いて緩やかに降りて来る装甲車。
 運転席のドアが開き、おキヌが身を乗り出して叫んだ。

  「雪之丞さん!乗って下さい!今すぐ来て欲しい所があります!!」

  「・・・・来て欲しい所、だと?」

  「沢山の人・・・後で話します!早く!!・・ここは美神さん達に任せちゃって下さい!」

 何やらただ事じゃねえ・・・俺は車に乗り込んだ。美神は車の屋根から飛び降りる。

  「能力も性格も完っ全に人命救助向きじゃないからね、私は。・・・ともあれ、報酬付きで引き受けたからには、現世利益
  最優先!!邪魔する奴は神も悪魔もぶっ潰す!!」

  「ケェーーーーッ!この強欲女め、貴様の事も知ってるぞ。・・・貴様も地獄で裁かるるべきだ・・・。」

  「そんなヒマないのよ、こっちだって急に家族が二人も増えて生活掛かってんの・・・この美神令子があんたを極楽に
  往かせてあげるわ!!」

  「我が行くのは栄えある天の国のみ!!」

 俺を乗せた装甲車は対峙する白鷺野郎と小竜姫・美神令子を置いてバックすると向きを変え、出てきたシャッターから
スロープに入って行った。



 + + + + + + +



   ブロロロロオオッ・・・・・ギャギャギャギャギャッ!!


 大きくカーブを描いたスロープを猛烈な勢いで進む装甲車に、前方でわらわらと集まった教団員が銃撃を浴びせて来る。

  「――どきなさいっ!!どかないと――――轢きますよ!!」

   ギャギャギャギャッッッ!!

 スピードを落さず奴らに向かって突っ込んで行く装甲車。教団員達は散り散り逃げまどう。逃げ遅れた奴が一人、少し
引っ掛けられ数m程引き摺られてからごろごろと転がって行った。――美神とかならともかく、おキヌにしてはかなり荒っ
ぽい・・・情け容赦のない運転だ。こいつのこの変貌は、この先にある「来て欲しい所」が原因なんだろうか。
 車はスロープを抜け作業車用の格納スペースに入った。その端の方に白い何かが大量に置かれている・・・・人だ。
教団の衣を着た20人以上の人間が床に倒れている――それも、女子供ばかりだった。
 車はその手前で停まった。

  「おい・・・これって・・・!?」

  「・・・マスタードガスを使った自殺攻撃です。私と美神さんがここに来てこの人達を見付け、保護しようとしたらいきなり
  ボンベの栓を開いて・・・ガスは何とか全部閉じ込めて排出したんですけど・・・。」

  「何だって、こんなマネを・・・?」

 何でそんなマネをしたのか、聞いてはみたが既に答えは分かっていた。

  「・・・死ねと、指示されていたみたいです・・・『生きて敵に投降した者は、天国に選ばれない』、と・・・。」

 おキヌはそこまで言うとぎゅっと唇を噛んだ。今までこいつからは見た事のない様な、激しい怒りが浮かんでいた。
 車を降りて、倒れている連中へ近付く。白い衣から出ている部分―顔や手は程度の差はあれ、皆ひどく焼け爛れていた。
激しく咳き込み、喀血してる奴もいる。糜爛性毒ガスは皮膚から吸収され、内臓に到達し・・・重大な後遺症を残す。

  「一通りヒーリングは施したんですが・・・もっと時間とエネルギー、医療処置も必要です。甲板までみんな運び出して
  から安全を確保してGメン本隊の到着を―――。」


  「・・・・・触るな・・・。」

 おキヌが倒れている1人に手をかざした時、そいつが顔を上げた。近くで何とか体を起こしていた5〜6才くらいのガキが
這いながらそいつに近寄り、すがり付く。

  「おかあさん・・・痛いよ・・・おかあさ・・ん・・」

  「・・・私達は・・・この身が滅びようとラケリエル様のお導きで天の門へ行くんだ・・・邪魔は、させない・・・。」

  「おかあさん・・・おか・・・ガッ!!ゲホッッ!!」

 ガキが血を吐きながら母親の身体の上に突っ伏す。


  「なあ、・・・てめーが奴らの妄想に付き合ってどこでどんな死に方しよーが、そりゃてめーの勝手さ。・・・だけど、てめー
  のガキはどーなんだよ?首曲げてそれ見てみろよ。子供にそんな苦しいメ見せてこんな所でくたばらせるのがてめーの
  望みなのかよ?」

  「・・・お前に、私達の何が分かる・・・?夫が多額の借金を残して自殺してから私達がどんな孤独で苦しい日々を過ごし
  て来たか・・・そんな私達親子に来世での永遠の幸福を約束してくれたラケリエル様と教団がどれ程私達にとって絶対
  のものなのか・・・お前如きに分かるか?・・・ここで貴様ら悪魔の手先を食い止め殉教する事は、この子にとっても幸福
  な事なのよ・・・。」


  「ふざけ・・・・・っ!」

  「――雪之丞さん、ダメですっ!」

 そいつに蹴り入れようとした俺をおキヌがしがみ付いて止める。女は言葉途中で気絶していた。


  「・・・この子の容態の変化が気になります。お母さんから離して一旦仰向けに寝かせましょう。その上で多めに
  気を――。」

 おキヌがガキの両肩に手を掛けて抱き起こそうとした時、ガキの右腕が衣の中を不自然に動いてるのを見付けた。

  「危ねえっ!!そいつから逃げろ!!」


 ガキの握られた両手に自動式小型拳銃。おキヌの頭にぴたりと銃口が押し付けられていた。

 俺は瞬時にガキを突き飛ばし、おキヌを抱きかかえると格納スペースの中央まで跳ねる。倒れた大人達の下から、壁の
非常口から、教団衣姿のガキどもが次々と現れた。どいつも10才にもならない様なチビで、両手に銃を握っている。ガスに
やられてる奴もそうでない奴もいる。俺達目掛けてぶっ放しながら近付き始めた。俺はおキヌを抱えたままコンクリートの柱
の陰に隠れる。


   パンッパンッパンッパンッ!・・・・・バンッ!!


 一人の持ってる銃が暴発し、そいつは血まみれになってその場で倒れた。他のガキどもは構わずに前進し続ける。俺は
自分の記憶とだぶるその光景に強烈な眩暈を覚えた。



――――――――――――――――――
 Bodyguard & Butterfly !!
 (続く)
――――――――――――――――――
とりあえず今回はこのゆっきーが出せたので満足(ゑ。
まあ、アクションに次ぐアクションって事で・・・読むのに疲れるだけかもしれませんが・・

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